著者
島田 淳子 小竹 佐知子 松本 美鈴 畑江 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.197-203, 1990-03-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
19

調理操作の中の調味操作が, 押し出し成型したタンパク質を主成分とする組織化製品に及ぼす影響を物性変化の面から検討した.試料はタンパク質含量90.0%, マトリックス構造中に直径0.003~400μmの細孔の分布が認められるもので, 水浸漬を対照とし, ショ糖, 食塩, 醤油, 酢酸および乳酸の0.1~1.0M水溶液に浸漬した結果次のことが明らかになった.(1) ショ糖, 食塩, 醤油水溶液浸漬後の重量増加による保水性は対照に比べ増加したが, 比重を考慮して保水された水溶液の体積をみると, ショ糖は吸水されにくいことが認められた.一方, 酸浸漬によるTSPの保水性は著しく大きかった.(2) かたさは, 保水性同様, ショ糖, 食塩および醤油浸漬試料では対照とほとんど差がなかったが, 酸類では著しく軟化した.(3) 内部構造については, ショ糖, 食塩および醤油浸漬TSPの断面は対照と差がなかったが, 酸浸漬 TSPではマトリックスの様相が著しく変化し, 断面全体に網目構造が発達した.(4) 調味液浸漬後の試料の断面を測定した結果, 吸水膨潤による断面積変化量は保水性を反映する結果であった.
著者
島田 淳子 渡部 繁子 新垣 公子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.704-709, 1973-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

The correlations of the ratio between materials and cooking temperature for making the “roux” which influences the qualities were examined by their viscosity, color, sedimentation volume, turbidity and taste.As the results, (1) when the taste was evaluated by trained panels, the roux cooked to the temperature up to 130°C was more palatable than that of the temperature 100°C. The roux turned to brown and arouse the roasted flavor by further heating.(2) The cooking temperature of roux showed inverse relations of viscosity, and of the sedimentation volume of pastes which was prepared from this roux, higher the temperature of the roux, lower the viscosity, and smaller in the sedimentation volume. On the other hand, the turbidity of filtrate of these pastes showed the increasing tendency for higher cooking temperature.(3) The changes of viscosity by the alpha amylase digestion was found to be smaller at its high temperature.(4) Acid and iodine values, and the viscosity of butter fat which was separated from roux were tested, and found no remarkable changes in the difference of cooking temperature.
著者
大田原 美保 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.841-848, 1995-09-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
18
被引用文献数
4

米飯の保存中の食味低下, すなわち米飯の老化感の客観的評価方法を検討し, 以下の知見を得た.(1) 官能検査により米飯の老化感を測定した結果, 一般的に家庭で食している米飯 (日本晴加水比1.5) レベルでは, 保存5時間ですでに有意に老化していると評価され, SEMによる微細構造も保存5時間で変化が始まっていた.(2) BAP法による糊化度と老化感の保存中の変化は, 特に保存初期において必ずしも対応しなかった.(3) 物性測定のパラメータを説明変数, 米飯の老化感を目的変数として変数増減法による重回帰分析を行った結果, テクスチュロメータのHと-Hを用いた重回帰式Y (米飯の老化感) =0.86X (H) -3.15X (H) -0.48 (R'2=0.87) によって米飯の老化感を精度良く予測できることが明らかとなった.
著者
島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.120-124, 1974-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

アミノ酸が揚げ油の色や匂いに及ぼす影響について検討し, 次の結果を得た.1. アミノ酸添加により大豆油はやや黄色味をおびた.生じた匂いは一般的に生ぐさみをおび, あまり良い匂いではなかった.2. 新鮮油に対するアミノ酸の影響はあまり大きくなかったが, 加熱油の色に対する影響は著しく大きかった.すなわち, 200℃, 5hr撹拌加熱した大豆油で, グリシン0.02%を180℃10min揚げた場合の色の変化は, 新しい油でグリシン2%を180℃30min揚げた場合の色の変化に匹敵した.3. グリシンを油の0.02~0.5%揚げた加熱油は, その量の増加および温度の上昇に伴い著しく褐変が進み, 強い匂いとなり, 油中の2-ヘプテナールの割合が減少した.4. アミノ酸による着色の著しい油ほど, 油中の2-ヘプテナールの減少が顕著であった.
著者
田中 尚道 越智 直正 島田 淳志 高田 孝充
出版者
近畿大学資源再生研究所
雑誌
近畿大学資源再生研究所報告 = Annual report of the institute of resource recycling of Kinki University
巻号頁・発行日
no.10, pp.29-32, 2012-03-01

