著者
林 隆二 伊藤 琴音 南 太貴 乙倉 孝臣 山内 尚子
出版者
京都産業大学
雑誌
高等教育フォーラム (ISSN:21862907)
巻号頁・発行日
no.3, pp.59-64, 2013-03-31

2012年6月29日に、ハーバード大学マイケル・サンデルの教授法を題材に、燦結成1周年記念イベント「京都産業大学にとって白熱教室とは?」を、学生FDスタッフ「燦(SAN)」の企画運営により実施した。質の高い学士課程教育が求められる中で、学生の主体的な学びをどう促すか、マイケル・サンデルのような大人数による双方向型授業を導入することにより、教員は教授法をどのように工夫しなければならないのか、履修する学生の姿勢はどう変わらなければならないのか、参加した学生・教員・職員はどう変わろうと思ったのか。本稿では、燦の企画から終了後の振り返りまでの活動記録と、今後の課題と展望について報告する。
著者
藤林 真美 梅田 陽子 松本 珠希 森谷 敏夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.336-344, 2011-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
32
被引用文献数
1

多様化した現代社会の中で,ストレスを抱える人口が激増している.ストレスも長期にわたると精神障害の発症を招く可能性が指摘されており,心の健康の維持・増進は重要課題である.本研究では,一般社会人20名を対象として予防的観点から運動トレーニングを4週間介入,介入前後に安静時心電図を測定し心拍変動パワースペクトル法を用いて自律神経活動を分離・定量化し,さらに質問紙法(Center for Epidemiologic Studies Depression:CES-D)を用いて抑うつ傾向を評価した.運動トレーニングの介入により,Δ心拍数とΔCES-D,および副交感神経活動を反映するΔHFとΔCES-Dに有意な強い相関を認めた.これまで運動トレーニングが身体および心理的な改善作用を有することは数多く報告されているが,本研究より,身体と心の改善は独立した変動ではなく心身相互作用である可能性が示唆された.
著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25 (Released:2009-11-17)
参考文献数
19

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
林 美帆
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:24335894)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-19, 2017

日本近代女性史の中で大きく取り上げられる、与謝野晶子と平塚らいてうが中心となって行われた大正期の母性保護論争は、女性が母となることで国家から金銭的援助を得ることの可否を問うものであった。羽仁もと子はこの論争に直接的には関わらず、どちらかの主張を指示する言説は発表していない。しかしながら、羽仁は家計簿をはじめとした家庭論や職業論など、独自の視点を『婦人之友』誌上で展開し、多くの女性の支持を集めていた。本稿では、与謝野と平塚の母性保護論争における主張を整理し、羽仁の家庭論および職業論と対比することで、同時代の女性がおかれている状況を明らかにする。その上、二人と羽仁との共通点および差異を考察し、羽仁が示した解決策の一つが「女性の組織化」であったことを論じる。
著者
松本 淳 浅田 晴久 林 泰一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.237, 2008

<BR> バングラデシュは、日本の4割弱程度の国土面積に日本以上の1億3千万人の人口を抱える世界有数の高人口密度国である。夏に雨が集中する南アジアのモンスーン気候下にあって、ヒマラヤ山脈に源を発するガンジス川・ブラマプトラ川という南アジア有数の大河川下流部にあり、世界最多雨地であるメガラヤ高原を流域にもつメグナ川も国内で合流してベンガル湾へと注いでいることから、しばしば大洪水に見舞われている。またベンガル湾に発生するサイクロンによる被害も大きく、高潮を伴うと数十万人規模の死者が出ることもある。国土の大部分が標高10m以下の低平な平野であることから、今後の地球温暖化の進行による海面上昇によって、洪水や高潮災害がいっそう拡大することも懸念されている。本報告では、バングラデシュにおける洪水およびサイクロン災害の状況に関して述べる。
著者
白井 克幸 横尾 聡 中野 隆史 大野 達也 齋藤 淳一 武者 篤 阿部 孝憲 赤羽 佳子 小林 なお 小林 大二郎 近松 一朗
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-29, 2019

