著者
伊豆田 猛 松村 秀幸 河野 吉久 清水 英幸
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.60-77, 2001-03-10 (Released:2011-12-05)
参考文献数
169
被引用文献数
7

世界各地で森林衰退が観察されており, 様々な原因仮説が出されているが, オゾン (03) などのガス状大気汚染物質は有力視されている。森林を構成している樹木に対するオゾンの影響に関する実験的研究の結果に基づくと, 森林地帯で実際に観測されている濃度レベルのオゾンによって, 欧米の樹種の成長や光合成などの生理機能が低下する。一方, 我が国の森林樹種に対するオゾンの影響に関する実験的研究は現在のところ限られているが, ブナやケヤキのような比較的感受性がい樹種では, 我が国の森林地帯で観測されている濃度レベルのオゾンによって乾物成長や純光合成速度が低下する。欧米においては, 実験的研究や現地調査の結果に基づいて, 森林生態系を保護するためのオゾンのクリティカルレベルを評価している。これに対して, 我が国の森林生態系に対するオゾンのクリティカルレベルを評価するために必要な情報は不足している。したがって, 我が国における森林衰退の原因を明らかにし, 森林生態系におけるオゾンのクリティカルレベルを評価するためには, 今後も様々な樹種を用いたオゾン暴露実験が必要である。
著者
庄野 達哉 松村 功啓
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.358-373, 1981-05-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
192
被引用文献数
12 15

This article presents a review of the methods of synthesis of α-methylene lactones, esters, lactams, ketones, and aldehydes.The methods are classified into the following categories.1. Routes via compounds bearing a leaving group at the β-carbon.1-1. Oxygen functional groups.1-2. Nitrogen functional groups.1-3. Sulfur, Selenium functional groups and Halogens.2. Routes via compounds bearing a leaving group at the α-carbon.3. Routes via compounds bearing leaving groups at α- and β-carbons.4. Synthesis utilizing methylene compounds such as4-1. Acrylic acid derivatives.4-2. Allyl alcohol derivatives or Acrolein derivatives.5. Routes via cyclopropane derivatives.6. Rearrangement.7. CO insertion reaction.8. Miscellaneous.
著者
松村 優 真鍋 陸太郎 村山 顕人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.24-31, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
9

外出は高齢者が自立して生活していく上で重要な要素である。本研究では徒歩による外出に関わる街路や施設配置などの市街地環境に着目し、外出の阻害要因および促進要因を明らかにすることを目的とした。高齢化が進む郊外計画住宅地である小金原地域において市街地環境の客観的調査・アンケート調査・ヒアリング調査を行ったところ、主に「坂道・公共交通不便という阻害要因があること」、「いつでも立ち寄れる行き先という促進要因が無いこと」が外出を妨げていることが明らかになった。よって、外出しやすい環境の実現には、坂道でも歩けるような休憩場所の整備・コミュニティバスの導入・行き先となる集い場の整備の優先度が高い。また、身体状況に不安がある高齢者は阻害要因を、健常高齢者は促進要因を重視するという傾向が見られた。身体状況により意向が異なることを考慮し、阻害要因の解消・促進要因の創出の両面からアプローチすることが望ましい。
著者
田村 昌一 松村 隆
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.247-248, 2015-03-01 (Released:2015-09-01)

炭素繊維強化プラスチックの穴あけ加工に対して,ドリル先端側の先端角が大きく,外周側の先端角が小さいダブルアングルドリルを適用し,その切削特性について議論する.一般的なドリルによる穴あけ試験も実施し,層間剥離に対する工具形状の効果について調べた.またエネルギ解析法による切削シミュレーションを用い,ダブルアングルドリルによる切削特性について解析し,ダブルアングルドリルの有効性について示す.

1 0 0 0 OA IDM!水玉潰し

著者
松村 真宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.3E3NFC29, 2009 (Released:2018-07-30)

本研究では,影響伝播モデルIDMを用いてウェブコミュニティが蓄えている総影響量GWI(Gross Web Influence)を定義し,GWIを成長させるための道標を導くことに取り組む.具体的には,各種制約下(与える情報の種類および量)のもとでGWIを最大化する条件(どこにどの情報を与えるか)を求める問題に取り組む.本研究の成果は,コミュニティマネジメント/マーケティングへの応用が期待される.
著者
松村 護
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

