著者
渡辺 努
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.358-379, 2000-10

大規模な負の需要ショックに対応するために名目短期金利をゼロまで下げているにもかかわらずも需要が不足している場合に,中央銀行は何ができるだろうか.この問いに答えるために,本稿では,名目短期金利の非負制約を明示的に考慮しながら中央銀行の最適化問題を解く.最適な政策は,「ショックの発生移行のインフレ率や需要ギャップの累積値がある一定の水準に達するまでゼロ金利政策を続ける」とコミットすることであり,歴史依存性 (history dependence) が重要な特徴である.このように,政策ラグを意図的に発生させることにより,足元の名目長期金利が下がる一方,期待インフレ率は上昇するので,負の需要ショックの影響は和らげられる.日本銀行が1999年2月から2000年8月にかけて採用したゼロ金利政策は,(1)長めの金利への波及を当初から意図してきた.(2)ゼロ金利の継続期間を物価上昇率に関連づけながらコミットした,という点で最適解に近い性質を持つ,しかし,「デフレ懸念の払拭が展望できるまでゼロ金利を続ける」という日銀のコミットメントでは,ゼロ金利解除の条件が先見的 (forward looking) な要素のみで決まっており,最適解のもつ歴史依存性が欠落している.典型的な最適解ではインフレ率が正の値まで上昇するのを待ってゼロ金利を解除するのに対して,日銀のコミットメントはインフレになる前の段階でゼロ金利を解除するため,ゼロ金利期間が短すぎるという難点がある.
著者
渡辺 真澄 種村 純 長谷川 恒雄 佐々木 浩三 辰巳 格
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.206-215, 2001

新造語発話における機能範疇の使用状況を調べるため,新造語発話の多い流暢性失語症1例を対象に,動作絵を用いて動詞を発話させ,活用を調べた。活用形には,基本形,テ形,命令形の3種を選んだ。それぞれの課題における反応語の語幹は,約半数が新造語となった。これらの活用語尾と語幹末音素を検討したところ,新造語であるにもかかわらず活用語尾には動詞の語尾だけが現れた。さらに,基本形,命令形では,ほぼ動詞の語幹末音素だけが出現した。しかし,テ形では,逸脱例が多く出現した。これらの結果は,英語圏における,新造語発話に関する研究,および脳の損傷部位と規則・不規則動詞の過去形生成に関する先行研究の結果とほぼ一致し,日本語の新造語発話においても機能範疇が保たれる場合のあることを示している。さらにこれらの結果は,語彙範疇と機能範疇の使用頻度の差,という視点から説明される可能性を示した。

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著者
渡辺仁編集責任
出版者
雄山閣出版
巻号頁・発行日
1977
著者
大矢 恭久 増崎 貴 時谷 政行 渡辺 英雄 吉田 直亮 波多野 雄治 宮本 光貴 山内 有二 日野 友明 奥野 健二
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.319-324, 2014-06

本レビューではプラズマ対向材料として注目されているタングステンの試料を,大型ヘリカル装置(LHD)の15サイクル実験(2011年)および16サイクル実験(2012年)期間中にLHD真空容器内に設置してプラズマ環境に曝露した際の水素同位体滞留能変化を調べた.これにより磁場閉じ込め装置の実機環境下での水素同位体滞留の基礎過程を理解するとともに水素同位体滞留能の変化がLHDにおける水素同位体挙動にどの程度影響を与えるのかを評価した.タングステン試料を約5000~6000ショット程度の水素プラズマ,300~800ショット程度のヘリウムプラズマおよび壁調整のためのグロー放電洗浄に曝した後に真空容器から取り出して観察したところ,表面には炭素堆積層が形成されており,その厚さは,堆積が多い場所の試料(DP試料)で4μm程度,熱負荷の高い場所の試料(HL試料)では100nm程度であった.これらの試料に重水素イオンを照射した後,昇温脱離ガス分析を行ったところ,重水素放出特性は純タングステンとは異なり,主要な放出ピークは800K-900Kに見られた.特にDP試料では900Kに大きな脱離ピークが見られた.純タングステンでは400K-600Kに脱離ピークが存在することから,LHDでプラズマに曝されたタングステン試料の重水素捕捉は純タングステンでの重水素捕捉とは状態が異なることが示唆された.LHDプラズマに134ショットだけ曝した試料の表面を観察すると,堆積層と表面近傍に転位ループが高密度に集積していることから,曝露初期には照射損傷導入と堆積層形成がダイナミックに進行し,これらに重水素を捕捉する能力が高いことが示唆された.
著者
一色 賢司 津村 周作 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.344-349, 1983-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
9 9

防カビ剤及び防虫剤の摂取レベルについて検討を加え, 次のような結果を得た.1) 7家庭より採取した1人1日分の喫食直前の飲食物 (陰膳) から防カビ剤が検出された. 平均含有量はジフェニル165μg, オルトフェニルフェノール24μg, チアベンダゾール33μgであった.2) 国民栄養調査による果物の摂取量を基にして可食部に由来する防カビ剤の1人1日当りの摂取量を算出した. その結果得られた防カビ剤の摂取量は, ジフェニル0.29μg, オルトフェニルフェノール0.09μg, チアベンダゾール0.04μgであった.3) 7家庭のいずれの陰膳からも防虫剤ピペロニルブトキサイドは検出されなかった.4) 穀類の摂取量を基にして防虫剤の1人1日当りの摂取量を算出したところ, 1.77μgという値が得られた.
著者
相澤 卓 渡辺 和宏 長尾 宗紀 亀井 尚 内藤 剛 海野 倫明
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.814-819, 2018 (Released:2018-10-31)
参考文献数
10

