著者
高橋 幸子 山本 賢司 松浦 信典 伊賀 富栄 志水 哲雄 白倉 克之
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.167-175, 1999-02-01
被引用文献数
7 5

音楽聴取が情動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために実験を行った.被験者は健康な女子大学生31名.セッションは, 安静保持と検者が選択した音楽と被験者が選択した好みの音楽(どちらも落ち着くことを目的として選択された)を用いた.情動変化を測定するために心理テストProfille of Mood States(POMS)を用い, その絶果を解析した.短時間の音楽聴取により, POMSの「活気」以外の各因子において, 明らかに一時的な情動変化が観察された.その変化は音楽のジャンルに関係なく, 一貫したパターンを示した.これらの結果から, 音楽聴取はホメオスタティックな情動変化を起こしていることが考えられた.
著者
南雲 サチ子 松浦 成昭 河口 直正 森 誠司
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

癌細胞の形態学的異型性のうち、構造異型については接着分子インテグリン、カドヘリンの発現の変化が構造異型に重要な役割を果たすことを明らかにした。細胞異型、特に核の異型に関しては、細胞異型の高度ながん細胞にH3K9me3、HP1α(ヘテロクロマチン関連タンパク)の発現亢進が見られた。また、in vitroでH3K9me3の発現を亢進させると細胞遊走能、細胞浸潤能が増加する結果が得られた。核膜タンパク質LINC complex分子については癌細胞の異型度の著明なものにはSUN1、SUN2、Nesprin2の発現低下が見られた。
著者
高須 晃 亀井 淳志 ロザー バリー 赤坂 正秀 大平 寛人 KABIR M.F. OROZBAEV. R. JAVKHALAN O. 松浦 弘明 貝沼 雅亮
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

三波川帯のエクロジャイトの変成作用は,①高温型変成作用イベント,②2回のエクロジャイト相変成作用イベント,そして③藍閃石片岩相-緑れん石角閃岩相変成作用イベントの4回の変成イベントが認められる.これらの変成作用は120-90 Maの比較的短時間に,海洋プレートの沈み込みの開始(大陸側プレートによる接触変成作用),沈み込みの継続(地温勾配の低下による低温エクロジャイト変成作用)海嶺の接近(地温勾配の上昇による高温エクロジャイト変成作用)そして海嶺の沈み込み(狭義の三波川変成作用と変成帯全体の上昇)によって説明できる.
著者
茶木 雅夫 日野 哲士 松浦 正義 守屋 公三明 日比 宏基 瀧本 洋樹 坂場 弘 雨夜 隆之 沼田 守
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.257-267, 2006-12-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
10

A new small reactor concept named Package-Reactor has been developed through a joint research of Hitachi, Ltd., and Mitsubishi Heavy Industries. Several key design of its nuclear steam supply system have been investigated, taking into account both Boiling Water Reactor (BWR) and Pressurized Water Reactor (PWR) technologies. The PackageReactor is a stand-alone energy supply system, and is designed to attain high reliability, high safety, good maintainability, good operability and low construction cost. To achieve these aims, the reactor adopts natural-circulation core cooling systems. The reactor has no active devices inside its high pressure boundary. Combining a turbine electric power generation and biomass refining, which is supported by JGC Corporation or chemical heat pipe systems attains a perfect base load operation. The whole system is simple and small to be easily constructed with a very short period even at remote regions with poor infrastructures. The Package-Reactor is an innovative nuclear power plant concept to pioneer and develop new markets of the nuclear power business.
著者
井上 泰宏 松浦 貴 千田 二郎
出版者
公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
雑誌
マリンエンジニアリング (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.263-268, 2011 (Released:2013-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Biodiesel fuel (BDF) is a renewable resource, and is a promising carbon neutral fuel. However, BDF has the properties of high viscosity and poor volatility. Therefore, the atomization of its spray seems to be inhibited, which results in problems such as severe engine deposits and injector coking. In this study, BDF is mixed with a low boiling fuel to improve its fuel properties. Ethanol was chosen as the fuel to be mixed with BDF because of its higher oxygen content, lower ignitability and higher volatility. The ethanol addition would exert a large influence on mixture formation, ignition, combustion, and exhaust emissions. In the experiments, the spray characteristics were measured by shadowgraph photography and Mie-scattered light photography, while the mixture concentration and ignitability were measured by chemiluminescence photography. The experimental results show that the liquid phase penetration decreased with increasing of the mixture ratio of ethanol to BDF, and the ignition timing and ignition position can be controlled by changing the mixture ratio of BDF and ethanol.
著者
松浦 純平 喜田 加奈子 上野 栄一
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.9-18, 2012-03

