著者
立花 哲也 鈴木 愛 高森 基史 伊能 智明 青木 美穂子 千葉 博茂
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.21-25, 2002-06-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

Lafutidine (FRG-8813) is a new H2-receptorantagonist that not only has a strong inhibitory effect on gastric secretion but also augments the gastric mucosa protection factor and dilate arterious in the gastric submucosa and enhances gastric mucosal blood flow via capusaicinsensitive afferent neurons.Its presence in the tongue too, suggests that lafutidine may be effective for patients diagnosed with glossodynia. This treatment was attempted with 50 glossodynia patients, who received lafutidine in doses of 10mg twice daily for 8 weeks.The pain amelioration rates (reduced and better) were 54.0%(27/50 cases) after 2 weeks, 60.0%(30/50 cases) after 4 weeks, 80.0%(40/50 cases) after 6 weeks, and 84.0%(42/50 cases) after 8 weeks. The pain level on VAS was 46.8mm on average before administration, and 12.1mm on average after 8 weeks.The administration of lafutidine exhibited good clinical efficacy, safety and utility in the treatment of glossodynia.
著者
藤森 基成 泉 憲明 永田 雅彦
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.247-249, 2006
被引用文献数
1

2歳齢,雄のロングコート・チワワの両眼瞼縁に限局し徐々に悪化する丘疹の集簇を認めた。経口抗生剤にて改善なく皮膚病理組織検査を施行したところ,真皮に多巣状の化膿性肉芽腫を認めた。PAS染色で菌要素を認めず特発性非感染性肉芽腫症と診断した。経口プレドニゾロン1.0 mg/kg SIDにて1週間で劇的に改善した。<br>
著者
森 基子 長谷川 玲子 船坂 鐐三 小瀬 洋喜
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.833-840, 1990-09-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1

(1) 生活排水対策として調理廃棄物対策が求められているが, 多様な調理内容をもつため, 対策の有効性の評価が困難である.(2) 本研究では, 一般に広く用いられる調理原材料および家庭的調理食品のBOD原単位を求め一覧表とした.食品1gあたりのBOD値の最も高い食品は, いものあめ衣がけ, 鯖のから揚げがいずれも1,100mg/g, ついでマヨネーズ880mg/g, 白玉だんご830mg/g, マーガリン800mg/gがこれに次ぐ.これら以外の食品は600mg/g以下である.砂糖, 小麦粉が500mg/g, 小豆 (ゆで) 380mg/gに代表されるように, 炭水化物, タンパク質系の食品は200~400mg/gのものが多いが, 脂肪系の食品は800mg/gを超えるものが多い.したがって食品分類による差が認められ, 原食品では, 野菜, きのこ類は100mg/g以下, 果実類は100~200mg/g程度のものが多いが, 調理食品では, 野菜, きのこ類が100~200mg/gに増大し, なすのてんぷら, きんぴらごぼうのように油を用いたものでは500mg/g程度となっている.砂糖やしょうゆの影響はその添加量が少なく, 大きな影響を与えるほどではなかった.(3) 重回帰分析各成分測定値の分布は, 水分の2乗が正規分布を示したが, 強熱減量, 四塩化炭素抽出物量, BODは対数に変換したとき, 正規分布を示した.目的変数 (y) をBODとしたときの重回帰式を求めた結果, 強熱減量 (x1) による単回帰式となった.ln y=0.913lnx1+0.448, γ=0.865, 寄与率74.8%.この式により求めた推定値と測定値との間の相関係数は0.865となり, BOD値を強熱減量から推定することの可能性を示した.(4) 調理廃棄物のBOD原単位を明らかにし, 未測定の食品については強熱減量の対数により推計することができることを示したので, これにより調理排水対策をすすめ, 生活排水対策を有効なものとする施策を得るのに役立つことが期待される.
著者
高薮 出 花崎 直太 塩竈 秀夫 石川 洋一 江守 正多 嶋田 知英 杉崎 宏哉 高橋 潔 仲江川 敏之 中北 英一 西森 基貴 橋爪 真弘 初鹿 宏壮 松井 哲哉 山野 博哉 横木 裕宗 渡部 雅浩
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.377-385, 2021-11-05 (Released:2021-11-20)
参考文献数
11
被引用文献数
2

