著者
森田 みゆき
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.469-475, 2015
被引用文献数
1

<p>酸化還元酵素であるペルオキシダーゼを環境に配慮した繊維加工や洗浄配合剤へ利用するため,熱耐性,溶媒への耐性,pH特性,反応の活性化などを検討した。ペルオキシダーゼは,広い基質特異性を有する。広いpH範囲で種々の水素供与体と反応することがわかった。水素供与体との反応速度は,水素供与体の酸化電位によって影響を受けることがわかった。由来の異なるペルオキシダーゼは種々の耐性や反応特性が異なることがわかった。モミガラ由来ペルオキシダーゼは,熱耐性や有機溶媒耐性や過酸化水素耐性に優れていることがわかった。ペルオキシダーゼの由来による耐性の違いや,反応特性の違いを利用して,利用目的に合わせて反応性をコントロールできることを明らかにした。西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼとモミガラ由来ペルオキシダーゼを中心に反応機構についても述べる。</p>
著者
川森 博司
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-21, 1991-03-30

The two main topics of Japanese folktales are marriage and fortune-making. This thesis analyzes the latter type of folktales in an attempt to reveal the spirit of people who lived in a typical Japanese village community to hand down these pieces of folktales.Significant among the type of fortune-making folktales are stories characterized by antagonism between I-the main character who makes a fortune and II-another character who fails to make a fortune. The antagonism is expressed in various combinations of conflicting parties such as a man and his wife, a man and his neighbor, or a man and his real brother or stepbrother, among which the preferred one in Japan is that of a man and his neighbor.In the Amami and Okinawa islands, however, a type of antagonism between ‘a man and his brother’ appears in a high ratio depending on some kinds of stories. Detailed analysis of folktales in the Amami and Okinawa islands is expected to identify the difference from folktales in the main land of Japan so that the nature of antagonism between characters in Japanese folktales may be better understood.The Japanese features may also be more clearly understood by comparing her folktales with that of other nations to reveal their similarities and differences. For example, in Korea, a type of antagonism between ‘a man and his brother’ appears more frequently in their folktales. More careful comparison, however, requires a classified collection of materials from various countries, based on which international comparison should be made.The fact that a type of antagonism between ‘a man and his neighbor’ is the preferred type in Japanese folktales indicates that the relationship with neighbors was of main concern to people in a typical Japanese village community. Folktales provide valuable resources for investigating their inner world.
著者
山口 一 伊澤 康一 鈴木 令 田中 昭司 森山 宏二
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成22年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1235-1238, 2010-08-12 (Released:2017-08-31)

Biological terrorism and pandemic outbreak such as a new influenza virus or SARS have become a problem. In addition, facilities environment of a high standard included an anti-microbe measure is expected at pharmaceutical plants and food factories. This paper reports the examination of the anti-microbe measure with the chlorine-based chemical in the biological cleanroom and the results of confirmation that the above measure could be used for sterilization in the buildings, and the subjects for future study.
