著者
長坂 行雄 土谷 美知子 坂口 才 中西 陽祐 味水 瞳 森川 昇 一瀬 増太郎 上田 桂子
出版者
洛和会ヘルスケアシステム
雑誌
洛和会病院医学雑誌 (ISSN:13411845)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-7, 2018-03-31

聴診器発明から200年になる。肺聴診は病態を即時に判断できる技術である。肺音は呼吸音(肺胞音、気管支音)と副雑音(ラ音、それ以外)に分けられる。肺胞音が聴かれる肺の大半で呼気がはっきり聴こえれば気管支音化である。軽度の気道狭窄や肺の硬化の可能性がある。ラ音は連続音のウィーズ、ロンカイ、ランブルと不連続音のクラックルに分けられる。連続音は気道狭窄で聴かれ胸部X線の異常を伴わない。不連続音は肺炎、間質性肺炎などの肺胞病変で聴かれ胸部異常陰影を認めることが多い。このような所見は聴診器をしっかりと当てて、患者に少し大きい息をさせることで得られる。前胸部と背部でそれぞれ4ヶ所聴診するのが基本であるが、各部位でよく聴かれる音の特徴を理解すれば聴き逃しなく、正確な所見が得られる。(著者抄録)
著者
森 直子 小柏 道子 山下 式部 藤井 わか子 上田 伸男 本間 裕人 鈴木 久雄 益岡 典芳 汪 達紘
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.191-200, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
44

野菜・果物摂取に関する心理社会的要因について性・年齢階級別の特徴をまとめた。 2011年10月-2013年6月の間、中国地方と近畿・九州地方の一部および関東地方に在住する18歳以上の男女3,179人を対象に自記式調査にて横断研究を行った。 高齢世代ほど野菜・果物の自己申告摂取量が多く、野菜の自己申告摂取量が多い者は、全年代とも「自己効力感」および「態度」の得点が高く、「障害」の得点は低いことが分かった。一方、果物摂取に及ぼす同要因として、全年代で「自己効力感」および「態度」、18-20歳代では「社会的支援」が重要要因であると推定された。同要因オッズ比を見ると「責任」、「自己効力感」、「態度」、「障害」、「態度」および「知識」は女性で世代差がある一方で、男性では「態度」および「知識」以外には差がなかったことから、性・年齢階級別に差があることを考慮し野菜・果物摂取量増加に向けた取り組みをする必要がある。
著者
平野 敏行 章 超樺 森下 昭寿 鈴木 健 白井 隆明
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.547-557, 1992 (Released:2008-02-29)
参考文献数
27
被引用文献数
22 35

The volatile compounds collected on a porous polymer Tenax TA from wild and cultured ayu fish were evaluated by GC-sniffing and identified by GC-MS. GC-pattern and odor quality of wild ayu were similar to that of cultured ayu. The main compounds responsible for a cucumber-like and/or watermelon-like aroma were identified as (E, Z)-2, 6-nonadienal, (E)-2-nonenal, and 3, 6-nonadien-1-ol; (E, Z)-2, 6-nonadienal play a significant role in the characteristic aroma of ayu. However, by the same analytical experiment, it was shown that carbon-9 carbonyls and alcohol were not detectable in river algae eaten by wild ayu and in artificial diets for ayu culture.
著者
森沢亀鶴編
出版者
学陽書房
巻号頁・発行日
1998
著者
森本 正和
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.895-914, 1997-06-01 (Released:2009-11-19)
参考文献数
40
被引用文献数
2

Aspects of the global utilization of nonwood plant fiber pulp are reviewed compared with that of woodpulp and waste paper, referring the data from FAO Yearbook 1994 and PPI July 1995. The ratio of nonwood pulp produced in the world attained to ca. 12% of all pulp produced in 1994. Characteristic differences between nonwood pulp and wood pulp, which are important to paper making use of them, are also reviewed on the point of morphological features of component cells and chemical composition of each pulp.
著者
森 功次 林 志直 秋場 哲哉 野口 やよい 吉田 靖子 甲斐 明美 山田 澄夫 酒井 沙知 原 元宣
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.249-255, 2007-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

