著者
成橋 和正 野村 政明 亀井 浩行 小野 俊介 松下 良 清水 栄 横川 弘一 山田 清文 鈴木 永雄 宮本 謙一 木村 和子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.973-980, 2003-11-01
被引用文献数
13 16

従来の薬学教育における臨床教育の不足から,多くの薬学系大学院博士前期課程(修士課程)に薬剤師免許取得後の大学院生を対象とした臨床系の専攻やコースが設立されてきている.金沢大学でも,薬学研究科(現:自然科学研究科)に臨床薬学教育を主眼に置いた医療薬学専攻が平成8年に設立され,国立大学としては早期であった.本学医療薬学専攻では,薬剤師免許取得者を対象とし,臨床現場で指導的役割を果たす高度な薬剤師の養成および次世代の医療薬学教育研究に携わる人材の育成を教育理念としている.このため,医療薬学専攻の学生に対して医療現場の実習を通じて医療を担うものとしての自覚を深めさせるとともに,自然科学の素養を身に付けることを求めている.具体的な教育目標は,医療人としての倫理観の醸成,医療の専門家として健康と疾病に関する知識獲得,薬物治療に起因する問題の同定・評価・解決,ならびに,コミュニケーションに関する知識・技術の習得,さらには,関連分野における高い研究・開発能力を発展させることである.このため,発足当初は,入学初期の集中講義,1か月の市内保険薬局での薬局実習,6か月の本学医学部附属病院薬剤部での実務実習を行い,1年間を課題研究期間としていた.講義は学部教育に引き続き,基礎自然科学系科目が大半であり,臨床現場での実習との非関連性が学生からも指摘されていた.また,半年間の実習後に修士の学位論文の一部として病院実務実習篇の作成や口頭発表が要求されていたために,実質的な実務実習は,時間的に極めて限られていた.実務実習を終えたあとの課題研究は,医療薬学専攻ならびに生命薬学専攻に属する各研究室で行っていたことから,必ずしも臨床に近いものではなかった.さらに,学生が就職するのは実習終了後1年を経過した後であり,就職直前の学生から実務に対する不安がでたり,就職直後に修了生や雇用者から実習経験が薬剤師として十分に活かせていないとの声が聞かれた.このような問題点を踏まえて,平成13年度に医療薬学専攻のカリキュラムの改善を図った.医療薬学に対する幅広い知識を深めさせるため,臨床系講義科目を充実させた.この変更では,薬物治療の科学的基礎とともに,看護,倫理,心理,国際など,医療に関連する人文・社会系分野も開講し,受講する学生の講義科目数が増加した.また,実習に関しては,継続性や充実性を考慮し,実務実習期間を1年に延長した.最初の2か月間は薬剤師業務全般の集中的な導入実習として,6人ずつ4グループに分かれ,調剤部門(一般調剤・注射薬調剤,2週間),製剤部門(一般製剤・無菌調剤,1週間),薬剤管理指導部門(医薬品情報・医薬品管理・TDM,1週間:病棟業務,4週間)を行う.その後は学生1人に対し指導薬剤師1人というマンツーマン形式の個別指導とし,薬剤師職能の病棟の薬剤管理指導を中心の実習としている.これに対し,医療薬学専攻の各教官も3名程度の学生を担当し,面接などにより実習の進捗状況を把握するとともに,専門分野に応じた指導も担当している.しかしながら,実習(実務)の大部分は指導薬剤師により行われており,個別指導であるため学生全体としての質の評価や,問題点の抽出は行いにくい.そこで,この新カリキュラムによる講義の理解度や実習の達成度について,visual analog scale(VAS)を用いて,学生と指導薬剤師による評価を試みた.また,この評価結果から,新カリキュラムの問題点などについて考察することとした.
著者
大浜 和憲 土田 敬 矢崎 潮 田中 松平 長尾 信 亀水 忠 川口 雅彦 俵矢 香苗 清水 博志
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.776-783, 1996
被引用文献数
4