過去20余年にわたり,気候変動とその社会への影響に関する膨大な予測情報や知見が創出されてきた.しかし,これらの予測情報や知見が国・地方公共団体や事業者などに広く利活用されるようになるまでにはまだ様々な課題が残っている.そこで,気候予測と影響評価に関する研究に長く携わってきた著者らが現在見られる各種の障害や,解決の糸口について議論した.その結果,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティーにはそれぞれ業務の前提と他コミュニティーへの期待があり,それらの間にずれが生じていることが浮かび上がった.解決のためには,気候予測・影響評価・利用者のコミュニティー間の協働が重要である.具体的には,予測情報や知見が創出される前の段階での相互の情報交換やすり合わせによるギャップの解消や,その実現のための制度や設備の整備が必要であることが示された.
著者
栗田 健 明田 真樹 森 基 大石 隆幸 高森 草平 小野 元揮 木元 貴之 岩本 仁 日野原 晃 田仲 紗樹 吉岡 毅 鈴木 真理子 山﨑 哲也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb1390, 2012

【目的】 先行研究で投球障害肘群は肩群に比べ手内筋の筋力低下を有していることが分かった。このことは手内筋が効率よく機能せずに、手外筋を有意に働かせてボールを把持することで、手・肘関節への影響が大きくなることが示唆された。しかし手内筋機能不全が投球動作の繰り返しで生じたものか、もともと機能不全が存在したことにより投球障害肘の原因となったのかは不明であった。そこで今回我々は手内筋機能不全が多く認められた投球障害肘群において、投球による影響がない非投球側の評価を行い、両側に機能不全を有する割合について調査したので以下に報告する。【方法】 対象は、投球障害肘の診断により当院リハビリテーション科に処方があった20例とした。対象は肘単独例のみとし、他関節障害の合併や既往、神経障害および手術歴を有する症例は除外した。性別は全例男性で、年齢は、平均16.4±5.1歳(11歳~34歳)であった。観察項目は、両側の1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)と2. 母指・小指対立筋の二項目とした。共通肢位として座位にて肩関節屈曲90°位をとり、投球時の肢位を想定し肘伸展位・手関節背屈位を保持して行った。1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)は、徒手筋力検査(以下MMT)で3を参考とし、可能であれば可、指が屈曲するなど不十分な場合を機能不全とした。2.母指・小指対立筋も同様に、MMTで3を参考とし、指腹同士が接すれば可、IP関節屈曲するなど代償動作の出現や指の側面での接触は機能不全とした。なお統計学的評価には、二項検定を用い、P値0.05未満を有意差ありと判断した。【説明と同意】 対象者に対し本研究の目的を説明し同意の得られた方のデータを対象とし、当院倫理規定に基づき個人が特定されないよう匿名化に配慮してデータを利用した。【結果】 投球障害肘の投球側虫様筋・骨間筋機能不全は、65.0%、に発生しており、そのうち健側にも認められたものが76.9%であった(統計学的有意差なし)。投球側母指・小指対立筋機能不全は、65.0%に発生しており、そのうち健側にも認められたものは53.8%であった(統計学的有意差なし)。一方、非投球側での機能障害をみると、両側に発生している比率が、虫様筋・骨間筋機能不全例では90.9%、母指・小指対立筋機能不全例では100%であった(統計学的有意差あり)。【考察】 我々は第46回日本理学療法学術大会において手内筋機能低下が投球障害肩より投球障害肘に多く認められることを報告している。しかし手内筋機能不全が伴って投球動作を反復したために投球障害肘が発生するのか、肘にストレスがかかる投球動作を反復したために手内筋機能不全が発生したのかは過去の報告では分からなかった。そこで今回投球していない非投球側の機能と比較することで投球による影響なのか、もともとの機能不全であるのかを検討した。今回の結果より、各観察項目での投球側・非投球側の両側に手内筋の機能不全を有する割合は多い傾向があったが、統計学的有意差はなかった。一方、非投球側に機能不全がみられた症例は、投球側の機能不全も有す症例が多く、統計的有意差もあることが分かった。このことより手内筋の機能不全は、投球の影響によって後発的に生じるのではなく、もともと機能不全を有したものが、投球動作を繰り返したことにより投球障害肘を発症している可能性が高いと考えられた。そのため投球障害肘の発生予防や障害を有した場合のリハビリテーションの中で虫様筋・骨間筋機能不全および母指・小指対立筋機能不全の評価と機能改善が重要であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 投球障害肘の身体機能の要因の中で手内筋である虫様筋・骨間筋や母指・小指対立筋に機能不全を有することが多いということが分かった。本研究から投球障害肘を治療する際には、評価として手内筋機能に着目することが重要と考える。また今回設定した評価方法は簡便であり、障害予防の観点からも競技の指導者や本人により試みることで早期にリスクを発見できる可能性も示唆された。
著者
高森 基史 小森 康雄 中島 仁一 千葉 博茂
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.283-292, 2005-03-10 (Released:2011-01-31)
参考文献数
21