著者
栗田 健 明田 真樹 森 基 大石 隆幸 高森 草平 小野 元揮 木元 貴之 岩本 仁 日野原 晃 田仲 紗樹 吉岡 毅 鈴木 真理子 山﨑 哲也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1390, 2012

【目的】 先行研究で投球障害肘群は肩群に比べ手内筋の筋力低下を有していることが分かった。このことは手内筋が効率よく機能せずに、手外筋を有意に働かせてボールを把持することで、手・肘関節への影響が大きくなることが示唆された。しかし手内筋機能不全が投球動作の繰り返しで生じたものか、もともと機能不全が存在したことにより投球障害肘の原因となったのかは不明であった。そこで今回我々は手内筋機能不全が多く認められた投球障害肘群において、投球による影響がない非投球側の評価を行い、両側に機能不全を有する割合について調査したので以下に報告する。【方法】 対象は、投球障害肘の診断により当院リハビリテーション科に処方があった20例とした。対象は肘単独例のみとし、他関節障害の合併や既往、神経障害および手術歴を有する症例は除外した。性別は全例男性で、年齢は、平均16.4±5.1歳(11歳~34歳)であった。観察項目は、両側の1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)と2. 母指・小指対立筋の二項目とした。共通肢位として座位にて肩関節屈曲90°位をとり、投球時の肢位を想定し肘伸展位・手関節背屈位を保持して行った。1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)は、徒手筋力検査(以下MMT)で3を参考とし、可能であれば可、指が屈曲するなど不十分な場合を機能不全とした。2.母指・小指対立筋も同様に、MMTで3を参考とし、指腹同士が接すれば可、IP関節屈曲するなど代償動作の出現や指の側面での接触は機能不全とした。なお統計学的評価には、二項検定を用い、P値0.05未満を有意差ありと判断した。【説明と同意】 対象者に対し本研究の目的を説明し同意の得られた方のデータを対象とし、当院倫理規定に基づき個人が特定されないよう匿名化に配慮してデータを利用した。【結果】 投球障害肘の投球側虫様筋・骨間筋機能不全は、65.0%、に発生しており、そのうち健側にも認められたものが76.9%であった(統計学的有意差なし)。投球側母指・小指対立筋機能不全は、65.0%に発生しており、そのうち健側にも認められたものは53.8%であった(統計学的有意差なし)。一方、非投球側での機能障害をみると、両側に発生している比率が、虫様筋・骨間筋機能不全例では90.9%、母指・小指対立筋機能不全例では100%であった(統計学的有意差あり)。【考察】 我々は第46回日本理学療法学術大会において手内筋機能低下が投球障害肩より投球障害肘に多く認められることを報告している。しかし手内筋機能不全が伴って投球動作を反復したために投球障害肘が発生するのか、肘にストレスがかかる投球動作を反復したために手内筋機能不全が発生したのかは過去の報告では分からなかった。そこで今回投球していない非投球側の機能と比較することで投球による影響なのか、もともとの機能不全であるのかを検討した。今回の結果より、各観察項目での投球側・非投球側の両側に手内筋の機能不全を有する割合は多い傾向があったが、統計学的有意差はなかった。一方、非投球側に機能不全がみられた症例は、投球側の機能不全も有す症例が多く、統計的有意差もあることが分かった。このことより手内筋の機能不全は、投球の影響によって後発的に生じるのではなく、もともと機能不全を有したものが、投球動作を繰り返したことにより投球障害肘を発症している可能性が高いと考えられた。そのため投球障害肘の発生予防や障害を有した場合のリハビリテーションの中で虫様筋・骨間筋機能不全および母指・小指対立筋機能不全の評価と機能改善が重要であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 投球障害肘の身体機能の要因の中で手内筋である虫様筋・骨間筋や母指・小指対立筋に機能不全を有することが多いということが分かった。本研究から投球障害肘を治療する際には、評価として手内筋機能に着目することが重要と考える。また今回設定した評価方法は簡便であり、障害予防の観点からも競技の指導者や本人により試みることで早期にリスクを発見できる可能性も示唆された。
著者
宇賀 大祐 遠藤 康裕 森本 晃司 福原 隆志 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101342, 2013

