著者
加藤 瑠理 奥田 留那 福光 真理奈 小林 美緒 三宅 志穂
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.95-100, 2015

本研究では、 天王寺動物園 (大阪市) のアジアゾウをモチーフにして、 環境教材絵本を創作する研究に取り組んだ。 科学絵本に含まれる3つの観点 (Visual Simplicy, Narrative, Mystery ofthe World) について、 創作プロセスをふりかえることにより、 どのようなことが反映できたかを考察した。1) Visual Simplicy : 画用紙を切り貼りすることにより、 視覚的明瞭さが反映された。2) Narrative : 動物園で実際に会うことのできるゾウを主人公としたことによる親近感、 私たちの日常的なものが環境問題を引き起こしているという関係性が反映された。3) Mystery of the World : 天王寺動物園のゾウの固有な性格や特異な行動の 「謎」 を解き明かす展開が反映された。こうした知見の蓄積は、 環境教材絵本の開発をさらに進めるノウハウにつながるかもしれない。
著者
小林 幸夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.338-340, 1999-12-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7
被引用文献数
5

量の概念と測定の意味を習得することは自然界の法則を見いだすために重要な課題である。しかし中学,高校,大学のどの段階でも,測定の意味に即した量=数値×単位という根本の関係を深く学習する機会が乏しい。教科書,学術誌では量と単位の関係があいまいであり,特に内包量を含む数値計算に誤解が生じている。高校物理,大学教養物理の段階で量の概念を学習項目に取り込み,測定の意味を強調した上で教科書の量の表記を見直すことを提案する。
著者
小林 秀樹
出版者
一般社団法人 日本リモートセンシング学会
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.125-130, 2018-04-20 (Released:2018-10-28)
参考文献数
5

Google Earth Engine (GEE) is a cloud-based geospatial data analysis platformfor educational and research purposes. Without familiarity with super-computingarchitecture, users are able to process massive geospatial data sets on GEE. This article describes the characteristics of GEE and some examples of Landsatdata analysis.
著者
星野 敬太郎 光永 伸一郎 小林 辰至
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.83-90, 2013-01-15
参考文献数
9

<p>発芽時における,貯蔵デンプン分解の仕組みを学習・理解するための実験教材の開発を試みた.さまざまな植物の発芽種子を対象に分析を加えた結果,ソバを用いた実験教材を作成することができた.本教材においては,デンプン分解に伴うグルコース濃度の変動とその要因となるアミラーゼ活性について,尿糖試験紙法とデンプン試験紙法を用いて容易に確認することができる.すなわち,両者の関係について自ら仮説を立てた後,実験を通してそのことを検証できるわけであり,探究活動を取り入れた教材としての活用に期待がかかる.また,本教材は,発芽の生理についてグルコースを中心としたエネルギー代謝(糖代謝)の側面からとらえたものである.よって,本教材により,形態的変化の観察が中心である発芽の学習を,生化学的要素を含むより高度な内容へと発展できるものと考える.</p>
著者
中村 雅俊 池添 冬芽 梅垣 雄心 西下 智 小林 拓也 藤田 康介 田中 浩基 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

