著者
等々力 節子 亀谷 宏美 内藤 成弘 木村 啓太郎 根井 大介 萩原 昌司 柿原 芳輝 美濃部 彩子 篠田 有希 水野 亮子 松倉 潮 川本 伸一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.25-29, 2013-01-15 (Released:2013-02-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

食品中放射性セシウムの一般食品の新基準値である100Bq/kg程度の大麦玄麦を焙煎し,標準的な方法で調製した麦茶について放射性セシウムの浸出割合を検討した.焙煎麦から浸出液への放射性セシウムの移行は,浸出時間120分で38 %程度であった.浸出液は焙煎麦に対し約30倍量の水で希釈され,さらに移行率も50%を超えないため,麦茶の放射性セシウム濃度は,1.83Bq/kg程度であり,100Bq/kg程度(138Bq/kg)の玄麦を原料として使っても,飲料の基準の10Bq/kgを大きく下回ることが予想される.
著者
木村 啓太郎 久保 雄司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.756-762, 2011 (Released:2017-03-21)
参考文献数
25
被引用文献数
2

我が国の大豆発酵食品の中で,納豆は味噌,醤油と並んで広く愛され,食されている食品である。本解説では,納豆菌と枯草菌の由来,納豆種菌の由来と製造の現状について歴史的変遷を含めて解説していただいた。また,著者らが研究されてきた納豆菌と枯草菌の系統解析や最近の納豆菌ゲノム解析の完了にともなって得られた研究成果から,納豆菌と枯草菌の相違点について,ゲノム上の一塩基多型とクウォーラムセンシング遺伝子の多様性等,明らかになってきたことや今後の納豆,納豆菌研究の注目点と展望について解説いただいた。
著者
木村 啓志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.1, pp.39-44, 2023-01-01 (Released:2023-01-01)
参考文献数
14

Microphysiological systems (MPSs) based on microfluidic devices are attracting attention as an alternative cell assay platform to animal experiments in drug discovery. When we use microfluidic devices for cell culture, it is possible to experiment with various culture conditions that are difficult with conventional cell culture methods, such as fabrication of microstructures for cell placement, temporal and spatial control of liquid factors and adhesive conditions, and physical stimulation by flow and expansion/contraction. MPSs, which use microfluidic technology to construct the structure and function of physiological biological tissues and organs, are being commercialized and put to practical use worldwide with the entry of venture companies and pharmaceutical companies. Although research on the practical application of MPS in Japan has lagged far behind the efforts of Western countries, the Japan Agency for Medical Research and Development (AMED) launched the MPS Development and Research Project in FY2017 and established a system for MPS commercialization through industry-government-academia collaboration. The project is characterized by the formation of a consortium involving many researchers not only from academia but also from manufacturing and pharmaceutical companies with the aim of commercializing MPS devices. By FY2021, the final year of this project, several MPSs were successfully positioned in various stages of commercialization. This paper introduces two MPSs that the author was involved in commercializing in collaboration with domestic companies within the project.
著者
大島 堅一 植田 和弘 稲田 義久 金森 絵里 竹濱 朝美 安田 陽 高村 ゆかり 上園 昌武 歌川 学 高橋 洋 木村 啓二 櫻井 啓一郎
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の地域分散型エネルギーシステムへの移行には次の方策が必要である。第1に経済性向上のための対策が必要である。分散型エネルギーの経済性を高めるには、技術革新と制度改革とを並行して進める必要がある。第2に、分散型エネルギー中心の電力システムに改革するには、変動電源の安定化やデマンド・レスポンスなどの対策を効果的に講じなければならない。第3に、政策転換の不確実性の克服である。この際、集中型エネルギーシステムと分散型エネルギーシステムとの間で政策的バランスを取る必要もある。第4に、公正かつ中立的な電力市場をつくる必要がある。
著者
西田 耀 木村 啓二
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2020-EMB-53, no.14, pp.1-6, 2020-02-20

