著者
木村 哲夫 荘島 宏二郎 永岡 慶三
出版者
新潟青陵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

小規模であってもコンピュータ適応型テスト(CAT:受験者の解答が正解か不正解かによって、次の設問の難易度をコンピュータが調整して出題するテスト)を,複数の教員や学校が協働作業をすることによって、開発し実施できることを示すとともに、その結果を能力記述文と対応付けることを目指した。あわせて、学習管理システム(LMS:コンピュータ上で行われる学習を管理するシステム)で簡単にCATを実施可能にするプログラムの開発を行い公開した。
著者
木村 哲
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2392-2397, 2001-12-10 (Released:2008-06-12)
被引用文献数
1

日本では病院内感染症のサーベイランスや,その対策が遅れている.これを是正するため感染制御ドクター(ICD)および感染制御ナース(ICN)の認定制度が,それぞれ1999年および2000年に発足した.いずれもできたばかりであり,その質,量において更なる改善が望まれるが,両制度の発足により,日本の病院内感染症対策が飛躍的に進歩することが期待される. ICDやICNの力が十分に発揮される為には感染制御チームを組織し,リンクナースを置くなど施設としての取り組みも重要である.
著者
桐野 豊 木村 哲也 渡辺 恵 川原 茂敬 松尾 亮太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

ナメクジは匂いと忌避性の味覚(キニジンなど)を連合する嗅覚嫌悪学習を行う.嗅覚学習においては嗅覚中枢である前脳が重要な役割を果たしていると考えられている.本研究では,ナメクジの単離脳嗅覚学習系を用いる生理学的測定と分子生物学的解析により,嗅覚学習のメカニズムを解明することを目的とした.単離脳嗅覚学習において無条件刺激となる味覚神経束の頻回電気刺激は,前脳局所場電位振動の振動数を増大させ,同時に前脳バースティングニューロンの興奮とノンバースティングニューロンの抑制を引き起こした.このことから,学習時には大半のノンバースティングニューロンは抑制されることが示された.さらに触角神経束に高頻度の電気刺激を与えると,前脳における誘発電位が2時間以上の長期にわたって増加する,長期増強が生じることが示された.このような長期のシナプス伝達効率の変化が記憶の固定化のメカニズムを担っている可能性が示唆された.条件付けの30分前に体腔内にタンパク合成阻害剤であるアニソマイシンまたはシクロヘキシミドを注射すると、条件付け後2日〜一週間目以降の記憶保持に障害が見られ,タンパク合成が嗅覚記憶の長期的な維持に必要であることが明らかになった。そこで次に学習によって発現誘導される遺伝子をPCR-differential display法によって網羅的に探索した。ニンジンの匂いを条件刺激(CS)、苦み物質であるキニジン溶液を無条件刺激(US)として同時に提示して連合させ、対照群にCSとUSを1時間の間隔をおいて提示したものを用いた。再現性のある発現変化を示した8個の遺伝子について部分配列のクローニングを行った。
著者
木村 哲也 石川 鎮清 中村 好一 近藤 克則 尾島 俊之 菅原 琢磨
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.235-243, 2022-08-05 (Released:2022-08-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

【目的】近年,時代に即した医療課題の解決のため,適切な社会医学の人材育成がなされているかを,明らかにすることを目的とした。【方法】量的調査と質的調査を行った。量的調査では,近年20年間の社会医学分野の講座名称及び教員数の変化について名簿調査を行った。質的調査では,社会医学分野の研究者・教員9名及び高等教育行政,厚生行政,医学会関係者各1名ずつの計12名に対してインタビュー調査を行った。インタビュー調査は半構造化面接の方法で行い,質的に分析した。【結果】名簿調査では,20年間のうちに,医学教育において社会医学分野の教員数に変化はないが,基礎医学・臨床医学分野を合わせた教員の全体数が増加しているため,社会医学分野の教員の割合は3.0%(521人/17,224人)から2.1%(508人/24,121人)に減少していた。インタビューでは,公衆衛生大学院の創設や社会医学専門医制度などの開始,地方自治体や国際保健において社会医学人材の活躍が期待される一方で,魅力ある教育プログラムやキャリアパスのイメージが示されていないこと,実践現場と研究・教育の乖離などの課題が明らかとなった。【結論】量的・質的分析を合わせた結果,1)新たな課題に取り組む人材育成のため教育・専門医制度などの質の保証の充実,2)社会医学の可能性を伝え参入する若手を増やすための方策強化,3)現場と研究,教育の乖離が見られるためビッグデータやグローバルヘルスを使った現場と教育と研究の統合,の3つの課題を抽出することができた。