ノロウイルス (NV) による集団胃腸炎の予防対策に資するため, ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属し, 培養可能であるネコカリシウイルス (FCV) を用い, ウイルス感染価と遺伝子量を指標に, 速乾性消毒剤 (クロルヘキシジン, 第四級アンモニウム塩ヨード化合物), ウェットティッシュ (クロルヘキシジン, 第四級アンモニウム塩安息香酸PHMB), 機能水 (強酸性電解水, オゾンのナノバブル水) の手指衛生効果の比較を行った.速乾性消毒剤にはいずれもウイルス除去効果はなく, ヨード化合物を含むものにのみ有意なウイルス不活化効果がみられた. ウェットティッシュでは界面活性剤を含む安息香酸およびPHMB含有品に強い除去効果と不活化がみられた. 機能水によるすすぎ洗いの効果が確認され, さらに石けんを用いることにより除去効果も強まる傾向がみられた.これらの検討から有効な手洗い方法の選択がウイルス性胃腸炎の発生予防および拡大防止策となることが示唆された.
著者
松木 圭介 菅谷 啓之 前田 和彦 森石 丈二 望月 智之 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.213-215, 2007 (Released:2008-01-30)
参考文献数
6
被引用文献数
14

The purpose of this study was to examine the anatomy of the infraspinatus including the orientation of muscle fibers and the insertion to the greater tuberosity. Ninety-three shoulders from 52 cadavers were minutely dissected. After resection of the acromion and removal of the coracohumeral ligament, the infraspinatus muscle was carefully investigated macroscopically. After the orientation of muscle fibers was confirmed, the muscle was peeled from the proximal part to the distal part and the insertion of the infraspinatus tendon was examined. In 4 shoulders, muscle fibers were completely removed in water and the direction and insertion of the tendon were examined. The infraspinatus muscle originated both from the inferior surface of the spine of the scapula and the infraspinatus fossa, and inserted to the greater tuberosity. The muscle fibers originated from the spine were running dorsally and horizontally to the greater tuberosity. On the other hand, the fibers from the fossa were running ventrally and diagonally to the greater tuberosity. These fibers were merged at the insertion. The infraspinatus tendon had vast insertion to the greater tuberosity, and the most anterior part of the tendon was inserted to the most anterior portion of the greater tuberosity, bordering on the most anterior part of the supraspinatus tendon. The supraspinatus tendon is regarded as the most affected tendon in rotator cuff tears. However, the results of this study suggested that the infraspinatus tendon could be involved in the majority of rotator cuff tears. The infraspinatus may act not only in external rotation but also in abduction, because the infraspinatus tendon was inserted to the most anterior part of the greater tuberosity.
著者
森 啓至 太田 明
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

パーキンソン病などの神経変性疾患においては、その発症原因について未だ明らかにされていないが、炎症性サイトカインの増加が発症原因の一つとして考えられている。さらにパーキンソン病では、ドーパミン細胞の変性・細胞死により種々の身体症状が現れるが、その初期症状として嗅覚異常や抑うつ状態が身体症状発現前から認められることが近年明らかとなってきた。一方、嗅覚伝達系の主要な部位である嗅球にはドーパミン細胞が存在し、嗅覚系において重要な機能を担っていると考えられる。このような背景から、lipopolysaccharide(LPS)を投与したマウスの嗅球を研究対象とし、炎症性サイトカインの嗅覚系に与える影響に関して詳細に検討を加え、神経変性疾患の病態解明の手掛かりとなることを期待し本研究課題を実施した。その結果、マウスへのLPS投与により嗅球内のTNFαおよびTNFαを介したアポトーシス誘導に関連する遺伝子発現が増加することを確認し、さらに嗅球の顆粒細胞層においてTUNEL染色陽性細胞が増加する結果を得た。また、TNFα受容体欠損マウスを用いて同様にLPSを投与したところ、TUNEL染色陽性細胞の増加は認められなかったことから、LPSによる嗅球内でのアポトーシス誘導には、TNFα受容体を介する刺激伝達系が必須のものとの結果を得た。このように、嗅球において増加した炎症性サイトカインにより細胞死が誘導されたことから、炎症性サイトカインが嗅覚系に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆されたが、嗅球のドーパミン細胞に対する影響に関しては明らかな結果は得られていない。現在、LPSの長期間投与が嗅球のドパミン細胞へ及ぼす影響について、また嗅球の機能維持に必須となる脳室下帯周囲の神経幹細胞および細胞新生機構への炎症性サイトカインの影響に関して引き続き研究を行っている。
著者
平田 したう 立川 隆治 福島 典之 夜陣 紘治 松島 隆浩 熊谷 信二 森田 栄伸
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement3, pp.195-200, 1997-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
8

