著者
赤口 諒 川崎 有可 大住 倫弘 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0348, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】近年,慢性痛患者の中で痛みが強い者は,不公平をより強く感じている報告されており,その不公平感は痛みの破局的思考,抑うつの程度とも関連があるとされている(Scott, 2012)。不公平感は社会において自己が他者と公平でない場合に抱く感情である。このことから痛みを有する患者は他者と比較することで不安が高まる場合,痛みの感受性に影響を与えると考えられる。一方で,他者との比較で起こる情動には妬みがある。妬みとは他者が自己よりも優れた物や特性を有する場合に起こる情動であり,それが自己に焦点されると劣等感,他者に焦点されると敵対心を伴うとされている(Smith, 2007)。そこで,本研究は妬みの情動経験が痛みの主観的強度に与える影響を明らかにすることに加え,妬み情動の中の劣等感と敵対心のうちのどちらが痛みに影響を与えるかを明らかにする。【方法】対象は健常大学生20名(Affect群14名,Control群6名)とした。心理学的評価としてState-Trait Anxiety Inventory(以下STAI)を用いて状態・特性不安の評価を行った。実験は,①痛み刺激,②課題(Affect群:情動刺激,Control群:シャム刺激),③痛み刺激の手順で行った。痛み刺激には熱刺激装置PAIN THERMOMETER(ユニークメディカル社制)を用いた。刺激部位は非利き手の前腕とした。また,実験中の痛みの慣れの要素を除外するため,実験前に47-49℃の刺激をランダムに10施行(60秒インターバル)行った。痛み刺激の評価はVisual Analog Scale(以下VAS)を用いて行った。情動刺激には被験者本人が主人公となるように設定されているシナリオ課題を作成した。これは会社員の主人公が重大な企画を任されることとなっていたが,不運にも交通事故に遭い,ライバルに手柄をすべて奪われることで妬み情動を抱かせる内容となっている(スライド枚数約130枚,所要時間約7分)。情動刺激の評価には妬みだけでなく,妬みの要因である劣等感,敵対心の情動喚起量をVASにより行った。シャム刺激には世界格国の国旗を説明したスライドを作成した(スライド枚数約20枚,所要時間約7分)。統計解析は課題前後の痛みの主観的強度の比較において対応のあるt検定を用いた。情動喚起量と痛みの主観的強度の相関関係にはピアソンの相関係数を用いた。また,劣等感が高い群(評価結果が中央値以上の者)におけるSTAIと課題後の痛み増加量の相関関係にはピアソンの相関係数を用いた。なお,有意水準は5%とした。【結果】課題前後の痛み主観的強度の比較において,Affect群において有意な痛みの増加を認めた(p<0.01)がControl群では認められなかった。情動喚起量(妬み,劣等感,敵対心)と痛み主観的強度の相関関係は,敵対心のみ課題前の痛み主観的強度(r=0.543,p<0.05),課題後の痛み主観的強度(r=0.594,p<0.05)と正の相関関係が認められた。また,劣等感が高い群において,STAI1(状態不安)と痛みの増加量の間にのみ正の相関関係が認められた(r=0.829,p<0.05)。【考察】課題前後の痛みの比較では,Affect群にのみ有意な痛みの増加が認められたことから,妬みが痛みの主観的強度に影響を与えることが示唆された。一方で,情動評価における敵対心が課題前後それぞれの痛み評価と正の相関関係が認められた。つまり,自分よりも優れた他者と比較した際,敵対心を抱きやすい個人特性が痛みの感受性に影響を与えていると考えられる。また,劣等感が高い群において,STAI1と痛みの増加量に正の相関を認めた。これは自分よりも優れた他者と比較した際,劣等感を抱いた場合は,不安の程度に伴って痛みの増加量が変化することが示唆された。【理学療法学研究としての意義】理学療法における痛みの評価は感覚的側面のものだけでなく,情動的側面,認知的側面も一般化され始めている。本研究の結果から妬みの情動経験が痛みの主観的強度を増強させることが示唆され,劣等感を抱いた場合,不安の程度に応じて痛みの感受性が変化することが示唆された。さらに先行研究から痛みが原因で不公平感を強く訴える者程,痛みの破局的思考に陥りやすく,抑うつ傾向になるという報告がある(Scott, 2012)。このことも踏まえると,痛みを有する患者の評価には他者との関わり方のパーソナリティを評価する必要がある。つまり,患者特有のパーソナリティを多面的に評価し,理解することが適切な心理的アプローチを可能にし,痛みの慢性化を未然に防ぐことにつながる可能性を本実験で示すこととなった。
著者
庄田 清武 橋本 和男 熊谷 正志 小森 智康
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2-7-1-_2-7-2_, 2010