1 0 0 0 OA テト攻勢再考

著者
木村 哲三郎
出版者
亜細亜大学アジア研究所
雑誌
アジア研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.87-115, 2009
著者
木村 哲彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.749-755, 1986-08-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
11
被引用文献数
5

欧州で行われている乗馬療法を器械に換えることによつて, より正確な負荷を与えることが可能であるように, また, 時間と動きとの関連において正確な, 平衡保持機能, 姿勢保持機能の評価・促通訓練を可能ならしめるために, シミユレータの開発を行つた. 器械は(1)前後水平, (2)左右水平, (3)上下, (4)前後傾斜, (5)左右傾斜, (6)首振り, の6つの運動要素をもち, 馬が移動する際の加速度以外は時間運動範囲を含めて可変である. 健常人で予備的試験を行い, 器械の人体に与える評価を行つた. 肉眼的観察(多重露出撮影法により記録), 筋電図学的検索を併せ行つた. 姿勢保持機能の正常な脊柱の可橈性を有する者では, 極めて低い労力しか必要とせず, 筋活動電位で見るかぎり努力性筋放電の10分の1の電位しか認められない. 評価・治療に応用するにあたり, 器械の開発を終えたので報告する.
著者
滝沢 茂男 高田 一 木村 哲彦 青木 信夫 牛澤 賢二 武藤 佳恭 牧田 光代 長澤 弘 遠藤 敏 増田 信次 川澄 正史
出版者
特定非営利活動法人 高齢市民が活躍するための社会技術研究会
雑誌
バイオフィリア (ISSN:21868433)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, pp.114-118, 2015

目的:一つの器具により二つの目的すなわち,段差等のある家屋内で行う介護作業時に,取扱いが容易で自由な移動が可能な機器と高齢障害者が創動運動により介護から自立にすすめるためのリハビリテーション器具の双方の機能を利用でき,狭いスペースを有効に利用できる車輪移動式のリフトの開発を目的とした。段差が利用の障害になる使用環境に於いて,車輪移動式のリフトの実用性は低かった。対象:この欠点を補い,機能の高い器具を提供する為に,創動運動兼用リフト装置の部品研究:①滑動安定板(そり)を備え,移動用のキャスターを取付けた脚部,②昇降ガイド部(機器収納部,運転牽引アーム,昇降部,昇降駆動部,昇降駆動制御部からなる),③上肢訓練用部品懸架装置取付装置,④上肢訓練用部品懸架装置,⑤運転牽引アーム,⑥ブレーキ装置,⑦パワーアシスト機構と,完成した場合の利用意識調査を研究した。方法:部品を試作し,神奈川県産業技術総合研究所において,ソリはたわみ試験,脚部は段差乗り上げ試験,前輪段差乗り上げ繰り返し走行試験,負過重試験を行った。開発後の普及可能性調査のため,大都市圏である東京都,大阪府,京都府,愛知県と一部三重県の合計2000箇所の介護老人保健施設,訪問看護ステーション,特別養護老人ホーム,療養型病床群を持つ病院に対しアンケート調査,機器展示会における聞き取り調査を実施した。結果:現在使用中の部品強度による安全性を確認し,開発可能性を明確にした。特に,脚部構造物中央に70Kgの過重,引っ張り力245Nで繰返し試験を行った。ソリ及び構造物は壊れず,たわみ試験では,ステンレスソリ検査の結果,ブレーキに使用できる可能性を確認した。アンケート回答で,新しい考え方や方法に対して意欲的な姿勢を認めた。タキザワ式・ソリ付き歩行器の双方に関し,認知度は低いが関心は高かった。考察:商品化の可能性・重要性が確認できた。普及には,諸外国と同様な利用に関する法整備の必要性が明確になった。
著者
坂 祐司 木村 哲也 永井 健司 千代田 範人 田畑 光紀
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

近年、石油需要構造変化に伴い、FCC装置に おいて石油化学原料であるライトオレフィンの増産が求められている。FCC装置においてライトオレフィンを増産するためにはFCC本体触媒に酸強度の強いゼオライト(例えばZSM-5など)を含有した触媒粒子(アディティブ)を用いることで対応することできる。本報では触媒性能が異なるFCC本体触媒に対しライトオレフィン増産アディティブを添加した際の添加効果を検討したので報告する。
著者
木村 哲也
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.44-48, 2021-01-10

日本では,長年にわたりハンセン病隔離政策が行われ,患者・回復者および家族は偏見と差別によりさまざまな人権侵害を受けてきた。この政策に現場の行政保健師がどのように関わったのかを,高知県の保健師への聞き取り調査による証言を基に紹介する。また,それを受けて,差別・偏見を解消するために必要なことや,公衆衛生の専門職として持つべき視点を述べる。
著者
土坂 享成 木村 哲哉 今井 邦雄 妹尾 啓史 田中 晶善 小畑 仁
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.393-398, 1999-11-30
参考文献数
14
被引用文献数
1

