著者
小林 和雄 大高 泉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 30 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.423-424, 2006-08-10 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

科学的な思考を科学的な探究(問題解決)の全過程における一連の思考と考えるならば,これらの諸過程における生徒の実態を把握することは科学的な思考力を育成するために不可欠である。その過程の主要な要素である仮説を設定するには「仮説」とは何かの認識が必要であり,そのような視座からAnton E. Lawsonらは未知の課題に対する問題解決のための仮説演繹的推論を行うには,「仮説」と「予想」の区別が重要であることを指摘している。本稿では,A E. Lawsonらが米国の高校と大学の生物教科書に対して実施した「仮説」と「予想」の定義に関する研究を参考にして,日本の中学生,高校生,大学生の「仮説」と「予想」に対する認識を質問紙法で調査したものである。その結果,A E. Lawsonらの定義するような「仮説」と「予想」の区別ができる生徒や学生は,非常に少ないことが明らかになった。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.567, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)

いつもなら“第○回情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)にご参加,ご発表頂いたみなさまありがとうございました。”から始まることが多い実行委員長の振り返り記事は,今年において,特殊にならざるを得ない状況となりました。COVID-19によって,我々は未知のウィルスに対応するという試練を与えられ,INFOPRO運営を直撃しました。学協会におけるもっとも重要な活動の一つに,年次大会を開いて会員が参集し,情報交流を通じて知己を得ることがあり,INFOSTAの看板シンポジウムであるINFOPROがその役割を果たしてきました。その開催が危ぶまれたというのは,学協会の存続にかかわることでもありました。委員長としては,他の学協会大会の様子や判断を観察しながら,委員と共に様々なオプションを検討し,判断材料を整えていきました。個人的な気持ちとしては,1990年代より電子ジャーナル化という,今でいうデジタルトランスフォーメーションの端緒に携わり,現在オープンサイエンスという科学の変容を志向する調査研究と実践に邁進して来ましたので,今回はむしろデジタルトランスフォーメーションの千載一遇のチャンスであり,何も挑戦せずに単に中止や縮小するという選択はあり得ませんでした。その一方で,INFOSTAのリソースは限られており,また,スケジュールの都合もありましたので,理想的あるいは独善的なオンライン開催を行うわけにもいきませんでした。委員長として現実的な落としどころを見つける必要があり,慎重に検討を重ねました。その結果として,INFOPRO2020自体は誌上開催としつつ,Plusとして希望者によるオンライン発表の機会を作り,電子ポスターやプロダクトレビューも加えた紙とオンラインのハイブリッドと開催となりました。運用においても,zoomの導入を中心として手探りながらも段取りつけて当日を迎え,今後のオンライン開催の目途をつけ,また,課題を見つけることができました。この経験と得られた知見はINFOSTAにとって大きな資産となったのではないでしょうか。より詳しい,開催までの経緯や当日の裏話等については,本号の座談会記事をご覧いただきたいと思いますが,何より嬉しかったのは,致命的なトラブルは全くなく,また,他のイベントで多くで経験したような遅延や座長や発表者の戸惑いもほとんどなかったことです。最後の最後に委員長の閉会の挨拶で,マイクトラブルが起きたのはご愛敬ですが,本当に最後に唯一起きたトラブルだった思います。これも一重に山﨑会長を筆頭とするINFOSTA三役,理事のご英断をはじめとする,実行委員,そして事務局のみなさまのご尽力とチームワークがあってのものでした。特に川越副委員長におかれては,特別講演の調整やリハーサルの指揮を含め様々にご尽力いただきました。この場を借りて関係の皆様に厚く御礼申し上げます。今回のこの経験,知見を生かして,来年のINFOPRO2021に向けてインフォプロの新たな出発をより確実かつ魅力的なものにできるよう,みなさまのご賛同とご協力を改めてお願いする次第です。また,今回のINFOPROはINFOSTAの歴史の特異点であり,また大きな転換点となる可能性が非常に高いと思われます。そこで,このインシデントとその対応について様々に記録して後世に残すことが重要と考え,通常の特別講演や一般発表の聴講記事に加えて,電子ポスターや運営の裏側を語る座談会に関するものやアンケート結果など,会誌編集委員会との連携によりさまざまな記事を企画しました。それらの記事も是非ご覧いただき,奇譚のないご意見や今後に向けた示唆を賜ればと思います。COVID-19は学協会の変容を確実に進め,また,その変容はまだ緒に就いたばかりともいえます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。(INFOPRO2020 実行委員会委員長 林 和弘)INFOPRO2020 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(ジー・サーチ),委員:矢口 学(科学技術振興機構),小山信弥(関東学院大学),鷹野芳樹(クラリベイト),廣田拓也(クラリベイトジャパン),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事(正):増田 豊,担当理事(副):佐藤京子,棚橋佳子,吉野敬子,谷川 淳
著者
吉田 敏弘 石井 英也 松村 祝男 吉田 敏弘 林 和生 小野寺 淳 小倉 眞 松村 祝男 小倉 眞 古田 悦造 林 和生 野間 晴雄 小野寺 淳 松尾 容孝 原田 洋一郎
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