In the diagnosis of HIV-infection, it is essential to carry out the check test after a screening test. If saliva can be used for this check test, the test is far safer to perform than a blood test. To investigate the potential for diagnostic misjudgment due to non-specific reactions, differences from the blood test, and the reliability of the check test, saliva samples from 20 HIV infected patients, 29 false-positive risk patients, and 34 healthy volunteers were checked via the test. Similarly, the relationship between this check test and the result of the ELISA method of Orasure using saliva was investigated.By means of the test using saliva (the WB method), all HIV infected patients were detected as positive, while all healthy volunteers were shown to be negative. Regarding the false-positive risk patients, both saliva samples from the two persons detected as false-positive via the ELISA method using saliva were shown to be negative by this check test.The rate of appearance of non-specific bands for healthy volunteers and false-positive risk patients by the WB method was 42.2% in saliva samples, and 64.7 % in blood samples, indicating a higher rate of appearance in blood samples, relative to saliva samples. The molecular weight of most non-specific bands present in the saliva samples was approx. 80kDa, and bands corresponding to P25 and P18 were detected with high frequency in the blood samples. In 15 saliva samples from the false positiverisk patients, which were simultaneously inves tigatedusing the ELISA and WB methods, non-specific bands were detected in 6 samples, which were shown to be negative by the ELISA method, and in 2 samples, which were shown to be false positive by the ELISA method. In 6 of those 8 samples, bands with a weight of approx. 80kD were detected. In the measurement of pure saliva samples, bands with a weight of approx. 80 kDa were detected in 6 of 8 samples, only in parotid saliva. Circadian change in the non-specific reaction was demonstrated in 4 of 6 samples, which were immediately supplied from patients after a meal. All of these non specificreactions, however, had no effect on the results regarding diagnosis of HIV infection. Furthermore, no new band was detected in saliva samples to which a high-concentration of intra-oral microbe had been added. These results suggest that the HIV antibody test by salivasamples is a sufficiently reliable test.
著者
菅野 洋光 西森 基貴 遠藤 洋和 吉田 龍平 ヌグロホ バユ ドゥイ アプリ
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

