著者
上山 泰史 桂 真昭 松浦 正宏
出版者
農業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
雑誌
九州沖縄農業研究センター報告 (ISSN:13469177)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-13, 2001-12

青刈り用エンバクの新品種「はえいぶき」は、暖地、温暖地で8月下旬~9月上旬に播種し年内収穫を育種目標に、秋季に安定して出穂する「Guelatao」を種子親、「ハヤテ」を花粉親として、個体選抜及び系統選抜を行う集団育種法によって育成され、1996年8月に「えん麦農林9号」として登録された。主な特性は次の通りである。秋の出穂日が「アキワセ」よりも3日、「ハヤテ」よりも10日早い極早生で、暖地では年内の収穫時までに乳熟期以降のステージに達する。収穫時の乾物率が高く、九州中部以北では予乾なしで、温暖な九州南部では乾物率の上昇が遅れるため若干の予乾処理で、ロールベールによる収穫・調製が可能である。乾物収量は「アキワセ」よりも高く、収量の安定性にも優れている。草丈は「アキワセ」よりも低く、茎数は多い。葉重割合が低く、草型は立型である。採種栽培での春の出穂及び種子の成熟期は「アキワセ」「ハヤテ」よりも早く、暖地で梅雨入り以前に採種できる。九州・沖縄から関東までの暖地・温暖地で利用でき、各地における播種及び収穫適期は、関東から瀬戸内海地域の暖地でそれぞれ8月下旬、12月上旬、九州北部で8月下旬、12月中旬、九州南部及び沿海部では9月上旬、1月中旬、沖縄で11月上旬、2月下旬である。冠さび病抵抗性や耐倒伏性が高くないので、これらの障害を避けるために適期播種及び収穫を行うことが重要である。播種量は青刈りエンバクの標準的な0.6~1.0kg/aとする。
著者
松本 直也 出村 慎一 松浦 義昌 内田 雄 長澤 吉則
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.192_1-192_1, 2017

<p> サッカー選手は、相手選手の巧みな動きに対する反応が遅れると、すぐに攻守が入れ替わるため、優れた敏捷能力が不可欠である。本研究は連続選択反応テスト(Tsubouchi et al. 2016)を利用し、大学サッカー選手の敏捷性のポジション間差を検討する。連続選択反応テストは連続的且つランダムに提示される方向指示に従って8方向の移動を繰り返すテストである。方向指示刺激は5パターン用意されており、被験者は全てのパターンを実施する。最大最小を除いた3パターンの動作時間の平均を評価変数とした。本研究では、関西学生サッカーリーグ1部校のM大学サッカー部員116名を被験者とし、連続選択反応テストを2試行(計10パターン分)実施した。試行間信頼性を検証するために級内相関係数(ICC)を算出した。また、対応のない1要因分散分により動作時間を4ポジション(ゴールキーパー13名、ディフェダー40名、ミッドフィールダー43名、フォワード20名)間で比較した。解析の結果、高いICC(0.815)が認められ、ポジション間の比較ではいずれも有意差は認められなかった。以上より、サッカー選手はポジション違いに関係なく敏捷性に差はない。</p>
著者
松浦 昌孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.418-421, 1984

「液晶」は, 1973年, 電卓用表示素子として初めて実用化され, 工業製品として誕生した。今日までわずか10年ほどの間に, 電卓, 腕時計, ゲームマシンを代表とする小型電子機器の表示素子として欠かせぬものとなってきている。本稿では, なぜ液晶がこれだけ急成長したのか, その背景と表示素子としての特長について述べよう。また, 液晶の代表的な表示素子(ツイステッド・ネマティック型液晶表示素子)を中心に, その動作原理の概要を述べよう。
著者
松浦 智子
出版者
埼玉大学大学院文化科学研究科
雑誌
日本アジア研究 : 埼玉大学大学院文化科学研究科博士後期課程紀要 = Journal of Japanese & Asian Studies (ISSN:13490028)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.95-109, 2011