[Synopsis] It is due to inquire by being. Although it became clear by this trial for cultivation of cotton to be possible also in the Tohoku district, problems, such as a point which is not paid in cultivation of cotton, also have many the profitability and farm subsidies as agriculture, and it is required to build the mechanism in which cultivation farmhouses can live. Moreover, the necessity of examining the growing method with establishment of the efficient growing method, i.e., the increase in a yield, and the effective salt removal effect was accepted. Furthermore, since the weed control in a cultivation period, the damage of the night thief insect, etc. were seen, it was suggested that the measure against a noxious insect must also be taken.
著者
貝沼 やす子 長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.419-423, 1990
被引用文献数
4

洗米方法の違いにより,米粒あるいは飯粒の性状には多少の差異が生ずることがわかった。すなわち,"研ぐ"と表面が削られるため,洗液中に溶出する固形分量が多くなるとともに,米が砕ける割合も増加した。コシヒカリ,キタヒカリいずれも研いだ後水取り替えを行ったものは白く炊き上がり,官能検査でも有意に白いと評価された。しかし,官能検査における総合的な評価には全く有意差は認められず,本実験で採用した"洗う"または"研ぐ"操作は飯の食味に大きな影響は与えないと結論した。本研究を行うにあたり,走査型電子顕微鏡使用の便宜をはかっていただきました日本食品化工株式会社ならびに撮影を担当して下さいました同研究所曽根博信氏に感謝いたします。
著者
長尾 慶子 横川 知子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-30, 1994-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
4

Crack is often observed during deep-frying at the inside, outside and/or upside of hard doughnuts and sometimes impairs the appearance. Experiments were carried out to know the effect of the proportion of ingredients and the preparation condition on the appearance of the doughnuts.Multiple regression analysis showed that the increasing rate of the weight and volume of fried doughnuts were affected by sugar and butter content. The recipe without butter resulted in the doughnuts without outside crack. The more the sugar content was, the smaller the outside crack was. When the sugar and butter content was high, the upside crack was large. To leave the dough sample at 4°C before frying made the volume and the weight of the doughnut large and the upside crack small.Panel members judged the doughnuts to be most preferable when the small crack at the upside was observed. We divided the sample doughnuts into two groups in terms of the ratings of the overall appearance, namely, preferable group and not preferable group. Then we ran a discriminant analysis. The recipes of the preferable group contained more sugar and egg and less butter than those of the other group.
著者
石井 克枝 土田 美登世 西村 敏英 沖谷 明紘 中川 敦子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.229-234, 1995
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究は牛肉の低温加熱による呈味物質と呈味性の変化についてみたものである.牛肉を薄切りにし,真空パックしたものを40,60,80℃で,10分,1,3,6時間加熱した.遊離アミノ酸は40℃,6時間加熱したときにもっとも多く生成し,酸可溶性ペプチドは60℃,6時間加熱したときにもっとも多く生成した.60℃,6時間加熱した牛肉エキスと,60℃,10分加熱した牛肉エキスの呈味を官能検査により比較すると,60℃,6時間加熱した牛肉エキスの方がまろやかだった.二つの牛肉エキス中の遊離アミノ酸,5'-IMPはほとんど同量であったので,まろやかさは加熱によって増加したペプチドによるものではないかと考えられた.
著者
畑江 敬子 大沼 葉子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.505-510, 1990
被引用文献数
9 5

サケ鼻軟骨を薄切りにし, 4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し,物理的,化学的変化を調べ,以下の結果を得た.<BR>(1) サケ鼻軟骨は酢酸処理により,生臭さがなくなり,軟らかくもろくなり,食品として好ましいテクスチャーとなるが,浸漬時間は24時間程度が適当であった.<BR>(2) 軟化はテクスチュロメータによる硬さ,圧縮に要するエネルギーおよび保水性の測定によっても確かめられ,浸漬初期に変化が大きかった.<BR>(3) 軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき, 168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった.<BR>(4) 水分,粗タンパク質はほとんど変化せず,糖質と灰分の減少が著しかった.<BR>(5) 糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し, 168時間後には未処理の1/2以下となった.
著者
浜田 陽子 綾部 園子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.306-313, 1992-11-20
被引用文献数
1

温度および湿度を調整したフードストッカーおよび対照として室内暗所に14種の乾物を12か月間保存し,その品質を評価した。結果は以下の通りである。1.フードストッカーに保存した乾物は,全般的に対照に比べて低水分に保持されていた。2.フードストッカーに保存した乾物の晶質は,対照に比べて有意に劣化の少ないことが官能検査によって認められた。特に米,千ぴょう,切り干大根,かつおげずり節およびのりなどは効果的であった。3.客観的測定においても,乾物のもどし時間,軟化に要する加熱時間,小麦粉のグルテン採取量およびのりのパリパリした感じたとは,保存環境による有意差が認められた。4.12か月後にはフードストッカーに保存しても晶質は低下し,煮干し,乾椎茸およびローリエの感覚的評価における対照との差は小さくなった。又,加熱時の豆の軟化に要する時間や高野豆腐のもとし時間は遅延した。5.乾麺およびこしょうは保存条件による影響をほとんど受けなかった。
著者
斉藤 良太 島田 淳一 北村 博顕 遠山 洋一 柳澤 暁 矢永 勝彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.1035-1040, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
16