北日本における4月と8月の月平均気温は、季節が異なっているにもかかわらず、1998年以降、強い負の相関関係を示している(Kanno,2013)。前回の大会では、これがIPOにより判別される気候ステージ(-IPO)で発現しており、ラニーニャモードによるSSTの応力の弱さと偏西風循環に内在された独自の変動に影響されている可能性があることを指摘した。また、インドネシア付近の対流活動の重要性についても明らかにした。今回は、対流活動の中心に位置するインドネシアの農作物生産性の変動について、IPOに基づく気候ステージを考慮した解析を行った。<br>北日本の月平均気温偏差は気象庁HPよりダウンロードした。客観解析データはJRA55を、多変量解析は気象庁のiTacs (Interactive Tool for Analysis of the Climate System)を用いて行った。インドネシア農作物収量データは、イネ、トウモロコシ、ダイズの3種類で、1993年~2015年の期間、34の州のデータをインドネシア農業省より入手した。このうち、26の州についてはデータの欠落がなく、以下の解析にはそれらのデータを用いている。一般に途上国での農作物生産性は、栽培技術の進歩により時間の経過とともに増加する。そこで本研究では、全期間のデータに一次回帰計算を行い、回帰式からの偏差を解析対象データとした。また、近年の気候ステージについては、England et al.(2014)によるIPOのステージ区分を用い、また生産性と海洋変動との比較には、標準的なPDOインデックスを用いた。<br>図1にはインドネシアにおけるイネの生産性の一次回帰式からの偏差と年平均PDOインデックスの時間変化を示す。全期間(1993-2015年)を通すと相関係数は0.34となり、統計的に有意ではない。そこで、IPOによる気候ステージを考慮して、2001年以前(概ね+IPO)と2002~2013年(概ね-IPO)とで分けると、前者はR=+0.78、後者はR=-0.70で、ともに危険率5%以下で統計的に有意となった。また、エルニーニョが発生した2014年以降は、一転して同時的な変動に移行したようにみえる。トウモロコシでは、イネと同様に、全期間を通すとR=0.22となり、統計的に有意ではないが、IPOステージを考慮すると、2001年までがR=0.84、2002~2013年までがR=0.71となり危険率1%以下で統計的に有意となる(図略)。図2にはダイズの例を示す。こちらはIPOステージとの関係は明瞭ではなく、全期間を通して有意な正の相関を示す(R=0.57)。このような作物ごとの差異についてその原因を考察するため、JRA55を用いたインドネシア域(10S-5N, &nbsp;95E-140Eの矩形領域)における年積算解析降水量を計算し、PDOと比較した(図3)。その結果、全期間を通して降水量とPDOは負の相関を示し(R=0.67)、特に1997年以降が明瞭でR=0.76となる。すなわち、イネ、トウモロコシの生産性については、-IPO期間は降水量の年々変動に強く影響されていることが分かる。また+IPO期間については数年の幅はあるが、PDOと降水量とが比例している時期と重なっており、こちらも概ね降水量に影響されていると言える。一方、ダイズについては解析期間を通してPDOと正の相関を持ち、イネ、トウモロコシとは異なった変動を示している。これは、インドネシアではダイズはmain cropではなくcatch cropであるため、特に-IPO期間ではイネ、トウモロコシが不作の際に補完的に作付けられ、それが降水量変動と負の関係を示す原因として考えられる。
著者
栗田 健 小野 元揮 木元 貴之 岩本 仁 日野原 晃 田仲 紗樹 吉岡 毅 鈴木 真理子 山﨑 哲也 明田 真樹 森 基 大石 隆幸 高森 草平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb1390, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 先行研究で投球障害肘群は肩群に比べ手内筋の筋力低下を有していることが分かった。このことは手内筋が効率よく機能せずに、手外筋を有意に働かせてボールを把持することで、手・肘関節への影響が大きくなることが示唆された。しかし手内筋機能不全が投球動作の繰り返しで生じたものか、もともと機能不全が存在したことにより投球障害肘の原因となったのかは不明であった。そこで今回我々は手内筋機能不全が多く認められた投球障害肘群において、投球による影響がない非投球側の評価を行い、両側に機能不全を有する割合について調査したので以下に報告する。【方法】 対象は、投球障害肘の診断により当院リハビリテーション科に処方があった20例とした。対象は肘単独例のみとし、他関節障害の合併や既往、神経障害および手術歴を有する症例は除外した。性別は全例男性で、年齢は、平均16.4±5.1歳(11歳~34歳)であった。観察項目は、両側の1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)と2. 母指・小指対立筋の二項目とした。共通肢位として座位にて肩関節屈曲90°位をとり、投球時の肢位を想定し肘伸展位・手関節背屈位を保持して行った。1.手内筋プラス肢位(虫様筋・骨間筋)は、徒手筋力検査(以下MMT)で3を参考とし、可能であれば可、指が屈曲するなど不十分な場合を機能不全とした。2.母指・小指対立筋も同様に、MMTで3を参考とし、指腹同士が接すれば可、IP関節屈曲するなど代償動作の出現や指の側面での接触は機能不全とした。なお統計学的評価には、二項検定を用い、P値0.05未満を有意差ありと判断した。【説明と同意】 対象者に対し本研究の目的を説明し同意の得られた方のデータを対象とし、当院倫理規定に基づき個人が特定されないよう匿名化に配慮してデータを利用した。【結果】 投球障害肘の投球側虫様筋・骨間筋機能不全は、65.0%、に発生しており、そのうち健側にも認められたものが76.9%であった(統計学的有意差なし)。投球側母指・小指対立筋機能不全は、65.0%に発生しており、そのうち健側にも認められたものは53.8%であった(統計学的有意差なし)。一方、非投球側での機能障害をみると、両側に発生している比率が、虫様筋・骨間筋機能不全例では90.9%、母指・小指対立筋機能不全例では100%であった(統計学的有意差あり)。【考察】 我々は第46回日本理学療法学術大会において手内筋機能低下が投球障害肩より投球障害肘に多く認められることを報告している。しかし手内筋機能不全が伴って投球動作を反復したために投球障害肘が発生するのか、肘にストレスがかかる投球動作を反復したために手内筋機能不全が発生したのかは過去の報告では分からなかった。そこで今回投球していない非投球側の機能と比較することで投球による影響なのか、もともとの機能不全であるのかを検討した。今回の結果より、各観察項目での投球側・非投球側の両側に手内筋の機能不全を有する割合は多い傾向があったが、統計学的有意差はなかった。一方、非投球側に機能不全がみられた症例は、投球側の機能不全も有す症例が多く、統計的有意差もあることが分かった。このことより手内筋の機能不全は、投球の影響によって後発的に生じるのではなく、もともと機能不全を有したものが、投球動作を繰り返したことにより投球障害肘を発症している可能性が高いと考えられた。そのため投球障害肘の発生予防や障害を有した場合のリハビリテーションの中で虫様筋・骨間筋機能不全および母指・小指対立筋機能不全の評価と機能改善が重要であると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 投球障害肘の身体機能の要因の中で手内筋である虫様筋・骨間筋や母指・小指対立筋に機能不全を有することが多いということが分かった。本研究から投球障害肘を治療する際には、評価として手内筋機能に着目することが重要と考える。また今回設定した評価方法は簡便であり、障害予防の観点からも競技の指導者や本人により試みることで早期にリスクを発見できる可能性も示唆された。
著者
森 基雄
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University (ISSN:2188918X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.97-108, 2018-03-10 (Released:2018-04-11)