<b>【はじめに,目的】</b>臨床において,腸腰筋の短縮による股関節伸展制限や股関節屈曲拘縮は問題となることが多く,腸腰筋の伸張性を維持・改善するためにストレッチングがよく行われている。ストレッチングの基本的な方法は筋の作用と反対方向へ伸張することであり,腸腰筋のストレッチングとしては股関節を伸展する方法がよく用いられている。しかし,腸腰筋には股関節屈曲作用に加えて,腸骨筋では股関節外転および内旋,大腰筋では股関節内転および外旋作用があると報告されている。そのため,股関節伸展に加えて股関節の内・外転もしくは内・外旋を加えることで,より腸腰筋は伸張される可能性が考えられる。近年,せん断波エラストグラフィー機能により,組織に伝わるせん断波の速度を測定し,組織の硬度(弾性率)を算出することが可能になり,弾性率は筋の伸張の程度を反映していることが報告されている。そのため,この弾性率は腸腰筋のような深部筋の伸張程度を非侵襲的に評価できる有用な指標とされている。本研究の目的は,股関節伸展に股関節内・外転や内・外旋を加えることで腸腰筋をより伸張できるかどうかを明らかにすることである。<b>【方法】</b>対象は下肢に神経学的及び整形外科的疾患を有さない健常若年男性10名(平均年齢23.6±2.2歳)の利き脚(ボールを蹴る)側の腸腰筋とした。対象者をベッド上,背臥位にて安静にした安静時と,ストレッチング肢位は反対側の股関節を最大屈曲することで骨盤を後傾位に固定し,検査側の膝関節は大腿直筋の伸張の影響を考慮し,軽度屈曲位とした状態を基準とした。その後,対象者が痛みを訴えることなく最大限耐えうる角度まで他動的に股関節伸展する条件(伸展)と対象者が最大限耐えうる角度まで股関節内転,外転,内旋・外旋した状態から最大限股関節伸展する条件(内転,外転,内旋,外旋)の計5条件とし,安静を加えた6条件の施行は無作為の順番で行った。腸腰筋の弾性率(kPa)の評価は,SuperSonic Imagine社製超音波診断装置のせん断波エラストグラフィー機能を用い,大転子の高さの鼠径部で腸腰筋を同定し,測定を行った。弾性率の測定は各条件2回ずつ行い,その平均値を解析に用いた。弾性率は筋の伸張の程度と高い相関関係を示すことが報告されており,弾性率が高いほど,筋は伸張されていることを意味している。統計学的検定は,各条件における腸腰筋の弾性率をBonferroni補正におけるWilcoxon符号順位検定を用いて比較した。なお,有意水準は5%未満とした。<b>【倫理的配慮,説明と同意】</b>本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て(承認番号E-1162),文書および口頭にて研究の目的・趣旨を説明し,同意を得られた者を対象とした。<b>【結果】</b>腸腰筋の弾性率は安静時24.6±19.4kPa,伸展71.7±45.0kPa,内転60.9±27.2kPa,外転78.3±45.1kPa,内旋115.8±49.9kPa,外旋93.5±45.7kPaとなった。統計処理の結果,安静時に対して伸展,内転,外転,内旋,外旋のすべてのストレッチング条件で有意に高値を示した。また,伸展の弾性率と比較すると,内旋では有意に高値を示したが,内転と外転および外旋では有意差は認められなかった。<b>【考察】</b>本研究の結果,安静時と比較して全てのストレッチング条件で弾性率は有意に増加したことから,本研究で用いたストレッチング肢位はいずれにおいても腸腰筋を伸張することが可能であることが明らかとなった。また,伸展と比較して内旋で有意に増加したことから,一般的によく用いられている腸腰筋のストレッチング法である股関節伸展方向へのみのストレッチングよりも股関節伸展に内旋を加えることで,より腸腰筋を伸張できることが示唆された。その理由として,腸腰筋のなかで大腰筋は股関節外旋作用を持つと報告されており,股関節伸展に内旋を加えることで大腰筋がより伸張された可能性が考えられる。一方,他の肢位で腸腰筋がより伸長出来なかった理由として,腸骨筋は安静時には外転の作用があるが,内転すると内転作用に変化するため,内転することで腸骨筋が緩んだ可能性が考えられる。また,股関節伸展に外転・外旋を加えると腸骨大腿靭帯が伸張されるため,股関節伸展に外転や外旋を加えたストレッチング条件の最終可動域では腸腰筋よりも腸骨大腿靭帯が伸張され,腸腰筋の弾性率の増加にはつながらなかった可能性が考えられる。<b>【理学療法学研究としての意義】</b>臨床において腸腰筋のストレッチングは股関節伸展が用いられることが多いが,股関節伸展に内旋を加えることで,より効果的に腸腰筋を伸張することができることが示唆された。
著者
瀧田 徹 近藤 厚生 成田 晴紀 小林 峰生 小谷 俊一 三矢 英輔
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.648-654, 1979 (Released:2010-07-23)
参考文献数
9