胆道穿孔を合併した先天性胆道拡張症4例を報告した.性別は男児1例,女児3例で,年齢は13日から4歳であった.形態は嚢腫状拡張3例,紡錘状拡張1例であった.主脈は腹痛,発熱と嘔吐が3例に,腹部膨満,黄疸と意識障害が1例に認められた.全例とも炎症所見はそれほど強くなかった.直接ビリルビンの上昇が1例に,高アミラーゼ血症が2例に認められた.発症から手術までの期間は2日から13日であった.初期治療として腹腔単ドレナージ術が2例に,嚢腫十二指腸吻合術と外胆瘻造設術が各1例に行われた.全例,1ヵ月から5年後に根治術を受けて生存している.自験例4例を含む本邦報告例93例の検討から,症状は嘔吐が最も多く,腹部膨満,腹痛,発熱がそれに次ぐ.小児の急性腹症で黄疸や肝胆道系酵素・膵酵素の上昇などがあれば,腹部超音波検査を必ず行い,胆管の拡張と大量の腹水貯留があれば胆道拡張症に胆道穿孔を合併したものとほぼ診断できる. 初期治療は外胆道瘻造設術が妥当である.先天性胆道拡張症で胆道穿孔をおこす原因は胆道内圧の上昇と膵液の逆流による胆管壁の荒廃の2つが考えられるが,嚢腫状拡張よりも紡錘状拡張の方が穿孔を起こしやすいことから,後者の方がより大きな因子といえる.また穿孔をおこす年齢は4歳までがほとんどで,胆道壁の未熟性も穿孔に関与していると考えられる.
著者
清水 紀雄 浅見 重幸 小林 保 田子 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.93, no.291, pp.59-66, 1993-10-22
被引用文献数
2

事務所などでのパーソナルコンピュータ、ワークステーション、およびそれらを相互に接続するローカルエリアネットワークの普及に伴って、無線LANの導入の要望が強くなっている。これに対応するために、2.4GHz帯スペクトル拡散無線LANシステム(無線LANアダプタ)を開発した。これは、無線リモートデータリンクブリッジとして動作し、コンピュータとはIEEE802.3標準規格(イーサネット)で接続する。この方式の無線LANは実装が容易で、2台のPCから大規模なLANにまで対応できる。室内での無線データ通信の課題、多重アクセスプロトコル、シミュレーションによる評価、および試作結果等について報告する。
著者
清水 正夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.299-304, 1974-08-01

知的活動にとってドクメンテーションの知識とその技法は,とくに高等教育においては,不可欠のものであるにもかかわらず,一般に系統的な教育は実施されていないようである。筆者は1963年開校時から有明工業高等専門学校において計画的にドクメンテーションの手ほどきをしてきたので,その体験を記す。中学校卒業を入学資格とする5年制工業高専のカリキュラム中各校の特色を発揮するための選定科目の時間から,本校工業化学科では工業外国語を週当り通算5時間(1学年35週を下らないものとして)を割り当て,専攻情報受け入れの道をひろげ,かつ4年間にわたってのこの時間中に,辞書,事典類の利用,文献調査,整理検索,報文の作成にいたる一連の項目を授けてきた。図書館の構造もこの授業に便利なものとした。
著者
加藤 友康 清水 敬生 梅澤 聡 荷見 勝彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1337-1342, 1994-12-01
被引用文献数
2