Authors are seeking universal services to be applied to broadcasting. As the one of them, we focused on assisting elderly viewers in audio, and built an audio processing system. The processes are based on compensating their hearing characteristics. Viewers can listen to the programs with processed audio without special devices.
著者
幸田 仁志 森原 徹 甲斐 義浩 来田 宣幸 松井 知之 東 善一 平本 真知子 瀬尾 和弥 宮崎 哲哉 木田 圭重
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.127-131, 2018

<p>〔目的〕投球肩・肘障害を有する高校野球投手の特徴を,関節可動域や筋力の非投球側差より分析した。〔方法〕京都府下の野球検診に参加した高校野球投手76名を対象とした。測定項目は,投球肩・肘障害の判定,関節可動域および筋力とした。関節可動域および筋力は両側に対して実施し,投球側から非投球側の値を減算することで非投球側差を算出した。統計解析には,投球肩・肘障害ごとに,対応のないt 検定を用いて陽性群と陰性群の関節可動域および筋力の非投球側差を比較した。有意水準は5%とした。〔結果〕投球肩障害では,陽性群の肩関節内旋可動域の非投球側差は陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。投球肘障害では,陽性群の肩関節外旋可動域の非投球側差は,陰性群と比較して有意に低値を示した(p<0.05)。〔結論〕肩関節外旋可動域や内旋可動域の非投球側差による分析は,野球選手の機能低下や障害予測を判別する一助となる可能性がある。</p>
著者
大森 宏 羽生 和紀 山下 雅子 渡辺 達三 斎尾 乾二郎
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.849-854, 2005 (Released:2006-05-08)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

We got many photographs of private garden at the suburb residence area by door-to-door survey, sampled at random using detailed residence maps, in Yokohama Aoba in Japan, Reading and Edinburgh in UK, Torino in Italy and Freising in Germany. We selected 100 residences and choose four photographs in each residence to represent the whole garden atmosphere. Making 22 Japanese agricultural faculty students of the University of Tokyo to be an examinee, the experiment to discriminate country of garden landscape was carried out looking at four sets of photographs of 100 private gardens. This experiment carried out two times placed the interval in six months, to the identical examinee. In the second experiments, photographs of 39 residences were altered by image processing to eliminate objects such as utility poles, chairs and so on, that were thought to give the effect to discriminate country. Assessment of private garden landscape by SD methods of ten items was also carried out one time. It was shown that Japanese students could rightly detect private gardens in Japan, though they could not distinguish gardens in UK, Italy and Germany. Some objects gave the effect to distinguish country in private gardens in Japan. There existed some images to those countries, such that the (familiar) garden with globose pruning was Japanese, the (unfamiliar) garden with lawn was Foreign or England, the (natural) garden with high trees was Germany, the (artificial) garden with paving was Italy.
著者
森田 健太郎 長田 剛典 佐藤 健哉
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.866-871, 2016-07-06

スマートフォンやタブレットが普及するにつれ,近年では拡張現実 (Augmented Reality : AR) の技術を使用したアプリケーションが増加傾向にある.スマートフォンに付随するカメラを利用した AR アプリケーションや,スマートグラス等のウェアラブルデバイスを用いて AR 技術を活用するものも開発されてきている.主な利用例としては,目的地までのナビゲーションシステム,AR マーカーを利用した観光地や施設の説明,スマートグラスを利用し,ディスプレイに必要な情報を表示させることで,医療現場や工場現場においての作業のサポート等が挙げられる.しかしながら,現在の AR デバイス,特にスマートグラスに関しては情報を表示するものという側面が強く,表示された情報に対しての操作に関しては未だ確立された手法は存在しない.そこで本研究では,指に赤外線 Light Emitting diode (LED) を装着し,これをスマートグラスに装着した Complementary Metal Oxide Semiconductor (CMOS) センサがトラッキングすることで指動作を認識し,スマートグラス上の情報を操作するシステムを実装することで,既存手法における問題点の解決を図る.
著者
綾木 雅彦 森田 健 坪田 一男
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.85-95, 2016

