著者
永瀬 亮 岸本 卓巳
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.755-759, 2010 (Released:2010-11-17)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は70歳女性.2003年10月随時血糖350 mg/dlと大球性貧血を指摘された.2004年1月糖尿病教育入院を行い,食事療法にて血糖コントロールは改善した.貧血はVit.B12低値で抗内因子抗体陽性より,悪性貧血と診断された.以後,2型糖尿病として食事療法にてHbA1c 6%台前半(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467, 2010))で経過していたが,2009年5月HbA1c 11.4%と急激な上昇を認めた.2004年1月には内因性インスリン分泌は保たれ,膵島関連自己抗体陰性より,2型糖尿病と診断していた.今回入院時に内因性インスリン分泌能は著明に低下し,GAD抗体強陽性となっており,1型糖尿病に転化したと考えられた.抗TPO抗体陽性で慢性甲状腺炎の合併を認めた.悪性貧血と2型糖尿病で発症し,1型糖尿病に転化した多腺性自己免疫症候群(autoimmune polyglandular syndrome;APS,以下APS)III型の1例を経験した.
著者
岸本 強 木原 勇夫
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
島根女子短期大学紀要 (ISSN:02889226)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.105-109, 1985-03-30

(1)サーブレシーブに関して,主流である5人シフトでの成績と,スピード・コンビネーション攻撃を最重視した2人or3人シフトでの成績を比較検討した。(2)サーブレシーブに関しては,2人or3人シフトをとる島根クラブの方がA・B評価値が高く,このシフトでも,スピード・コンビネーションでの展開を狙っていくことが充分可能であるといえる。(3)バレーボールの試合は,対戦チームとの相対関係にあり,その要素は攻防において多種ある。この相対関係にあるということが,体力・技術のより高度化を生み出してきている。しかし,サーブ・サーブレシーブは,比較的画一的な関係にあるのでなおざりにされてきていたように思う。これからのサーブレシーブ・フォーメーションの方法として,経験的に1つの方法だけしかとらないということではなく,各チーム内のメンバー構成や技量及び攻撃パターン等をよくかんがみて,5人型から2人型までを随時取り入れ,より合理的に,又より確実にレシーブできるフォーメーションに積極的に取り組んでいく必要がある。本研究の要旨は,第35回日本体育学会(1984,鹿児島)において発表したものである。
著者
岸本年史編著
出版者
海馬書房
巻号頁・発行日
2013
著者
岸本 年史
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

精神分裂病患者における水中毒は病的多飲を特徴とし、意識障害、痙攣などの重篤な症状を引き起こす。また、この水中毒は抗精神病薬の長期服用によっても発症することが報告されている。しかし、この水中毒の発症機構については未だ不明な点が多く、一致した見解はない。我々は、慢性の抗精神病薬服用患者における抗利尿ホルモン分泌不適合症候群(SIADH)が水中毒発症に関係していることを指摘している(Kishimoto et al, Jpn. J. Psychiatr. Nerurol. 43,161-169,1989)。今回、この水中毒発症機構の基礎的研究の一環として抗精神病薬長期投与とSIADHとの関係を明らかにする目的で、ラット視索上核(SON)への高張artificial cerebrospinal fluid (aCSF)の注入刺激後のアルギニンバソプレッシン(AVP)遊離と行動変化に及ぼすデカン酸ハロペリドール長期投与(20mg/kg/2weeks,i.m.)の効果について検討した。下記に、デカン酸ハロペリドールを8週間長期投与したラットにおいてえられた結果を示す。1)SONにおける高張性aCSF注入による刺激は、刺激終了後30分間の飲水行動量を増加させた。また、同処置ラットの移所運動量は増加する傾向を示した。2)SONにおけるAVP濃度は、上述の高張刺激後、同様に増加した。3)同処置ラットにおいて、線条体ドパミン濃度は対照群と比較して減少した。デカン酸ハロペリドール長期投与ラットにおいて、SONへの高張性aCSFの刺激は飲水行動量の増加および同部位のAVP遊離を引き起こした。また、デカン酸ハロペリドール長期投与によって線条体ドパミン濃度の減少が認められた。以上の結果から、SONへの高張性aCSF注入刺激によって発現する飲水行動の増加およびAVP遊離は、中枢ドパミン神経系との密接な関係が推測される。
著者
泉澤 真紀 山本 八千代 宮城 由美子 岸本 信子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.347-356, 2008-07
被引用文献数
2