植物のトライコーム(毛状突起)が雨を危険信号として感知し、感染回避のために疾病防御応答を誘導することを明らかにしたが、その遺伝子発現制御機構は明らかになっていない。葉面に対する機械刺激によって細胞内にCa2+流入が生じることから、Ca2+を介した遺伝子発現制御機構の詳細を明らかにする。また、シロイヌナズナの葉面に機械刺激を予め負荷しておくと、抵抗性反応が強化されるプライミング効果が認められた。そこで、本研究では、クロマチン修飾に関わる因子を介した遺伝子発現制御に着目し、プライミング制御に関わる分子機構について解明することを目的としている。
著者
松村 浩貴 原田 将
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_93-1_105, 2016 (Released:2016-04-26)
参考文献数
37

The purpose of this study was to clarify how product satisfaction, brand trust, and brand loyalty are related to each other in regard to the purchasing of running shoes. The authors divided participants into two groups according to the quantity of training (running distance per month). The group which had lesser running distance was classified as the low product involvement group, and the group which had more running distance was classified as the high product involvement group. Then we examined the differences in the levels of product involvement.     The data was collected from runners who participated in the 2014 Kobe Marathon held in Kobe, Hyogo, Japan. The total number of participants whose data was collected was 695. Product satisfaction was measured by 3 items, brand trust was measured by 4 items, and brand loyalty was measured by 2 items. The data analysis was first conducted by a confirmatory factor analysis. This study also checked the reliability and validity of the three-factor measurement. Structural equation modeling was conducted to test the hypotheses.    Reliability and validity satisfied the criteria. Analysis of structural equation modeling yielded a good fit of statistics (low product involvement group: GFI=.943, AGFI=.893, CFI=.971, RMSEA=.080, high product involvement group: GFI=.955, AGFI=.915, CFI=.968, RMSEA=.083).     The results of this study revealed the following facts: 1. In the low product involvement group, product satisfaction mediated brand trust and gave a positive impact to brand loyalty. In addition, product satisfaction did not affect brand loyalty.2. In the high product involvement group, correlation were confirmed in all three hypotheses. Product satisfaction influenced brand trust,and brand trust also affected brand loyalty. In addition, product satisfaction affected brand loyalty.
著者
村上 正樹 藤江 智也 松村 実生 藤原 泰之 木村 朋紀 安池 修之 山本 千夏 佐藤 雅彦 鍜冶 利幸
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.41, pp.P-2, 2014

【背景・目的】有機金属化合物はそれを構成する分子構造や金属イオンとは異なる生物活性を持ち得るため,生命科学への活用が期待される。メタロチオネイン(MT)は有害重金属の毒性軽減などに関与するが、誘導機構には不明な点が多い。本研究では,有機アンチモン化合物ライブラリーから見出された化合物(Sb35)によるMT誘導の特性について,ウシ大動脈由来血管内皮細胞(BAE)を用いて調べた。<br>【方法】BAEをSb35で処理し,MTサブタイプおよびMTF-1 mRNAの発現をReal-Time RT PCR法により評価した。金属応答配列MREおよび抗酸化応答配列AREの活性をDual Luciferase Assayにより測定した。<br>【結果・考察】Sb35は,BAEが発現するMTのすべてのサブタイプ(MT-1A,MT-1EおよびMT-2)のmRNA発現を濃度依存的に増加させたが,MREを顕著に活性化しなかった。しかしながら,転写因子MTF-1をノックダウンすると,すべてのMTサブタイプの発現が抑制された。一方,Sb35は転写因子Nrf2を活性化し,AREを強く活性化した。そこでNrf2をノックダウンしたところ,MT-1AおよびMT-1EのmRNA発現が有意に抑制された。MT-2の発現には変化は認められなかった。以上の結果より,Sb35はすべてのMTサブタイプの遺伝子発現を誘導するが,MT-1AおよびMT-1Eの誘導はMTF-1-MRE経路とNrf2-ARE経路の両方に介在されること,これに対しMT-2の誘導はNrf2-ARE経路に依存せず,MTF-1-MRE経路に介在されることが示唆された。Sb35がNrf2の活性化によってサブタイプ選択的にMT遺伝子の発現を誘導することは,この有機アンチモン化合物がMTの誘導機構解析の有用なツールであることを示している。
著者
高島 義信 高田 壮則 工藤 敬太 松村 英樹 蓑輪 直幸
出版者
北海道東海大学
雑誌
北海道東海大学紀要. 理工学系 (ISSN:09162097)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.51-60, 1996-03-21