生活環境内の自然光と人工照明中のブルーライト成分を試作した光センサーを使用して測定した。ブルーライトを発する光源を使用して眼の角膜上皮細胞への光毒性の培養実験を行って,眼障害の可能性と対策について考察した。ブルーライトならびにブルーライトの覚醒度への影響を検証した。新たに作成した網膜電位図記録装置により,ブルーライトに反応する内因性光感受性網膜神経節細胞の電気活性をヒトで記録することに成功し,住環境で曝露するブルーライトの生体反応の新たな検査法を開発することができた。以上の結果から,通常の視力や視野の確保以外にも眼と全身の健康に配慮した照明,遮光が使用されるべきであると結論した。
著者
土田 滋 森口 恒一 山田 幸宏
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

(1)前年度に引き続き、小川資料に残るシラヤ語の資料を整理し、コンピュ-タに入力した。さらに原典・原ノ-トに遡って照合を行い、また中国語・日本語が読めない外国人研究者の便を考え、発音を漢字で表わした清朝時代の資料についてはロ-マ字翻字を付した。その結果シラヤ語資料とされているものが、実質的にはシラヤプロパ-・タイボアン・マカタオの3種の方言にわけることができることが判明した。(土田・山田)(2)浅井資料のうち、「平埔蕃 Basai」と標題をつけられたノ-トを整理しコンピュ-タに入力した。重複項目を除く異なり語数は約1000項目。英訳をつけ、バサイ語からも英語からも引けるようにした。(森口)(3)小川資料のうち、ケタガラン語に関わるノ-ト類を整理し、カ-ドにとり、コンピュ-タに入力したが、時間切れとなり、公表する段階には至っていない。(土田)(4)上記(1)と(2)の結果を印刷に付し、発表し得る形にまでまとめることができた。シラヤ語は17世紀における台湾のオランダ統治時代の聖書翻訳や語彙集、18ー9世紀における清朝時代の土地売買契約書などの資料しか存在せず、日本時代に収集し得た各方言の資料として貴重である。またバサイ語資料はこれまでまったく利用し得なかった資料である。それを見ると、祖語における*Lがtsで現われる点は、かつて台北付近に話されていたケタガラン語と同じであり、一方祖語の*sもtsで現われる点は、東海岸のアミ語と同じという、やや奇妙な音変化をみせることが判明した。また語彙的にはカバラン語と共通した部分も多く、いずれか一方から他方へ借用されたものかもしれないが、更に精密な研究が必要である。
著者
清家 剛 三牧 浩也 森田 祥子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.713, pp.1625-1633, 2015 (Released:2015-08-18)
参考文献数
8
被引用文献数
3 13

This study mentions the possibility of the application of “mobile spatial statistics”, which frequently comprehend the actual population based on the operation data of the mobile phone including the heat of the day. The first part indicates the analysis model of the districts combined with another questionnaire survey of city center of Kashiwa city, Chiba prefecture. The second part examines the three models which compare the base stations in Chiba prefecture and analyze only by using mobile spatial statistics. This study indicates that mobile spatial statistics makes it easy to comprehend the distribution of population.
著者
井上 純爾 澳 昂佑 森 拓也 田中 貴広 加藤 丈博 中野 英樹 松木 明好 木村 大輔 川原 勲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.265-270, 2019 (Released:2019-04-26)
参考文献数
20

〔目的〕中殿筋の電気力学的遅延(EMD)を改善させる介入が Duchenne徴候に及ぼす効果について検証すること.〔対象〕寛骨臼回転骨切り術後9ヵ月経過した40歳代女性.本症例は患側の股関節外転筋力が徒手筋力検査にて4以上あるにもかかわらず歩行時にDuchenne徴候を呈していた.さらに患側中殿筋のEMDが健側と比較して延長していた.〔介入〕最大等尺性収縮運動を複数回実施させ,介入期間は5日間とした.〔結果〕介入後,患側中殿筋のEMD,立ち上がり速度,中間周波数が改善し,それに伴い歩行時の骨盤傾斜角および体幹傾斜角に改善を認めた.〔結語〕Duchenne徴候を呈する変形性股関節症術後患者に対して,等尺性収縮運動が中殿筋のEMDを改善させ,中殿筋のEMD改善と骨盤傾斜角の減少に関連を認めた.
著者
太田 経介 萬井 大規 坂野 康介 中城 雄一 森若 文雄 宮田 一弘
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11684, (Released:2020-03-31)
参考文献数
45