【はじめに、目的】 野球選手において,肩関節障害はパフォーマンス低下や選手生命を左右する問題であり,その予防が重要となる.障害発生要因の一つとして,肩関節内外旋筋力バランスの不良があり,特に肩関節外旋筋力低下が問題になる.また,回旋筋腱板の付着部位である肩甲骨の安定化が重要視されているが,肩甲骨周囲筋の筋活動を報告したものは上肢挙上運動時のものがほとんどであり,外旋運動時の筋活動を報告したものは少ない.さらには,異なる上肢挙上角度における肩関節外旋運動時の肩甲骨周囲筋や棘下筋の筋活動特性を報告したものはほとんどないため,本研究では,表面筋電図を用いて,それらを明確にすることを目的とした.【方法】 肩関節に整形外科的疾患を有さない健常男性20名(年齢22.4±1.5歳,身長172.9±4.4cm,体重67.1±5.8kg)40肩を対象とした.表面筋電図の記録および解析は,能動電極(DL-141, S&ME Inc.),データ収録システム(Powerlab 16/35, AD Instruments),解析ソフトウェア(LabChart7,AD Instruments)を使用し,サンプリング周波数1,000Hz,デジタルフィルタは10-500Hzの帯域通過とした.被検筋は棘下筋,僧帽筋上部線維,僧帽筋中部線維,僧帽筋下部線維,前鋸筋の5筋とした.測定課題は,肩関節最大等尺性外旋運動とし,上肢下垂位,肩甲骨面45度,90度,135度挙上位の4肢位で実施した.体幹部をベルトで固定した椅座位にて,肘関節90度屈曲位,肩関節内外旋中間位とし,上腕遠位部は安定した台の上に設置させた.測定は5秒間実施し,中3秒間の各筋の波形の実効値を算出し,肩関節外旋運動時の筋活動量を求めた.筋活動量は,最大等尺性随意収縮(Maximum Voluntary Contraction:MVC)時の筋活動量で正規化し,%MVCとした.各肢位3回ずつ測定し,その平均値を算出した.算出項目は,各肢位における5筋の筋活動量および棘下筋の筋活動量に対する各肩甲骨周囲筋の筋活動量(以下,筋活動比)とした.統計学的処理は,IBM SPSS Statistics 21.0を使用し,各肢位における同筋の筋活動量および筋活動比の比較を,Friedman検定を行った後, Bonferroniの方法に基づいて有意確率を調節したWilcoxonの符号付き順位検定を用いて多重比較を行った.有意水準は5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の目的および内容, 対象者の有する権利について十分な説明を行い, 参加の同意を得た上で測定を実施した.【結果】 各肢位における筋活動量の比較では,棘下筋は97.3~64.8%MVCと挙上角度増加に伴い有意に筋活動が減少した.僧帽筋上部線維は,いずれの肢位においても有意差は認められなかった.僧帽筋中部線維および僧帽筋下部線維は,それぞれ59.1~41.0%MVC,70.9~54.7%MVCと,挙上角度増加に伴い筋活動が緩やかな減少傾向を示した.前鋸筋は,22.7~59.4%MVCと挙上角度増加に伴い筋活動が増加傾向を示した.各肢位における筋活動比の比較では,僧帽筋中部線維および僧帽筋下部線維は,それぞれ0.63~0.78,0.81~0.93と全挙上角度においてほぼ一定した筋活動比を示したが,僧帽筋上部線維および前鋸筋はそれぞれ0.31~0.65,0.24~0.99と挙上角度増加に伴い筋活動比が増加した.【考察】 肩関節外旋筋である棘下筋の効率的な外旋トルク発生のためには,付着部位である肩甲骨の安定化が重要であり,肩甲骨周囲筋の協調的な作用が重要となる.今回の結果から,僧帽筋中部線維および下部線維は,全挙上角度において,棘下筋に対し中等度以上の一定した活動をすることが分かった.また,挙上角度増加に伴い前鋸筋の貢献度が大きくなった.僧帽筋中部線維および下部線維は,棘下筋や前鋸筋による肩甲骨外側偏位力に抗して常に内側に引きつける作用として重要と考える.今回の測定方法では,挙上角度増加に伴いゼロポジションに近似した肢位となる.ゼロポジション肢位は,筋線維の配列から,本来上腕骨の回旋が生じないとされているため,外旋トルク発生には肩甲骨の後傾運動も必要となる.前鋸筋は肩甲骨後傾作用を有する唯一の筋であるため,挙上角度増大に伴い筋活動が増加したと考えられ,肩甲骨安定化,外旋トルク発生の両方の働きを担ったと考えられる.肩関節は可動範囲が大きく,特に野球などのオーバーヘッドスポーツにおいては,挙上位での動作が要求される.このような対象者のより動作を想定した評価およびトレーニングを実施するためには,一定の角度のみでなく,様々な挙上角度で実施することが重要であると考えられる.【理学療法学研究としての意義】 肩甲骨安定化には多数の筋が貢献するが,上肢挙上角度の変化に伴いそれらの筋の貢献度が異なり,また回旋トルクの力源にもなりうるため,様々な上肢挙上角度での評価の重要性や,目的動作に応じた挙上角度を設定してトレーニングすることの重要性が示された.