アプリケーションの耐障害性を向上させる手法の一つにチェックポインティングがある.これまでに,アプリケーションを変更することなく透過的にチェックポイントを行う手法がいくつか発表されている.また,Non-volatile DIMM (NVDIMM) を状態の保存先として利用することで,主記憶に比べて 100 倍以上遅い外部記憶へのアクセスに依存することなくチェックポイントを行う手法が提案されている.しかし,DRAM で構成された主記憶から不揮発性の記憶装置に状態をコピーするという操作は依然存在しており,これがチェックポイントのオーバーヘッドの大部分を占めている.本研究では,アプリケーションを NVDIMM 上に直接マッピングして実行することで状態のコピーを最小限に抑え,さらにページテーブルも含めたプロセスのメモリ空間を二重化して一貫性を確保しつつチェックポインティングを行う,NDCKPT という手法を提案する.Linux Kernel に NDCKPT を実装し,Optane DC Persistent Memory を用いて評価を行った結果,メモリ消費量が 1MB 程度のアプリケーションでは,100ms 程度の高頻度でチェックポイントを行っても実行時間の増加を 1% 以下に抑えられることがわかった.また,数百 MB のメモリを消費するアプリケーションにおいては,NVDIMM 上で実行を行うオーバーヘッドが支配的で実行時間比で 2 倍から 3 倍以上となる一方,チェックポイントによって加わるオーバーヘッドは 20-30 秒間隔で 10% 前後となることがわかった.
著者
大島 堅一 上園 昌武 木村 啓二 歌川 学 稲田 義久 林 大祐 竹濱 朝美 安田 陽 高村 ゆかり 金森 絵里 高橋 洋
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.システム改革と市場設計に関する研究:電力システム改革の背景にあるエネルギー転換や世界的なエネルギー政策の構造改革について調査し、日本の状況との比較検討を行った。また、エネルギー転換の一環として世界的に盛り上がる国際連系線について、電力システム改革の観点から研究した。2.地域分散型エネルギーの普及、省エネルギーの促進政策研究:地域分散型エネルギーの普及については、特に欧州の国際連系線の潮流分析や市場取引状況について定量的評価を行なった。また国内の系統連系問題に関して主に不適切なリスク転嫁の観点から、参入障壁について分析を行った。 省エネルギーの促進政策の研究については、対策技術種類と可能性、対策の地域経済効果、技術普及の際の専門的知見活用法について検討した。3.新しいビジネスと電力会社の経営への影響に関する研究:電力の小売全面自由化の影響にいて整理・分析し、その研究成果の一部を「会計面からみた小売電気事業者の動向」として学会報告した。加えて2020年4月からの発送電分離と小売部門における規制料金の撤廃の電力会社の経営面に与える影響について制度面ならびに国際比較の観点から分析を行った。4.エネルギーコストに関する研究:昨年度の研究成果を踏まえて、風力発電事業者複数社等への追加ヒアリング調査を行い、疑問点の解決を図った。加えて、原子力のコストについて、現時点での新たな知見に基づく再計算と、電力システム改革下における原子力支援策についての分析を行った。5.経済的インパクトに関する研究: 2005年版福島県産業連関表を拡張し、再生可能エネルギー発電部門を明示化する作業を行い、拡張産業連関表の「雛形」を完成させた。これを福島県の実情を反映したものにするための準備作業として、風力、太陽光、小水力、バイオマス、地熱の業界団体・専門家に対してヒアリングを行った。
著者
早瀬 清 吉田 裕 亀井 達也 芝原 真一 西井 修 服部 俊洋 長谷川 淳 高田 雅士 入江 直彦 内山 邦男 小高 俊彦 高田 究 木村 啓二 笠原 博徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.76, pp.31-35, 2007-05-24

低消費電力と高性能を備えた、4320MIPS4プロセッサSOCを90nmプロセスで設計した。それぞれのプロセッサには、32KBのデータキャッシュを内蔵しており、プロセッサ間のデータキャッシュのコヒーレンシを維持するためのモジュールを内蔵する。プロセッサ毎に処理量に応じた周波数制御と、プロセッサ間のデータキャッシュのコヒーレンシを維持するスリープモードの採用により、低電力を実現する。
著者
白子 準 吉田 宗弘 押山 直人 和田 康孝 中野 浩史 鹿野 裕明 木村 啓二 笠原 博徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.147-158, 2006-09-15
参考文献数
27
被引用文献数
11

