著者
森田 秀行 小西 徹也
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.215-220, 1982-02-25

High performance liquid chromatography (HPLC) by use of a reverse phase column (TSK LS410K) was applied to determine the residual dithiothreitol, iodoacetamide and oxidized dithiothreitol in the alkylated human immunoglobulin (AHIG). After extraction by ethyl acetate, the above compounds were separated by HPLC with MeOH-H_2O (60 : 40 v/v) as solvent. Determination was completed within 5 min with high reproducibility. Less than 0.5 ppm for each residual substance could be quantitated. The method was quite suitable for the routine analysis of the residual contaminants in AHIG.
著者
遠藤 智子 ヴァタネン アンナ 横森 大輔
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.160-174, 2018-09-30 (Released:2018-12-26)
参考文献数
29

本研究は,フィンランド語・日本語・中国語における先行発話に重なって開始される応答,特に同意的応答について,対面会話の録画をデータとして検討する.会話分析の手法を用いた分析により,まず,完結可能点より早い位置で同意を開始することは,話題に関する認識的独立性を主張し,同意的応答が持つ行為連鎖上の従属的な性質を調整するということに動機づけられていることを示す.重なって開始される同意的応答の構造的特徴として,(1)同意のパーティクル+理解の提示および(2)認識性に関する修正を含む繰り返しという2つのパターンが3言語に共通して見られた.また,重ねられる側の発話には,条件節や因果節による複文構造やトピック–コメント構造が3言語に共通して見られた一方で,フィンランド語と中国語ではSVX語順が,日本語では引用構文が観察された.これらの構造は,その前半または初めの部分が次にどのような内容が産出されるかを強く投射するため,聞き手が完結可能点よりも早く応答を開始することを可能にする.本研究は,発話の開始位置と発話の言語構造を調整することによって会話参与者間の知識状態に関する相対的な位置取りを交渉するということが,人類の文化に(あるいは少なくともここで取り上げた3言語に)共通してみられる普遍的なプラクティスであることを示唆するものである.
著者
森島 繁生 稲見 昌彦 野嶋 琢也 暦本 純一 小池 英樹 持丸 正明
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

従来のVR/AR等,Cyber空間に関連する最先端研究においては, 空間の拡張・歪曲が主な研究課題となっており, 情報空間の時間軸自体を歪曲させる研究はあまり例がなかった. 空間だけでなく時間をも主観的に違和感なく歪曲させた現実歪曲時空間内での経験や訓練がPhysical世界での人の行動・知覚に与える影響を調査することが本研究課題である. 具体的な研究対象として,スポーツ,語学訓練等を例に取りあげ,具体的な現実歪曲時空間構成技術の確立および評価システム構築を行い,時間を歪曲されたCyber世界での経験や訓練の成果が,Physical世界にフィードバックされる効果を検証することが研究目的である.
著者
森田 幸 根ヶ山 清 三好 そよ美 木内 洋之 梶川 達志 末澤 千草 上野 一郎 村尾 孝児
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.294-299, 2014-05-25 (Released:2014-07-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2

食用鶏腸管内容物と市販鶏肉を対象にESBL産生E. coliの保菌・汚染状況を明らかにするとともに,分離株のESBL遺伝子型や分子疫学的関連性から汚染経路について検討を行った.食用鶏腸管内容物の65.1%(71/109検体)から88株のESBL産生E. coliが分離された.市販鶏肉では68.0%(34/50検体)から47株が分離された.ESBL遺伝子型は腸管内容物由来株では,CTX-M2型の占める割合が65.9%と最も高かったが,市販鶏肉由来株では,遺伝子型の偏りは認められなかった.養鶏場別のPFGEの結果,類似したバンドパターンを示す株が認められた.以上のことから,ESBL産生菌は養鶏場内で伝播することにより飼育段階で広く保菌されていると考えられた.さらに,事前に見学した食肉加工場の様子から,その処理工程においてESBL産生菌による鶏肉の汚染が拡大している可能性が推察された.
著者
薄田 学 坂田 祐輔 山平 征二 春日 繁孝 森 三佳 廣瀬 裕 加藤 剛久 田中 毅
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2016-03-04 (Released:2017-09-22)

