著者
木村 祐子
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.159-178, 2010-06-30 (Released:2017-04-21)
参考文献数
19

本論文は,少年非行がこれまでにはみられなかった診断で説明・解釈されつつあることに着目し,実践家(家庭裁判所調査官,法務技官,法務教官)が医療的・非医療的な解釈や実践を構成していく過程を明らかにした。研究方法は,実践家17名へのインタビュー調査である。 第1節は,医療化と医療の不確実性に関する先行研究を概観し,非行の解釈や実践に医療と非医療が混在していることを示した。そして,諸障害が矯正の現場で普及した背景を整理した。非行の医療化は,医療の不確実性が実践家によって運用・管理されることで進行するため,それらを分析する必要があった。 第2節は,インタビュー調査の概要を提示した。 第3節では,矯正の現場に医療的な解釈が介入する過程を概観し,そこでみられる不確実性の特徴とそれらの運用・管理のされ方を検討した。第一に,非行少年は新しい診断で解釈されていたが,実践家は以前から少年を経験に基づいて医療的に解釈・対処しており,矯正における医療化はゆるやかに進んだ。第二に,非医療的な要素は,医療が介入した後も,医療の不確実性として表出した。それは,医学上の不確実性と組織上の不確実性に類型化できた。しかし,実践家はそれらを肯定的に意味づけたり,医療と非医療的な要素を戦略的に使い分け,医療的な解釈を実践の資源として用いていた。このように,不確実性が管理・運用される過程で構成されるものとして医療化現象を捉えていく必要がある。
著者
後藤 力 東 幸仁 佐々木 正太 中河 啓吾 木村 祐之 野間 玄督 原 佳子 茶山 一彰 河村 光俊 奈良 勲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.87-91, 2002 (Released:2002-08-20)
参考文献数
12

本研究では有酸素運動を行うことで一酸化窒素(NO)産生増加を介する血管内皮機能にどのような影響を及ぼすかを検討した。対象は運動習慣を持たない健常男性8名(平均年齢:27±3歳)とした。血管内皮依存性拡張物質としてアセチルコリン(ACh)を使用し,血管内皮非依存性拡張物質として 硝酸イソソルビド(ISDN)を使用した。また,NO合成酵素阻害薬としてNG-モノメチル-L-アルギニン(L-NMMA)を使用した。運動方法は最大酸素摂取量の50%とし,1日30分,5回/週の頻度で3ヶ月間行った。前腕血流量の変化はプレチスモグラフにて測定した。ACh投与では運動後に有意な増加を認め,NO合成酵素阻害薬であるL-NMMA投与下では消失した。血管内皮非依存性拡張反応では有意な変化を認めなかった。これらより有酸素運動による血管内皮機能の増強は,NO産生増加を介することが示唆された。
著者
伊藤 智義 杉江 崇繁 赤松 孝則 木村 祐哉 川口 梨紗花 角江 崇 下馬場 朋禄
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.1-2, 2017-03-16

3次元情報を記録再生できるホログラフィは次世代映像システムを創出する可能性を持っている。しかし、計算コストが膨大なため、実用化のめどは立っていない。本研究室ではハードウェアによる高速化を進めている。8番目の試作となるHORN-8システムの研究プロジェクトでは、ザイリンクス社製Virtex-5を8個搭載した大規模FPGAボードを独自に開発した。使用したFPGAは旧式になりつつあるものの市販品にはない回路規模のボードとなっている。HORN-8ボード単体でPCの100倍、10枚並列化して1000倍程度の高速化が達成できる見込みになってきており、報告を行う。
著者
早瀬 彩乃 木村 祐哉 伊藤 直之
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-52, 2019-07-20 (Released:2020-01-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

獣医療従事者や獣医学生は過度なストレス状態におかれることが多く,メンタルヘルスの懸念が大きいと言われている。本調査は全国の獣医学生を対象としてウェブを介して行い,国際的なスクリーニングツールであるK6により,対象となった348名中89名(25.6%)が不安・気分障害と判定された。また,在学中の精神科受診歴,依存症,自殺念慮,自殺未遂はそれぞれ26名(7.5%),33名(9.5%),168名(48.3%),19名(5.5%)にみられていた。各要因ごとに不安・気分障害に関係するオッズ比をベイズ統計により推定したところ,事後期待値[95%確信区間]が高かったのは,精神疾患について誰にも相談できない場合2.40[1.15, 54.77],鳥取県中部地震で被災していた場合12.05[1.15, 54.77],精神科受診歴3.50[1.46, 7.13],自殺念慮17.62[8.30, 35.22],自殺未遂13.86[4.29, 37.04]であった。さらに所属大学および学年を変量効果として投入し,階層2項ロジットモデルで推定したところ,調整オッズ比が高かった要因は,精神疾患について誰にも相談できない場合2.75(1.32)[1.62, 4.73],鳥取県中部地震の被災経験22.67(4.57)[1.67, 669.78]であった。本調査により,日本の獣医学生においてもメンタルヘルスの問題が実在することが明らかとなったが,頻度やオッズ比には選択バイアスの影響が想定される。今後は正確な実態把握を行い,対策を検討することが必要であろう。
著者
木村 祐哉 真田 菜生 今井 泉 小沼 守 宮下 ひろこ 矢野 淳 伊藤 直之
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.349-355, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
16

