著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.549, 2019

<p>「インフォプロの未来を考える ~INFOPRO 新たな出発!~」のテーマで開催された第16回情報プロフェショナルシンポジウム(INFOPRO2019)にお越しいただき,あるいは,ご発表,ご登壇頂いたみなさま,誠にありがとうございました。タイトなスケジュールの中,スポンサーとなっていただいた企業様にも厚く御礼申し上げます。INFOPROは開催時期を秋から夏に移すために,一日開催となった昨年の移行期間を経て,2年ぶりの2日開催となりました。移行のためとはいえ,一旦縮小したイベントの規模を戻すことができるのだろうかという不安もありましたが,結果として一昨年と変わらず多くのご参加と発表をいただいたことで文字通り安堵いたしました。とはいえ,新米委員長にとっては,勝手がわからない中の運営であり,文字通り"番頭さん"として動いてくれた川越副委員長を始めとする実行委員はもちろんのこと,会長を筆頭とする三役や担当理事のみなさま,さらには,JSTさん他,関係のみなさまの全面的なバックアップにより無事開催することができました。この場を借りて御礼申し上げます。</p><p>さて,今回のテーマの副題は"INFOPRO新たな出発!"ということで,いくつかのチャレンジをしてみました。中でも一番大きなものは,プロダクトレビューのプレゼンテーションに投票を取り入れたことです。これは製品や企業の優劣をつけるのではなく,そのプレゼンをしている方を褒めるのはどうか,ということで試行的に行ってみたものです。その目的や意義自体にも賛成・反対のご意見をいただいた中,ある程度のリスクを覚悟で行ってみると,投票のためにプロダクトレビューの枠の間,最後まで参加者が留まってくださり,また,後半,製品の特徴や違いをはっきりさせるディスカッションができたなど,これまでのプロダクトレビューでは実現できなかった濃度の高い場が提供できたように思います。一方,プレゼンの評価にどのくらいの意味があったかは,みなさんにご意見を伺ってみたいところです。</p><p>また,特別講演の代わりにJST CRDS(研究開発戦略センター)の全面的なご協力のもと,科学技術俯瞰報告書の最新の内容を網羅的にご紹介いただきました。これも,企業と繋がりたいCRDSさんと,意外に俯瞰報告書自体を認識していなかったインフォプロという具合で,一見近いようで実はそれほど交流がなかったことがわかり,今後に繋がりそうな話となりました。(そして3iの裏番組だったために,参加ができなかった方々にはお詫び申し上げます。)他にも,OUGのコマを設けてガイダンスを行ったり,ポスターをよりオープンにしてミニ発表の時間を設けたりもしました。ポスターと展示会場が賑わっているのは,やっぱりいいですね。懇親会は昨年の低コスト手弁当スタイルを踏襲し,食事や飲み物の質よりもコミュニケーション促進を重視することで,狙い通り,コストパフォーマンス良く活発な交流を促すことができたと思います。そして,最近はワークショップ形式で行うトーク&トークでは,副題に正面から向き合い,インフォプロの将来像を探るべく,清水さん(IMIC),森長さん(NEC),黒沢さん(医中誌)さんをロールモデルに議論を行いました。各参加者が自分ごととして,その立ち位置を確認しながら将来を模索する姿を見て,このような対話の場を提供するのがINFOPROの大事な役目だと改めて確認した次第です。</p><p>このようにして,INFOPRO2019は,リニューアル初回としては致命的なトラブルもなく,成功裏に終わったと言えると思います。この経験,知見を生かして,来年のINFOPRO2020に向けて,実行委員会一同ほぼ同じメンバーで臨みます。インフォプロの新たな出発をより確実かつ魅力的なものにできるようみなさまのご賛同とご協力を改めてお願いする次第です。まずは,INFOPRO2019の記事をご覧いただき,奇譚のないご意見や今後に向けた示唆を賜ればと思います。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。</p><p>(INFOPRO2019 実行委員会委員長 林 和弘)</p><p>INFOPRO2019 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(㈱富士通総研),委員:高杉秀隆,矢口 学(科学技術振興機構),小山信弥(関東学院大学),矢田俊文(クラリベイト・アナリティクス),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事:吉野敬子(日本医療研究開発機構),副担当理事:増田 豊(ユサコ㈱)</p>
著者
若林 和樹 黒崎 みのり 甲賀 英明 田村 勝
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.55-59, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10

