著者
林 泰司 矢田 英昭 Blair Malcolm Laughlin Kathryn A. Blanchard Gary Lee Tucek Paul C. Geil Robert G.
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.177-197, 1994
被引用文献数
1

雌雄ビーグル犬にTAZ/PIPC 200, 400, 800 mg/kg/dayおよびTAZ 40, 80および160 mg/kg/dayを6ヵ月間静脈内投与し, その反復投与毒性ならびに回復性について検討し, 以下の知見を得た。1. 投与および回復期間を通じて, TAZ/PIPCおよびTAZ投与群に死亡例はみられず, 一般状態の観察, 体重測定および摂餌量には被験物質投与に起因した変化はみられなかった。2. 血液学的検査, 血液生化学的検査, 尿検査, 眼科学的検査, 生理学的検査および心電図検査では, 被験物質投与に起因した変化はみられなかった。3. 剖検および臓器重量では, 被験物質投与に起因した変化はみられなかった。4. 病理組織学的検査では, TAZ/PIPC 400 mg/kg/day以上の群およびTAZ 80 mg/kg/day以上の群で肝細胞内に著明なPAS陽性物質の蓄積がみられた。電子顕微鏡観察では, 肝細胞の細胞質内中にグリコーゲン顆粒および滑面小胞体の増加がみられた。5. 上記変化は, 1ヵ月間の回復試験によりいずれも回復あるいは回復傾向がみられ, 可逆性の変化であった。6. 肝の病理組織学的変化から判断し, TAZ/PIPCおよびTAZの無毒性量はそれぞれ200 mg/kg/dayおよび40 mg/kg/dayであった。
著者
髙橋 秀子 東海林 明弘
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.512-520, 2015 (Released:2015-10-17)
参考文献数
12
被引用文献数
1

We investigated the substance of a lecture book used in “discipline dojo” performed in Okutama, Senmayacho, Ichinoseki, Iwate prefecture until the mid sixties.   A section referring to “notes on torimochi and guests” in the text book provides information on the protocols that must be observed during a wedding ceremony and the ensuing reception. The ceremony and reception took place in both the homes of the bride and bridegroom. A bowl, which represented the bride, was passed from the mother of the bride to the matchmaker, and then from the matchmaker to the mother of the bridegroom. The ceremony and reception were conducted by an emcee, known as “torimochi” who led people in chanting “utai”. At discipline dojo people learned about wedding ceremony protocols and how to chant “utai”. We were the first people to use this lecture book as part of academic research.
著者
小林 由香 齋藤 育雄 高木 岳彦 清水 あゆ子 石井 崇之 池田 全良
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.59-61, 2018 (Released:2019-07-25)
参考文献数
11

はじめに:terrible triad injury(TTI)の治療戦略は,損傷形態を理解し安定性と可動性の両方を獲得することである. 対象:症例は11例,男6例,女5例,平均50.5歳.骨折型はO'Driscoll分類type I-1: 4例,I-2: 6例,type II-2: 1例.鉤状突起骨折はtype I -2から内固定し,Lasso法3例,K鋼線固定2例,HCS固定1例,type II-2は橈骨頭で再建した.LCLは全例で一次縫合かbone anchorで縫合し,8例でMCLを縫合した. 結果:平均可動域は-9.0°から130°,肘関節亜脱臼はなかった.MEPSは平均94.5点,JOA-JES scoreは平均91点. まとめ:鉤状突起および関節包を含む前方要素と靱帯性要素の両方を修復した結果は, 肘の安定性と可動性の獲得ができた.
著者
高津 康正 眞部 徹 霞 正一 山田 哲也 青木 隆治 井上 栄一 森中 洋一 丸橋 亘 林 幹夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-94, 2002-06-01
参考文献数
17
被引用文献数
1

21種のグラジオラス野生種について特性調査および育種素材としての評価を行ったところ,草丈,葉数,葉・花の形態,小花数および開花期等には種によって大きな違いがみられた.また草丈が10cm程度で鉢物に利用可能なもの,現在の栽培種にはみられない青色の花被片を有するものなど,育種素材として有望な野生種が見出された.香りを有する種は全体の52.3%を占め,香りのタイプもチョウジ様,スミレ様などさまざまであることが示された.さらにこれらの野生種について到花日数,小花の開花期間,稔実日数および1さや当たりの種子数を調査し育種上重要な情報を得ることができた.フローサイトメトリーによる解析の結果,野生種においては細胞あたりのDNA含量が多様で,種によってイネの0.9〜3.5倍のゲノムサイズを有するものと推定された.本法による倍数性の判定は困難であるが,種の組合せによっては交雑後代の雑種性の検定に利用可能であることが示唆された.
著者
中野 達也 望月 祐志 甘利 真司 小林 将人 福澤 薫 田中 成典
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.173-184, 2007-09-15 (Released:2007-10-19)
参考文献数
57
被引用文献数
2 1