微弱な光により発生する光電子をアバランシェ増倍して出力する,電荷増倍型のCMOSイメージセンサを開発した.本イメージセンサは,低欠陥のシリコン基板内部に光電変換部と電荷蓄積部を分離して配置し,その間にp-n接合からなるアバランシェ増倍部を設けることで,光電子のみを10^5倍に増倍して読出し回路へ出力する構造を実現している.これにより,照度0.01luxの薄暗い環境下で自然なカラー撮像を実現した.また,印加電圧を制御して増倍率を調整することで,明るい環境でも暗い環境でも撮像を可能にし,ダイナミックレンジ100dBを達成した.本センサは,アバランシェフォトダイオード(APD)とトランジスタとを同一基板内に積層しており,APD搭載で世界最小3.8μm画素サイズのメガピクセルCMOSイメージセンサを実現している.
著者
森下 要治
出版者
広島大学文学部
雑誌
広島大学文学部紀要 (ISSN:04375564)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.119-137, 1995-12
著者
阿部 健太郎 三浦 智史 藤城 法子 沖崎 歩 吉野 名穂子 青木 茂 内藤 明美 真野 泰成 齊藤 真一郎 山口 正和 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.85-91, 2021 (Released:2021-03-22)
参考文献数
15

【目的】進行がん患者の遺族からみた多剤併用の状況と内服負担に関する体験や認識を明らかにする.【方法】がん患者の遺族303名に自記式質問票を郵送し,回答を得た.1回6錠以上の内服を多剤併用群,1回6錠未満の内服を非多剤併用群とし,内服負担や体験,認識について単変量解析を行った.102名の結果を解析した(有効回答率33.7%).【結果】多剤併用群(65名)は,非多剤併用群(37名)よりも遺族が患者の内服負担を感じた割合が高値であった(43.1% vs 10.8%,p<0.01).内服負担が少ない服用方法としては,現状よりも1回の服用錠剤数を減らしたいと希望していた.多剤併用群の遺族は,内服薬が多いことの懸念が強く,医療者からの内服薬に関する説明や相談できる医療者を希望していた.【結論】医療者は,服薬状況の確認とともに薬に関する家族の懸念についても十分に配慮する必要があることが示唆された.
著者
大森 侑 木村 啓二
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2021-ARC-244, no.1, pp.1-10, 2021-03-18

バイトアクセス可能な不揮発性メモリ素子で構成された不揮発性メモリ(NVMM)が注目を集めている.NVMM は従来の主記憶に比べて記憶容量や消費電力に優れ,補助記憶と同じく不揮発でありながら高度なデバイスドライバを経由せずアクセスできる.その反面,レイテンシの大きさやリード性能とライト性能の非対称性などの特性を持つ.NVMM の性能と特性を十分に活かすには,ハードウェア・ソフトウェアの両面からシステムが最適化される必要がある.これに対し筆者等は,複数の NVMM アーキテクチャを柔軟かつ詳細に評価可能な NVMM エミュレータを ARM コアを持つ FPGA 評価ボード上に実装し,OS を含めたシステム全体を実用的な時間で評価できる環境を構築した.本稿では,RISC-V CPU を持ち Linux が動作する RISC-V NVMM エミュレータを提案する.本エミュレータは RISC-V コアを持つオープンソースの SoC をベースのデザインとして採用することにより,CPU コアの改変が可能であり,また,信頼実行環境(Trusted Execution Environment: TEE)である Keystone が利用可能となる.本エミュレータの NVM エミュレーション機構は,ARM ベースのエミュレータで使用していた高速なハード CPU の使用を前提とする手法を改良し,低速なソフト CPU でも局所性等のメモリアクセス特性を反映した評価を可能とする.さらに,ユーザ空間からのキャッシュ制御も可能とする.本エミュレータの Linux 及び Debian OS の動作確認後,Debian 上で SPEC CPU 2017 ベンチマークを用いた評価を行い,提案手法のみが局所性やリード・ライト比の NVMM 向け最適化手法で考慮されるべきアクセス特性を十分に反映できることを確認した.
著者
後藤 伸之 山田 成樹 藤森 研司
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.165-168, 2014-02-28 (Released:2014-04-02)
参考文献数
5