著者
祝 広孝 大通 恵美 大城 広幸 猿渡 勇 森川 綾子 野中 昭宏 古野 信宏 近藤 真喜子 坂田 光弘
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb0480, 2012

【はじめに、目的】 我々は第44回学術大会において骨格筋の筋腱移行部に軽い圧迫刺激を加えることにより筋緊張抑制効果が得られることを報告した.同様の効果が腱骨移行部への刺激によっても得られることが確認され,それらを組み合わせて「筋腱移行部及び腱骨移行部刺激:Muscle tendon junction and Enthesis stimulation」(以下,MES)と称し臨床に用いている.MESは速効性に優れ,評価や治療場面で広く応用できる手技である.そこで今回,MESの実施方法を紹介すると共に足関節背屈可動域と肩関節外旋可動域及び屈曲可動域に対し前者は腱骨移行部,後者は筋腱移行部を刺激部位としてMESの効果を検証し,MESの臨床における有用性について報告したい.【方法】 <u><b>MESの実施方法</b></u>骨格筋の筋腱移行部もしくは腱骨移行部に対し,軽い圧迫刺激(圧迫力は筋腱移行部で1kg-3kg,腱骨移行部では0.5kg程度)を加える.筋緊張抑制に必要とする刺激時間は1秒-5秒程度であるが,関節可動域練習や筋力増強練習時においては刺激を持続しながら行うと効果的である. <u><b>対象</b></u>検証1:足関節背屈可動域では成人15名(男性8名,女性7名,年齢31.9±9.0歳)30肢を対象に,検証2:肩屈曲・外旋可動域では成人17名(男性10名,女性7名,年齢31.6±8.7歳)のなかで,肩屈曲制限があり尚且つ外旋可動域に制限を有した24肢(右11肢,左13肢)を対象とし,各々MESを行うMES群とMESを行わないControl群(以下C群)に分けた(検証1:MES群15肢,C群15肢/検証2: MES群12肢,C群12肢).<u><b>方法</b></u>検証1)足関節背屈可動域へのMES効果(腱骨移行部を刺激部位に選択):MES実施肢位は仰臥位,下肢伸展安静位にて後脛骨筋停止腱の腱骨移行部(舟状骨後縁)及び短腓骨筋停止腱の腱骨移行部(第5中足骨底後縁)に対し,触れる程度の触圧刺激を同時に5秒間加え,MES実施前後で股・膝関節90°屈曲位での自動背屈可動域を1°単位で測定.C群についてはMES実施時の肢位にて5秒間の休憩を入れ休憩前後の角度を測定した.検証2)肩屈曲及び外旋可動域へのMES効果(筋腱移行部を刺激部位に選択):MES群における刺激肢位は仰臥位.肩屈曲120°-130°位で大円筋線維が広背筋停止腱に停止する筋腱移行部(腋窩後壁前面)に対し軽い圧迫刺激を5秒間実施.MES前後で端坐位での肩屈曲可動域を,仰臥位にて肩外転90°,肘屈曲90°での肩外旋可動域を1°単位で各々測定した.C群に関しては検証1と同様.統計処理には検証1,検証2共にMES(C群:休憩)前後の角度変化の比較にはWilcoxonの符号付順位和検定を,MES群とC群の角度改善率の比較にはWilcoxonの順位和検定を用いた.【倫理的配慮、説明と同意】 全ての対象者には事前に本研究の趣旨を十分に説明し,同意を得た上で実施した.【結果】 検証1)C群においては休憩前後の背屈角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,MES前24.8±7.4°,MES後28.4±6.4°と有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においてもMES群で有意な差(P<0.01)が認められた.検証2)C群においては休憩前後の肩外旋可動域及び屈曲可動域の角度に有意な差は認められなかったが,MES群においては,肩外旋可動域でMES前74.3±7.8°,MES後86.6±7.0°,肩屈曲可動域でMES前144.8±6.9°,MES後154.5±7.3°と両可動域で有意な差を認めた(P<0.01).またC群との角度改善率の比較においても外旋・屈曲可動域各々でMES群に有意な差が認められた.【考察】 ストレッチングの筋緊張抑制効果として知られるIb抑制は筋腱移行部に存在するゴルジ腱器官(以下GTO)からのインパルス発射に起因する.GTOはその発射機序より筋腱移行部の圧迫刺激による変形によってもインパルスを発射する可能性があり,大円筋の筋腱移行部への刺激による可動域改善にはIb抑制の関与が推測される.腱骨移行部刺激による効果については,多くの筋が腱骨移行部またはその間近まで筋線維を有することが知られており,それらの筋においてはGTOの働きが関与していると思われる.しかし今回刺激部位とした後脛骨筋や短腓骨筋停止腱の腱骨移行部については筋線維の存在は確認されておらず,今後その機序の解明に努めていきたい.【理学療法学研究としての意義】 MESは解剖学的知識と触察技術を用いて触れる行為そのものに目的を持たせた手技であり,本研究によって理学療法士の技術向上に寄与できればと考える.
著者