一次診療4施設を受診した飼い主104名に対し質問紙法で解釈モデルを訊ね,言語データを対象とした質的手法であるSCATで理論抽出を試みた.飼い主の記述した解釈モデルは病因,病態と経過,治療方針の3カテゴリーに大別された.そのうち病因に対する認識は生物因子と状況因子に分けて考えられ,病態と経過に対する認識には受診理由,命あるいは生活の質(QOL)に関わる不安,病識と受容の様子が含まれた.治療方針に対する認識としては,決定の主体が誰か,動物及び飼い主にかかる負担がどの程度であるかが考慮されていた.各カテゴリーのこうした認識は,いずれもコンプライアンスや治療成績に影響を及ぼしうると考えられる.したがって,飼い主の解釈モデルを把握する際には,病因,病態と経過,治療方針のそれぞれについて確認する必要があることが示唆された.
著者
木村 祐哉
出版者
北海道獣医師会
雑誌
北海道獸醫師會雑誌 (ISSN:00183385)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.10-13, 2009-05-01

参加者がそれぞれ獣医師役、飼い主役、観察者を演じるピア・ロールプレイの手法を採用し、臨床志向の獣医学生らに対して診療コミュニケーションを向上するための実習を行った。ロールプレイ終了後には、その内容について各自フィードバックを受け、ポートフォリオに準じて自己評価した。2日間で計9名の獣医学生、2名の臨床獣医師が参加し、いずれからも高い満足が得られた。獣医師役を演じた自己評価は否定的な内容が多かったが、飼い主役と観察者からのフィードバックには肯定的な意見も多くみられ、全体としてバランス良く反省することが可能であった。また、初回に得られた反省は、次回の目標設定に影響を及ぼしており、ポートフォリオによる評価が有用であることが示唆された。ロールプレイの導入は、適切な評価方法を用いることで、コミュニケーション能力を向上するための妥当な手段になると考えられる。
著者
木村 祐子 川瀬 謙一郎
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.59-75, 1983-03

Life long integrated education is a new concept in the world of education, which has rapidly become a topic of common interest in Japanese society as a whole since 1970. The concept of life long integrated education has cast light on adult education which has been in poor circumstances and, is on the wane. This paper attempts to observe the present situation of education through the results of a survey taken at Sapporo City, and to seek for future perspectives of adult education under the idea of life long integrated education. From the survey, we can conclude that the role of adult education should not be set within the limits of making up for the deficiency of formal education. There is a strong desire for learning, especially for higher education like university level studies. Some want universities to open only the library, gymnasium and other facilities to them, but most want systematized knowledge that is provided only for regular students at the present time. They also ask for special treatment for entrance examination and employment after graduation. From this point, the demands of adults are still far. from being satisfied. It is clear that social changes around universities call for them not to be isolated from the community with their doors shut to adults, but to provide opportunities for university education for them. Two proposals to be carried out in adult education in the future are as follows: 1] we should regard the problem of the"open university" as a problem of the continuing process of post-secondary education, establishing a new relationship with the community. All educational institutions after high school, that is, university, college, technical school and so on, should be considered when we think of the "open university." 2] Information center to provide bibliography, data, information and other materials about learning, etc. to the learners should be established. This will enable them to study at their own pace and make their study more profitable. We understend that the traditional concept of education is no longer able to meet the needs of the society and the individual. Then, the essence of the educational problem at present is precisely the problem of that concept. Therefore, first of all, we have to change our value concept concerning education before applying the above proposals. The concept of life long integrated education that claims to distribute education over the lifespan of each individual will define our goal.
著者
伊藤 智義 杉江 崇繁 赤松 孝則 木村 祐哉 川口 梨紗花 角江 崇 下馬場 朋禄
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.1-2, 2017-03-16

3次元情報を記録再生できるホログラフィは次世代映像システムを創出する可能性を持っている。しかし、計算コストが膨大なため、実用化のめどは立っていない。本研究室ではハードウェアによる高速化を進めている。8番目の試作となるHORN-8システムの研究プロジェクトでは、ザイリンクス社製Virtex-5を8個搭載した大規模FPGAボードを独自に開発した。使用したFPGAは旧式になりつつあるものの市販品にはない回路規模のボードとなっている。HORN-8ボード単体でPCの100倍、10枚並列化して1000倍程度の高速化が達成できる見込みになってきており、報告を行う。
著者
平舩 寛彦 高橋 宏彰 千葉 健史 菅原 敦子 木村 祐輔 工藤 賢三 若林 剛 高橋 勝雄
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.395-402, 2012 (Released:2012-10-18)
参考文献数
18
被引用文献数
2