症例は50歳の男性で,上腹部違和感にて近医受診,腹部USにて膵頭部の膵管拡張を指摘され当院紹介となった.MRCPにて膵頭部に非特異的な走行を示す蛇行した膵管像を認め,一部は嚢胞状に拡張しており分枝型の膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断した.経過観察としていたが初診から2年後のMRCPにて嚢胞径が32mmに増大し,かつ壁在結節を疑う所見を認めたため悪性を否定できず幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.摘出標本の膵管造影を行ったところ,背側膵管と腹側膵管が各々の下枝を介して癒合する膵管癒合異常を示し,広岡らの分類における分枝癒合型2型に相当すると考えられた.病理組織学的診断では微小浸潤を伴った膵管内乳頭粘液性癌であった.非常に稀な膵管像を呈した膵管内乳頭粘液性腫瘍の1例と考えられるため報告した.
著者
畑江 敬子 松本 美鈴 島田 淳子 山中 英明 渡部 終五 橋本 周久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1521-1525, 1990
被引用文献数
5 3

The dorsal muscle of a carp was sliced into pieces 3mm thick, and six kinds of "arai" were prepared by washing the slices in water of regulated temperature for a specific time: 3 or 5 min in 0°C water, 70 s or 3 min in 18°C water, and 20 s or 70 s in 49°C water.<br> The physical property of "arai" was determined by 7 types of measurement. Factor analysis showed that physical properties, of all kinds of "arai" differed significantly from those of untreated fish slices and that "arai" at 0°C and 18°C treatments resembled each other. Treatment at 49°C yielded different results from the others. Sensory panel members could not discriminate the texture of 0°C and 18°C treatment, though they could discriminate 49°C treatment from the others. All of these samples at 0, 18, and 49°C treatment, were judged to be satisfactory.<br> After "arai" treatment, ATP content in the fish slices decreased; the higher the tem-perature of treatment, the more the ATP content decreased.<br> Scanning electron micrography, showed fewer lipid droplets on the surface of the "arai" slices than on that of untreated fish slices. "Arai" at 49°C treatment was smooth, so we presumed that there was thermal denaturation on the surface. Slight gaps between muscle fibers were found, which were not found in the case of untreated fish slices.
著者
島田 晶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.137-142, 1990-02-05
被引用文献数
3

固形食品の甘味の知覚は, ショ糖がさまざまな割合で固形食品に含まれているにもかかわらず, あまり研究されていない. 味の知覚はテクスチャーや材料などにより影響されるが, 固形食品の甘味の知覚についての総合的な研究はない. 本研究は, まず固形食品の甘味の知覚についての一般的な傾向を明らかにし, 次に知覚に影響する要因を知ることを目的とした. テクスチャー, 材料などを考慮して, キャンディー, メレンゲ, ようかん, チョコレート, クッキーを試料として選んだ. 官能検査で知覚されたこれらの試料の甘味度は, ショ糖溶液の濃度で表して6.7〜25.7%であり, 試料中のショ糖含量(7.8〜80%)にくらべて非常に小さかった. すなわち同濃度のショ糖溶液の甘味より低く感じられた. 食するさいに阻しゃくを必要としない試料の甘味にはショ糖含量が, それ以外の試料にはかたさも影響した. また表面積の増加程度, 唾液量, 吸水量などの影響が示唆された.
著者
佐藤 秀美 畑江 恵子 島田 淳子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.904-909, 1996-08-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1

食パンを赤外線ヒータで加熱した時の内部の水分分布が経時的にどのように変化するかを,特にクラムに着目し,調べるとともに,この水分分布の変化に及ぼすヒータの放射波長特性の違いの影響を検討した.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 上下2層に分けて測定したクラムの水分含量はともに,加熱直後に一旦低下し最低値をとった後,加熱前の水分含量よりも高くなった.この加熱過程において,上層の方が下層よりも水分含量は早く,しかも大きく変化した.(2) ヒータの放射波長特性は食パン内部の水分分布に影響を及ぼした.長波長領域の赤外線を放射するヒータで加熱した場合ほど,食パンの部位により,水分含量は大きく異なった.
著者
佐藤 秀美 畑江 恵子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.904-909, 1996-08-15
被引用文献数
2