半導体集積度の向上にともなう消費電力の増大,集積トランジスタ数の増化に対する処理性能向上の鈍化に対処するため,チップ上に複数のプロセッサを集積するマルチコアアーキテクチャ(チップマルチプロセッサ)が大きな注目を集めている.このようなマルチコアアーキテクチャの能力を最大限に引き出し,高実効性能・低消費電力を達成するためには,プログラムの適切な並列化に加えチップ上のリソースのきめ細かな電圧・動作周波数制御を実現するコンパイラが必要不可欠である.本論文では,各プロセッサコアが等価であるOSCARタイプのマルチコアプロセッサにおいて,各プロセッサの電源のON/OFF・周波数電圧制御(FV制御)をマルチグレイン並列化環境下でコンパイラが適切に判断し低消費電力化を行うコンパイル手法を提案する.提案手法を実装したOSCARコンパイラにより,科学技術計算とマルチメディアアプリケーションに対する評価を行った結果,SPEC CFP95 appluにおいて4プロセッサ使用時に最小実行時間を維持したまま60.7%の消費エネルギー削減,MPEG2エンコーダにおいて4プロセッサ使用時にデッドライン制約を保証したまま82.7%の消費エネルギー削減が達成された.A chip multiprocessor architecture has attracted much attention to achieve high effective performance and to save the power consumption, with the increase of transistors integrated onto a chip. To this end, the compiler is required not only to parallelize program effectively, but also to control the volatage and clock frequency of computing resources carefully. This paper proposes a power saving compiling scheme with the multigrain parallel processing environment that controls Voltage/Frequency and power supply of each core on the multiprocessor. In the evaluation, OSCAR compiler with the proposed scheme achieves 60.7 percent energy savings for SPEC CFP95 applu using 4 processors without performance degradation, and 82.7 percent energy savings for MPEG2 encoder using 4 processors added deadline constraint.
著者
木村 啓子
出版者
関東甲信越英語教育学会
雑誌
関東甲信越英語教育学会誌 (ISSN:21858993)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.53-65, 2012-03-01 (Released:2017-07-14)

The purpose of this study is to investigate the changes of the writing proficiencies that occur in participants of a three-week overseas program making use of a STEP test and an essay writing. In order to observe the differences in their essays written before and after the program, not only T-units and Error-free T-units (EFTs) but also "Global-error-free T-units (GEFTs)" (Kimura, 2011) were utilized. The scores of writing section in STEP test significantly increased. Regarding the writing proficiency, their fluency considerably improved, but no progress was shown in accuracy. Aiming to find the affective factors that influenced such changes, a Willingness to Communicate (WTC) scale questionnaire was implemented. Results showed that the participants' WTC scores did not necessarily correlate to their language performances and that those who showed lower WTC scores before the program tended to demonstrate higher improvements in their scores. Another finding was that the significantly different two groups in WTC scores before the program became homogeneous ones after the program, probably because those of the lower group went up through their experiences they had in the overseas country.
著者
西 将輝 宍戸 哲平 李 欣怡 木村 啓二 佐野 健太郎
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2023-EMB-62, no.7, pp.1-6, 2023-03-16

