著者
森本 真太郎
出版者
日本福祉大学全学教育センター
雑誌
日本福祉大学全学教育センター紀要 = The Journal of Inter-Departmental Education Center, Nihon Fukushi University (ISSN:2434706X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-9, 2021-03-31

In this study, we investigated the institutional environment for harassment countermeasures at a certain university.The purpose of this study was to consider the ideal university environment that can rescue harassment victims, especially the understanding of victims' feelings and the actions that members should take, and to present the perspective of the university environment that denies harassment. As a result, in various systems related to university harassment, it was considered important that the university became a place for victims by effectively functioning the institutional environment. By knowing the institutional intervention method, the surrounding members can also build a university environment that can rescue the victims. In addition, in order to understand the uncertain feelings of the victim, it was thought that building a human relationship in which both the victim and the surrounding members talk independently would lead to the construction of an environment in which the feelings of the victim could be understood. Furthermore, it was considered important for the surrounding members to acquire a clear attitude to eliminate the underlying conditions for the harassment problem and to act as “active participants”.
著者
福嶋 洋 重森 裕 大坪 俊矢 舘原 宗幸 寺田 光輝 乾 真寛
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.203-210, 2020 (Released:2020-12-23)
参考文献数
20

近年,サッカーなどのコンタクトスポーツでは,競技中に脳振盪を疑う事例が生じた場合,重大事故予防の為に競技の中断を行うことが求められている.しかし,現実には世界最高峰の大会においても脳振盪発生時に適切な対応が行われていないことが知られている.本研究では,我が国のプロサッカー競技者における頭部外傷の実態を調べる目的で,脳振盪の実態と脳振盪に関する知識を調査した.対象者は,Jリーグに所属する4チーム,97名の競技者である.脳振盪の既往は,28名のべ35回認めた.脳振盪発生回数は,1回23名,2回3名,3回2名であった.脳振盪の受傷機転は「ボールと頭」「頭と地面」「頭と頭」の順に多かった.脳振盪の発生は,高校生以上から増加している.その原因として,身長と体重増加に伴う身体的成長がサッカーにおけるインパクトの増大に関与していることが予測された.また脳振盪に関する知識は,脳振盪の既往がある者でも,不十分であることが明らかになった.脳振盪が生じた際の対応や脳振盪に関する認知を広げることが頭部外傷予防には不可欠であると考えられ,特に高校生以上の競技者や指導者に対する啓発教育や競技環境の整備が肝要である.
著者
井澤 美苗 青森 達 望月 眞弓
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

プラセボ効果は薬の効果に対する期待と過去に薬が効いたという条件付けが働くことに基づく効果であり、脳の認知機能を司る部位に関連がある。この部位は脳の前頭前野に位置し、近赤外線分光法(NIRS)を使用することでその活性度を非侵襲的に測定できる。また最近10年で、脳内化学伝達物質の遺伝子多型でプラセボレスポンダーとノンレスポンダーを区別するプラセボーム研究が台頭している。本研究では、脳内化学伝達物質の中でも5-hydroxitryptamine transporter ( 5-HTT ) 、Catechol-O-methyltransferase ( COMT )の遺伝子多型に注目し、プラセボ効果との関連性を検討することを目的としている。主観的指標として Stanford Sleepiness Scale( SSS )と Visual Analog Scale ( VAS )による眠気度調査を行い、客観的指標として近赤外分光法( NIRS )による脳血流量変化を測定した。また、5-HTT遺伝子多型 ( L/L、S/L、S/S ) とCOMT 遺伝子多型( Val/Val、Val/Met、Met/Met )を行なった。プラセボ投与前に比べ投与後で SSS と VAS ともに有意に眠気が改善された。NIRS では、認知を司る部位の脳血流量が投与後で有意に増加した。SSSとVASではVal/Met 群の方が Val/Val 群より大きな眠気改善傾向が見られた。またNIRS左脳での脳血流量は Met/Met 群が Val/Val 群と比較して増加傾向が見られた。有意差は見られないものの、Metアレルは Val アレルよりもプラセボ効果との強い関連性が示唆された。この結果は、78th FIP World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences(英国・Glasgow、2018年9月)にて学会発表した。
著者
小森 桂子 友井 理恵子 望月 千枝 丁 元鎭 桝 喜惠 杉本 直俊
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.713-720, 2011 (Released:2012-12-10)
参考文献数
28