前報において,カドミウム解毒に重要な役割を果たすと考えられている(γ-EC)<SUB>n</SUB>G合成酵素の性質について,水稲根を用いて検討したことを報告し,水稲根中で(γ-EC)<SUB>n</SUB>Gを合成している酵素の少なくとも一部がカルボキシペプチダーゼである可能性を示唆した。これを踏まえ,本研究では各種のカルボキシペプチダーゼに(γ-EC)<SUB>n</SUB>Gの合成能力があるかを検討した。更に,イネ由来のカルボキシペプチダーゼ遺伝子を発現ベクターに組み込み,これを大腸菌に導入してカルボキシペプチダーゼ遺伝子を発現させ,それにより(γ-EC)<SUB>n</SUB>G合成能力が増大するかを検討した。 その結果,全てのカルボキシペプチダーゼ標品において(γ-EC)<SUB>n</SUB>Gの合成が認められ,その至適pHはカルボキシペプチダーゼの分解活性のそれとほぼ同じであった。また,その合成活性はカルボキシペプチダーゼの特異的阻害剤により抑制されることが認められた。比較のために行ったアミノペプチダーゼ標品では(γ-EC)<SUB>n</SUB>Gの合成は認められなかった。一方,カルボキシペプチダーゼ遺伝子を導入した大腸菌の抽出液における(γ-EC)<SUB>n</SUB>G合成活性が,導入していない方よりも増大したことが認められた。これらのことから,カルボキシペプチダーゼが(γ-EC)nGを合成している酵素の一つである可能性が更に強く示唆された。
著者
野田 寿恵 木村 哲也 坂本 英史 矢吹 すみ江 秋山 剛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.293-295, 1999-03-15

国際疼痛学会では,痛みを「組織の実質的あるいは潜在的な損傷を伴い,このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚,情動体験」と定義している11)。痛みに伴う情動とは,主に抑うつ,焦燥,不安などであり,慢性疼痛の患者に抑うつ症状が出現した場合,しばしば抗うつ剤などの向精神薬が投与される。また,うつ病が合併した慢性疼痛に対して,電気けいれん療法が有効であったとする報告が,1946年以来いくつかみられる8)。今回我々は,ペインクリニック科での様々な疼痛治療や向精神薬の投与で,症状の改善をみなかった慢性疼痛の症例7例に対して,無けいれん通電療法modified electroconvulsive therapy(mECT)を本人の告知同意のもとに施行した。7例の中で,改善が得られた症例と改善が得られなかった症例の臨床的特徴を比較し,慢性疼痛に対する無けいれん通電療法の適応について若干の考察を加えた。
著者
木村 哲三郎
出版者
亜細亜大学アジア研究所
雑誌
アジア研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.38, pp.209-239, 2011
著者
木村 哲也
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.155-161, 2012-04-15 (Released:2015-12-16)
参考文献数
8

がんの終末期において治療的介入に抵抗し,自殺企図を認めた1例について報告し,終末期がん患者への精神療法的接近について考察した。本症例は,心理的な介入に対する抵抗感が強く,せん妄による意識障害の存在,十分な予後告知がなされない状況での治療などといったさまざまな要因のため,精神症状のコントロールがうまくいかず,対応に難渋した。しかし,治療者が患者の苦悩を重層的に深く理解しようと努め,変化してゆく精神症状や身体状況を正確に評価し,その時々で適切な支持的介入を粘り強く続けることによって,患者の精神症状は落ち着き,最期を迎えた。終末期医療において安定した治療構造の提供と,支持的精神療法を基盤とした深い理解を伴う共感的対応が,患者にとって支持的になると考えられた。
著者
岡本 耕一 岡村 誠介 井本 佳孝 木村 哲夫 竹内 尚 宮本 弘志 四宮 寛彦 岡久 稔也 和田 哲 高山 哲治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.260-266, 2012-02-20
参考文献数
13

症例は63歳,女性.検診にて異常を指摘され当科に紹介された.内視鏡検査にて十二指腸球部に細長い突起物を認め,内視鏡的ポリペクトミーを行った.この突起物は,病理組織学的に正常十二指腸粘膜で覆われBrunner腺の増生と拡張した静脈を有する粗な粘膜下組織を認め,内部に大小の嚢胞状に拡張した腺が認められた.本症例は稲本らやEzoeらにより提唱されたintraluminal duodenal protrusionやElongated non-neoplastic duodenal polypなる概念に相当するものと考えられた.