The purpose of this research to clarify the cause of delirium appearance of disease factors which is supposed by veteran nurses working at the surgery ward of head and neck.A total of five nurses was interviewed.The semi-structured interview that contains seven cross method was performed to examine the cause of delirium appearance of the disease factors. The interviews were translated transcripts using the content analysis of K. Krippendorff.As a result, the following categories were generalized by content analysis; "individual characteristic", "the long rest", "aged", "insomnia", "male" "solitude". Seven cross method showed that the strongest delirium appearance of the disease factors was seven factors as follows, "insomnia", "advanced age", "long operation", "anxiety before the operative". Seven cross method showed that the strongest delirium appearance of the disease factors was seven factors as follows, "insomnia", "individual characteristic", "aged", "long operation", "amount of bleeding during the operation", "the effect of sleeping drug" "anxiety before the operative". Categories included in both the content analysis and seven cross method showed four categories of "aged", "insomnia", "individual characteristic".It was suggested that it is very important to perform the nursing practice of the delirium after operation.本研究の目的は,頭頸部外科病棟に勤務する経験豊富な看護師が考える術後せん妄発症要因は何かを明らかにして,臨床での術後せん妄発症患者に対する看護実践への示唆を得ることである.対象は,A大学医学部附属病院頭頸部外科病棟に勤務する頭頸部外科勤務経験5年以上の看護師5名とした.術後せん妄発症要因について半構成的面接を実施,結果はK.Krippendorffの内容分析手法およびセブン・クロス法にて分析した.内容分析の結果から【性格特性】,【理解力不足】,【長期安静】,【高齢】,【不眠】,【男性】,【独居】の7つのカテゴリーが生成された.セブン・クロス法の結果から,優先順位が高い順に【不眠】,【性格特性】,【高齢】,【長時間手術】,【術中出血量】,【眠剤の影響】,【術前不安】の7つのカテゴリーが生成された.内容分析とセブン・クロス法の両方に含まれていたのは,【高齢】,【不眠】,【個人特性】の3つのカテゴリーであった.この結果から今後の術後せん妄看護についての示唆を得た.
著者
外園 豊基 錦織 勤 佐藤 和彦 桑山 浩然 松浦 義則 藤木 久志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は日本中世(12〜16世紀)を主たる対象とするが、時代を広くとって平安期から近世初頭(9〜17世紀前半)までを考察の範囲とした。「戦争と平和」の主たる内容を、戦争および災害とした。政治的な災害としての戦争と、自然的な災害としての飢饉などと異なるものであろうが、前近代においては不可分の関係にあったといえよう。まず、平安期〜近世初頭における戦争および災害に関する資料の網羅的収集を行うことを第一義とし、共同研究作業を通じて、それらのまとめを行った。具体的には、戦争および飢饉などの災害関連記事を収集し、それらを編年にまとめる作業をしたのちに、それを基に年表を作成した。それとともに共同研究作業として、調査を深化させるための報告会・研究会を通じて、いくつかの作業を並行して進めた。その一つとして、平安時代の戦争・災害関連記事について、『平安遺文』を用いてまとめ、年表の作成を行った。それとあわせて、本研究の主題である「日本中世における日損・水損・風損・虫損・飢饉・疫病に関する情報」年表を完成させた。これに研究分担者および研究協力者の研究成果をあわせて、研究成果報告書としてまとめた。また、動乱の時代といわれる南北朝期(14世紀)に関して、『大日本史料』(第6編)を検索し、戦争関連年表の作成を行ってきたが、完成間近の段階であり、かつ紙幅の関係で、研究成果報告書には反映することができなかった。さらに、近世初頭の関ヶ原の戦いにおける禁制を収集し、その内容・分布状況など考察することによって、民衆の戦争への関わり方を究明することに主眼をおいて考察を加えてきたが、これもまとめる段階までには到達できなかった。
著者
松浦 国弘
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.232-214, 1996-11-25
著者
梶 光一 高橋 裕史 吉田 剛司 宮木 雅美 鈴木 正嗣 齊藤 隆 松田 裕之 伊吾田 宏正 松浦 由紀子 上野 真由美 及川 真里亜 竹田 千尋 池田 敬 三ツ矢 綾子 竹下 和貴 吉澤 遼 石崎 真理 上原 裕世 東谷 宗光 今野 建志郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

洞爺湖中島のエゾシカ個体群は、2度の爆発的増加と崩壊を繰り返して、植生に不可逆的な変化をもたらせた。その後落葉に周年依存するようになり、2008-2012年の間、高い生息密度(45~59頭/km^2)を維持していた。落葉はかつての主要な餌であったササよりも栄養価は低いが、生命・体重の維持を可能とする代替餌として重要であり、栄養学的環境収容力の観点から高密度を維持することが可能な餌資源であることが明らかになった。
著者
松浦 克美
出版者
日本微生物生態学会 / 日本土壌微生物学会 / Taiwan Society of Microbial Ecology / 植物微生物研究会
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.269-275, 1998-12-31 (Released:2009-10-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