今村 貴浩 遊佐 真一 森島 洋太郎 藤井 秀司 中村 吉伸
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子学会予稿集 第58回高分子討論会
巻号頁・発行日
pp.3335, 2009 (Released:2011-09-01)

親水性のポリエチレングリコール(PEG)と疎水性のポリスチレン(PSt)、pH応答性の親水性ポリマー(PDEA)とPStから成る2種類の両親媒性ブロック共重合体をRAFT重合で合成し、水中で両者を混合してPStから成るコアとPEGとPDEAの2種類のコロナ鎖から成る微粒子を合成した。
著者
上江田 勇介 松木 明好 澳 昴佑 森 信彦 野村 翔平 田中 宏明 奥野 浩司郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0586, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】Gaze Stabilization Exercises(GSE)は,立位で眼前のターゲットを注視しながら頭部運動を行い,眼球を頭部と逆方向,かつ同速度で動かす前庭眼反射を誘発するバランス練習である(Bhardwaj, et al., 2014)。このGSEによって,一側前庭機能障害によるバランス障害が改善する(Richard, et al., 2010)と報告されているが,前庭機能自体が改善することでバランスが改善しているのか,体性感覚や視覚の姿勢制御への貢献度が向上して改善するのかは明らかではない。そこで,GSE前後の立位重心動揺総軌跡長,および視覚,前庭覚,足底感覚の立位時感覚貢献度指数(Stephen, et al., 1994)を比較することで,GSEによって姿勢制御における前庭覚の機能に変化が生じるかを検討した。【方法】対象は健常成人12名(男性9名,女性3名,平均年齢22.5±1歳)とした。GSEは,立位にて1m先のターゲットを注視させたまま1Hzのビープ音に合わせて頭部を左右に回旋させる運動を1分3セット実施させる課題とした。頭頚部の左右回旋角度はターゲットを注視できる最大の角度とした。GSE前,直後,10分後(Pre,Post,Post10m)に,(A)開眼閉脚立位,(B)閉眼閉脚立位,(C)フォームラバー上で開眼閉脚立位,(D)フォームラバー上で閉眼閉脚立位の4条件の足圧中心移動総軌跡長を,各30秒ずつ記録した。前庭系機能の姿勢制御条件であるDの足圧中心移動総軌跡長を算出し,Pre,Post,Post10mで比較した。A,B,C,D時の足圧中心総軌跡長をそれぞれa,b,c,dとおき,X={(b-a)/b},Y={(c-a)/c},Z=a/dを算出し,視覚貢献度指数=X/(X+Y+X),足底感覚貢献度指数=Y/(X+Y+Z),前庭覚貢献度指数=Z/(X+Y+Z)を算出し,比較した。統計にはKruskal-Wallis検定,およびPre条件を対照群としてShirley-Williams検定を行った(α=0.05)。【結果】Pre,Post,Post10mにおける条件Dの足圧中心総軌跡長の中央値(第一四分位点)は130.8(114)cm,129.1(119.2)cm,120(110)cmであり,群間に有意差は認められなかった。Preに対するPost,Post10mの視覚貢献度指数は1.07(0.95),0.9(0.75),足底感覚貢献度指数は0.93(0.8),0.93(0.76),前庭覚貢献度は1.15(1.09),1.44(1.17)であった。Kruskal-Wallis検定の結果,前庭覚貢献度のみ群間に差を認め,Shirley-Williams検定によって,Preに対して,Post,Post10mが有意に高い数値であることが示された。【結論】前庭機能のバランス機能を観察するD条件の足圧中心軌跡長は群間で有意差を認めなかった。これは3分間のGSEは,前庭系の姿勢制御機能自体を有意に高めることはできないことを示す。しかし,各貢献度において,前庭覚のみが増加を示した。このことは,視覚,足底感覚,前庭覚の中で前庭覚の姿勢制御への寄与を一時的に高めることができる可能性を示唆した。この方法は,Sensory weightingの異常を有する高齢者や脳血管障害患者のバランス練習として有効かもしれない。
著者
高森 基史 小森 康雄 中島 仁一 千葉 博茂
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.283-292, 2005-03-10 (Released:2011-01-31)
参考文献数
21