明代に出現した二つの楊家将小説『北宋志伝』と『楊家府演義』には、楊業の第五子である楊五郎が契丹軍の囲みを抜け出し、五台山で出家する情節が見える。一方、宋代に編纂された複数の史書には楊業の息子が僧侶となる記述が見えない。では、史書には見えない「楊家将」の一員が「僧侶」となる故事は、どのような過程を経て出現したのだろうか。最初に「楊家将」と「僧侶」が結びついた例が見えるのは、南宋の話本「五郎為僧」であるが、注目されるのは、その後の元雑劇などに見える楊五郎が、五台山と深い関係を持っていることである。五台山は、仏教の霊場であるとともに、北辺に位置するという地理的条件から、古来、軍事的要衝でもあった。そのため、南北宋交替期の靖康の変の際には、五台山の僧兵たちが、抗金勢力となって金軍と戦った例が宋代の史書に複数みえる。こうした北敵の金と戦った山西五台山の僧兵の姿は、もともと西北系の軍人のために創設された南宋の瓦舎において芸能化されてゆき、それによって、同じく北敵の契丹と戦った山西の英雄「楊家将」の芸能と融合していったと推測される。その結果、五台山に出家し、対契丹戦で活躍する楊五郎の故事が出現したと考えられるのである。
著者
寺島 芳樹 安本 慶一 東野 輝夫 安倍 広多 松浦 敏雄 谷口 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.116-125, 2001-02-15
参考文献数
13

本論文では,種々の機能拡張に柔軟に対応できるQoS制御機構の実装法を提案し,SMILへの適用例を示す.提案手法では,仕様記述言語E-LOTOSのサブクラス(時間拡張LOTOSと呼ぶ)を中間言語として用いる.QoS制御機能は,システムを動画,音声の再生動作などを記述した主プロセスと,メディアスケーリング,メディア同期など追加したい機能のみを記述した制約プロセスとで構成し,それらを並列に同期実行させるという,制約指向スタイルを利用して実現する.またSMILに動的メディアスケーリング,メディア同期の精度指定の機構を追加したQOS-SMILを定義し,実装方法の適用例として示す.QOS-SMIL記述は対応する時間拡張LOTOS仕様に変換され,我々が開発している時間拡張LOTOSコンパイラを用いて実行される.いくつかの実験結果から,提案手法はQoS制御機能の開発コストに優れ,実行効率の点でも十分な性能を持っていることを確かめた.In this paper, we propose a flexible implementation technique forQoS control mechanisms and apply it to SMIL language.In the proposed technique, we use a subclass of E-LOTOS (calledreal-time LOTOS).We implement QoS control mechanisms using the constraint orientedstyle where a system is composed of a main process(e.g., video/audio playback) and several constraint processes (e.g.,media scaling, inter-media synchronization and so on). Usingthe multi-way synchronization mechanism of real-timeLOTOS, those processes run in parallel satisfying the specifiedconstraints.We define QOS-SMIL as an example extension of SMILwhere it has dynamic media scalingand explicit inter-media synchronization amongobjects, and show the applicability of our implementation technique.QOS-SMIL documents are converted to executable programs with ourreal-time LOTOS compiler. Through some experiments, we have confirmedthat the proposed technique has some advantages w.r.t. developmentcost for QoS control mechanisms and the derived programs haverelatively good performance for practical use.
著者
野田 朱美 宮内 崇裕 佐藤 利典 松浦 充宏
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

