著者
安西 航 髙橋 洋生 戸田 光彦 遠藤 秀紀
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.40, pp.45-52, 2017-05-31

小笠原諸島では、固有昆虫を保護するべく、粘着トラップを主としたグリーンアノールの駆除事業が進んでいる。しかし小笠原に生息する集団の基本的な生態はあまり調べられておらず、捕獲の効率化の検討に資する生態学的知見は少ない。本研究では、グリーンアノールの利用する止まり木に着目し、父島と母島の集団間あるいは雌雄間で、利用する微小環境を定量的に比較した。その結果、両島ともに雌雄差がみられ、雌の方が細い枝や根が混み合った微小環境を利用していることがわかった。このことから、効率的に雌を捕獲するには、樹幹や太い枝だけではなく、雌が好むような微小環境にもトラップを設置することが有効と考えられる。
著者
石原 優 戸田 光 砂金 信義 太田 隆文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.131, no.5, pp.679-684, 2011-05-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
21
被引用文献数
5 6

Furanocoumarins (FCs) such as bergamottin (BG) and 6′,7′-dihydroxybergamottin (DHBG) contained in grapefruits are known to be cytochrome P450 3A4 (CYP3A4) inhibitors. These are contained in larger quantity in peel than in pulp, and therefore, processed peel products possibly have strong CYP3A4 inhibitory activity. The CYP3A4 inhibitory potency of these processed peel products, however, remains to be elucidated. The FC content and CYP3A inhibitory activities of various processed fruit peel products were investigated. CYP3A inhibitory activities of crystallized grapefruit peel, grapefruit marmalade, lemon peel and bitter orange slice were close to that of 100% grapefruit juice, while the activities of yuzu slice, pomelo (buntan) marmalade and crystallized iyokan peel were very weak, 1/8-1/20 of 100% grapefruit juice. The maximum BG content was 5.6 μg/g in lemon peel. The maximum DHBG content was 7.2 μg/g in crystallized grapefruit peel, about 1/30 that of raw peel. Grapefruit marmalade and crystallized grapefruit peel contained similar amounts of FCs to 100% grapefruit juice, but FCs were not detected in pomelo (buntan) marmalade or crystallized iyokan peel. Good correlation (r=0.78) was observed between the FC contents of these peel products and those CYP3A inhibitory activities. Preparation of homemade grapefruit marmalade and crystallized peel revealed that considerably lower DHBG content in these products and lower CYP3A inhibitory activity than anticipated were attributable to outflow of DHBG to broth during boiling of the raw peel.
著者
戸田 光彦 吉田 剛司
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学会報 (ISSN:13455826)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.2, pp.139-149, 2005-09-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
32
被引用文献数
3
著者
栃原 きみえ 斉藤 一枝 坂倉 園江 菊山 弘子 済木 敦子 戸田 光子 菊地 真理子 原 淑子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.113-127, 1967-03-01

