著者
堀江 正一 石井 里枝 小林 進 中澤 裕之
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.234-238, 2002-08-25
参考文献数
7
被引用文献数
4

LC/MSによるフグ毒テトロドトキシン(TTX)の分析法を検討した.TTXは高極性物質であることから,イオン化にはエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を採用し,ポジティブモードとした.LC条件は,カラムにTSKgel ODS 80Ts (25 cm&times;2 mm i.d.),移動相には5 mmol/L HFBA-メタノール(99 : 1)を用い,流速は毎分0.2 mLとした.検出には,プロトン化分子[M+H]<sup>+</sup>を用い,結果をより確かなものとするために水脱離イオン(<i>m/z</i> 302.1)も同時にモニターした.本法の検出限界は1 &mu;g/gであり,無毒とされる10 MU/g (2.2 &mu;g/g)レベルの分析が可能であった.
著者
小林 弘典 藤本 三喜夫 中井 志郎 宮本 勝也 横山 雄二郎 坂下 吉弘
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.2517-2521, 2013-09-25
参考文献数
16

症例は11歳の男児で,下腹部痛を主訴に受診した.腹部造影CTでSMV rotation signを認め,小腸は右側,結腸は左側に偏在しており,下腹部正中に腫大した虫垂を認めたため,腸回転異常症併存急性虫垂炎と診断し緊急手術を行った.全身麻酔下に臍切開単孔式手術を行い,マルチプルトロカール法にて5mmトロカールを2本穿刺した.腹腔内を観察しnonrotation typeの腸回転異常症であることおよびLadd靱帯やpedicleなどの異常膜状構造物がないことを確認した.虫垂の同定は容易であり,トロカール穿刺間の筋膜を小切開し虫垂を引き出し直視下に虫垂切除を行った.腸回転異常症併存急性虫垂炎に対して腹腔鏡手術を施行した症例の報告はまれであり,腸回転異常症併存急性虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡補助下手術の有用性を若干の文献的考察を加え報告する.
著者
林 秀弥
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策研究 (ISSN:24336254)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.9-34, 2017