遺残環椎前分節動脈(PPPIA)は胎生期遺残動脈の1つであるが発生頻度が低いものと推定されている。今回我々はPPPIA1型に合併したperimesencephalic nonaneurysmal subarachnoid hemorrhage(PSH)の1例を経験した。症例は61歳男性で突然の頭痛、嘔吐で発症した。頭部CTにて脳幹周囲脳槽に強いくも膜下出血を認め、発症当日の脳血管撮影にて明らかな出血源を認めなかった。第4,14病日に脳血管撮影を再検したが出血源は同定されなかった。その後再出血なく、現在経過観察中である。一般にPSHの予後は良好とされるが、遺残動脈には脳動脈瘤合併の割合が高いとされ、また遅発性に脳動脈瘤新生の報告1)もあるため今後も注意が必要である。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.12, pp.513, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)

INFOPRO2021にご参加,ご登壇いただいた皆様,誠にありがとうございました。また,おつかれさまでした。さらに,ご協力,ご協賛いただいた皆様にも厚く御礼申し上げます。ご存知の通り,COVID-19の影響は昨年のINFOPRO開催に大きな影響を与え,結果として,INFOPRO2020自体は誌上開催としつつ,Plusとして希望者によるオンライン発表の機会を作り,電子ポスターやプロダクトレビューも加えた紙とオンラインのハイブリッド開催となりました。運用においては,zoomを導入し,手探りながらも幸い大きなトラブルもなく開催することができました。さて,今年はどうするか。依然COVID-19の影響が続く中,昨年のオンライン試行を踏まえてどのように拡張するかが課題となりました。今年も様々に検討を重ね,オンライン開催を中心とした上で,いくつかの英断もあり,欧米で実績のある統合バーチャル集会プラットフォームMorressierを積極的に活用することとしました。zoomをあくまでオンライン発表“ツール”として扱うのと,Morressierのような演題登録や資料共有,発表後のコミュニケーション,アーカイブまでを含めた様々なサービスを擁する“バーチャル集会プラットフォーム”を扱うのでは,運用上大きな違いがありました。今年はこの違いをどのように吸収するかを学んだこととなりました。また,運営,登壇,参加それぞれの立場で慣れていただいたことにもなります。この慣れが確実に将来を変えていくと信じております。その他,本年も,より詳しい,開催までの経緯や当日の裏話等については,本号の他の記事をご覧いただきたいと思います。本年も無事に開催できたのは,一重に山﨑会長を筆頭とするINFOSTA三役,理事のご英断をはじめとする,実行委員,そして事務局のみなさまのご尽力とチームワークがあってのものでした。特に今年はプラットフォーム運用に関して増田理事に多大なるご尽力をいただきました。この場を借りて関係の皆様に厚く御礼申し上げます。何事も物事は3度目,3年目,あるいは3作目が大事とも言われます。INFOPRO2022に向けて,過去2回のオンライン開催から,さまざまな課題も浮き彫りになってきました。INFOSTAの今後も含めて,この2回の経験,知見を生かしてINFOPROを改善し,インフォプロのあり方を確実かつ魅力的なものにできるようみなさまのご賛同とご協力を改めてお願いする次第です。COVID-19は学協会の変容をこれからも押し進め,また,依然その変容は緒に就いたばかりともいえます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。(INFOPRO2021 実行委員会委員長 林 和弘)INFOPRO2021 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(ジー・サーチ),委員:矢口 学(科学技術振興機構),長谷川幸代(跡見学園女子大学),小山信弥(関東学院大学),鷹野芳樹(クラリベイト),寺脇一寿(医学中央雑誌),木村光宏(㈱アドスリー),担当理事(正):増田 豊,担当理事(副):棚橋佳子
著者
後藤 智香子 近藤 早映 林 和眞 小泉 秀樹 三木 裕子 辻 麻里子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.113-121, 2021
被引用文献数
2