症例は34歳,男性.16歳時より潰瘍性大腸炎(UC)として加療されていた.左下腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診した.下部消化管内視鏡・腹部CT検査でS状結腸に壁肥厚と狭窄,その近傍に膿瘍形成を認めて当科紹介となった.三期分割手術の方針として大腸亜全摘・回腸瘻造設術を施行した.当初,二期目手術に残存直腸切除・回腸嚢肛門吻合術を予定していたが,術後病理組織学的検査で非乾酪性肉芽腫を多数認めてCrohn病に診断変更となり,さらに二期目手術前検査で残存直腸のポリープからadenocarcinomaが検出されたため残存直腸切断術を行った.病理組織学的検査ではポリープ部のみならず周囲にcarcinomaやdysplasiaを広範囲に認めた.非典型的なUC症例では診断が変更になる可能性を念頭に置き,またcolitic cancerを合併した場合は病変が広範囲に存在することがあることを考慮する必要がある.
著者
渡辺 光司 山口 和之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.H1057, 2004

【はじめに】<BR>当通所リハビリテーションセンター(以下通所リハ)ではマシントレーニングを特徴とするパワーリハビリテーション(以下パワーリハ)を導入した。導入前から利用者の活動性維持・向上を目標として行っていたが、十分な成果を出しているかが疑問であった。今回、導入前1年間とパワーリハ介入後のADL・身体能力の変化に着目しパワーリハの効果を検討したので報告する。<BR>【方法】<BR><U>調査1</U> 平成14年1月と同12月に第1回目と2回目のADL、身体能力調査を行った。対象は、歩行可能で研究協力に同意を得られた通所リハ利用者で継続して評価が可能であった81名(男性41名、女性40、平均年齢76±9.2歳)だった。調査項目はADL評価としてBarthel Index(以下BI)、身体能力評価として、Functional Reach(以下FTR)、片脚立位、Timed Up & Go(以下TUG)を行った。<BR> <U>調査2</U> 調査1の対象者からパワーリハを行った61名に、パワーリハ介入3ヶ月後のADL、身体能力調査を行った。<BR>【結果】<BR><U>調査1</U> 第1回目と2回目の調査の結果、ADL評価でBIは、88.4±11.8点から88.0±11.7点となり統計学的な差異はなかった。低下した人数の割合(以下、低下者率)は11.1%となった。一方FTR、片脚立位、TUGにおいては統計学的に優位な低下を認めた(p<.01)。低下者率はそれぞれ、69.1%、66.8%、74.0%だった。<BR> <U>調査2</U> BIは88.3±10.7点から88.6±10.7点で統計学的な差異はなかった。一方片脚立位、TUGにおいてそれぞれ優位な改善を認めた(p<.05)(p<.01)。またFTRは統計学的な差異はなかったが改善傾向があった。<BR>【事例】<BR>88歳、女性、要介護度1。5年前に大腿骨頚部骨折受傷し人工骨頭置換術を施行した。日常生活は歩行自立も転倒への恐怖感から屋外に出られない生活を送っていた。最近、易疲労やふらつきが多くなり室内に閉じこもる事が多くなった。パワーリハ導入前1年間のBIは90点で変化なかったが、TUGは26.1秒から37.2秒と低下が見られた。パワーリハ介入3ヶ月後、TUGは24.5秒に改善した。近くの店へ買い物に出かけるようになり、次はパーマ屋に行ってみたいと行動範囲や目標が広がっている。<BR>【考察】<BR>導入前はADLが維持されていても、身体能力は大きく低下していた。事例のように身体能力低下から行動範囲、生活意欲が低下している要介護者もおり、将来的にADL低下を引き起こす事が予測された。そのため通所リハではADLの維持のみならず、身体能力の低下を未然に防止する取り組みが極めて重要で、パワーリハは身体能力の改善効果が期待できると思われた。以上から身体能力への積極的なアプローチを行うことができるパワーリハは、今後、通所リハで極めて有用な手法と思われる。
著者
渡辺 雅子
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.43-63, 2003

How are past events explained by teachers in the classroom, and how do their narrative styles relate to the framework of understanding the past? While analysis in textbooks has been central to the study of history education, the way in which these textbooks are used and explained has not been fully clarified. Through a comparison of American and Japanese history lessons, this study identifies styles of explanation of teachers and explores how the past, present, and future are structured in their narratives.<BR>Observations of history lessons revealed that in Japanese classrooms, teachers explained past events chronologically as a long sequential chain, and focused on historical figures' emotional states, which were not treated in the textbooks, to link the events in the chain. In this framework, &ldquo;empathy&rdquo; was considered the ability most needed for understanding history.<BR>In American classrooms, by contrast, teachers re-framed historical events in a causal order. They first defined a certain event as an effect and asked students to find causes. Teacher's questions about why an event happened framed a continuous temporality to show a clear correspondence between cause and effect. In this process, information that did not contribute to the explanation of the effect was eliminated. The identification of causes by looking back from effects was taught as a skill, and &ldquo;analysis&rdquo; became the most important ability for understanding history. These two methods of understanding the past, &ldquo;temporal sequential&rdquo; order and &ldquo;causal&rdquo; order, also influenced the way students thought about the direction of causality and about the future. How history is taught deeply relates to the socialization of cognition. The differences between the two countries suggest the importance of studying teachers' styles of presentation and explanation, in addition to studying textbooks.

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著者
渡辺 いく子
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.P456-P460, 1997-08-25 (Released:2009-10-27)
参考文献数
3
著者
渡辺善太著
出版者
日本基督教団出版局
巻号頁・発行日
1968

1 0 0 0 預言文學

著者
渡辺善太著
出版者
警醒社
巻号頁・発行日
1947

1 0 0 0 預言文學

著者
渡辺善太著
出版者
警醒社
巻号頁・発行日
1924