In the diagnosis of HIV-infection, it is essential to carry out the check test after a screening test. If saliva can be used for this check test, the test is far safer to perform than a blood test. To investigate the potential for diagnostic misjudgment due to non-specific reactions, differences from the blood test, and the reliability of the check test, saliva samples from 20 HIV infected patients, 29 false-positive risk patients, and 34 healthy volunteers were checked via the test. Similarly, the relationship between this check test and the result of the ELISA method of Orasure using saliva was investigated.By means of the test using saliva (the WB method), all HIV infected patients were detected as positive, while all healthy volunteers were shown to be negative. Regarding the false-positive risk patients, both saliva samples from the two persons detected as false-positive via the ELISA method using saliva were shown to be negative by this check test.The rate of appearance of non-specific bands for healthy volunteers and false-positive risk patients by the WB method was 42.2% in saliva samples, and 64.7 % in blood samples, indicating a higher rate of appearance in blood samples, relative to saliva samples. The molecular weight of most non-specific bands present in the saliva samples was approx. 80kDa, and bands corresponding to P25 and P18 were detected with high frequency in the blood samples. In 15 saliva samples from the false positiverisk patients, which were simultaneously inves tigatedusing the ELISA and WB methods, non-specific bands were detected in 6 samples, which were shown to be negative by the ELISA method, and in 2 samples, which were shown to be false positive by the ELISA method. In 6 of those 8 samples, bands with a weight of approx. 80kD were detected. In the measurement of pure saliva samples, bands with a weight of approx. 80 kDa were detected in 6 of 8 samples, only in parotid saliva. Circadian change in the non-specific reaction was demonstrated in 4 of 6 samples, which were immediately supplied from patients after a meal. All of these non specificreactions, however, had no effect on the results regarding diagnosis of HIV infection. Furthermore, no new band was detected in saliva samples to which a high-concentration of intra-oral microbe had been added. These results suggest that the HIV antibody test by salivasamples is a sufficiently reliable test.