要旨古英語において‘go’を意味する動詞であった長形gangan(<Gmc*gang-a-)と短形gānのうち、ganganは強変化動詞7類として分類され、その過去形としては本来の強変化動詞7類としての重複形*gegang-に由来するġēongを有したが、gānは不規則動詞として分類され、不規則な過去形ēodeを有した。またēodeはganganのもう1つの、しかも散文ではむしろ一般的な過去形でもあった。同様に、OEganganに対応するGogagganは不規則な過去形iddjaを有した。このように‘go’の過去形としてはまったく不規則な形態を成すēodeとiddjaの成り立ちと両者の語源関係についてはこれまでにさまざまな提案がなされてきたが、本稿ではこれらの提案に基づき、歴史的な観点からēodeとiddjaの成り立ちとその真の姿に迫った。
著者
中薮 俊博 森 基 滝田 敦夫 岡路 正博 今井 秀孝
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.253-257, 1995-02-05
参考文献数
3
被引用文献数
1 5

An accurate and practical system for the measurement of rolling that occurs with the movement of a machine tool unit has been developed. The system consists of a bi-prism, two plane mirrors, and a double-path optical heterodyne laser interferometer. The measurement of rolling with this system is not affected by pitching, yawing, heaving, and swaying. The measurement system was confirmed to have a sensitivity of 0.032μm/arcsec (variation of path length/unit angle of rolling), a resolution of 0.31 arcsec (used in λ/64 measurement system), and 800 mm travel length. In order to investigate the rolling that occurs in a machining centre (680 × 500 × 630 mm), the measurement was carried out in full stroke of each unit in the machining centre. The results show the reliable agreements in replication measurement.
著者
森 基要 篠田 昭八郎
出版者
岐阜工業高等専門学校
雑誌
岐阜工業高等専門学校紀要 (ISSN:03864332)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.32-40, 1971-03-20