房総半島南端部には沼Ⅰ~Ⅳ面と呼ばれる完新世海成段丘が発達している.このうち最低位の沼Ⅳ面は1703年元禄地震の際に離水した浅海底地形(波食棚から海食台付近)であることが知られており,元禄段丘面とも呼ばれる(松田ほか, 1974).この元禄段丘面と高位の沼Ⅰ~Ⅲ面の高度分布パターンが良く似ていることから,従来,沼Ⅰ~Ⅲ面も昔の元禄型地震によって離水したと考えられてきた(Matsuda et al., 1978; Shimazaki & Nakata, 1980; 宍倉, 2003).しかし,プレート境界地震の場合,地震時にすべった領域(震源域)はやがて再固着するが,それ以外のプレート境界では地震間を通じて非地震性すべりが進行するため,地震時の隆起・沈降パターンは時間と共に徐々に失われていき,最終的に残るのはプレートの定常沈み込みによる変動だけである(Matsu'ura & Sato, 1989).従って,沼Ⅰ~Ⅲ面の形成は元禄型地震の発生とは関係なく,その成因は太平洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込みによる房総半島南端部の定常的な隆起運動と完新世の海水準変動に帰すべきものである(松浦・野田,日本地震学会2014年度秋季大会講演予稿集,D11-03).こうした考えの妥当性を検証するため,本研究では,波浪による浸食と堆積,地盤隆起,及び海水準変動を考慮した海岸地形形成モデルを構築し,房総半島南部の完新世海成段丘発達の数値シミュレーションを行った.海岸地形の形成過程は概念的に次のような式で記述される:標高変化=-浸食+堆積+地盤隆起-海面上昇.海岸での海-陸相互作用のモデル化に際しては,浸食レートは波浪エネルギーの散逸レートに比例し(Anderson et al., 1999),浸食によって生産された浮遊物質の堆積レートは岸から遠ざかるにつれて指数関数的に減少していくとした.また,房総半島完新世海成段丘の発達シミュレーションでは,地震性の間欠的な隆起運動は考慮せず,プレートの沈み込みに起因する定常的な隆起運動(Hashimoto et al., 2004)のみを考慮し,酸素同位体比記録に基づく平均海面高度の時系列データ(Siddall et al., 2003)を3次スプライン関数の重ね合わせでフィッティングした海水準変動曲線を用いた.海食崖と海食台は海水準変動曲線の変曲点(山と谷)付近で発達する.1万年前から現在までの海水準変動曲線には7つの変曲点(4つの山と3つの谷)があるため,7つの海成段丘が形成される.しかし,隆起速度が遅いと,形成された段丘の殆どは現海面下に沈んでしまい観測されない.隆起速度が早い場合でも,古い段丘と新しい段丘の重なり合いや逆転が生じ,段丘面の形成年代と現在の高度の対応関係は単純ではない.このことは,房総半島南部の完新世離水海岸地形の詳細な調査に基づいて,既に指摘されている(遠藤・宮内,日本活断層学会2011年度秋季大会講演予稿集,P-06).今回のシミュレーションでは,隆起速度を3~4mm/yrとすると沼Ⅰ~Ⅳ面に相当する明瞭な段丘面が発達することが分かった.但し,その場合でも,古い段丘と新しい段丘の重なり合いや逆転が生じているため,最高位の段丘面の形成年代が最も古いわけではないことに注意する必要がある.
著者
荒川 博 伊奈 健宏 松浦 英之
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.46, pp.35-43, 2001-12
被引用文献数
1

ワサビのいくつかの品種・系統を供試し、主な辛味成分であるアリルイソチオシアネートとその生成因子との関係、部位別分布を調査し、簡便で精度の高い辛味成分の評価法について検討した。 1. ワサビ根茎部のアリルイソチオシアネート含量は、品種・系統間差がある傾向がみられた。また、肥大性の良い品種・系統でアリルイソチオシアネート含量が低い傾向であった。 2 ワサビ根茎部におけるアリルイソチオシアネートの生成には、前駆物質であるシニグリン含量が大きく影響し、根茎内のビタミンC含量、ミロシナーゼ活性の影響はみられなかった。同時期に収穫したワサビの辛味成分の評価法としてシニグリン含量を指標にできることが示唆された。 3 根茎部内のアリルイソチオシアネート、シニグリンは外層部に多く、中心部で低かった。また、ミロシナーゼ活性は、維管束部で最も高く、髄ではほとんど認められなかった。 4 根茎部の中位部・中心部におけるシニグリン含量から根茎全体のシニグリン含量を精度良く評価できることを明らかにした。
著者
松浦竹四郎 著
出版者
巻号頁・発行日
vol.[28], 1860
著者
多田 幸雄 山脇 一郎 上田 修一 松本 宏 松浦 直資 安本 三治 江田 昭英 堀 幹夫
出版者
Chem-Bio Informatics Society
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.86-94, 2002 (Released:2002-10-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