Chemotherapy induced nausea and vomiting (CINV) is one of the most frequent adverse events in cancer patients receiving chemotherapy. Thus, preventing CINV is the key to maintaining the QOL of patients. As aprepitant, a powerful oral prophylactic for CINV, has been recommended for this purpose since it came on to the market, we retrospectively examined the adverse events induced by this drug in 36 patients (Control group 20, aprepitant group 16) with gastric cancer who received combination chemotherapy with S-1 and CDDP between November 2009 and October 2010 at Osaka Medical Center for Cancer and cardiovascular Diseases.We examined the different types of adverse events, including emesis and hiccups, all of which were presumably induced by chemotherapy, and evaluated each of them using CTCAE v3.0 JCOG/JSCO. This confirmed the effectiveness of aprepitant against CINV both in the acute phase and delayed phase. Our results suggested that QOL was mostly improved by it, though the incidence of hiccups was higher than before. Therefore when aprepitant is given with CDDP and DEX, measures such as administering metoclopramide should be taken against hiccups.
著者
池田 浩 森永 雄太
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.171-186, 2017 (Released:2019-08-05)
被引用文献数
1

The purpose of this study was to develop a scale measuring multi-faceted work motivations in Japanese organizations. It also sought to verify the scale’s validity and reliability. In study 1, items of the scale were developed based on Barrick, Stewart, and Piotrowski’s (2002) work on a prior scale, and included additional content on motivational aspects of learning. These items were further elaborated and examined in preliminary investigation to determine whether each reflected three core dimensions: directivity, persistence, and strength. In study 2, web surveys comprising the items were administered to 600 Japanese employees whose responses were later analyzed. An exploratory factor analysis was performed to ascertain the scale’s validity and reliability, which revealed 4 factors: accomplishment, competition, cooperation, and learning-oriented motivation. In study 4, a longitudinal survey was administered to 300 Japanese employees to determine test –retest reliability and relationship between work motivation and job performance. The results generally supported the reliability and validity of the multi-faceted work motivations.
著者
清木 雅雄 上木 茂 田中 芳明 添田 美津雄 堀 裕子 会田 浩幸 米田 智幸 森田 仁 田頭 栄治郎 岡部 進
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.257-269, 1990 (Released:2007-02-20)
参考文献数
31
被引用文献数
33 32

新規化合物Z-103の抗潰瘍剤としての有用性を明確にするため,各種実験胃損傷(ストレス胃損傷,塩酸aspirin胃損傷,histamine胃損傷及び塩酸ethanol胃損傷),並びにmepirizole十二指腸潰瘍モデルに対する作用をラットを用いて検討した.対照薬物としてspizofuroneおよびcimetidineを使用した.Z-103は各モデルに対して用量依存的な抑制効果を示し,特に塩酸ethanol胃損傷およびmepirizole十二指腸潰瘍モデルに:おいてはspizofuroneおよびcimetidineよりは,強い抑制作用を示すことが判明した.さらに胃諸機能に対する作用について検討したところ,in vitro実験において,Z-103は制酸効果および抗ペプシン作用を有することが判明した.また,ethanol胃損傷時における胃粘膜被覆粘液量減少,並びにaspirinによる胃粘膜電位差低下に対して,それぞれ用量依存的な予防作用を有することが判明した.一方,ラット胃液分泌に対しては,高用量(300mg/kg)で若干減少させるが,それ以下の用量では影響を及ぼさなく,また,Heidenhain pouch犬の胃液分泌に対して全く作用を及ぼさないことが明確となった.以上をまとめると,Z-103は,ラット各種実験胃損傷,並びに十二指腸潰瘍モデルに対して著効を示し,その抑制効果は抗分泌作用によるものではなく,若干の制酸効果,および防御因子増強作用(mucosal protection作用,胃粘膜関門,並びにmucus bicarbonate barrierの恒常性維持作用)によるものが主体であろうと考えられる.よって,本薬剤はヒトにおいても防御因子増強型潰瘍治療薬として,十分に期待できるものと考えられる.
著者
伊藤 俊一 久保田 健太 隈元 庸夫 森山 秀樹
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-51, 2009
被引用文献数
2