直腸に直接浸潤もしくは播種巣を形成した卵巣癌症例に対する, neoadjuvant 化学療法(NA化療)後の直腸合併切除の意義について検討した. 1988年7月から1992年12月までに当科でNA化療後に直腸合併切除を行ったIIIc期7例, IV期4例(漿液性腺癌10例, 類内膜腺癌1例)を対象とした. IIIc期例は試験開腹後にNA化療を開始した. IV期例ではPerformance status (PS)が悪いため試験開腹は施行せず, まず癌性胸腹水に対して免疫療法を施しPSの改善を図った後, ただちにNA化療を開始した. 化療のレジメンはCP (cyclophosphamide: 500mg/m^2, day 1; cisplatin: 10mg/m^2, day 1〜7)であり, 4〜6コース投与した. 効果はPartial Response 9例, Minor Response 1例, No Change 1例であった. NA化療後, 子宮・卵巣・直腸をen blocに摘出した. 人工肛門が造設されたのは計画的に骨盤内臓全摘術を行った1例のみであった. 上腹部臓器に転移巣が残存した5例は, 可及的に摘出した. 術後の残存腫瘍径は, 残存腫瘍なしが5例, 0.5cm未満が2例, 2cm未満が3例, 2cm以上が1例であった. 術後合併症例はみられず, 術後治療によるPSの改善が効を奏したと思われる. 11例の全生存期間(5例死亡)は平均26.8ヵ月であった. なお, 残存腫瘍径が0.5cm未満の症例7例(2例死亡)中, 2年未満の死亡例はなかった. 直腸合併切除及び播種巣の可及的切除により残存腫瘍径を0.5cm未満にすることが可能な症例では, NA化療後の直腸合併切除はQuality of Lifeを損ねることなく, 予後に大きなimpactを与えると期待できる.
著者
Pak Son-Il Han Hong-Ryul 清水 晃
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1013-1018, 1999-09-25
被引用文献数
4 36

病院犬から分離したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)12株の試験管内薬剤感受性, 毒力, パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)による遺伝子型別を行った. 薬剤感受性試1験では, 大多数の菌株が供試したβ-ラクタム系に耐性で, 全株がグリコペプチド系に感受性であった. アミノ配糖体系は抗菌活性がなかった. LD<50>は菌液を腹腔内接種し, Spearman-Kardcr法で求めた. MRSAとMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)のマウス致死活性は, 正常マウスとサイクロフォスファミド処置マウスで意義ある違いが認められず, 両株は同等の毒力を有していた. MRSAとMSSAの間でエンテロトキシン産生率に違いがみられ, MRSAの83.3% (10/12),MSSAの14.3%(1/7)がエンテロトキシンを産生じ, MRSAの優勢エンテロトキシン型はB型であった. MRSAの全株が莢膜型5型に属し, 一方MSSAは多様な莢膜型(4株:5型, 1株:8型, 2株:型別不能)を示した. PFGE解析では, 12株のMRSAは48.5-630.5kbの間で9-11のフラグメントを産生し, 6つの異なったパターンを示した。 これらの結果から, エンテロトキシンの産生性と莢膜型はマウスに対する病原性に役割を演じていないこと, またPFGEはMRSAの特徴づけに有用な方法であることが示された. 本論文は韓国の獣医学領域における最初のMRSA分離報告例である.
著者
近田 文弘 清水 建美
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.95-107, 2002