The conventional theories on the quantitation of the urethral resistance have been reviewed. The urethral resistance could be theoretically induced from the bladder work done during the voiding. Furthermore a hypothetical diagram has been proposed with the correlation between bladder work and urethral resistance, which might be of value to differentiate the type of micturition disturbance.
著者
小林 煕直
出版者
亜細亜大学
雑誌
アジア研究所紀要 (ISSN:03850439)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.204-177, 2001
著者
小林 健一郎 HINKELMANN Reinhard HELMIG Rainer 寶 馨 玉井 信行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.120-133, 2007

本稿では地下水位が回復した状態の閉鎖炭鉱で,残留炭層から脱着したメタンがどのように地表面に向かって流動するかを,仮想帯水層を設定し,多相流モデルを用いて数値実験を行うことにより考察している.ここではまず相間質量輸送を考慮しない基礎的な気液2相モデルを用いてシミュレーションを行い,このモデルがどのような場合に適用可能かを考察した.その後,2相(気・液)・3成分(空気・水・メタン)モデルを別途開発し,同様なシミュレーションを行った.結果,質量輸送を考慮しない基礎的な2相モデルによるシミュレーションでは仮想帯水層中のメタンは地上まで到達するのに対し,2相・3成分モデルによる計算結果はメタンの地下隔離が可能であると示すなど,状況に応じてモデルを使い分けなければ,結果に多大な差が生じることが示された.
著者
野島 啓子 林田 哲郎 藤谷 順子 田中 こずえ 三島 佳奈子
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.33-40, 2000

<p>ジストニアが出現した後,嚥下障害が徐々に悪化した症例に対し,リラクゼーションと寒冷刺激を中心とした訓練を実施し,藤島の嚥下Grade5Aから7Aに改善する成果が得られた.症例の嚥下透視検査を分析し,考察を加えた.</p><p>〈症例〉18歳男性.8歳時,ギランバレー症候群の加療中に無酸素性脳障害発症.後遺症として,四肢体幹失調,仮性球麻痺,下肢筋力低下,action myoclonusが残るものの車イスにてADLはほぼ自立していた.しかし17歳5ヶ月でジストニア出現を契機に,他院にて嚥下訓練をうけたものの徐々に嚥下障害が悪化し,11ヶ月後誤嚥性肺炎をきたし当院入院.</p><p>〈経過〉摂食状態の観察,嚥下透視検査結果から咽頭期障害として嚥下反射惹起大幅遅延,食道入口部開大不十分,嚥下反射と食道入口部開大の連動不全等が認められた.嚥下障害の背景として①ジストニア,②嚥下パターン形成器(いわゆる嚥下中枢)への入力の障害,③飲み込もうとする過剰な努力を考え,円滑な嚥下運動が可能な条件を作ることを目標に訓練を実施した.嚥下状態は徐々に改善し,入院後約3ヶ月で全粥軟菜極キザミ食が40分以内で摂取可能ととなった.</p><p>〈分析結果と考察〉嚥下透視検査のビデオ映像の分析から嚥下反射惹起までの時間の短縮と嚥下運動パターンの変化(舌骨,喉頭の動く方向が上方から前方に変化)が認められた.これらの変化について嚥下パターン形成器の概念を用いての説明を試みた.また本例の嚥下障害は無酸素性脳障害発症後長期間経てからの脳幹の二次的変性によるものと考えられた.</p>
著者
軽野 宏樹 木實新一 上林 弥彦
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.49(2003-CE-069), pp.1-8, 2003-05-16

ALAN-K (Advanced LeArning Network in Kyoto)プロジェクトは京都大学が京都市教育委員会・京都市内の公立学校と協力し、コンピュータを用いた新しい学習環境の構築を目指して昨年9月に発足した。その活動の一つとして、昨年度はオブジェクト指向のプログラミング環境Squeakの機能の一つであるSqueakToysを用いたワークショップを2つの小学校で実施した。その活動で我々の目指すものはアラン・ケイ氏らの理念[1] [2]に影響を受け、実際に最初の2回のワークショップはアメリカから研究員を講師として招いて行い、その後には独自の課題を設定した連続ワークショップを実施した。本稿では、我々のプロジェクトの活動紹介とその考察を行う。