深層学習が様々な場面で利用されるようになり,それと共に学習データや入力データ,推論結果,さらには学習モデルの保護が問題となりつつある.そのため,データを暗号化したまま演算処理できる準同型暗号による深層学習が注目されている.しかしながら,準同型暗号による演算コストは高く,これまでに, 並列化やハードウェアアクセラレータの利用といった様々な高速化手法が提案されている.一方筆者等は,深層学習の推論処理において多くのビット数が必要としないことに注目し,ビット削減版準同型暗号を利用した深層学習推論を提案してきた.本稿ではまず,ビット削減版の深層学習処理を準同型暗号ライブラリ SEAL とSEAL を用いた深層学習フレームワーク HE-Transformer に実装し,Intel Xeon プロセッサ上で評価した.さらに,富士通 A64FX 上でビット削減版準同型暗号を実装し評価を行なった.評価の結果,CryptoNets を用いた MNIST データセットの分類においてオリジナルの nGraph-HE2 に対し Intel Xeon 上で最大で 9.37 倍の速度向上が得られた.また,富士通 A64FX 上で行列積を評価した結果,Intel Xeon W-2145 と比較して,最大 1.08 倍の速度向上が得られた.
著者
木村 啓志 酒井 康行 藤井 輝夫
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.304-309, 2009 (Released:2015-06-14)
被引用文献数
1 1

Conventional method of cell–based assays in life science and medical application can be difficult to duplicate in vivo situation. Microfluidics is an emerging technology with potential to provide integrated environments for cell maintenance, continuous perfusion, and monitoring. In this paper, we introduce possibility of microfluidics to become a novel cell–based assay system with its concept. Then, we show a chip–based coculture system for cytotoxicity test, as our continuous effort to develop a multi–functional micro culture system realized by integration of fluidic control and detection functionalities. The culture zone in the chip was divided into two compartments separated by a microporous membrane through which substances in culture medium can freely come-and-go to induce the mutual interactions between the cells cultured at each compartment. Performances of the chip were examined 1) monitoring of polarized transport activity of intestinal tissue models, 2) cytotoxicity model through oral intake by coculture. As a result, we conclude that microfluidics may have applications in toxicity test and drug screening.
著者
高橋 俊明 井根 省二 竹内 雅治 伏見 悦子 関口 展代 木村 啓二 林 雅人 斉藤 昌宏 高橋 さつき
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.749-754, 2003 (Released:2005-03-29)
参考文献数
15

1995年から2001年の6年間に4例の劇症型心筋炎 (男2例, 女2例, 年齢21~67歳) を経験した。診断は臨床症状, 心電図, 心エコー所見などから総合的に行い, 3例では病理学的に確定診断された。4例全例が発熱などの感冒症状で発症し, 1例は心肺停止で来院し, 蘇生できなかった。残り3例は初発から5~7日後にショック状態で入院し, 一時ペーシング, カテコラミン, ステロイドパルス療法, そのうち1例では経皮的心肺補助 (PCPS) を導入したが, 3例とも入院1~10日後死亡した。心電図では心室調律, 異常Q波, ST上昇, 低電位を呈した。血清酵素の著明な上昇, 代謝性アシドーシス, DICは予後不良の徴候と考えられた。劇症型心筋炎の救命のためには, まず本症を早期に的確に診断すること, そして積極的に補助循環を導入し, 急性期を乗り切ることに尽きる。
著者
齋藤 飛鳥 Mani Ganesh Kumar 木村 啓志 槌谷 和義
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.314-315, 2019

<p>癌マーカーであるCTCの検出において,DLD法による血中細胞を種類ごとに濃縮が可能となっている.本研究ではDLD法によって濃縮されたCTCを流路内で直接的に検出可能とするpHセンサの開発を目的として,AgIO<sub>3</sub>およびSbの二種の固体材料を用いた薄膜電極の開発を行っている.本報では比較電極であるAgIO<sub>3</sub>層の高機能化を行った.</p>
著者
齋藤 飛鳥 Mani Ganesh Kumar 木村 啓志 槌谷 和義
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.477-478, 2018

<p>がんマーカーであるCTCの検出においてDLD法による細胞腫毎の濃縮が可能となっている.本研究ではDLD法によって濃縮されたCTCを流路内で直接的に検出可能とする,固体から成るpHセンサの開発を目的として,AgIO3およびSbの二種の固体材料を用いた薄膜電極の開発を行っている.本報では,バッファ層の探索により,電極の耐久性とセンシング感度の向上を行った.</p>
著者
木村 啓太郎 久保 雄司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.379-384, 2017-07-15 (Released:2017-08-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

