著者
小林 正則 久保田 倫夫 松浦 良樹
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-8, 2003-01-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
33
被引用文献数
4 18

マルトオリゴシルトレハロース合成酵素(MTSase)はトレハロース生合成経路の第一段階で働く酵素であり,マルトオリゴ糖の還元末端のα-1,4結合を主として分子内転移によりα,α-1,1結合に変化させる反応を効率よく触媒する.筆者らは本酵素の立体構造を精密に(1.9A分解能)X線結晶解析し,反応機構について知見を得た.MTSaseはα-アミラーゼファミリーの酵素であり,触媒活性残基(Asp228,Glu255,Asp443)はファミリーに共通に保存されたものであり,α-1,4結合の解裂に続いてグルコースの転位が起こると考えられる.全体的な構造はファミリーに共通にみられる(β/α)8-バレルが存在し(ドメインA),活性部位はその中心β-バレルのc末端側とドメインBとの間に形成されたクレフトの底に位置している.通常のα-アミラーゼに比して挿入されたポリペプチド部分が多く,全体の分子量を大きくしている(720残基).活性部位はクレフトの一端の奥に存在し,三つの活性残基を底部に有したポケットを形成している.ポケット形成には上記挿入ポリペプチド部が大きく関与している.またポケット上部には触媒活性に必須なGlu393,側面にHis229が存在し,それぞれ末端グルコース基との水素結合に関与している.基質のα-1,4結合末端が挿入された際にポケット内部で形成される酵素・基質問の水素結合の数は,α,α-1,1結合を形成することにより増加し,その結果トレハロース残基の生成が促されると考えられる.
著者
清水 渉 唐川 真二 永田 健二 向井 順子 本藤 達也 渡辺 光政 重本 英司 山形 東吾 土岡 由紀子 松浦 秀夫 梶山 梧朗
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.455-461, 1992

A型顕性WPW症候群に合併したリエントリー性心房頻拍 (AT) で, 頻拍中および頻拍時に行った右房ペーシング中にdouble potential (DP) が記録された症例を経験した, 症例は頻拍発作を主訴とした42歳女性で, 電気生理学的検査により洞調律時とほぼ同じQRS波形の頻拍はAT (CL 490mseG) によるものと診断した.洞調律時の心房マッピングでは, 高位右房側壁 (HRAlat) で心房波の持続時間の延長を認めた.ATはHRAlatからの早期刺激法で誘発, 停止が可能であり, 早期刺激間隔とAT誘発時のエコー間隔との関係は逆相関であった.AT中の心房マツピングでは, 高中位右房側壁の興奮が最早期で, 中位右房側壁にDPを認めた.DPはAT時にHFAlatから行ったペーシング中 (entrainment, CL 470, 450msec) にも記録されたが, 洞調律時および洞調律時の心房ペーシング中には記録されず, 機能性のDPと考えられた.
著者
奥村 明之進 南 正人 井上 匡美 川村 知裕 舟木 壮一郎 松浦 成昭 新谷 康 中桐 伴行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

慢性閉塞性肺疾患COPDの新たな治療法の開発は急務であり、今回COPDに対する細胞治療を用いた再生医療を考案することを目的とした。COPD誘導マウスに対して、健常なマウスより脂肪幹細胞を分取し、経静脈的、経気管的に投与すると、移植細胞は障害肺へ集積し気腫肺を改善した。さらに、人工多能性幹細胞iPS細胞を様々な成長因子を用いて肺胞上皮細胞への分化誘導法を検討した。分化誘導した細胞を標識して、上記と同様に肺障害マウスへの移植を施行し、肺胞への生着および呼吸機能の改善を確認した。肺の再生医療を考案する上で、脂肪幹細胞やiPS細胞が重要なツールになり得ると考えらえた。
著者
土屋 活美 林 秀哉 藤原 和久 松浦 一雄
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-17, 2011

It has been claimed in the literature that selective ethanol separation from ethanol-water solution can be made through ultrasonic atomization. The causes of separation were explained in terms of parametric decay instability of capillary waves, accumulating acoustic energy in a highly localized surface of the capillary wave and effecting ultrasonic atomization. In this study, the atomization process is examined visually with some mechanistic view, and the dynamics of interfacial oscillations occurring along the perturbed protrusion or conical “liquid column/fountain jet” over the ultrasonic transducer are analyzed by high-speed imaging. It is found that the atomization process could be initiated by a sudden increase in surface roughness of microscale, which would be viewed as localized surface patches of two-dimensional capillary waves, often associated with contraction expansion sequence of surface to-pology. Such surface patches could bring further instability in generating a swarm of liquid droplets of microscale around the expanded phase of liquid column.<br>
著者
上田 達也 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄 藤井 裕史 坂下 秀
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21(2009-IOT-4), pp.143-148, 2009-02-26