被服構成上もっとも重要な身体的因子の研究として静止時の生体測定を行った.まずスカート作製のために必要な41項目を定め,それぞれの長径,幅径,厚径,角度について測定し,それぞれの相関について検討したのでその結果を要約する.各周径の相関について1.ヒップの周径と各周径(各周径とも下半身長に対する割合)との関係については相関が認められ,ヒップ周径が大きくなるに従ってウエスト周径,腹部周径,太もも周径(両足),ひざ周径(両足),ふくらはぎ周径(両足),足首周径(両足)の割合もやや比例してふえて行く.ウエスト,ひざ,ふくらはぎ,足首はヒップより肉のつきかたが少く,腹部,太ももはヒップより肉のつきかたが多いと云う傾向がわかった.2.下半身長に対するウエスト周径,ヒップ周径とのそれぞれの相関について検討したが相関はみとめられなかった.下半身長に関係なく,ウエストやヒップの周径は大小さまざまであると云う一般的な通念をたしかめることが出来た.各幅径,厚径の相関について1.ウエスト,腹部,ヒップ,太もも(両足)(各周径とも周径に対する割合)それぞれの相関について検討したが相関はみられなかった.形態の上ではウエスト,ヒップ,腹部の順に丸い形に近くなり,太もも(両足)が一番偏平である傾向がわかった.2.下半身長と下半身長に対する各幅径,厚径の割合との相関について検討したが,相関はみられなかった.これは下半身長の大小に関係なく偏平な体型,丸い体型が存在するという一般的な通念を実証したものと云えよう.しかし,ひざ厚径は約10cm〜13cmの間に,ふくらはぎ厚径は約9.6cm〜12.5cmの間にあり,下半身長の増減に関係なく近似的な寸法である.各長径の相関について1.下半身長とヒップ丈,ふくらはぎ丈(両足),ひざ丈(両足)(各丈とも下半身長に対する割合)との相関はみとめられなかった.しかしふくらはぎ丈は下半身長の増減に関係なく約65cm〜70cmの近似的な寸法の中にある.2.身長と下半身長(身長に対する割合)との相関はわずかにみとめられた.身長が高いものほど下半身長の割合が大きくなる.つまり背の高いものほど下半身が長くて形がよいという結果が得られた.側面のウエスト・ライン傾斜角度について1.スカート作製上重要な側面のウエスト・ラインの傾斜角度については,後ウエストを基点とした前ウエストヘの傾斜角度は最少1.3°から最大17.8°で平均値は6.7゜で相当傾斜していることがわかった.脇を基点とする前への傾斜角度と後への傾斜角度を比較すれば後への傾斜角度の大きいものが多いことがわかった.2.側面のウエスト・ライン傾斜角度と下半身の各傾斜角度(骨盤傾斜角度,大腿骨傾斜角度,下肢傾斜角度,下半身側面傾斜角度)との相関はみとめられなかった.3.下半身側面傾斜角度と骨盤傾斜角度について 下肢傾斜角度との相関はみとめられなかった.しかし大腿骨傾斜角度とはわずかに相関がみとめられた.これは,下肢傾斜角度は後傾するもののみであるが大腿骨傾斜角度は前傾するものが存在するためにひざ関節で屈折している.従ってわずかながら相関の傾向がみとめられるのであろう.以上本学被験者の体型について種々検討を加えたが,このたびの測定は身体の静止時の実測長並びに角度であるから,これをもって直ちに被服構成にそのまま利用することは当を得ないことであろう.しかし被服構成のために必要な身体的因子の一部を解明する手がかりを得たことは意義あることと考える.この研究を基礎資料として更に次の段階の研究を進めることにする.終りに本研究に被験者として御協力下さった本学服飾の学生に感謝する.
著者
小松 謙之 戸田 光彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.83-84, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
9

鹿児島県徳之島にて2018年7月7日にスズキゴキブリ(雄成虫1個体)を捕獲した.この記録は,標本に基づく徳之島での初めての報告となる.
著者
成瀬 貫 戸田 光彦 諸喜田 茂充
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-6, 2003
参考文献数
15

A hypogeal atyid shrimp, Halocaridinides trigonophthalma (Fujino and Shokita, 1975), is newly recorded from Hatoma Island, Southern Ryukus, Japan, and Hatoma Island becomes the fourth island which H. trigonophthalma occurs. H. trigonophthalma was collected from the old well, which is 7-8 m in depth and its wall seem to consist of limestone. There was about 1.0 by 1.5 m clear water pool on the bottom of well, with about 10 cm in depth and sedimental soil and broadleaves, roughly dozens of small shrimps were observed. Water was licked but salinity was not felt. Detailed description of the specimens obtained shows that the numbers of spines on diaeresis of uropodal exopod overlap with the only congener, H. fowleri (Gordon, 1968), though Gurney (1984) assigned the fewer number of spines as one of two distinguishable characters between two species. Instead, the relative length of distal end of endopod peduncle of antenna and the relative length of exopod of 3rd maxilliped can differentiate H. trigonophthalma and H. fowleri.
著者
戸田 光彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.88, pp.1-8, 2004-08-26