【目的】脊髄小脳変性症の歩行重症度の評価に,Mini-Balance Evaluation SystemTest(以下,Mini-BESTest)とBerg Balance Scale(以下,BBS)が適応可能か検討すること,歩行自立度の判別精度を検討することとした。【方法】脊髄小脳変性症患者30 名を対象に,重症度分類を用いて3 群に分類した。Mini-BESTest とBBS の得点分布,および群間比較を行った。FIM 点数よりROC 曲線を用い歩行自立度の判別精度の検討とカットオフ値を算出した。【結果】Mini-BESTest とBBS は歩行重症化にしたがい低値を示した。Mini-BESTest とBBS はArea under the curve(以下,AUC),感度,特異度が高値であった。BBS は天井効果を認めた。【結論】Mini-BESTest は高いAUC,感度,特異度を有し,歩行自立度の判別精度に有用性の高い指標であることが示唆される。
著者
西森(佐藤) 婦美子 松川 義純 松田 康平 木田 正博 斉藤 輝夫 藤原 久義
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.721-726, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

小半夏加茯苓湯の方意を含む漢方薬治療で症状の著明改善が図れたパニック障害の3例を経験した。症例1:47歳男性,運転士,血圧上昇を伴う一過性脳虚血発作を引き金に発症。身体疾患の発症がストレスを増強させ心下の気水が鬱して痰熱となりパニック発作になったと考えられる。小半夏加茯苓湯に黄連湯の方意をあわせて症状は消失した。症例2:49歳女性,主婦,家庭内のストレスをきっかけに発症。肝血不足,疎泄不良と脾虚が重なり心下の飲を起こしたと考え,小半夏加茯苓湯を含む茯苓飲合半夏厚朴湯エキスに加味逍遙散エキスを合わせて奏効した。症例3:32歳女性,主婦,子育ての疲労をきっかけに発症。疲れによって脾虚から心下の飲がおこるとともに血虚に陥ったと考え,小半夏加茯苓湯と十全大補湯合方を用い奏効した。『金匱要略』の方剤小半夏加茯苓湯は,中焦の飲と気の上逆を引き降ろすことで「心下痞」「眩悸,」を全例で改善し,症例毎に随証治療をあわせおこなうことでパニック発作が消失した。
著者
伊藤 嘉章 小泉 恵英 木川 りか 原田 あゆみ 白井 克也 志賀 智史 楠井 隆志 河野 一隆 早川 典子 大橋 有佳 渡辺 祐基 川村 佳男 望月 規史 川畑 憲子 森實 久美子 酒井田 千明
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

初年度である今年度は、情報収集を兼ねて多角的に調査を開始した。タイでは、国立の伝統文化財部で現在行われている王室の御座船の修理方法や伝統的人形劇の人形、漆工品、色ガラスを多用した木製品、布製品、石造彫刻等の製作・修理技法のほか、寺院の壁画の修理技法について調査を実施した。インドネシアでは伝統的な影絵であるワヤン・クリの製作技法や機織りによるイカットの製作技法、伝統的な青銅製品(ゴング)の製作技法についての聴き取り調査を実施した。ミャンマーではこの地域に特有な性質をもつ漆工品の調査を行い、ベトナムでは伝統的木製品の修理のための調査のほか、藕糸の製作技法に関する調査を行った。また国内に存在するアジア地域に関連する文化財についても積極的に調査を進めた。中国式寺院の独特な様式をもつ仏像や金工品や、国内で保有しているアジア地域と関連する染織品(藕糸を使用したと考えられる絵画やインド更紗)、韓国の伝統的絵画(綿布に書かれた絵画)の修理方法についての調査、響銅(佐波理)の製作痕の調査、インドネシアのガムランの音色にかかわる構造などについての詳細調査を実施したほか、出土した茶入などの陶器についても製作技法を解明するためにCTによる詳細な構造調査を行った。このほか、修理技法と係る基礎研究としては、アジア地域で伝統的技法に多用されてきた灰汁について文書の修理への利用を念頭に、成分分析と修理対象となる紙に対する影響調査を行った。
著者
森下 義隆 勝亦 陽一 神事 努
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.18058, (Released:2019-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2