I 型アレルギー疾患治療薬を開発する目的でトシル酸 2-ヒドロキシエチルジメチルスルホニウム (1) 誘導体の抗アレルギー作用を検討した。それらの中でトシル酸 2-アルコキシと2-フェノキシエチルジメチルスルホニウムの数化合物がIgE 誘導ラット同種受身皮膚アナフィラキシー(PCA)の抑制作用を示した。抗アレルギー作用および急性毒性と化合物の疎水性または電子的性質(HOMOまたは酸素原子上の電荷)との間に相関が見られた。そしてトシル酸2-フェノキシエチルジメチルスルホニウム(5)を、次の開発段階における第二のリード化合物として選定した。

1 0 0 0 OA 西松浦郡誌

著者
西松浦郡 編
出版者
西松浦郡
巻号頁・発行日
1921
著者
松浦 勝彦
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.590-599, 1982-08-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
21
著者
松浦 晋也
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル (ISSN:13486314)
巻号頁・発行日
no.592, pp.122-125, 2004-01

2003年11月29日午後1時33分,宇宙航空研究開発機構(JAXA)はH-Aロケット6号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた(図1)。ロケット先端に搭載されていたのは情報収集衛星(IGS)の第2弾。IGSは,光を使って地表を監視する光学衛星(IGS-O)とレーダを使って夜間の監視もできるレーダ衛星(IGS-R)が1組となっている。
著者
松浦 巌 清家 康子 川真田 正信
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.85-93, 1983-01-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Kinetic analysis of thermal decomposition was carried out using thermogravimetry (TG) and differential scanning calorimetry (DSC). The linear equations of n order, phase-boundary, nucleation growth and diffusion-controlled reaction under linear heating conditions were derived for the estimation of the rate constant and the activation energy. The method to determine the reaction mechanism was shown by evaluation of linearity. The equations were applied to the TG and DSC curves of dehydration of calcium oxalate monohydrate and elimination of carbon monoxide from calcium oxalate. The dehydration was fit to two-dimensional phase-boundary reaction and the activation energy was calculated as 85 kJ/mol. But the dehydration at a high-speed heating rate proceeded as apparent three-dimensional diffusion-controlled reaction. The elimination of carbon monoxide from calcium oxalate was fit to phase-boundary reaction and the activation energy was calculated as 196 kJ/mol for three-dimensional phase-boundary reaction and 182 kJ/mol for two-dimensional phase-boundary reaction.
著者
松浦 誠
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.28-32, 1976

柑橘類の訪花害虫であるコアオハナムグリについて, 成虫の年間の発生消長, 成虫の越冬へ入る時期と越冬後の活動開始期, 越冬後の成虫の死亡時期および孵化時期の異なる幼虫の発育経過について調査を行なった.<BR>本種の成虫は4月下旬より11月上旬まで訪花活動が見られたが, 5月中旬と9月中旬に発生のピークがあり, これらの個体は世代を異にする. 越冬態は通常成虫で, 9月中旬より11月に土中に潜入し, 翌春4月下旬~5月下旬の間に再び地上に現われた. これらの成虫は, 繁殖活動ののち, 7~9月に死亡して, 新世代の成虫と交代する. 6月上旬~7月中旬に孵化した幼虫は3令を経過し, 同年8~10月の間に羽化したが, 室内飼育条件下で12% (5/41) の幼虫が4令に達し, 越冬に入った.