食パンを赤外線ヒータで加熱した時の内部の水分分布が経時的にどのように変化するかを,特にクラムに着目し,調べるとともに,この水分分布の変化に及ぼすヒータの放射波長特性の違いの影響を検討した.その結果,以下のことが明らかになった.<BR>(1) 上下2層に分けて測定したクラムの水分含量はともに,加熱直後に一旦低下し最低値をとった後,加熱前の水分含量よりも高くなった.この加熱過程において,上層の方が下層よりも水分含量は早く,しかも大きく変化した.<BR>(2) ヒータの放射波長特性は食パン内部の水分分布に影響を及ぼした.長波長領域の赤外線を放射するヒータで加熱した場合ほど,食パンの部位により,水分含量は大きく異なった.
著者
長尾 慶子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.373-377, 1989

衣を厚くしたコロッケの揚げ加熱中の破裂の機構に関して以下の結論を得た.<BR>1) 衣を2, 3, 4mmと厚くすると薄衣の1mm試料の場合にみられた表層部破裂は起こらず, コロッケ全体に縦 (長軸方向) に亀裂が入る全体破裂となった.<BR>2) 外皮の引張強さは, 経時的に増加した.2mm試料のほうが, 3および4mmの試料に比べて短時間で強度が大となった.破裂時の外皮の強度から推定した内部圧は, 2mm試料のほうがより厚い皮の試料に比べて有意に低かった.<BR>3) 厚衣の全体破裂は, コロッケ内容物体積が揚げ加熱中に温度上昇に伴い6.5~6.9%膨張することで, 約2~3N/cm2高まった内部圧を皮が抑えきれずに亀裂が起きて, 破裂するものであることが示唆された.
著者
田辺 洋子 飯島 真喜子 島田 淳子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.357-362, 1986

さとう, ゼラチン, 水というもっとも基本的な材料を用いたマシュマロを試料とし, マシュマロの調製可能な配合を決定し, さとうおよびゼラチン濃度の影響について比重, オーバーラン, テクスチャー特性を測定, 顕微鏡により気泡を観察し, あわせて官能検査を行い, その独得なテクスチャーについて検討した.<BR>1) 調製可能な配合はさとう濃度をの (30~60%), ゼラチン濃度を<I>y</I> (2~12%) とすると, 上限濃度<I>y</I>=-0.23<I>x</I>+17.6, 下限濃度<I>y</I>=-0.13<I>x</I>+11.6の2本の直線にはさまれる範囲にあり, さとう濃度の大きいほど, 調製に適当なゼラチンの必要濃度範囲がせまくなった.<BR>2) 抱気後比重およびオーバーランとさとう濃度およびゼラチン濃度との間には一定の傾向はみられなかった.<BR>3) さとうおよびゼラチン濃度が増加するにつれ, 平均気泡個数は増加し, よって平均気泡体積は減少した。これは気泡が小さく密になることを示している.またそれに伴い白度が増し, 硬さ, 凝集性, ガム性は増大した.<BR>4) さとう濃度を増加するとふわふわ感は減少し, 弾力が増しかみ切りにくくなった.テクスチャーの好ましさには差はみられなかった.ゼラチン濃度を増加するとふわふわ感およびかみ切りやすさは減少した.<BR>5) ふわふわ感は平均気泡体積と正の相関を有し, 気泡の平均体積が大きくなることがふわふわ感を与える要因となることが示唆された.
著者
武田 友孝 石上 惠一 青野 晃 高橋 伸尚 星野 浩之 高山 和比古 宮田 正則 月村 直樹 佐藤 武司 島田 淳 早川 譲吉 大木 一三
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.254-267, 1991-11-25 (Released:2010-08-06)
参考文献数
35

顎関節は, 蝸牛, 耳小骨などの聴生感覚器および聴覚伝導路と発生学的, 解剖学的および神経生理学的に関連が深く, 顎関節症など咀嚼系の異常が聴覚系に多大な影響を及ぼしていることが推察される。そこで, 当教室で行っている顎口腔系状態と全身状態との関連に関する研究の一つとして, 外耳への音刺激により, 早期に上行性聴覚路より誘発される活動電位で, その起源が明瞭なところから, 異常の局在診断に有用とされ, 神経学的検査などに用いられている聴性脳幹反応に注目し, 本研究に応用している。今回, 著者らが, 顎関節症患者と健常者の聴性脳幹反応について, 比較検討を行ったところ, 聴関節症患者では, 健常者に比ベピーク潜時の延長およびピーク潜時の左右差が認められた。従って, 顎関節症患者は, 顎口腔系のみならず, 聴覚系および脳幹などにも影響を及ぼしている可能性が大であり, 今後さらに, これらについて詳細に究明していくとともに, 顎関節症の診査, 診断および治療にあたって, これらの領域との関連にも十分な注意を払うことが必要と考えられる。また, 顎口腔系機能の障害と全身機能との関係について, 多方面から検討を加えていくことも必要であると思われる。