わが国の学校教育では,小学校で行われる初経教育から高等学校まで継続した月経教育が実践されているが,教育現場における時間数,教育内容の問題などが指摘されている。そのため,月経のメカニズムの理解や月経時のトラブル,月経痛への対処の知識の不十分さ,月経をネガティブにとらえる生徒への課題がある。本研究の目的は,学校現場における月経教育の実態と,「月経痛」「月経知識への満足感」「月経知識への関心」と関連ある内容を明らかにすることである。中学および高校の女子生徒216名に質問紙を配布し回収,協力の得られた210名の結果を分析した。「月経痛」は,「月経痛緩和法の知識」「友達と話すことがある」「月経知識への関心」「月経痛があるのは当然とする考え方」と有意に関連があった。また,「月経知識への満足感」は「学年」「薬の服用」と,「月経知識への関心」は「学年」「基礎体温の知識」「低用量ピルの知識」「月経痛と病気との関連の知識」「相談者の存在」「薬の服用」と有意に関連があった。さらに「月経知識への満足感」「月経知識への関心」の両者も強い有意な関連性を示した。これらから月経教育の課題が明らかになった。
著者
岸本 健
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本課題では、ヒトの有する文化の伝播に関わる能力の発達的基盤を明らかにするために、幼児が同年齢の幼児との間で行う情報授受の行動がいかに発達するかを明らかにする。本年度は、同年齢の幼児間で行われる教示行動の発達について縦断的に検討を行った。教示行動は「知識の欠如している相手の知識や理解を高めるために遂行される意図的な行動」とされる(Strauss et al.,2002)。本研究では、幼児が保育園の3歳齢クラスに所属している時と4歳齢クラスに所属している時の2時点で、下記のような状況を実験的に設定し、幼児の教示行動を観察した。観察対象児が他児と2名で向かい合って遊んでいるとき、他児の背後で人形を提示する。このとき、観察対象児には人形が見え、他児には見えない。このとき、人形を見ることのできた観察対象児が他児に対して、人形の位置を教えるような教示行動を行うのかどうかを記録した。分析の結果、観察対象児が指さしを行う割合が、3歳齢から4歳齢にかけて増加した。また、観察対象児が相手に対して行う発話の内容にも発達的変化が見られた。具体的には、3歳齢時において幼児は「叫び声」(「あ!」など)と「人形の名称」(「アンパンマン!」など)だけを述べる場合が多かった一方、4歳齢時にはそれらの発話に加え、「人形の状態の叙述」(「飛んでるよ」など)、「人形の位置情報」(「後ろ」など)、「相手に見ることを促す発話」(「見て!」など)、「相手の名前」(「○○ちゃん」など)の発話を述べるようになった。幼児が1歳齢時には指さしによって相手の知らない情報を相手に対して教えることはこれまでも知られていた(Liszkowski et al.,2008)。それに対し本研究は、3歳齢から4歳齢の間に、発話による教示行動が幼児間で行われるようになることが初めて示された。
著者
矢作 敏行 外川 洋子 岸本 徹也 浦上 拓也
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本型流通システムの特徴を、具体的な企業の実践行為レベルで分析するという研究目的に即して、長期財務分析、聞取り調査、企業アンケート調査を実施し、それに基づき、優秀小売企業を選び出し、小売業務、商品調達、商品供給の3つの下位システムで構成される小売経営において、持続的な競争優位性の基盤となっている組織能力は何かを導出した。中核的な組織能力は、事業分野の特性と歴史的な初期条件の2つの要因から大きな影響を受けているとの分析結果を得た。
著者
河内 明夫 岸本 健吾 清水 理佳 金信 泰造 田山 育男 森内 博正
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

「領域選択ゲーム」の応用研究として、スイッチシステム「量子スイッチ」の試作品を作った。「領域選択ゲーム」は図形ゲームである。その幼児版のゲームにより数字をよく知らない幼児がどの程度数学アルゴリズムを獲得できるかを研究するためのデータを取得し、その解析を行った。この図形ゲームの効能を説明するために、数学を思考する際の脳の働きを研究し、雑誌論文や図書として発表した。大阪市立大学医学部老年内科の医師の意見を取り入れて高齢者の視空間認識機能のリハビリテーションのための高齢者向け「領域選択ゲーム」を開発し、共同研究を締結した高齢者のケア施設に、それを搭載したiPadを貸与して、検証試験を行っている。
著者
スミス アリ 岸本 佐知子
出版者
集英社
雑誌
すばる (ISSN:03876381)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.252-260, 2013-05
著者
木村 百合香 加藤 智史 高橋 正時 岸本 誠司
出版者
特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.551-555, 2008-12-10 (Released:2008-12-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

今回われわれはアンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与と血管再生治療後に生じた喉頭浮腫治療後,nasogastric tube症候群による両側声帯麻痺を発症した1例を報告した。症例は76歳男性,主訴は吸気時呼吸困難であり,喉頭内視鏡検査にて著明な喉頭浮腫を認めたため同日緊急気管切開術を施行した。3カ月前より高血圧に対しARBであるカンデサルタンシレキセチル(ブロプレス®)を使用し,また閉塞性動脈硬化症に対し末梢血幹細胞移植による血管再生治療後7日目であった。喉頭浮腫の改善後,両側声帯正中固定が明らかとなった。多系統萎縮症等は否定的であり,経鼻胃管を挿入中であったことからnasogastric tube症候群による両側声帯麻痺と診断した。発症後10カ月現在も両声帯は正中位固定のままカニューレ抜去困難状態が続いている。アンギオテンシン変換酵素阻害剤とARBの重要な副作用に血管性浮腫があり,時に重篤な気道狭窄をきたすことがある一方,再生医療のさきがけとして血管再生治療が臨床導入されているが,移植された幹細胞から放出されるサイトカインにより血管性浮腫をきたす可能性も指摘されており,両者が本症例の喉頭浮腫に関与したものと考えた。また,経鼻胃管の留置による重篤な合併症であるnasogastric tube症候群にも留意が必要である。
著者
岸本 通夫
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.9, pp.72-75, 1961-01-30