上気道感染症に対するネブライザー療法は広く行われている保存的療法の一つであるが, 室内環境や, 医療従事者への影響についての検討は極めて少ない。今回我々は, ネブライザー施行中のネブライザー粒子の飛散状況や換気扇の効果を検討した。医療従事者の血中ネブライザー薬液濃度は, 検出できなかったが, ネブライザー施行中にネブライザー粒子がかなり飛散するのが肉眼的に確認された。また密閉空間においてネブライザーを噴出させ, ネブライザー薬液を採取し測定したところ, ネブライザー装置と同じ高さの方が50cm上方よりも約10倍多く検出され, 換気扇を使用することにより約5分の1に減少した。さらに実際の外来診療室では, 換気扇を作動させなかった日にはネブライザー装置から7m離れた位置でもネブライザー薬液が検出され, ネブライザー装置の近くでは, 換気扇を使用してもあまり効果が得られなかった。今回の検討から, ネブライザーを施行する際換気扇を使用することは当然と考えられるが, 現状よりも強力なドラフト装置や, フードを低く設定する, あるいは複数の箇所に設置するなどの必要性が示唆された。
著者
横井 悠加 伊藤 理恵 森 明子 森下 勝行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-19_2-H2-19_2, 2019

<p>【はじめに、目的】</p><p>腹直筋離開(diastasis rectus abdominis:以下DRA)は,左右の腹直筋間に位置する白線の離開とともに,白線の機能障害を呈するものと定義されている(Venes et al., 2005).白線が位置する腹壁の障害は,その協調的作用から,骨盤底機能障害や腰部骨盤帯痛を引き起こすと予測されるが,本研究者らが実施したシステマティックレビューではその関連性を否定する結果が示された(横井ら,2017).この結果の要因として,各先行研究におけるDRAの定義に相異があること,またDRA評価時に腹直筋間距離(inter-rectus distance:以下IRD)のみで判断しており,白線の重要な機能である白線の組織硬度を評価していないことが考えられた.そこで本研究では,DRAを呈する女性のIRDと白線の組織硬度を測定し,それらと骨盤底機能障害との関連性を明らかにすることを目的とした.</p><p>【方法】</p><p>対象は,2017年1月から2017年12月までに出産した産後女性16名(年齢33.1±5.0歳,身長159.1±5.4cm,体重51.6±5.8kg,BMI 20.5±2.5kg/m<sup>2</sup>)である.研究デザインは横断研究を採用し,DRAの評価指標として,超音波診断装置によるIRD(臍部上1cmごとに10cmまで10箇所と,臍部下1cmごとに5cmまで5箇所の計15箇所)と,組織硬度計による白線の組織硬度(IRD測定箇所と同様)を計測した.いずれかの計測箇所にてIRDが25mm以上,または白線の組織硬度が150N/m以下であった場合をDRAと判断した.また,骨盤底筋の機能評価として,超音波診断装置での経腹法による膀胱底部挙上距離を計測し,骨盤底機能障害には,International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form(以下ICIQ-SF)を用いて尿失禁を評価した.統計解析は,2標本<i>t</i>検定を用い,有意水準は5%とした.