慢性腰痛に対する筋ストレッチングとセルフエクササイズの効果に関して検討した.<br> 研究デザインは無作為化対照試験とし,外来受診からの治療期間を最大3カ月間として,コントロール群と,SLRと体幹筋強化を行ったエクササイズ1(E1)群,SLRと体幹筋強化とさらに腰背部ストレッチング加えたエクササイズ2(E2)群として,3カ月後,6カ月各群の痛みと身体機能変化と健康関連QOLをご検討した.<br> 結果,E2群では痛みおよび身体機能は3カ月以内の改善を認め,E1群も6カ月では同様の結果を示した.痛みの軽減と最も関連が高かった項目は,体幹の柔軟性と伸展筋力であった.<br> 以上の結果,慢性腰痛にけるセルフエクササイズによる体幹伸展筋力強化と柔軟性の改善を優先しての外来でのフォローアップは,疼痛および身体機能改善と患者満足度の改善により効果的と考えられた.
著者
吉森 賢
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.121-135, 2011-07-28 (Released:2011-08-04)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本研究はドイツの医療関連の同族大企業二社メルク株式合資会社とフレゼニウスSE社の企業統治制度を明らかにすることを目的とする。ドイツの企業統治の背景として日本と比較して,同族大企業が多い。この所有構造の原因と結果は同族企業に適した会社の多様な法的形態の選択可能性にある。両社に共通する企業統治の目的は企業の独立性永続化と外部資金調達手段の確保である。メルク社は株式合資会社の採用により無限責任出資者としての経営権を確保しつつ市場から資金を調達する。フレゼニウス社は公益財団を持株会社として利用しつつ,これが二次持株会社を支配し,これがさらに事業会社を支配するピラミッド方式により企業集団の独立性を確保する。資金調達は資本金の50%の無議決権優先株発行によりなされると同時に敵対的買収から防衛される。2010年12月時点でフレゼニウス社は法的形態を現行のFresenius SEを無限責任出資者とする株式合資会社SE&Co.KGaAに変更中である。この新組織を説明した。これにより公益財団の独立性は向上すると期待される。また発行済の無議決権優先株を議決権付き普通株に転換中であり,株主による監督機能が向上する。両社の企業統治を評価し,日本の医療関連企業への示唆を提示する。
著者
小林 麻紀 酒井 奈穂子 大町 勇貴 森田 有香 根本 了 大塚 健治
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-7, 2021-02-25 (Released:2021-03-04)
参考文献数
6

畜産物中のアシュラム分析法について検討を行った.アシュラムは試料からアセトンで抽出し,アセトニトリル-ヘキサン分配で脱脂後,エチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲル(PSA)およびオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(C18)で精製し,LC-MS/MSで測定を行い,絶対検量線法で定量した.4品目の畜産物(牛の筋肉,牛の脂肪,牛の肝臓,牛乳)を対象に残留基準値濃度または一律基準値濃度(0.01 ppm)における添加回収試験を行った結果,真度(n=5)は92.7~98.7%,併行精度は3.1~11.6%と良好であり,定量限界は0.01 mg/kgであった.
著者
岡本 佳之 高柳 毅 釣谷 浩之 佐山 利彦 上杉 健太朗 星野 真人 長瀬 達則 森 孝男
出版者
公益財団法人 高輝度光科学研究センター
雑誌
SPring-8/SACLA利用研究成果集 (ISSN:21876886)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.497-501, 2015-07-21 (Released:2021-01-15)
参考文献数
3

SPring-8における放射光光源を利用したX線マイクロCT装置(SP-μCT)を用い、フリップチップのSn-Ag-Cu鉛フリーはんだ接合部を対象として、デジタル画像相関法による、ひずみ分布の非破壊計測の可能性について検証を行った。ひずみ計測の前段階として、変位ベクトルの粗探索を行った結果、Ag3Sn相のような特徴点の周囲では、比較的高い精度で、ひずみ計測を行うことができる見通しが得られた。今後、追加の実験を行うことでマイクロ接合部における新たな信頼性手法の開発が期待できる。
著者
戸島 雅宏 森野 良久
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-7, 2020-01-30 (Released:2020-01-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

国際リンパ学会分類病期IIの下肢リンパ浮腫患者36名46下肢を対象に,In Body770を用いて部位別細胞外水分量(ECW),細胞内水分量(ICW),総水分量(TBW)を測定し,下肢腫脹率,超音波皮下組織エコーフリースペース(FS)所見と対比,複合的理学療法(CDT)前後の変化を検討した.患肢ECW/TBW比0.410は健側0.391に比べ有意に高値で,下肢平均腫脹率とECW/TBWの患側/健側比に有意の相関を認めた.リンパ浮腫肢のFS分類3群間でECW/TBW比に有意差を認めた.CDT前後のECW/TBW比は,患肢で0.432から0.414へ,体幹で0.413から0.402へ有意の減少を認め,両上肢は変化を認めなかった.多周波数インピーダンス法による部位別水分量測定は,リンパ浮腫腫脹度,皮下エコー所見とよく相関し,CDT前後の水分変動を表示でき,リンパ浮腫の定量的評価法として有用と考える.
著者
森谷 潔 伊藤 真次
出版者
THE PHYSIOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
The Japanese Journal of Physiology (ISSN:0021521X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.775-790, 1969 (Released:2011-06-07)
参考文献数
22
被引用文献数
11 13