1999年に北浦らにより提唱されたフラグメント分子軌道(FMO)法は、分子系をフラグメントに分割し、フラグメントのモノマー、ダイマー・・・の計算から系全体を計算する方法であり、タンパク質やDNAのような巨大分子系全体を量子論的に扱う計算方法として、近年注目を集めている。本稿では、FMO法の概要と、多層FMO(MLFMO)法に基づいたタンパク質の励起状態計算、及びFMO法に基づいたconfiguration analysis for fragment interaction (CAFI)やvisualized cluster analysis of protein-ligand interaction (VISCANA)といった解析方法について報告し、FMO法の今後について展望する。
著者
小野 真一 伊藤 芳久 石毛 久美子 井口 法男 小菅 康弘 浅見 覚 泉澤 恵 小林 弘子 林 宏行 鈴木 孝 岸川 幸生 畑 春実 小瀬 英司 田畑 恵市
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.11, pp.1419-1423, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

It has been recommended that active learning methods, such as team-based learning (TBL) and problem-based learning (PBL), be introduced into university classes by the Central Council for Education. As such, for the past 3 years, we have implemented TBL in a medical therapeutics course for 4-year students. Based upon our experience, TBL is characterized as follows: TBL needs fewer teachers than PBL to conduct a TBL module. TBL enables both students and teachers to recognize and confirm the learning results from preparation and reviewing. TBL grows students' responsibility for themselves and their teams, and likely facilitates learning activities through peer assessment.
著者
岡本 保 高橋 邦夫 大澤 寛 大枝 真一 小林 智 茂庭 雅弘 松崎 洋 吉野 広孝 原田 誠 朝倉 健二 石井 弘允
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集 平成21年度(第42回)照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.109, 2009 (Released:2010-01-08)

我々はこれまでに、サンマ漁用の高効率な集魚灯としてLED集魚灯を提案してきた。これまでの研究でサンマの視感度に合わせたLED集魚灯の設計・試作を行い、実際に集魚試験も行ってその有効性を実証してきた。本研究は、この成果を発展転用して、小型イカ釣り漁船用LED集魚灯光源の開発の可能性を検討するための基礎研究である。試作したLEDパネルには発光色が白のLEDを6個、シアンのLEDを12個、計18個のLEDを使用して、横240 mm x 縦 150 mmの矩形パネル光源を試作した。サンマの最大視感度波長は510 nm程度であるが、イカ類は482 ~ 494 nm程度であり、この最大視感度波長を配慮するとともに、広い海域での利用も考慮して約100 nmの波長帯域を有するLEDパネルを試作した。また、船のローリングを考慮して±40 deg. 程度の放射角になるように設計した。今後、このLEDパネルを適宜組み合わせて小型イカ釣り漁船の船体構造に適合する形状のLED集魚灯システムを開発し、その実用性を検証する予定である。
著者
沖野 友洋 永田 恵輔 高野 純一 小林 秀敏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.87, no.902, pp.21-00073, 2021 (Released:2021-10-25)
参考文献数
19

The crash safety structure of the railway vehicles is important as one of the safety measures against the train crews and the passengers in the event of a collision accident. It is impractical to perform collision testing many times using the actual train unit to design the crash safety structure, whereby the numerical simulation is effective and it is important to validate the analytical accuracy. However, there are few studies of collision tests and numerical simulations using actual size carbody structures according to Japanese design standards, and even fundamental data have not been sufficiently obtained. Therefore, firstly, the authors performed the collision test of an actual-size partial stainless-steel carbody structure of a railway leading vehicle against a rigid wall and finite element analysis under the same condition as the test for the purpose of validating and improving the analytical accuracy of numerical simulation. Secondly, we carried out the collision test of the same carbody structure of a railway leading vehicle against a typical large dump truck in Japan and obtained the fundamental data such as the time histories of the impact compression load and the acceleration of the carbody structure as well as the deformational and fractural behavior of them. We also performed FE analysis under the same condition as the experimental test and compared the numerical result to the experimental one. As a result, the numerical result was consistent with the experimental result. Finally, we expanded the partial carbody structure model to a single carbody model and carried out the collision analysis of it against a large dump truck. Thereby, the impact deformation and fracture behavior of the railway carbody under the actual level-crossing accident were estimated.
著者
小林 正三
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2015-03