著者
藤森 誠 伊藤 一成 DÜRST Martin J. 橋田 浩一
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.575-583, 2009-02-28 (Released:2016-01-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Pictograms are graphic symbols also called picture symbols. They are widely used, mainly in public accommodations. However, it is hard to say that meaning can be grasped quickly from a single pictogram. In most cases, pictograms are accompanied by some explanatory written text. In this paper, we propose a new method of displaying pictograms, displaying two slightly different pictograms successively, using the difference between the two frames to promote understanding. We limit ourselves to two frames because a higher number of pictograms makes it difficult to clearly express difference information and risks to confuse viewers more than help understanding. We experimentally evaluated the recognition properties of our new method. We showed one-frame and two-frame versions expressing the same content to 165 subjects and measured action time, percentage of correct answers, and semantic transparency. Using a Mann-Whitney U test, we found that in some problems, the semantic transparency was significantly (p < 0.05) higher for two-frame pictograms than for one-frame pictograms. Also, two-frame pictograms generally showed a better percentage of correct answers. We conclude that two-frame pictograms making use of difference information may contribute significantly to increasing pictogram recognition.
著者
大森 英之 守谷 直子 石田 三佳 大塚 舞 小橋 有里 本山 三知代 佐々木 啓介 田島 清 西岡 輝美 蔡 義民 三津本 充 勝俣 昌也 川島 知之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.189-200, 2007 (Released:2007-11-26)
参考文献数
33
被引用文献数
7 6

コンビニエンスストアから排出された消費期限切れ食品(コンビニ残さ)の肥育後期豚用発酵リキッド飼料原料としての利用について検討した.コンビニ残さを分別し,弁当めし,おにぎり,菓子パンを主体とする発酵リキッド飼料を調製した.4頭を対照区(新豚産肉能力検定用飼料)に,10頭を発酵リキッド区(FL区)に割り当てた.さらにFL区を5頭ずつCa無添加区(FLN区)とCa添加区(FL+Ca区)に分けた.FL区の肥育成績は対照区と遜色なく,胸最長筋内脂肪含量は対照区(2.9%)に比べて有意に高い値を示した(P<0.01,FLN区 : 4.9%,FL+Ca区 : 5.2%).またFL区の皮下内層脂肪中のリノール酸比率は対照区に比べて有意に低かった(P<0.01).FLN区とFL+Ca区の肥育成績および肉質に大きな差はなかったが,FL+Ca区で血清中総コレステロール濃度は有意に低い値を示した(P<0.05).以上の結果から,分別により粗脂肪含量を抑え,タンパク質源,ミネラル,ビタミンを適切に配合することで,コンビニ残さは肥育後期豚用発酵リキッド飼料原料として利用できることが示された.
著者
有田 直史 末永 勇作 岩森 正男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.759-765, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

末端にカルボキシル基をもつ可逆付加開裂型連鎖移動(RAFT-A)剤にスペーサーとして,分子量の異なるオリゴエチレングリコール(PEG-100, PEG-200, PEG-400)鎖とジニトロフェニル(DNP)基をエステル結合にて導入した 6 種類の RAFT-D~I を合成した.スチレン(St)の分散重合にこれらの RAFT 剤を用いることにより,ポリスチレン(PS)粒子表面を DNP-PEG で修飾した粒子径 2.1~2.3 µm の単分散型高分子微粒子を合成した.抗 DNP 抗体との免疫反応を試みた結果,牛血清アルブミンリン酸緩衝食塩水溶液中で 2,4-DNP 含有 PS(2,4-DNP-PS)微粒子と反応し,微粒子の免疫凝集反応を確認した.3,5-DNP 含有 PS(3,5-DNP-PS)微粒子や PS 微粒子では,同じ条件下で免疫凝集反応を示さず,均一分散を保持していたことから,抗 DNP 抗体は 2,4-DNP に対して特異的に反応することが明らかになった.