The purpose of the present study was to clarify the influence of swing parameters by changing the hitting point in space in baseball batting. Twenty-eight skilled baseball players (12 professional and 16 universitylevel) participated. The participants were instructed to hit a ball that was tossed from 5 m away in the direction of the pitching mound. The balls were tossed to various locations with reference to the home plate. The participants were required to hit the balls in a specific direction according to the tossed course, i.e., a ball tossed to the inside of a home plate was stroked toward the same-field direction and one tossed outside of the home plate was stroked toward the opposite-field direction. The motions of the ball and bat during these attempts were recorded using a motion capture system operating at 500 Hz. The 3D coordinates of the ball center (hitting point) and the swing parameters included the speed of the head of the bat (bat-head speed) and the angle of the swing from a horizontal line (swing angle) measured immediately before ball impact and the time from the start of the swing to ball impact (swing time). These parameters were calculated in each trial. Analysis of a total of 644 trials revealed that the bathead speed tended to increase as the hitting point moved inside, forward, and low. Furthermore, the swing angle and swing time tended to increase as the hitting point moved inside, forward, and high. Stepwise multiple regression analysis demonstrated that the bat-head speed and swing angle were independently associated with (in the following order) the distance in the pitcher’s direction, the hitting height, and the inside-outside direction course (R2=.360 and R2=.589, respectively). These results suggest that the timing of swing initiation and bat acceleration during a swing motion are the main factors changing the swing parameters, and that in order to sharp hit a ball, it is important to impact the ball with the hitting point as close to the pitcher as possible.
著者
村上 元 森元 隆文 三浦 由佳 池田 望
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.248-254, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
11

今回,地方都市において,“誰でも参加できるSST”を当事者と協働で実施する経験を得た.経過の中で,医療・福祉の枠外で立場に関係なく誰でも参加できるという場の構造の不安定さと,それ故に起こったトラブルやその前兆への対処など様々な課題はあったものの,その場に継続的に,かつ主体的に参加して新しい仲間づくりを行う者も多く存在した.このことから,医療・福祉の枠を超えて作業療法士が地域において実践を試みることで,当事者・家族を含む地域住民の健康やつながりの構築に寄与する可能性が示唆された.一方で,その実践には,運営スタッフとプログラムが開催される地域の支援者とのつながり,当事者との協働が必要と考えられた.
著者
兜森 仁志 安彦 智史 長谷川 大 佐久田 博司
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.931-932, 2015-03-17

近年,オンライン講座やe-leaningシステムを利活用した講義などPCを利活用した教育手法が増加している.これらの教育手法を用いた講義は,従来における教員との対面型講義と異なり,受講者がPCと向かい合うため,授業に集中しているか把握しづらいという問題がある. そこで,本研究では集中力と関係が深いとされる瞬きに着目し,ノートPCに付属している低解像度カメラ画像から瞳孔座標の変化量を用いることにより,瞬目数を計測するシステムを提案する.さらに,本システムにより,e-learningシステムを利用中の学習者の瞬きを検出し,集中度との関連を調査する.
著者
森 明子 山田 直子 吉田 知加子 高尾 恭一 小池 文彦 風間 宏美 須賀 比奈子 高尾 哲也 Akiko MORI Naoko YAMADA Chikako YOSHIDA Kyoichi TAKAO Fumihiko KOIKE Hiromi KAZAMA Hinako SUGA Tetsuya TAKAO
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.782, pp.57-63, 2005-12

RT-PCR法を用いて,葉状乳頭における味覚受容体の発現を検討した。すなわち葉状乳頭部から擦過法により取得した組織を使用し,味覚受容体候補であるTHTRファミリー(THTRs)およびT2Rファミリー(T2Rs)の発現をRT-PCR後,マイクロキャピラリー電気泳動により測定した。40歳以上の健常者ではTHTRs,T2Rsの受容体において,多数を発現していることが認められた。これに対し30歳以下の被験者ではいくつかのTHTRsおよびT2Rsで発現を認めたが,典型的な発現パターンはなかった。さらに薬服用者や高齢の味覚異常者においては,健常者に比べてTHTRs, T2Rsともに発現していない受容体が多かった。これらのことから,まず青年期では味覚受容体が成長段階にあり,20歳の成人になっても味覚の成長は十分ではないことが考えられた。壮年期になると味覚受容体が十分発達し,高齢者になってもその味覚受容体の発現数は減少しないことが示唆された。また薬剤の服用者や味覚異常者も,味覚受容体の欠落の可能性が示唆された。