近年,携帯端末の小型化・高性能化ならびに携帯電話回線の高速化・低価格化が進んでいる.また,GPS(Global Positioning System)やビデオカメラを搭載した携帯端末も普及しつつある.これによって,移動端末から位置情報を伴ったストリーミング映像の発信が可能になってきた.本稿では,携帯端末で撮影した映像を位置情報を伴う形でストリーミング配信し,また,その映像を検索,視聴できるシステムを提案する.このシステムでは,映像が撮影された時刻や位置,撮影端末の密度などに基づいて検索を行うことができる.映像は配信されている時点でリアルタイムに視聴することも,蓄積された過去の映像を視聴することも可能である.さらに,将来のある時点においてたまたま映像が撮影された場合にそれを視聴するための視聴予約も可能である.本システムはスケーラビリティを考慮して P2P 方式で実現する.本稿では,このために必要となる映像の配信方式や位置情報管理方式,耐故障性の確保などについて検討を加える.
著者
松浦 倫子 林 光緒 堀 忠雄
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.61-69, 2002
被引用文献数
2

本研究では習慣的自己覚醒が夜間睡眠に及ぼす効果を検討した.朝, 習慣的に自己覚醒している13名の被験者が2夜の実験夜に参加した.1夜は強制覚醒夜で, 被験者は習慣的な起床時刻に実験者によって強制的に起こされた.もう1夜は自己覚醒夜で, 被験者は習慣的な起床時刻に自己覚醒を試みた.就床直前の不安, 夜間のポリグラフ記録, さらに起床直後の睡眠の主観的評価が分析された.19夜の自己覚醒夜のうち, 自己覚醒に成功したのは8夜 (42.1%) であった.不安, 睡眠の主観的評価, 睡眠段階1の出現量以外の睡眠変数には, 強制覚醒夜と自己覚醒夜の間で有意差は認められなかった.これらの結果は, 習慣的自己覚醒は夜間睡眠, 起床後の気分, 睡眠満足感を悪化させないことを示唆している.
著者
福田 将海 松浦 秀高 坂田 肇
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.614-618, 2009-08-15 (Released:2015-08-04)
参考文献数
12

We report the lasing characteristics of solid-state dye lasers that contain two mixed dyes. Pyrromethene
著者
岡田 志麻 藤原 義久 松浦 英文 安田 昌司 水貝 浩二郎 牧川 方昭 飯田 健夫
出版者
社団法人日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 : 日本エム・イー学会誌 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.493-497, 2003-12-10

Sleep is very important to keep our physical condition healthy. Many studies have been devoted to clarify the mechanism of sleep and to monitor the sleep all night. In this study, we paid attention to heart activity during sleep and have developed a nonrestraint monitoring method of heart activity using an acceleration sensor set inside the coverlet. This method is easy for the use of sleep monitoring at home in daily life. An acceleration sensor was set inside the coverlet as it opposing to subject's left chest. Subjects were asked to lie in supine position and the coverlet with an acceleration sensor was put on the subject. Mechanical vibration from heart activity expected to be carried to the acceleration sensor through the coverlet. As a result, periodic vibration was measured successfully and this vibration was proved to be in high correlation with the R wave of ECG in six subjects. The same results were obtained even in case of lying in right and left lateral decubitus position.
著者
松浦 彩
出版者
龍谷大学
雑誌
國文學論叢 (ISSN:02887770)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.76-92, 2010-02-01
著者
保井 孝太郎 竹上 勉 小島 朝人 松浦 善治 宮本 道子 木村 純子 KIMURA-KURODA Junko 荻本 真美
出版者
(財)東京都神経科学総合研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1989