</p><p>【結果】</p><p>IRDによる評価では,DRA+群が8名,DRA―群が8名となり,白線の組織硬度による評価では,DRA+群が6名,DRA―群が10名となった.IRD,または白線の組織硬度を基準にした場合,どちらにおいてもDRAの有無による膀胱底部挙上距離(IRD: DRA+群; 1.8±3.2mm, DRA―群; 3.2±5.1mm,<i>p</i>=0.52, 95%IC=-5.95, 3.15, 白線の組織硬度: DRA+群; 3.3±5.2mm, DRA―群; 2.0±3.7mm,<i>p</i>=0.548, 95%IC=-3.36, 6.07)とICIQ-SF(IRD: DRA+群; 3.1±4.9点, DRA―群; 0.4±1.1点,<i>p</i>=0.158, 95%IC=-1.33, 6.83, 白線の組織硬度: DRA+群; 1.8±3.2mm, DRA―群; 3.2±5.1mm,<i>p</i>=0.947, 95%IC=-4.35, 4.08)の結果に有意差を認めなかった.</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>本研究では,DRAの新たな評価指標として白線の組織硬度を計測し,また先行研究よりもIRDの計測箇所を増やすことで,包括的なDRAの評価を試みたが,本結果より,どちらの評価指標を用いても骨盤底機能との関係において否定的な結果が示された.このことから,DRAによるIRDの増加と白線の組織硬度低下は骨盤底機能に影響を及ぼさないことが示唆された.しかし,本研究におけるサンプルサイズは再考の余地があり,今後更なる研究の継続が重要と考える.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は,城西国際大学倫理委員会の承認を得た上で,対象者には口頭および書面にて説明を行い,同意を得た後に実施している.</p>
著者
森本 光明
出版者
東京歯科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

目的:歯科用金属アレルギーの検査として、リンパ球幼若化反応に注目し、金属の種類や濃度について検討を加えた。方法:金属アレルギーが疑われ皮膚貼付試験陽性を示した皮膚粘膜疾患患者44名を陽性群とし、金属アレルギーの既往が無く皮膚貼付試験陰性であった学生45名を陰性群とした。Hg,Ni,CO,Pdの皮膚貼付試験の試薬を抗原とし、50、250、1250、6250、31250,156250倍の6段階に希釈した濃度系列を用いた。抗原添加時の^3H-チミジンの取り込み量を非添加^3H-チミジンの取り込み量で除した百分率により得た値を判定した。結果:1,0.1%HgCI^2の場合は50倍希釈で陽性群(961.9±504%)、陰性群(652.9±463.8%)ともに最も強い反応を示し、陰性群で200%を越したことにより非特異的なリンパ球幼若化反応を認めた。両群間において250倍希釈時にのみ有意差を認めた。臨床上250倍の濃度の値が重要と考えられた。2,5%NiSO_4の場合は1250倍希釈において陽性群(779.2±564.9%)、陰性群(214.6±107.8%)ともに最も強い反応を示し1250、250倍希釈時に両群間において有意差を認めた。3,2%CoCI_2の場合は6250倍希釈において陽性群(337±225.5%)で最も強い反応を示し、156250、31250、6250、1250倍希釈時に両群間において有意差を認め、6250倍が臨床上重用と考えられた。4,1%PdCI_2の場合は250倍希釈において陽性群(256.0±207.5%)で最も強い反応を示し、両群間において有意差を認めた。この濃度が臨床上有用と考えられた。5.リンパ球幼若化反応において至適濃度の存在が示唆された。現在その他の金属(Ti,Cu,Cr,Zn)についても検討中である。また、今回培養日数を3日で行ったが日数延長することによってより検査の感受性が高まるデータも得ている。