Objective: The purpose of this study was to clarify the importance of therapeutic drug monitoring (TDM) at acute care hospitals using Diagnosis Procedure Combination (DPC) data.Methods: We used DPC data from about 3,500,000 inpatients at about 950 acute care hospitals.  The investigation period was from July 2010 to December 2010.  Patients were divided into 2 groups: TDM intervention (n=22,012); and non-TDM intervention (n=26,400).  We compared the clinical indicators (length of hospital stay, payment based on performance and drug costs) and use of antimicrobials.Results: TDM intervention was carried out in 45.5% patients for whom an anti-MRSA agent was prescribed.  The duration of anti-MRSA agent administration was significantly longer in the TDM intervention group than in the non-TDM intervention group.  The total daily cost of anti-MRSA agents was significantly lower in the TDM intervention group than in the non-TDM intervention group.Conclusion: Our results suggest that TDM intervention is often performed for seriously ill patients who require continuous treatment.  TDM intervention may prevent adverse reactions as a result of adjusting the dosage of the anti-MRSA agent.
著者
玉川 奨 香川 宏介 森田 武史 山口 高平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.386-395, 2014-07-01 (Released:2014-06-18)
参考文献数
8
被引用文献数
2

Here is discussed how to build up Japanese vocabulary for Japanese Linked Open Data. The vocabulary is constructed by mapping properties of the Japanese Wikipedia Ontology to the Linked Open Vocabularies. The Japanese Wikipedia Ontology is a large scale ontology learned from the Japanese Wikipedia. It includes many properties and property relations (property domains and property ranges). The Linked Open Vocabularies is a large cloud for vocabularies of Linked Open Data. We construct a Japanese vocabulary semi-automatically by mapping properties to vocabularies. Experimental case studies show us that we can use the built Japanese vocabulary as a general vocabulary for building Japanese Linked Open Data.
著者
藏田 伸雄 森岡 正博 村山 達也 久木田 水生 古田 徹也 鈴木 生郎 八重樫 徹 吉沢 文武 杉本 俊介
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、「人生の意味」に関するメタ倫理学的研究と「死」の形而上学的研究との関連を、「人生の意味」についての規範的議論を手掛かりにして検討する。さらに「人生の意味」という概念の規範性について批判的に検討する。またこの分野での主張に見られる、「人生の意味」に関する命題についても真理条件が成立するという前提について検討を進める。そして決定論的な世界観を採用することは、「人生の意味」の価値を減じるのかという問題について分析する。
著者
原田 晋 森山 達哉 谷口 雅輝 森岡 芳雄
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1283-1288, 2017-07-01

64歳,女性。健康食品として春ウコン粉末を初めて服用した直後よりアナフィラキシー症状が出現。プリックテストで秋ウコンのターメリックは陰性であったが,春ウコンが陽性であったことより,春ウコンアレルギーと診断した。ウコンアレルギーの既報告は接触皮膚炎や多発性固定薬疹など遅延型アレルギーの機序に基づく症例が大部分で,即時型アレルギーの既報告は接触蕁麻疹症例のみであり,自験例はウコン摂取によりアナフィラキシーをきたした世界初の報告と考えた。また,既報告では同定し得た症例のほぼ全例で,秋ウコン中の主成分であるクルクミンが原因抗原であったが,自験例ではクルクミン以外の抗原が原因抗原である可能性が考えられた。
著者
江森 一郎 竹松 幸香
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学教育学部紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:02882523)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-17, 1997-02

幕末の下級武士の間には、儒学や武道などの武士が当然習得すべきとされた分野の他に、さまざまな伝統文化の習得が広く普及していた。加賀藩の場合とくにこの傾向が顕著だったと思われ、謡曲をはじめ、生け花、茶道、笛、算術、囲碁、将棋なども広く普及していた。この論文ではこの度入手した加賀藩与力・中村豫卿の日記の弘化・嘉永年間(1844~53)の部分を主として使い、中村豫卿を中心とした学習・教育や趣味活動の実態の概要を紹介する。
著者
高宮 正貴 児島 博紀 生澤 繁樹 橋本 憲幸 室井 麗子 森岡 次郎 杉田 浩崇 虎岩 朋加 平石 晃樹 鵜海 未祐子 関根 宏朗 岸本 智典 市川 秀之 田中 智輝
出版者
大阪体育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

これまで、教育学と政治学の接合の仕方は、①教育政策を政治学の方法で分析すること、②シティズンシップ教育として政治「を」教育すること、の2点に止まっていた。しかし本研究では、教育の規範を問う観点から、上記の接合の仕方とは異なった以下の3つのあり方を探究する。【1A】教育政策をいかに正当化すべきか(教育の分配的正義)【1B】教育は人々の生にどのように作用し、いかに包摂と排除を可能にしているのか(教育の生政治)【2】統治の対象かつ主体でもある人間は、いかにして形成されるのか(政治的主体の育成)これらの探究を通して、正義論、権力分析、市民性教育論を統合することで、規範的教育学の再構築を行う。