(1) 38年度入学生108名,39年度入学生107名,40年度入学生104名について,それぞれの1学年時,3学年時,5学年時の定期健康診断の資料をもとにして,身長体重,胸囲の3測度にもとづいて個人的,学級的,学年的体格判定を行なった。(2) 体格判定においては,総体的に発育小,痩型細胸が比較的多いことがわかった。(3) 体格判定にもとづいて,1学年時から3学年時へ,3学年時から5学年時へと体格の推移を調べた。(4) 体格の変遷様相は発育のノーマルカーブに対して,1学年時から3学年時にかけてはおおむね良好,3学年時から5学年時への期間は,痩型細胸が多かった。(5) 近時の発育加速化現象中,とりわけ長育発育が目立ち,「やせ型」の身体が多く見られる。その痩型細胸型でもっての発育標準曲線から,痩型細胸へ分類される者には,その原因究明と向上対策が急務である。(6) 身体活動の機会の多寡,身体活動の量は,体づくり特に肥満広胸の体づくりに与える影響が大である。3学年から5学年時への期間の体育運動の質と量との増大を計る必要がある。
著者
日下 博幸 西森 基貴 安成 哲三
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.369-378, 1998-05-31
被引用文献数
9

最高および最低気温偏差の季節変化パターンに着目した主成分分析を, 日本の24観測点について個別に行った.その結果に基づき, 比較観測点を用いることなく, 1観測点のデータから都市化に伴う過去90年間の気温上昇量を推定した.最低気温の第1主成分は, 冬季に大きな値を持ち, 年間を通して全て同符号となる季節変化パターンである.固有ベクトルとスコア時系列から推定された最低気温偏差の時系列(T′_min)には, 昇温のトレンドが見られる.また, この時系列のトレンド(ΔT′_min)と観測点のある都市の人口の対数との間には, 正の相関(相関係数0.76)がある.以上のこと等から, 第1主成分の季節変化パターンは主として都市気候のパターンであり, 時系列のトレンドは都市化に伴う気温上昇率であると推定された.また, このトレンドは0.4〜3.7℃/100年であり, 多くの地点で1℃/100年を越えている.一方, 日本における過去90年間の最低気温の上昇に対して, バックグラウンドの気候変化の影響は0〜1℃/100年程度であり, 昇温の要因として都市化の影響を無視できない大きさであることが明らかとなった.一方, 最高気温の季節変化パターンは最低気温と異なる.推定された最高気温偏差の時系列(T′_max)には最低気温のそれほど明瞭なトレンドは見られない.この結果, 過去90年間の最高気温の変動には, 都市化の影響が顕著に現れていないことが確認された.
著者
安成 哲三 西森 基貴 水戸 哲司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.517-531, 1998-08-25
被引用文献数
1

過去30年間(1964-93)の北半球における地表面と下部対流圏の気温変動を解析した結果、冬季と春季を中心に地表面のみならず、下部対流圏全体で顕著な昇温傾向が確認された。冬季には、中央シベリアとカナダ西北部・アラスカで昇温が顕著であるが、両地域における昇温の鉛直構造に大きな違いが見られた。春季には北米大陸北半部でのみ、下部対流圏全体にわたる昇温が顕著である。地表面から対流圏中部までの気温変動についての3次元回転EOF解析をした結果、地表面・対流圏全体で昇温するトレンドが最も卓越している変動であることが確認された。回転EOF解析の第2成分として、冬季には1976/77と1988/89頃に偏差が大きく変化する数10年スケールの長期変動が存在し、その空間特性は北米、北ヨーロッパおよびユーラシア東部で同じ変動傾向を示す波数3型の構造をしていることが示された。一方春季の第2成分は、10-13年周期の変動を示し、太陽活動の同じ周期帯の変動との関連が示唆された。
著者
大森 基司 館林 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.94, no.295, pp.25-32, 1994-10-20
被引用文献数
1

ネットワークを用いた通信販売システムにおいてユーザーのプライバシー保護を実現できる1つのモデルを提案する.目的は,「誰が何を買ったか」をわからないようにすることである.本モデルでは販売システム側に3つの部門を設ける.そのうちの任意2部門が結託しても「誰が何を買ったか」わからない.商品や価格に関するユーザとシステムの間のトラブルの解決策も示す.