Green filamentous bacteria (Chloroflexus) and cyanobacteria are commonly observed in bacterial mats of hot springs with the temperature range betwen 45 and 70°C and pH range between 6.5 and 9.0. Sulfide concentration is another factor which largely affects the distribution of thermophilic photosynthetic bacteria. Chloroflexus spp. are thought to maintain many characteristics of the oldest photosynthetic bacteria. Photosynthetic bacterial mats in hot springs are important for the studies on early stages of the evolution of photosynthesis.
著者
松浦 さと子 石川 旺 川上 隆史 川島 隆 林 怡蓉 牧田 幸文 松浦 哲郎 小川 明子 櫻田 和也 津田 正夫 魚住 真司 山口 洋典 日比野 純一 小山 帥人 平塚 千尋 金 京煥 小山 善彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

非営利民間放送は現在、コミュニティにおけるコミュニケーションを活性化し、社会的排除の削減に取り組む独立したセクターとして国際的に認知されつつある。しかしながら、このセクターの持続的発展のための法的・財政的・人的な前提条件は、日本においていまだ存在しない。ゆえに我々は、非営利放送局を支えるための体制の可能なモデルを、さまざまな国と地域における成功事例を比較参照することによって明らかにするよう努めた。
著者
松浦 敏雄 中西 通雄 西田 知博
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,中学校の「技術」分野で必履修の『プログラムによる計測・制御』を学ぶための学習支援ソフトウェアおよびその教材を開発した.我々が既に開発していた初学者向けプログラミング学習環境PENを拡張し、PEN上でハードウェア制御プログラムを開発できるようにした。また、ここで開発したプログラムを、PEN上で動作させることで、パソコンから直接、入出力制御用ハードウェア(Arduino)を制御できるようにした。また、この学習環境を用いたコースウェアを開発した。実験授業の結果、多くの学生の興味をひくことができ、理解度も高かったことを確認した。
著者
松浦 晋也
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル
巻号頁・発行日
no.582, pp.110-113, 2003-03

2003年2月1日。スペースシャトル「コロンビア」は,16日間の宇宙実験ミッションを終え,地上に帰還すべく軌道を離脱した。悪夢が起きたのは,それから約40分後,大気圏に突入した直後だった。速度マッハ18で高度62kmの上空を飛行していたコロンビアからの通信が途絶えるや,空中分解。コロンビアに乗り込んだ7人の宇宙飛行士が,再び地上に降り立つことはなかった。
著者
黒田 義浩 吉岡 英生 大野 義章 鈴村 順三 松浦 民房
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

最近、我々のグループは、電気抵抗に関する森公式の計算に際し、通常のファイマン図法に基づく摂動論が適用出来ることを見つけた(J.phys.Soc.Japan 64 No.11(1995)4092-4096)。今回のプロジェクトの目的は、このようにして得られた森公式の新しい表記法を活用して、先ず、森公式自体に対する従来の理解について見直しを行い、新らたな進展の可能性を探ること、さらにその成果を踏まえて、これまで久保公式では容易に計算できなかった輸送係数の計算を実行することにあった。本来、森公式と久保公式とは全く同等の筈である。実際、単純な不純物散乱の場合や2バンドがある場合等の厳密な計算が出来る場合について、二つの公式の同等性を確認した(J.Phys.Soc.Japan 65 No.2(1996)525-528)。さらに、相関関数間の恒等式を用いて、森公式と久保公式とが厳密に一致することを示した(J.Phys.Soc.Japan 65 No.2(1996)342-344)。しかし、実際には近似計算に依らざるを得ない場合が殆どであり、森公式と久保公式とでどちらが有利かという問題が起きる。実際、これまで、電気抵抗を簡単に計算できる方法として、森公式に基づくメモリー関数近似法が重用されてきた。そこで、我々は、森公式と久保公式を用い、不純物散乱やd-p軌道混成項による電気抵抗を同一の近似法で計算し、両者の結果を比較したところ、両者は全く同等であった。また、メモリー関数近似法は高周波極限でのみ正しい表式であって、従来の利用の仕方は間違っていることも判った(J.Phys.Soc.Japan 66 No.9(1997)2790-2797)。結局、これらの研究を通して、久保公式と森公式は本来同等であり、同等の近似方法を適用する限り同等の結果を与えること、また、実際に多粒子系における輸送係数を計算するに際しては、その計算の手順は、森公式を用いる場合の方が却って複雑になる場合が多いことを明らかにした。
著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。