1) ヨシキリザメ肉のはんぺん加工適性を評価するため,原料のpH,インピーダンス比,K値および試料の水分を測定し,調製したはんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価との関係を調べた。2) 原料のpHは,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関が認められ,その相関係数はもっとも高く,はんぺん原料の品質指標としてもっとも適していた。3) ホモジナイズ液の濁り具合は,原料のpHと相関があり,pH測定に代わる官能的な品質指標として有効であった。4) 原料のインピーダンス比は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpHに次いで高かった。死後硬直前など鮮度が良すぎる原料を除けば,はんぺんの官能評価とも相関が認められた。5) 原料のK値は,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関がなかった。6) 試料の水分は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpH,インピーダンス比に次いで高かった。7) はんぺん加工に適したヨシキリザメは,死後硬直しアンモニア臭がしないもので,pHは5.5~6.7の範囲では高いものほど,インピーダンス比は低いものほど,水切り後の水分は高いものほどはんぺん加工適性が高いことが分かった。
著者
小林 正三
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-7, 2015 (Released:2015-09-10)

1) ヨシキリザメ肉のはんぺん加工適性を評価するため,原料のpH,インピーダンス比,K値および試料の水分を測定し,調製したはんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価との関係を調べた。2) 原料のpHは,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関が認められ,その相関係数はもっとも高く,はんぺん原料の品質指標としてもっとも適していた。3) ホモジナイズ液の濁り具合は,原料のpHと相関があり,pH測定に代わる官能的な品質指標として有効であった。4) 原料のインピーダンス比は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpHに次いで高かった。死後硬直前など鮮度が良すぎる原料を除けば,はんぺんの官能評価とも相関が認められた。5) 原料のK値は,はんぺんの比重,荷重10g当たりの凹みおよび官能評価と相関がなかった。6) 試料の水分は,はんぺんの比重および荷重10g当たりの凹みと相関があり,相関係数はpH,インピーダンス比に次いで高かった。7) はんぺん加工に適したヨシキリザメは,死後硬直しアンモニア臭がしないもので,pHは5.5~6.7の範囲では高いものほど,インピーダンス比は低いものほど,水切り後の水分は高いものほどはんぺん加工適性が高いことが分かった。
著者
蓑輪 顕量 林 隆嗣 今水 寛 越川 房子 佐久間 秀範 熊野 宏昭
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

仏教分野は文献を中心に、止観の実践と理論とがどのように形成されたか、実践に伴う負の反応にどう対処したのかを明らかにし、また心理学、脳科学(認知行動科学)との接点を探る。脳科学分野では瞑想時の脳活動を熟練者、中級者を対象に計測し、瞑想時の脳活動を計測し、予想される負の側面について、注意機能に与える影響を検証する。心理学分野ではマインドフルネス瞑想のグループ療法の参加者を対象にランダム化比較試験を実施し、媒介変数の絞り込み、意図通りに進まない場合の対処法、有害事象の有無について検討する。さらに初学者に止と観の瞑想の順番を変えて実習させた場合に生じる問題点、およびその対処方法について検討する。
著者
林 倫子 森 彩乃 大窪 健之 金 度源
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.99-109, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
20

水システムは地域の社会基盤として不可欠のものであり,その地域の生活や生業,そして景観を特徴づけるものである.本研究では,ヒアリング調査をもとに,現役の古式水道である交野市倉治の「取り水」の歴史と現在の利用実態を明らかにした.その際には,高島市勝野をはじめとする他地域の古式水道と比較しつつ,システムの特徴を地域横断的視点でも記述した.主な成果として,歴史に関しては,竹管や松材を利用した初期の取り水施設とその維持管理に関する地域知,施設と運営組織の近代化過程が確認された.現在の利用実態に関しては,住居内利用の場合,水質に対する意識に応じて利用用途に差が見られたこと,供給量の少なさと不安定さを克服するために貯水設備や上水道のバックアップ設備を住宅に備えていることが明らかとなった.

1 0 0 0 IR 2013年度図書館現場演習報告 / <足立区立中央図書館> / <茨木市立中央図書館> / <宇治市中央図書館> / <大阪市立中央図書館> / <大阪府立男女共同参画・青少年センター情報ライブラリー> / <大阪府立中央図書館> / <大阪府立中之島図書館> / <大津市立図書館> / <亀岡市立図書館> / <川崎市立多摩図書館> / <北広島市図書館> / <岐阜県図書館> / <京田辺市立中央図書館> / <京都市右京中央図書館> / <京都市立醍醐中央図書館> / <京都市伏見中央図書館> / <京都府立総合資料館> / <京都府立図書館> / <高知県立図書館> / <神戸市立中央図書館> / <国際日本文化研究センター図書館> / <国立国会図書館国際子ども図書館> / <国立国会図書館東京本館> / <国立女性教育会館女性教育情報センター・女性アーカイブセンター> / <札幌市中央図書館> / <城陽市立図書館> / <天理市立図書館> / <同志社国際学院> / <同志社国際中学校・高等学校コミュニケーションセンター> / <同志社女子大学図書・情報センター> / <同志社女子中学校・高等学校図書・情報センター> / <同志社大学図書館> / <同志社中学校・高等学校メディアセンター知創館> / <名古屋市鶴舞中央図書館> / <奈良県立図書情報館> / <枚方市立中央図書館> / <福岡県立図書館> / <野洲図書館> / <八幡市立図書館>