【目的】本研究では, がん患者の栄養状態とフェンタニル経皮吸収性との関連性について検討を行った. 【方法】栄養スクリーニングツールのMalnutrition Universal Screening Tool (MUST)およびNutritional Risk Screening 2002 (NRS2002)を用いてがん患者の栄養状態を危険度別に分類し, 各群のフェンタニル皮膚移行率(FE)を比較した. 【結果】対象患者24名のMUSTによる分類(低, 中, 高度群)では, 栄養危険度が高い患者ほどFEが低くなる傾向にあり, NRS2002による分類(低, 高リスク群)では, 高リスク群のFEは低リスク群に比べて有意に低かった. 【結論】栄養状態の変化は, FEに影響を及ぼす要因の1つとなることが示唆された. また, 栄養状態が低下している患者では, フェンタニル経皮吸収性が低下している可能性があると考えられた.
著者
木村 祐哉 山内 かおり
巻号頁・発行日
2009-07-26

背景: 一般に医療従事者は過度なストレスに曝されていることが知られており、獣医療に従事する者もまたその例外ではないと考えられる。このような過度のストレス暴露を受けることにより、うつに代表されるような、心身に及ぶ種々の問題が生じる可能性が示唆されているが、演者らの知る限り、動物看護職におけるストレスに関する調査はこれまでに報告されていない。そこで本研究では、動物看護職の中でもうつなどの問題が実在していることを確認し、労働環境などのストレス要因との関連を述べることを目的として、質問紙による調査を試みた。 対象と方法: 本調査は動物看護師を対象とし、2008年10月27日~2009年3月10日に実施した。調査対象者は、動物看護職向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるAniProを通じてウェブ上のアンケートフォームに回答するように求めるか、それを印刷した物を演者らの知人に配布することによって募集した。質問内容には性別や年齢などのプロフィールを問う項目、想定される19種のストレス因子への暴露の有無を問う項目(表)、産業衛生領域におけるうつのスクリーニングツールとして作成された心と身体の健康調査表(STPH)の簡易版であるSTPH-15(カットオフ値7/8点)を含み、さらにその他のストレス因子について自由な記述を求めた。回収された質問紙はまず単純集計し、STPH-15の値に基づいて「うつ群」と「非うつ群」を区別した。さらに、プロフィールやストレス因子への暴露の有無によって、STPH-15の値に差があるかどうか統計学的に解析した。処理には無料で入手可能な統計パッケージであるR version 2.8.1を用い、連続変数の値をとるものはSpearman順位相関係数、離散変数の値をとるものはWilcoxon順位和検定による解析を実施した。なお、回答内容に欠損値(無回答)が含まれるものについては、集計から除外した。 結果: 現役の動物看護師32名の回答が得られた。そのうち欠損値のあった1名を除外すると、女性が30人を占め、男性は1名だった。平均年齢は27.9歳で、未婚者が24名、既婚者は7名だった。勤続年数は平均6.1年、1日の勤務時間は平均10.7時間だった。STPH-15が陽性となり、うつであることが疑われるのは31名中15名だった(46.8%)。統計学的解析では、STPH-15の値は年齢、勤続年数、勤務時間との間に相関を認めず、既婚者は未婚者よりも有意に陽性者が多かった(P=0.03)。その他には、現在の自分が理想の動物看護師像そのものであると感じられなければ、STPH-15の得点が高かった(P=0.01)。自由記述では、ストレスの原因として将来への不安、家庭生活との両立の困難、同僚との接し方に関する悩みなどが挙げられた。 考察: STPH-15を用いることにより、調査対象に偏りのある恐れはあるものの、うつに悩む動物看護師が確かに存在することが示唆された。こうしたうつの傾向は、結婚している、あるいは動物看護師としての理想と現実に差異のある者に強く表れていることが明らかになった。自由記述からの示唆も踏まえると、将来性も考慮に入れた労働条件やワーク・ライフ・バランスの改善は、動物病院経営における今後の大きな課題となるであろう。また、理想と現実との差異は、ある面においては雇用者-被雇用者間で動物看護に対する認識が異なることに起因していると考えられ、旧来の就職活動における両者のマッチングの不備を示唆するものである。こうした点については、動物看護師を養成する側からも対策を考慮していく必要があるであろう。 今後の展望: 本調査において検討したストレス因子は探索的研究によって導き出されたものではなく、未だ不十分と考えるべきであり、より適切な因子を抽出するための質的な研究が求められるであろう。その上で、対象の偏りがないように配慮した拡大調査を進め、動物看護職における労働条件の改善に取り組むことが重要である。