<p>近年、諸外国の移動通信事業を中心に、「ゼロレーティング」(zero-rating)と呼ばれる手法によるサービスが提供されている。わが国においても一部の格安スマホ事業者(MVNO)により、当該サービスの提供が開始されている。「ゼロレーティング」とは、「特定のコンテンツあるいはアプリケーションの利用に対して、使用データ通信量をカウントしない、したがって、その使用量によって生じる料金を発生させず、あるいはデータキャップがある場合にはデータキャップのための使用量計算から除外するサービス」のことであり、データ料金の一部をエンドユーザーに課金しないビジネスモデルのことである。これは、一種の顧客獲得のためのサービス提供であり、個々の企業の事業戦略に応じて様々な形態をもって行われる。「対象となる音楽・動画ストリーミング・サービスを利用する際、パケット量を月間のデータ通信量にカウントしない」というのがその典型である。本稿は、ゼロレーティングが今後本格化した場合、公正競争と利用者利便を確保する上で、競争政策上、留意すべき点は何かついて、欧米の議論の紹介を通して検討を行うものである。</p>
著者
寿藤 紀道 小林 育夫 村上 博幸 三宅 敏雄
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.95-101, 2001 (Released:2010-02-25)
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
岩下 知裕 清田 大喜 小林 道弘 荒川 広宣 槌野 正裕 高野 正太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-149_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに】 便秘とは,「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態(慢性便秘症診療ガイドライン2017)」と定義されている.また,慢性便秘症患者の6割程度にうつ,不安などの心的異常を認め,心理検査では心理的異常を示すスコアが健康対照者に対して有意に高いことが報告されている.厚生労働省の平成28年度国民基礎調査による便秘の有訴者数は65歳以上の男性で6.50%,女性で8.05%となっており,80歳以上では男女平均にて約10.8%と高齢になるにつれ増加する傾向にあることが分かる.これらの報告より,便秘は身体機能の障害のみならず二次的に心的な障害を受け、QOLが低下する疾患であり,適切な介入が必要であると考えられる.当院では,排便障害患者に対して必要であれば直腸肛門機能訓練を実施している.日々の診療のなかで排便障害を有する患者の中には,体幹や骨盤,股関節機能に問題がある症例がみられることがある.今回,両股関節内旋可動域制限が生じている排便障害(機能性便排出障害)の症例に対して,股関節へのアプローチを行い,骨盤底機能が改善したことで主訴が軽減した症例を経験したため以下に報告する.【症例紹介】 80歳代の男性.既往歴はS状結腸癌術後,狭心症(カテーテル留置),前立腺癌.主訴は便意があるが排便しにくい,いつもウォシュレットを強く当てて排便を行っていた.患者のニードはウォシュレットを使用せずに排便出来るようになりたい.【評価とリーズニング】 入院初期評価時には両股関節内旋可動域5°,徒手筋力検査(MMT)にて両股関節内外旋筋力3,直腸肛門機能検査の直腸肛門内圧検査では最大静止圧(Maximum Resting Pressure:MRP)43mmHg,最大随意収縮圧(Maximum Squeeze Pressure:MSP)242mmHg.便秘の評価であるConstipation Scoring System(CSS)は16点.【介入内容と結果】本症例に対して,最初に排便姿勢の評価を行った.理学療法プログラムは1.両股関節内旋可動域訓練,2.体幹筋筋力増強訓練(腹部引き込み運動),3.腸の蠕動運動促進を目的とした体幹回旋訓練,4.トレッドミル歩行訓練を実施した.また,5.バルーン排出訓練を2回/週の頻度で初回を含め計5回介入した.バルーン排出訓練は伸展性の高いバルーンを肛門より挿入し,50mlの空気を挿気し,偽便に見立てて排出する.その際に肛門の弛緩や息み方を学習出来るように指導したが,肛門の収縮・弛緩の動きが不良であった.理学療法開始2週間後,両股関節内旋可動域は30°,両股関節内外旋筋力は4に改善.MRP:50mmHg,MSP:352mmHgで肛門の収縮が可能, 50mlのバルーン排出可能,CSSは8点と改善し,ウォシュレットを使用せずに排便が可能となった.【結論】 慢性便秘症診療ガイドライン2017によると,便秘の発生リスクとしてはBMIや生活習慣,腸管の長さ,関連疾患の有無(逆流性食道炎,過敏性腸症候群,機能性ディスペプシア,下痢症),加齢などが挙げられるが,本症例では,原因の一つとして骨盤と股関節の可動性低下が考えられた.股関節内旋可動域を拡大したことで,外旋筋の柔軟性が向上し,肛門挙筋の起始部と連結している内閉鎖筋の柔軟性が向上したと考えられる.解剖学的に肛門挙筋は恥骨直腸筋,恥骨尾骨筋,腸骨尾骨筋の3筋から構成され,恥骨直腸筋の一部は外肛門括約筋と連結している.恥骨直腸筋は肛門直腸角を構成し,外肛門括約筋は収縮することにより遠位で肛門を閉鎖・固定する.骨盤底筋群の柔軟性が向上したことにより,排便時の恥骨直腸筋と外肛門括約筋の随意的な弛緩が可能となった.恥骨直腸筋が弛緩することで,肛門直腸角は鈍角し,外肛門括約筋が弛緩することで,排便時に肛門が緩み,機能性便排出障害が改善したと考えられる. 今回,機能性便排出障害を主訴とする症例を経験した.理学療法士として,股関節内旋可動域の図ったことで直腸肛門機能の改善につながったと考えている.今回は1症例の経験を報告したが,今後も継続して機能性便排出障害の症例に対して,股関節や骨盤の運動機能の改善に伴う排便障害の改善効果について検討していきたい.【倫理的配慮,説明と同意】臨床研究指針に則り同意を得,個人が特定されないように配慮した.なお,利益相反に関する開示はない.
著者
小林 謙一 國木田 大 遠部 慎 下釜 和也
出版者
中央大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