著者
川久保 尚徳 林田 真 松浦 俊治 田口 智章
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.931-936, 2012
参考文献数
21

症例は3歳男児,墓石の下敷きになっている所を発見された.腹部造影CT検査で高度肝損傷と膵損傷を認めたため,加療目的に当院に搬送された.出血コントロールのため緊急transcatheter arterial embolization (TAE)を行い保存的に経過をみたが,その後肝内胆汁性嚢胞と膵仮性嚢胞を合併したため,経皮的肝嚢胞ドレナージ術および経皮経胃膵嚢胞ドレナージ術を施行した.肝嚢胞および膵仮性嚢胞はともに縮小した.ドレナージチューブ抜去後も肝嚢胞および膵仮性嚢胞の再形成を認めず,受傷後39日目に退院となった.小児における肝外傷および膵外傷の治療方針に関しては一定の見解は出ておらず,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
松本 正知 加藤 明 林 典雄 吉田 徹 浅野 昭裕
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.307-313, 2003-08-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

我々は,梨状筋症候群と診断された症例,およびそれを疑われた3症例に対し,積極的な運動療法を試みた。梨状筋症候群は,坐骨神経の絞扼性神経障害の一つであり,様々な発生機序が報告されている。本症では,手術療法を選択されることが多く,坐骨神経の除圧,癒着の剥離および坐骨神経の移動性の獲得を目的としている。今回我々は,これらの達成を運動療法の効果として期待した。治療法は,深層外旋六筋に対しリラクゼーションを目的として,痛みを伴わない程度の軽い筋収縮の反復を行い,坐骨神経の除圧を目的として等尺性収縮を行った後の他動伸張を行った。そして,下肢伸展挙上(straight leg rising: SLR)に左右差が認められたり,ハムストリングスの短縮が存在した場合,ハムストリングスに対しても同様に等尺性収縮後の他動伸張を行い,坐骨神経の除圧とともに,可動域拡大に伴う癒着の剥離,移動性の再獲得を期待した。治療終了時には,3症例ともに疼痛の改善が得られ,そのうち跛行を呈した2症例においては,歩容の改善も得られた。また,再発も認めていない。本法は,梨状筋症候群に対する治療法として,手術療法の選択の前に試みられるべき保存療法の有効な一手段と考えられた。
著者
松本 大成 林 和生 甲斐 尚仁 春口 幸太郎 山村 葉子
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.822-827, 2012-09-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
9

背景:変形性股関節症に対する保存的治療法では日常生活動作である歩行時における下肢全体のバランスが重要であると考えられている.そこで,これを改善するために考案された運動療法である,歩行バランス法による保存的治療での臨床的治療効果に関して調査を行った.方法:99症例の変形性股関節症患者に対して歩行バランス法による治療を3カ月行い,治療前後での臨床評価をJOA score,およびNumeric Rating Scaleにて比較した.結果:特に初期の変形性股関節症に関して有意な臨床評価スコアの改善が得られていた.考察:歩行バランスを整えることにより短期的に臨床症状の改善が得られていた.長期的効果に関しては更なる調査が必要と考えられるが,特に初期の変形性股関節症に対しては歩行バランス法は十分に有効な治療であると考えられた.
著者
荒井 泰道 松本 純一 小田 島博 近藤 忠徳 関口 利和 石田 稔 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.1439-1445_1, 1982

急性回腸末端炎はYersinia enterocoliticaやアニサキスの感染によって発症することがしられている.しかし多くは原因不明の疾患である.著者らはYersinia enterocoliticaの検出された1例を含めて4例の急性回腸末端炎を経験した.4例とも発熱,右下腹部痛,下痢を主訴として来院した.急性期の内視鏡所見は回腸末端部に不整形の潰瘍やびらんの形成がみられ,1例ではあるがいわゆるcobble stone像を示した.回復期に入ると潰瘍やびらんは消失し,粗大結節状あるいは微細顆粒状の隆起性病変を認めた.生検によって炎症性細胞浸潤とリンパ濾胞の形成がみられたことから,それらはリンパ濾胞の増殖によるものと考えられた.経過とともに隆起性病変も消失することが認められた.急性回腸末端炎の急性期内視鏡所見及び内視鏡的に経過観察を行なった文献はみられていないように思われ意義あるものと考え報告した.