In questo articolo per la rivista "Studi italici", ho cercato di classificare i latinismi che si trovano nella Divina Commedia. Mi sono servito come base, la Divina Commedia con il commento dello Scartazzini, ed ho scelto specialmente le seguenti 9 parole : viro, cernere, sermo, repleto, labore(labor, leboro), prandere, festinare(festino), felle, face, che lo Scartazzini, commenta dal punto di vista fildlogice. Perolo Scartazzini nel suo commento fa rimarcare come latinismo solo la parola viro. Io ho studiato tutte le nove parole e mi sembra che si possa concludere. In molti casi i latinismi sono alla fine del verso e nel caso il poeta potrebbe essere stato obbligato dalla rima, che la frequenza dei latinismi e piu grande nel Paradiso.
著者
岸本 昭
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.14, no.139, pp.264-269, 1965-04-15
被引用文献数
1

Kamaboko is a heat-coagulated fish paste containing some salt, sugar, starch and flavor, and is one of the favorites of Japanese people. The rupture properties of Kamaboko, such as the breaking strength and the breaking elongation, are considered as one of the most important factors in evaluating the commercial quality of this product. The quality of Kamaboko has been estimated in terms of pastelike compactness which in Japanese is known as "Ashi". This in reality embodies rheological properties. The results of ranking Kamaboko on market by "Ashi" or compactness have shown that this is closely ralated to its being hard, but not so much so as to be tough, and also to its being fit for chewing chear cut. The organoleptic scores for the Kamaboko, how hard it is, were found to be related to the gel strength, the elastic energy stored in the specimen before breaking. On the contrary, the evaluation of Kamaboko being fit for chewing clear cut has not yet been breaking. On the contrary, the evaluation of Kamaboko being fit for chewing clear cut has not yet been established. The data for the creep in a simple shear, the stress relaxation in extension and the damped free oscillation in torsion of commercial Kamaboko have shown that this is considered to be a thermorheologically simple material and a slightly crosslinked rubbery material which exhibits no viscous flow. The results of stress relaxation of fresh fish meat paste were expressed as : [numerical formula] where &fnaf; is the stress at time t,&fnaf;_10 the value of &fnaf; at t=10sec, a and k the constants, and t the time, respectively. The stress relaxation measurements were made for the meat paste heated at various temperatures and heating time. It was found that the values of &fnaf;_10 increase and those of k decrease with increase of temperature and heating time. The measurements of the viscosity of the fish muscle extracts were made at various velocity gradients. The relation between the viscosity, η, and the velocity gradient, D, followed the de Waele-Ostwald law: η=K D^n where K and n are constants. Moreover, the viscosity,η, of fish muscle extracts at constant velocity gradient was found to be related to the concentration C as : η_<D=2> = kC^m.
著者
岸本健治
出版者
三菱重工業
雑誌
三菱重工技報
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, 1998-09
著者
埴岡 隆 高谷 桂子 田中 宗雄 岸本 美香子 雫石 聰
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.693-702, 1997-10-30
被引用文献数
10

わが国における口腔保健医療従事者による喫煙対策の推進を図るため,歯科医師の喫煙習慣,喫煙に関する知識,患者の禁煙支援の活動実態およびその障壁について調査を行い,日常診療への禁煙プログラムの導入について検討した。某大学同窓会会員歯科医師における調査(回答者545名,回収率70.6%)では,喫煙率は男性28.7%,女性1.6%であり,男性の29.8%は元喫煙者であった。喫煙関連疾患の知識は全体的に低い水準であったが,口腔癌は約65%,歯周病は約42%の歯科医師が喫煙と関連があると答えた。喫煙習慣の問診は約65%,喫煙の害の助言も約40%の歯科医師が行っており,この割合は,口腔癌と比べて,歯周病の知識を有する者が高かった。喫煙問題に関心が高い日本禁煙推進医師歯科医師連盟の歯科医師会員を対象とした調査(回答者67名,回収率78.8%)では,禁煙支援活動のうち喫煙者に共通な行為は約80%の者が行っていたが,個々人の内容に踏み込んだ支援行為は少なく,また,「紹介機関がない」,「患者の抵抗や不満」,「患者教育のための教材がない」,「時間がない」ことなどが障壁と認識されていた。しかし,禁煙支援のトレーニングを受けた歯科医師では,禁煙支援の日常化の程度が高かった。以上のことから,歯科診療の場において禁煙支援を日常的に行うためには,喫煙と歯周病との関連等の啓発および禁煙支援のトレーニングが重要であることが示唆された。