帰化植物は種数が多く,地域の植物相の重要な要素となっている.また,環境が変化した場所に侵入することが多く,帰化植物の分布状況は自然環境の改変を示唆すると考えられている.このような観点から富士山の帰化植物の分布を梅村(1923),近田・杉本(1983)の植物相調査と比較し,また垂直分布に注目して調査した.梅村(1923)には,1,110種の分布が記録されこの内,帰化植物は5種である.近田・杉本(1983)は,1,557種を記録し,この内,帰化植物は86種である(表1).今回の調査では31科113種の帰化植物を記録した.近田・杉本(1983)以後に新たに記録された種は42種である.これらの内,ナガミゲシ,ショカツサイ,シンジュ,オッタチカタバミ,マツヨイグサ,アレチウリ,ウラジロチチコグサ,セイバンモロコシは,東京とその近郊では普通であるのに,富士山ではごく限られた小地域で生育していて,最近富士山に侵入したことを思わせる.富士山の南面と北面では帰化植物の分布に違いが見られた.南面では86種が記録されこの内,40種は南面でのみ記録された.北面では53種で,17種は北面のみの記録である.南面は交通の便が良く都市化が進んでいるので,帰化植物の侵入口であることが予想される.帰化植物の垂直分布を,海岸から亜高山帯まで500mづつ標高を区切って各種の分布上限から調べると,大部分の帰化植物は標高1,000m以下に分布し,それより上では限られた少数の帰化植物が分布する.亜高山にまで分布できる帰化植物はセイヨウタンポポ,オオアワガエリ,カモガヤ,グンバイイナズナ,コイチゴツナギ等少数である.富士山の帰化植物数を他の地域と比較してみると,富士山では帰化植物数が少ないと言える.富士山の中腹以上の地表は火山灰で栄養や水分が乏しく,地表の大部分は帰化植物が生育し難い樹木の密生した森林で被われているいるので,帰化植物の生育できる範囲は限られていることが大きな原因ではないかと思われる.
著者
小倉 康晴 清水 雅史 上杉 康夫 難波 隆一郎 中田 和伸 雑賀 良典 芦名 謙介 松井 律夫 末吉 公三 楢林 勇
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1029-1035, 1994-12-20
被引用文献数
6

ヘリカルCTのデータから気管・気管支系の三次元立体表示を行い,最適な表示条件とその描出能について検討した.対象は気管支鏡およびヘリカルCTが施行された肺病変16例である.使用装置は東芝社製Xforceで,撮像条件はX線ビーム幅5mm,テーブル移動速度5mm/1.5秒,1回転1.5秒で連続20回転スキャンし,2mmピッチで横断像を画像再構成した.得られたデータから三次元表示ソフトウエアCEMAX-VIPstationを用いて気管・気管支を立体表示し,気管支鏡所見と対比検討した.気管・気管支の三次元表示には,CT値の抽出閾値-650HU〜-100HUが最も描出良好であった.また区域気管支まで気管支内腔の観察が可能であり,気管支内の腫瘤は内腔狭窄,壁肥厚として描出された.気管・気管支の三次元表示を観察することにより病変部の全体的な把握が容易となり,また気管支壁の外方からの観察も可能であることから気管支病変の解析により有用であると考えられた.
著者
田中 伸厚 北山 努 清水 武司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
茨城講演会講演論文集 : Ibaraki district conference
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.81-82, 2002-08-23

The symplectic semi-Lagrangian (SSL) method was developed in order to improve the preservation of physical quantities of semi-Lagrangian method. In the method, symplectic integrators are adopted in searching for the upstream point in the semi-Lagrangian method. The purpose of this paper is to verify the validity of symplectic Semi-Lagrangian method for a practical fluid problem, that is two-dimensional incompressible viscous flow. We compare here two kinds of implicit symplectic integrators; second-order gauss method and second-order trapezoidal rule method. The computed results show that the SSL can take such large time-step size over Courant number 1 without loosing computational accuracy. It also turns out that second-order gauss method is more accurate than the trapezoidal rule method.
著者
清水 紘一
出版者
史料研究会
雑誌
史料研究 (ISSN:13492322)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-32, 2004-03
著者
金次 保明 目黒 宏 谷口 憲司 清水 勉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会年次大会講演予稿集 (ISSN:09191879)
巻号頁・発行日
no.30, pp.79-80, 1994-07-26

A new synchronization algorithm for a serial interface of digital television signals is proposed to meet two user-requirements, i.e. quick recovery after switching and secure protection under a poor condition. In the new algorithm correct EAVs with protection bit are always captured without backward protection to establish a quick synchronization while synchronization is kept due to flywheel effect even EAVs are not found at the expected timing. The calculation results prove that the new algorithm show a performance to meet the user-rquirements.