納豆発酵過程での香気成分変動を明らかにするため,納豆菌接種前の煮豆および接種後3,7,12,18時間の納豆をサンプリングし,香気成分をGC/MSシステムによって分析した.香気成分一斉分析用に開発されたソフトウェアMetAlignおよびAIoutput2を用いてデータ解析した結果,38種の香気物質が同定あるいは推定された.この内23種は納豆菌接種前の煮豆からも検出された.煮豆に存在した成分のうち6種は発酵が進むにつれて減少あるいは消滅し,12種については発酵過程での変動は小さく発酵前後での違いが顕著ではなかった.5種は納豆発酵中に増加した.納豆の主要な香気成分であるピラジン類や短鎖分岐鎖脂肪酸を含む12種の香気成分は納豆菌の増殖が定常期に達した頃(12時間後)に急激な上昇が見られた.
著者
香川 裕之 岩崎 雄一 木村 啓 犬飼 博信 佐々木 圭一 安田 類 保高 徹生 山縣 三郎 河村 裕二
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.115-124, 2021 (Released:2021-07-10)
参考文献数
50
被引用文献数
1

飛騨川上流の支流に設定した, 鉱山廃水の流入前後の計11地点で金属等の水質と底生動物, 付着藻類の流程に沿った変化を調べ, 金属濃度が低い別の支流に設定した対照地点との比較により鉱山廃水流入による生態影響を評価した。鉱山廃水流入直後の調査地点では, 亜鉛等の金属濃度が高くなり (亜鉛は最大0.94 mg L-1) , 底生動物及び付着藻類の種数等は大きく減少し, 金属濃度が高い河川でも出現する分類群 (底生動物はコカゲロウ科等, 付着藻類は珪藻類のAchnanthidium属) が優占した。金属濃度は流程に沿って減少し, 当該調査の最下流地点で底生動物群集は対照地点と類似していた。底生動物と付着藻類の種数や群集組成の流程変化は類似していたが, 付着藻類では鉱山廃水流入直後に総細胞数が顕著に増加していた。金属類に対する水生生物の変化を包括的に理解するためには, 複数の生物グループを調査する必要がある。
著者
大森 侑 木村 啓二
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2021-ARC-244, no.1, pp.1-10, 2021-03-18

バイトアクセス可能な不揮発性メモリ素子で構成された不揮発性メモリ(NVMM)が注目を集めている.NVMM は従来の主記憶に比べて記憶容量や消費電力に優れ,補助記憶と同じく不揮発でありながら高度なデバイスドライバを経由せずアクセスできる.その反面,レイテンシの大きさやリード性能とライト性能の非対称性などの特性を持つ.NVMM の性能と特性を十分に活かすには,ハードウェア・ソフトウェアの両面からシステムが最適化される必要がある.これに対し筆者等は,複数の NVMM アーキテクチャを柔軟かつ詳細に評価可能な NVMM エミュレータを ARM コアを持つ FPGA 評価ボード上に実装し,OS を含めたシステム全体を実用的な時間で評価できる環境を構築した.本稿では,RISC-V CPU を持ち Linux が動作する RISC-V NVMM エミュレータを提案する.本エミュレータは RISC-V コアを持つオープンソースの SoC をベースのデザインとして採用することにより,CPU コアの改変が可能であり,また,信頼実行環境(Trusted Execution Environment: TEE)である Keystone が利用可能となる.本エミュレータの NVM エミュレーション機構は,ARM ベースのエミュレータで使用していた高速なハード CPU の使用を前提とする手法を改良し,低速なソフト CPU でも局所性等のメモリアクセス特性を反映した評価を可能とする.さらに,ユーザ空間からのキャッシュ制御も可能とする.本エミュレータの Linux 及び Debian OS の動作確認後,Debian 上で SPEC CPU 2017 ベンチマークを用いた評価を行い,提案手法のみが局所性やリード・ライト比の NVMM 向け最適化手法で考慮されるべきアクセス特性を十分に反映できることを確認した.