情報システムの機能進化とネットワーク社会への変容の関係について論じる.情報システムが社会環境と相互作用して引き起こされる社会変化をマクロに捉えて分析する.近年の知識情報技術の進歩により,情報システムの機能が自動処理からオートポイエーシスに進化する可能性が高いと考えられる.オートポイエティックな情報システムが機能分化して普及する社会を情報社会と定義する「オートポイエティック情報社会論」を考察枠組みとし,知識情報システムのオートポイエーシス機能への高度化を具体例により検討すると共に,ネットワーク組織等の社会的構造・機能と相互作用して実現するネットワーク社会のメカニズムを考察する.Functional evolutions of information systems are studied in connection with the rise of network societies. A macroscopic point of view is applied to analyze interactions of information systems and social environments which will result in social transformations. Recent progresses in knowledge information technology inspire us to foresee probable functional evolution of automatic information systems into autopoiesis. An autopoietic framework for information society analysis is adopted, which defines information society as a society where autopoietic information systems are widely utilized. Examples of knowledge information systems to realize autopoiesis are discussed, and mechanisms of the rise of network societies are analyzed.
著者
戸田 光紀 陳 隆明 柴田 八衣子 溝部 二十四 高見 響
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.136-141, 2019-04-01 (Released:2020-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

先天性上肢欠損児において,筋電義手は両手動作の獲得を可能とし活動,参加の機会を広げる有効な手段である.しかし本邦において小児に対する筋電義手はほとんど普及していない.兵庫県立リハビリテーション中央病院では2002年より小児に対し筋電義手訓練を常時提供できる体制を構築し,これまで15年間で70例以上の児に対して継続的に筋電義手訓練を提供してきた.今回,我々は訓練提供開始から15年間の経過をまとめ,当院における小児筋電義手訓練の現状と今後の課題について検討を行ったので報告する.
著者
森 哲 戸田 光彦 門脇 正史 森口 一
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬虫両棲類学雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.107-115, 1992-06-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
42
被引用文献数
5

シマヘビ,アオダイショウ,および,ヤマカガシは直射日光により体温を上げて餌を探しまわる昼行性の捕食者であることがこれまで報告されているが,今回,モリアオガエルの繁殖池で夜間に活動しているのが観察された.これらのヘビの夜間の季節活動のピークは,モリアオガエルの季節活動のピークとよく一致した.観察されたヘビのほとんどは樹の枝上で胴体前部をのばして頭部を幹または下方向に向け静止していた.これらのヘビは下顎または側頭部を幹の表面にぴったりと接していることが多かった.3種のヘビによるモリアオガエルの捕食行動は10例観察された.以上の事実から,これらのヘビは,繁殖期間中に樹の幹を日周活動の通り道に利用しているモリアオガエルを,この位置で“積極的に”待ち伏せしていることが示唆された.ヘビの捕食戦術に影響を与えている要因について考察した.
著者
戸田 光紀 杉浦 裕太 平場 吉揮 稲見 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.317-323, 2013-09-27

本研究では,絨毯などの表面に任意の絵や文字を描画できるインタラクティブなデバイスを提案する.提案するデバイスは,絨毯を指などで一定の方向になぞる際に濃淡の度合いが異なる跡ができる現象を利用し,ドット絵のように一定の間隔で絨毯をなぞることで絨毯の濃淡差により絵や文字のパターンを出して絨毯への描画を実現する.絨毯には特別な加工を施さないため,絨毯の質感を保ちつつ,何度も絵や文字を書き換えていくことが可能となる.
著者
戸田 光敬 福田 幾光 齊藤 保二
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.325-328, 1956
被引用文献数
1

私共は東京附近において捕獲された野犬血清中の日本脳炎仲山株ウイルスに対する補体結合抗体の陽性, 陰性率および補体結含抗体の推移を本誌に既報したが, 今回は本ウイルスを人工的に子犬に接種した場合の子犬の感染態度および血清中の補体結合抗体の消長を検討した. その結果, 入工的に本ウイルス塗接種した子犬は僅か1頭を除き, 他はすべて接種部位に関係なく, 接種後初期に軽度の体温上昇, 食欲, 元気の減退を認める以外感染を調する症状を認めなかった. 人工的に脳内に本ウイルスを接種し, その後マウスでウイルスの回収試驗を行った所, 普通の状態では子犬脳内は本ウイルスの増殖に不適当ではないかと思われる成績を得た. また本ウイルスの人工接種を受けた子犬の血清中には補体結合抗体を産生するが, 本抗体の推移は接種部位, あるいは子犬の日令の差により多少の相異を認めた. しかしながら本抗体は相当長期間消失しないもののようである.