文化財保護法や景観法に基づく文化的景観の保全事業実施にあたり、保全対象となる文化的景観の選定にあたっては、文化的景観のAuthenticityを学術的・客観的に評価する必要がある。本研究では、「一関本寺の農村景観」と「遊子水荷浦の段畑」を主たる事例として、景観の価値評価を試行し、次のような5つのステップから成る基礎調査が有効であると判断した。(1)明治初期地籍図などに記録された伝統的景観の特質の解明、(2)伝統的景観(地籍図)と現景観との精密な比較、(3)近代以降の景観変化の過程とメカニズムの解明(土地利用パターンや作物、地割など)、(4)伝統的な景観要素残存の背景を地域の社会・経済・文化的側面から考察、(5)現景観の活用可能性の考察と保全の方向性の提示。なお、上記の作業をヴィジュアルに活用するため、GISの導入と時系列統合マップの構築が有効であることも確認した
著者
小林 和幸 奈良岡 聰智 大石 眞 森山 優 小宮 京 原口 大輔
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、「河井弥八関係文書」を中心として帝国議会・国会関係者の資料を総合的に分析・検討しようとするものである。本年度は、下記の通り、研究を進めた。まず、「河井弥八関係文書」の調査分析ならびに河井日記の刊行であるが、本年度は、河井日記中の昭和30年から32年について、翻刻と内容分析を行い『河井弥八日記 戦後篇4』を刊行した。また、河井日記の内、未刊行の明治、大正期の河井が貴族院書記官を務めた時期の日記についても翻刻作業を行った。なお、河井日記の昭和16年分についても研究分担者の森山優にグループが中心となって静岡県立大学の「Working Paper Series」により翻刻公開を行った。次に、「河井弥八関係文書」をより総合的立体的に分析するため、議会官僚や政治家の個人資料の調査・分析を行った。これでは、河井の女婿で、戦前の内務官僚で戦後衆議院議員を務めた舘林三喜男の日記の一部について、舘林家所蔵史料を複製収集した。さらに帝国議会貴族院関係では、貴族院議員多額納税者関係資料について長野県選出の「山田荘左衛門関係文書」につき調査し、初期の貴族院の政治会派に関する研究を進めた。また研究分担者の原口大輔は、河井弥八日記を利用した貴族院議長に関する研究書を刊行した。そのほか、研究分担者・協力者は、議会史に関する研究を進めている。なお、研究分担者間での連携を深めるために、2018年9月青山学院大学において研究会を行い、貴族院事務局に勤務し初代の参議院事務総長を務めた小林次郎の史料に関して、研究協力者の今津敏晃からの報告を聴取し知見を深めるなどの研究活動を進めた。さらに年度末の2019年3月には、静岡県掛川市の河井弥八記念館にて公開講演会と意見交換会を行い、河井弥八研究の進展を図った。
著者
小林 和也 中田 行彦
出版者
京都大学数理解析研究所
雑誌
数理解析研究所講究録 (ISSN:18802818)
巻号頁・発行日
no.2032, pp.34-37, 2017-06

本稿では、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の流行を記述する数理モデルのダイナミクスを考察する。SNSの流行モデルは、SIR型感染症モデルを基に、非線形な常微分方程式で定式化されており、その解挙動も類似なものとなっている。解の極限が満たす方程式(最終規模方程式)を導出する。この最終規模方程式を解析すると、最初期にSNSの利用や参加に消極的な人口の数が少ないほど、最終的にSNSの利用を止めたユーザー数は多くなることが示される。
著者
小林 和男
出版者
創造
雑誌
プロメテウス (ISSN:03862828)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.p25-28, 1986-07