<p>近年、保育施設の開設を巡って地域社会から反対の声があがっている状況を踏まえ、本稿では特に住宅市街地内の公園を活用して施設を整備した際に地域社会から反対の声があがった事例に着目する。そして、行政の保育施設整備担当者と住民へのインタビュー調査をもとに整備の実態を明らかにした上で、整備の手続きや要件について考察する。具体的には、各事例について、保育施設整備に関する自治体の計画、公園の状況(空間面・利用面)、施設計画、行政が当該公園を選択した理由と経緯、地域住民への計画公表から収束までの経緯、争点と対応、開設後の状況に着目して、整備の実態を明らかにした。最後に、地域住民参加型の計画プロセスの必要性、公園の利用実態や場所の価値の把握の必要性、残された公園の管理運営や代替公園の整備もあわせて計画する必要性という観点から整備の手続きと要件を考察した。</p>
著者
後藤 智香子 近藤 早映 林 和眞 小泉 秀樹 三木 裕子 辻 麻里子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1168-1175, 2019
被引用文献数
1

<p>近年、保育施設の開設を巡って地域社会から反対の声があがっている状況を踏まえ、本稿では特に住宅市街地内の民有地を活用して民間事業者が施設を整備した際に地域社会から反対の声があがった事例に着目し、複数主体(行政担当者、事業者、地域住民)へのインタビュー調査をもとに整備の実態を明らかにした上で、整備の方法について考察することを目的とした。具体的には、3事例について、保育施設整備に関する自治体の計画、事業者、当初計画地の立地状況(地域の空間状況、社会状況)と施設計画、事業者が当該敷地を選定した理由と経緯、地域住民への計画公表から収束までの経緯、争点と対応、開設後の状況に着目して、整備の実態を明らかにした。最後に、都市計画などと連携した立地計画の必要性、地域単位での敷地の検討の必要性、近隣住民の声と地域の公共性とのバランスという観点から整備の方法について考察した。</p>
著者
松本 大成 林 和生 甲斐 尚仁 春口 幸太郎 山村 葉子
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.822-827, 2012-09-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
9

背景:変形性股関節症に対する保存的治療法では日常生活動作である歩行時における下肢全体のバランスが重要であると考えられている.そこで,これを改善するために考案された運動療法である,歩行バランス法による保存的治療での臨床的治療効果に関して調査を行った.方法:99症例の変形性股関節症患者に対して歩行バランス法による治療を3カ月行い,治療前後での臨床評価をJOA score,およびNumeric Rating Scaleにて比較した.結果:特に初期の変形性股関節症に関して有意な臨床評価スコアの改善が得られていた.考察:歩行バランスを整えることにより短期的に臨床症状の改善が得られていた.長期的効果に関しては更なる調査が必要と考えられるが,特に初期の変形性股関節症に対しては歩行バランス法は十分に有効な治療であると考えられた.
著者
小林 和彦 辻下 守弘 岡崎 大資 甲田 宗嗣
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.825-830, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
5 3

〔目的〕介護老人保健施設に勤務する介護職員が,日頃のどのような移乗介助を行っているかを調査し,その介助方法が対象者の課題遂行行動に与える影響について行動法則に照らして検討した。〔対象〕3箇所の施設の介護職員29名と入所者3名とした。〔方法〕入所者がベッドから車椅子へ移乗する機会を利用して,「介護職員が行った介助」および「入所者の移乗課題遂行後における介護職員の対応」の種類とその回数,「介護職員がそれら介助施行前に入所者の行動生起を“待機”したか否か」を約3週間にわたり調査した。〔結果〕総回数260回の介助の87%で直接“全介助”が行われ,“全介助”が行われる前に“部分的身体介助”もしくは“声がけ”が行われたのは各々8%と5%,“待機”が行われたのは総介助回数の4%であった。また,介助により入所者が移乗課題を遂行した後の介護職員の対応は82%が入所者に対し“無反応”で,“賞賛”や“承認”が与えられたのは3%であり,15%の“中途介助”が行われていた。〔結語〕入所者の依存行動を増加させ,自立行動を減少させる介助が行われている可能性が高いことが示唆された。
著者
小林 和美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-12, 2005-02

本稿は,韓国における高齢者の暮らしと福祉サービスの利用について,テグ市およびプサン市において行った高齢者にたいするインタビュー調査の事例を中心に検討したものである。高齢者の暮らしは,居住地域(都市/農村)と社会階層によって大きく異なるものとなっている。都市中上層の高齢者がジルバータウン,老人福祉館,老人大学などを選択的に利用しながら活動的な日常を送っているのにたいし,都市下層の高齢者は,敬老堂,老人福祉館,社会福祉館,近所の公園などで単調な毎日を過ごしていた。農村の高齢者は,敬老堂を中心に,緊密な近隣関係に支えられて生活していた。