重粒子線治療は良好な線量分布を持ち,高い生物学的効果を有している。従来X線抵抗性と考えられている頭頸部非扁平上皮癌(腺様嚢胞癌,腺癌など)や,粘膜悪性黒色種,骨軟部腫瘍に対して,優れた局所制御率が報告されている。本邦の重粒子線治療施設は5施設と世界最多であり,その治療技術や研究開発において指導的役割を果たしている。これまでは重粒子線治療は単施設による報告に限られていたが,2014年より日本炭素イオン線治療臨床研究グループ(J-CROS)が組織され,多施設共同臨床研究を通じて頭頸部腫瘍に対する重粒子線治療の包括的な有効性や安全性が報告されてきた。これまで重粒子線治療は先進医療として行われてきたが,これらの本邦からのエビデンスをもとに,2018年から頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮癌を除く)が保険適用となっている。今回の総説では,頭頸部腫瘍に対する重粒子線治療の概要,これまでの治療成績ならびに今後の展望について概説する。
著者
平林 秀裕
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.782-785, 2021-07-10

人間万事塞翁が馬 “Stereotactic Imaging Functional Neurosurgery” 2014年5月,Vårpromotion(Umeå University)でPh.D.を授与された.人生で最も感激した瞬間である.
著者
艾爾肯 牙生 加藤 鎌司 明石 由香利 Nhi Phan Thi Phuong Halidan Yikeremu 田中 克典 龍 波 西田 英隆 龍 春林 Wu Min Zhu
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.52-65, 2011
被引用文献数
18

中国新疆ウィグル自治区のハミウリは <i>cassaba</i>, <i>chandalak</i>, <i>ameri</i> および <i>zard</i> の 4 変種に分類されているが,その遺伝的多様性についてはほとんど研究されていない.そこで,ハミウリおよび近隣地域の在来品種を含むメロン 120 系統を供試して,遺伝的多様性ならびに類縁関係を解析した.ハミウリ 24 品種の種子長はいずれも 9 mm 以上であり,欧米のフユメロン変種と同じく大粒系に分類され,中国東部のマクワ・シロウリ(小粒系)とは明瞭に異なった.一方,イラン,アフガニスタン,パキスタンおよび中央アジア諸国では,大粒系および小粒系の両者が混在していた.PS-ID 領域(<i>Rpl16-Rpl14</i>)の SNP(一塩基多型)および ccSSR7 マーカーにより葉緑体ゲノムの塩基配列多型を解析した結果,供試したメロン品種が 3 種類の細胞質型(母系)に分けられること,そしてハミウリの細胞質型(T/338bp 型)が欧米のフユメロン品種(T/333bp 型)と異なることが明らかになった.一方,RAPD および SSR マーカーを用いた核ゲノムの多様性解析では,ハミウリの多様性指数(D = 0.243)が他地域の在来メロンより低いことが判明した.系統間での遺伝的距離に基づくクラスター分析の結果,ハミウリのうち果実の貯蔵性に優れる <i>ameri</i> 変種および <i>zard</i> 変種のほとんどが第 2 クラスターに分類されたことから,両変種は遺伝的に分化していないと考えられた.一方,早熟で果実の貯蔵性が悪い <i>chandalak</i> 変種は第 4,第 6 クラスターに分類され,上記 2 変種とは遺伝的に分化していることが判明した.第 2 クラスターには他地域のメロン 12 系統も含まれたが,このうちトルクメニスタンおよびアフガニスタンのメロン 3 系統がハミウリと同じく大粒系(種子)で T/338bp 型(細胞質)であったことから,ハミウリが西方から導入されたと考えられた.これに対して,中国東部のマクワ・シロウリは小粒系,A/338bp 型であり,また核ゲノムの解析でも第 1~第 9 クラスターから遠く離れた第 10 クラスターに分類されたことから,ハミウリとは別起源であることが示された.<br>
著者
小林 孝夫
出版者
アトリエOCTA
雑誌
幻想文学
巻号頁・発行日
no.57, pp.130-140, 2000-02