ユーラシア各地の旧石器時代の終わり・土器の始まりから土器の普及まで約10,000年間を対象とし、土器型式による相対年代と多様な測定法によってきた自然科学的年代を整理し、不足部分を新たに測定して、実年代の枠組みを完成させる。朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部、中近東など、年代測定を集積して時期区分を相互に比較できるよう対比年代を明確にし、土器の広がりが伝播か多元発生かを明らかにする。実年代でのユーラシア先史文化の枠組みを完成させ、環境変動と文化史的変化と検討する。同時に、炭素14年代・酸素同位体と年輪・貝輪年代など年代測定法の多様な方法論の相互検証と補完を重ね、新たな年代決定の方法を構築する。

1 0 0 0 OA 欧米旅日記

著者
林ふき子 著
出版者
京華社
巻号頁・発行日
1932
著者
小林 牧人 黑栁 仁志 大友 明香 早川 洋一
出版者
公益財団法人 平岡環境科学研究所
雑誌
自然環境科学研究 (ISSN:09167595)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.7-13, 2019 (Released:2020-01-07)
参考文献数
18

Construction of artificial river and lake banks changes the aquatic environment, and these changes are known to cause decreases of aquatic plants in shallow waters. We conducted experiments to examine the involvement of aquatic plants in spawning behavior of goldfish, Carassius auratus, and cruicuan carp, Carassius buergeri subsp.2. The spawning behavior was induced by injecting prostaglandin F2α into females. Pairs of male and female goldfish or crucian carp were placed in experimental tanks with or without aquatic plants made of acrylic yarn. Both goldfish and crucian carp spawned actively onto the aquatic plants whereas the behavior significantly decreased without the aquatic plants. The present experiments demonstrate that aquatic plants are essential as spawning substrates for performance of spawning behavior of these species. It is critical for conservation of fish species that use aquatic plants as spawning substrates to maintain aquatic plants on river and lake banks.
著者
小林 暢子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.250, pp.56-60, 2005-07

フライパン、鍋、ざる——大手量販店のキッチングッズ売り場には様々な商品がひしめく。数百円〜千円台の商品が主流だが、そんな棚の一角に1万500円という高額の正札が付いた鍋が鎮座する。 その名は「ドゥ! レミ・パン」。料理研究家で歌手の平野レミが開発に全面協力したこの商品は、発売から4年程で累計販売本数が45万本を超えた。

1 0 0 0 OA 現代小品文

著者
小林鶯里 著
出版者
盛陽堂
巻号頁・発行日
1913
著者
小林 雅之
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115-134, 2012-05-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
51

本稿の目的は,教育費の負担をめぐる政策の動向とりわけ授業料・奨学金をめぐる政策について,各国の動向と,それに関する研究および関連する実証研究をレビューし,政策的インプリケーションを得ることにある.日本では,子どもの教育は親に責任があり,親が学費を負担するのが当然という根強い意識がある.しかし,翻って海外に目を転じると,教育費を誰が負担するかは非常に大きな問題となっている.最大の問題は,公的負担から私的負担,さらに親負担から子(学生本人)負担への移行である.本稿ではこの視点から,学生への経済的支援が,給付型奨学金から貸与型奨学金(ローン)に移行していること,しかし,ローン負担やローン回避問題が発生し,再び給付型奨学金の重要性が高まっていることを各国の事例から明らかにする.
著者
小林 知恵
出版者
北海道大学大学院文学院
雑誌
研究論集 (ISSN:24352799)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.35-49, 2019-12-20

S. ブラックバーンの準実在論は,態度の投影という考えを経由することによって,道徳的性質や道徳的事実の存在を前提とすることなく,私たちの道徳的実践を説明することを目指すプログラムである。彼は道徳的言語実践の説明に際して,道徳的言明の意味論的機能は態度の表出であるとする表出主義を採用する。しかし,表出主義の妥当性は長らく現代メタ倫理学上の一大トピックとして盛んに論じられ続けており,近年では表出主義の難点を解消する代替案として様々なタイプのハイブリッド表出主義が提唱されている。本稿では,ブラックバーンの純粋な表出主義とM. リッジが提唱したハイブリッド表出主義の相違点を明らかにし,ブラックバーン流の表出主義がハイブリッド表出主義に取って代わられるべきではない理由を,彼の理論内部の整合性という観点と,ハイブリッド表出主義自体が抱える難点に基づいて提示する。