Fatty acid composition of brown, as well as white, fat of the rat wasanalyzed. Oleic, linoleic and palmitic acids accounted for more than 80 per-cent of the total fatty acids in brown fat. The proportion of linoleic acidwas markedly higher and that of palmitic acid considerably less in the brownfat of female rats than in that of male rats. Although differences weresmall, palmitoleic, myristic and lauric acids were less in female brown fat.In white fat the sex differences were small. Total saturated fatty acids weresignificantly less in the males than in the females in both brown and whiteadipose tissues. The sex differences observed in normal rats disappeared 2weeks after gonadectomy.In brown fat of rats exposed to cold, oleic acid decreased progressively, while linoleic acid and to, a less extent, stearic acid increased. The propor-tion of palmitic acid was reduced 24 hours and 1 week after the cold andpalmitoleic acid progressively in the cold. The percentage of total satu-rated fatty acids decreased 24 hours after the cold, but tended to increase thereafter.Changes in the fatty acid composition of white fat of rats exposed tocold were small. The only acid to show a significant decrease was palmiticacid.Starvation for 5 days induced a relative decrease of palmitic acid andan increase in stearic acid in both brown and white adipose tissues. A decrease in myristic acid was observed only in brown fat and there was anincrease in linoleic and linolenic acids in white fat. In both adipose tissuestotal saturated fatty acids decreased significantly, but the changes weremore pronounced in white fat.
著者
坪根 恵 長谷川 彩子 秋山 満昭 森 達哉
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2021-SPT-41, no.43, pp.1-8, 2021-02-22

学校教育におけるタブレット端末や PC 利用の普及に伴い,児童がパスワードを利用する機会は増加している.その一方で,国内では,パスワード教育に関する統一した指針がなく,小中学校で用いている教材や,教材内に記載されている項目やレベルは様々である.本研究は,国内で発行されている児童向けセキュリティ教材の実態調査を実施する.具体的には,教科書及び地方行政機関が独自に発行しているパスワード啓発資料を調査し,特にパスワード・プラクティスに関連する内容分析を行なった.調査の結果,(1) 教科書は出版社によって取り上げている項目は大きく異なり,パスワード・プラクティスをそもそも取り上げていない教科書もあれば,2021 年現在では既に推奨されていないプラクティスを未だ更新していない教科書も確認できた.(2) 児童向けパスワード啓発資料を作成している都道府県はわずか 7 県であり,各資料が取り上げている項目にも差がみられた.これらの結果は,教育機関が採用する教材によって内容に大きな差があること,およびその差が児童が得るセキュリティ知識の差につながることを示唆する.
著者
金森 千春
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.209-212, 2020

<p>本研究は,COVID-19による臨時休業下の2020年3-6月の4ヶ月間のオンライン授業の実践や使用した様々なツールを総括し,その特徴と効果をまとめる.また,学習者アンケートをもとに検証する.その結果から学習者の学びと確かな学力を保証するオンライン授業のあり方を提言する.</p>
著者
森 裕生 網岡 敬之 江木 啓訓 尾澤 重知
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.13-24, 2017-12-01

学期を通した学習内容の振り返りを促進するために、学生が「自己評価基準」「自己評価点」「自己評価基準の説明及び自己評価点の根拠」を検討する課題を取り入れた大学授業を2年間にわたり研究対象とした。1年目は最終回の授業で授業前と授業後の学生自身の「成長」に関するワークを、2年目は1年目の実績に基づいて授業デザインを変更し演習課題を通して身についた「能力・スキル」に関するワークを導入した。学生の提出した自己評価課題を質的に分析した結果、1年目は自己評価基準の51%にグループワークや演習課題の取り組み等の「授業形式」に関する自己評価基準が取り上げられた。授業デザインの変更を行った2年目は「授業形式」に関する自己評価基準は13%に減少した。また2年目は1年目と比較して(1)授業外で授業内容の応用に関する自己評価や自身の演習課題の回答などの学習プロセスに着目した自己評価が行われたこと、(2)自己評価基準の説明と根拠として、学生自身の学習プロセスと授業外での知識の応用に関する活動を融合させながら自己評価が行われたことなどが明らかになった。
著者
江森 健太郎
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.27, pp.5, 2005

<br> 最近市場でペリステライト、ハイアロフェン等の長石が見かけられるようになった。それらの長石についての特徴と鑑別に際する注意点について、通常見られる長石類と比較しつつ述べる。<br> ペリステライトは約2~19mol%のアノーサイト成分を持つ低温型斜長石でありイリデッセンスを放つラブラドーライトと同じように100nmオーダーのラメラ構造を呈している鉱物である。ムーンストーンと非常によく似た外観を持ち、屈折率、比重だけでは区別することが難しい。また、ムーンストーンと類似した外観をもつラブラドーライトについても述べる。<br> ハイアロフェンはバリウム長石であるセルシアン(celsian;BaAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>)と正長石(orthoclase;KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>)の中間組成を持つ長石である。屈折率が斜長石系列の中間程度を示し、誤鑑別を生む原因となる。<br> これらの長石は赤外分光法(FT-IR)で簡易的に鑑別することが可能であるが、正確な鑑別には蛍光X線分析装置(EDS)を用いて組成を直接分析することが望ましい。