The variation in the weight of individuals with same age and the age-specific maturation ratio of white-spotted charr Salvelinus leucomaenis are examined in Furuu River in Hokkaido. The variance in the age-specific weight is extremely high and the strong intraspecific competition is expected to occur in the population. The maturation ratio of females in the stream is zero at any age and that of males in the river ranges from about 21 % to 58 % depending on age. It is shown that (1) it is a rare event for females to mature in the river, (2) the proportion of maturing in the river is about 21 % in males with 2+ age and (3) there is a possibility that both males and females with 5+ age in the river migrate to the sea. (4) about 25 % of sea-run individuals are immature.
著者
松村 暢隆
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.169-177, 1979-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
11

本研究の目的は, 形式的課題における, 否定語の理解と生産の発達を調べることである。そのために, 類否定にかんして, 選択課題, 構成課題および言語化課題を行った。いくつかの教示 (下位項目) を組合せて, 被験者各人の否定および肯定の段階を定めた。また, 先行経験 (色・形分類または絵カードでの選択) の, 課題に及ぼす影響を見た。4~6才児54名を対象とした。選択課題は, 4枚の図形の中から「青い丸とちがうもの」や「青いものの中で丸とちがうもの」などを選択する。構成課題は, 色と形を分離した材料を用いて, 選択課題の下位項目に対応するものを構成する。言語化課題は, 指示されたものを, 選択課題の教示に対応する言葉で言語化する。その結果, 先行経験の影響はなかった。否定について, 選択課題と構成課題はほぼ同じ年齢で可能で, 1次元否定は4才ころ, 2次元否定は5才ころ, 部分補クラスは 5才ころ (構成課題では6才ころ) に可能になった。それに対して言語化課題は困難で, 5才ころ1次元否定ができ, 6才でもそこにとどまった。肯定については, 選択課題と構成課題では, 2次元肯定が4才からできた。言語化課題では, 1次元肯定は, 4才からできたが, 2 次元肯定は, 5, 6才ころにできた。肯定の段階は否定の段階より1年ほど先行していた。なお, 別の被験者で, 選択課題の材料の図形が, 4枚の場合と9枚の場合とを比較したところ, 難易に差はなかった。また, 選択課題の材料が, 図形の場合と絵カードの場合とを比較したところ, 肯定についてのみ絵カードの方が困難になった。絵カードの場合は属性によって困難さが異なり複雑になるであろう。
著者
坂本 篤裕 清水 淳 鈴木 規仁 松村 純也 小川 龍
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-19, 2001-01-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

エンドトキシンショック時には,誘導型一酸化窒素合成酵素による一酸お化窒素(NO)の過剰産生とともに,誘導型ヘムオキシゲナーゼによる一酸化炭素(CO)の過剰産生が病態進展に重要な役割を担うことが示唆されている。NOとCOはともにグアニリルシクラーゼのヘム分子に結合し,cGMP増加による血管平滑筋弛緩作用を示すとされるが,その結合の競合作用や,産生酵素活性の抑制作用などの相互調節機構も存在することが示されている。一方,リポポリサッカライド(LPS)などの過剰な刺激における両者の相互影響や病態進展への役割については不明であり,本研究ではラットエンドトキシンショックモデルにおいてnitrosyl hemoglobin (NO-Hb)およびcarboxy-hemoglobin(CO-Hb)を指標に,それぞれの合成酵素阻害薬であるL-canavanine(CAN)およびzinc protoporphyrin (ZPP)による影響を血圧変動とともに検討した。LPSの投与により経時的血圧低下とNO-HbおよびCO-Hbの増加を認めた。CANおよびZPPはともに血圧低下抑制効果を認めたが,CANはNO-Hb増加のみを,ZPPはCO-Hb増加のみを抑制した。致死的エンドトキシンショック時にはNO産生系とCO産生系抑制はともに血圧低下抑制に有用であるが,それぞれの産生酵素阻害薬の効果からみた場合,生体調節機構に有用と考えられる相互作用は認められなかった。
著者
松村 葵 Aoi Matsumura
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2019-03-22

本論文の目的は,体表から無侵襲に肩甲骨運動を推定する方法を確立すること,肩甲骨運動を拡大する運動介入としての肩甲骨エクササイズを明らかにすること,そのエクササイズが投球動作中の肩甲骨運動に与える即時的な効果を検討することとした.その結果,本研究で考案した推定方法によって肩甲骨姿勢の推定精度は向上した.また体幹運動をともなった肩甲骨エクササイズによって投球動作中の肩甲骨後傾運動が増加した.