日本脳炎ウイルス(JEV)が属するフラビウイルスは、世界中に70種にのぼるウイルス種が存在しており、総合的で有効な対策が待たれている。現在黄熱病ウイルス、JEV、ダニ媒介脳炎ウイルスに対する生および不活化ワクチンが使用されているが、それぞれに問題点を含んでおり新しい形のワクチンの開発が要請されている。そこで、組換えDNA技術を用いてJEVに対する新しいワクチンの開発をはかり、他のフラビウイルスに対するワクチンの開発の基盤となる技術的・方法論的知見を提供することを目的として、研究を行なった。組換えバキュロウイルスおよびワクチニアウイルスを用いた研究によって、以下のことが明らかになった。1,ウイルス粒子エンベロ-プに存在する構造蛋白E,preM,Mは、ポリプロテインとして合成された後、細胞の酵素によって切断プロセシングされて完成する。2,これらの蛋白の上流にはシグナル配列があり、正常な抗原構造を持った構造蛋白を発現させるためには、正常にプロセシングされることが必要である。3,ウイルス粒子上のE蛋白は、E蛋白単独またはpreM,M蛋白とともにオリゴマ-を形成しており、モノマ-状態のE蛋白に比べて抗原的に安定であり免疫原性も高い。4,E蛋白をオリゴマ-粒子として細胞外に大量に産生・放出させ得る、組換えウイルス発現系を開発することができた。5,蛋白上の中和抗体エピト-プの位置を明らかにできた。6,E蛋白の一部分と融合し、中和などの特定にエピト-プのみを含むHBsAg粒子を産生する系を、開発することができた。以上の成果から、JEVを初めとするフラビウイルスの新しい人工コンポ-ネントワクチンを開発するための基本的な方法を提示することができたと言える。
著者
鈴木 陽彦 菅野 信之 赤澤 明彦 早川 陽子 手塚 あさみ 森 啓太 松浦 功泰 奥中 麗衣 白石 陽造
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.33-37, 2016 (Released:2016-12-20)
参考文献数
8

15歳3ヶ月齢の未去勢雄のミニチュア・ピンシャーが摂食困難を主訴に来院した。口腔内検査にて舌小体付着部正中にSCCを認め、腫瘍の完全切除を目的に舌全摘出術を実施した。術後は胃瘻チューブによる補助的な飲水管理を必要としたが自力採食は可能であり、術後18ヶ月生存した。悪性度が極めて高い舌SCCに対しても舌全摘出術を行うことで局所再発を防ぎ、飼主が満足できるQOLを維持することが可能であった。
著者
上原 里程 篠原 亮次 秋山 有佳 市川 香織 尾島 俊之 玉腰 浩司 松浦 賢長 山崎 嘉久 山縣 然太朗
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.376-384, 2016 (Released:2016-08-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

目的 21世紀の母子保健の主要な取り組みを示すビジョンである「健やか親子21」では,母子保健統計情報の利活用促進が課題の一つである。市町村での母子保健統計情報の利活用促進には都道府県による支援が重要な役割を果たすと考えられるため,都道府県が市町村支援に活用できるよう市町村の母子保健統計情報の利活用の現状と課題を明らかにすることを目的とした。方法 2013年に実施された『「健やか親子21」の推進状況に関する実態調査』(以下,実態調査)のうち政令市および特別区を除いた市町村の「健やか親子21」を推進するための各種情報の利活用に関する設問を分析した。まず,市町村別の母子保健統計情報の集計分析を行っている都道府県および課題抽出を行っている都道府県が管轄している市町村を抽出し,さらに定期的に母子保健統計情報をまとめている市町村とまとめていない市町村に分けて,定期的なまとめをしていない市町村の特性を観察した。結果 実態調査の対象となった1,645市町村すべてから回答を得た。市町村別の集計分析を行っている都道府県は35か所(47都道府県のうち74.5%)あり,課題抽出を行っている都道府県は14か所(同29.8%)あった。集計分析を行っている35都道府県が管轄する市町村は1,242か所あり,このうち母子保健統計情報を定期的にまとめている市町村は700か所(56.4%),まとめていない市町村は542か所(43.6%)あった。母子保健統計情報を定期的にまとめていない市町村においては,妊娠中の喫煙,予防接種の状況,低出生体重児の状況について積極的に利活用している市町村の割合が有意に少なかった(いずれも P<0.001)。また,児童虐待の発生予防対策や低出生体重児に関する対策などは定期的なまとめをしていない市町村において都道府県と連携して実施した市町村の割合が有意に少なかった。結論 母子保健統計情報を定期的にまとめていない市町村では,児童虐待の発生予防などの対策について都道府県との連携が希薄であり,母子保健統計情報の利活用が進まないこととの関連が示唆された。都道府県は管内市町村の母子保健統計情報を集計分析して市町村へ提供することに加え,これらの母子保健事業を市町村と連携して取り組むことによって市町村での母子保健統計情報の利活用を促進できる可能性がある。
著者
松浦 茂樹
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.p47-79, 1991-06