著者
藤原 源吉
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.2-8, 1996-01-15
被引用文献数
13

This article describes the findings of research for some recent transport airplane's accidents related to fatigue cracks. One is a B747SR's accident due to crack initiating at the fastener holes (to say Multiple-Site Damage). The other describes the crash of UAL's DC10-10 (N1819U), in Sioux City, Iowa, U.S.A., on July 19, 1989, which experienced a catastrophic failure of the No.2 tail-mounted engine during cruise flight. The third explains the in flight separation of the No.2 engine and engine pylon from B747-100F, shortly after departure from Anchorage International Airport, Anchorage, Alaska, on March 31, 1993. As a result of investigation for B747-100F's accident, National Transportation Safety Board made some important recommendations (One is to amend the design load requirements of Title 14 Code of Federal Regulations Part 25 to consider multiple axis loads encountered during severe turbulence) to the Federal Aviation Administration. Also, current aging airplane service data have identified that there are more cracked airplanes with increasing fleet edge, and possibly several fatigue cracks in some of the cracked airplanes. Especialy, MSD helped focus the attention of the aeronautical field on the problems of operating an aging transport airplanes. Therefore, FAA proposed to rivise the Advisory Circular No.25·571-1A (Damage tolerance and fatigue evaluation of structure) on 3/5/1986. This article describes one operator's viewpoint on the means to maintain the safety of aircraft structures in consideration of the revised structural fatigue evaluation standards.
著者
藤原 源吉
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.43, no.493, pp.1188-1194, 1994-10-15

Well Over 32 percent of the commercial air carrier fleet, worldwide, are beyond their original 20-year design life goal. In the past, 20-year old aircraft were most often replaced by newer aircraft for airline service. However, this is no longer true, and by the turn of the century, 64 percent of the current fleet will be at least 20 years old. This is because economic and market conditions have resulted in the use of commercial jet airplanes beyond their original economic design life objectives. As aircraft exceed their economic design life objectives, the incidence of fatigue increases and corrosion may become more widespread. The purpose of this paper is to discuss our experience with aging aircraft, the basic considerations of fracture mechanics treatment of cracks initiating at rivet holes(to say Multiple-Site Damage) and some problems due to fatigue cracks in aircraft components from the operators viewpoint.
著者
亀井 源太郎
出版者
首都大学東京
雑誌
法学会雑誌 (ISSN:03868745)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.237-267, 2007-12
著者
倉石 源三郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.414-416, 1958-09-01

スラグ同調回路は, 大電力またはハイ・チャネル用TV送信機の高周波出力同調回路に使用すると便利な回路である.しかし同軸給電線の途中にコンデンサがあるために, その設計・調整方法を理解するのが比較的困難であるから, この回路を解析し, 設計調整に必要な資料を得ておけばきわめて便利だと考えられる.本文は必要な帯域特性を得るためのスラグの位置, キャパシタンス等に関する資料を算出し, スラグ同調回路の設計, 調整法を述べたものである.
著者
草野 源次郎 芝野 真喜雄 渡辺 斉 尾崎 和男
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.619-631, 2003-08-01
参考文献数
37
被引用文献数
4 9

重要薬用資源のウラルカンゾウとスペインカンゾウ(マメ科)について,その優良品種候補を選抜し,国産甘草を実現することを目標にこの研究を開始した.現在研究は進行中であり,目標達成には困難な問題が山積している.しかし,優良品種の候補は選抜できたと結論するに至ったので,現在まで蓄積した知見をまとめて報告する.日本薬局方第14局では,生薬カンゾウ(甘草)Glycyrrhizae RadixはGlycyrrhiza uralensis FisherまたはG.glabra Linneの根及びストロン(走出茎)で,ときには周皮を除いたもの(皮去り甘草)で,グリチルリチン(グリチルリチン酸)2.5%以上を含むと規定されている.前者は中国東北部,中北部,西北部,あるいはモンゴルに自生し,後者は中国西北部,中東,ヨーロッパ諸国,旧ソ連の一部に自生している.甘草の大部分は自生種を採集して調製しているが,乱獲による砂漠化が大きな社会問題になっている.そこで,一部には自生種を計画的に管理する方式の栽培,あるいは種苗からの栽培が試みられている.4)また,わが国の製薬企業によるオーストラリアでの本格的な栽培も行われている.中国政府は2年半前に甘草の輸出禁止令を布告するとともに,甘草の取り扱いを許可制にした.中国ではわが国及び諸外国の数社が参画する形で,付加価値を高めるための製品化も進み,中国から生薬としての甘草輸出は激減している.甘草輸出における最低価格制も噂されている.このことは周辺諸国にも影響を与え,モンゴルにおける乱獲など甘草を取り巻く事情は予断を許さない状況にある.以上の考察から国内で消費する甘草のうち,数%を目標に国産甘草の生産を現実のものにするのが重要であると考えた.国産甘草の生産を試みるために,わが国の環境下で検討することにした.国内生産を目的とする研究では,種苗を外国に依存することは新たな問題を起こす心配がある.そこで,この研究では国内薬用植物園から長年植栽された種苗の分与を受けた.すなわち,これらの中からわが国の環境に適応した種の選抜が期待できると考えたからである.
著者
高松 信樹 松本 源喜 中谷 周 鳥居 鉄也
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.103-112, 1988-07

南極南ビクトリアランド・ドライバレー地域・ラビリンス(77°33′S, 160°50′E)の池水中の塩起因を明らかにするため, LiとB含量を測定した。また, これらと比較するため, ドライバレー地域のバンダ湖, ドンファン池, フリクセル湖およびボニー湖ならびにベストフォールドヒルズのディープ湖とエース湖についても同様の測定を行った。ラビリンスの淡水および塩水中のLiおよびBの濃度および濃縮係数などより, 池水の化学成分は海水や熱水起源ではなく, おもに風送塩に起因するものであることが明らかになった。これらのことはラビリンスの塩水池が風送塩を含む氷河氷や雪の融水が凍結濃縮を繰り返すことによって形成されたとする考えを支持している。塩化物イオン含量の増加とともにB/Cl比が減少することから, Bは凍結過程で氷に移行し, 蒸発によって徐々に揮発していくと考えられる。
著者
金城 政勝 源 宣之 杉山 誠 伊藤 直人 淺野 玄 金城 政勝
出版者
琉球大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

エマージング感染症の多くの病原体は野生動物や昆虫と共存し、自然界で密やかに感染環を形成している。そこで本研究では、野生動物や吸血昆虫から種々の病原体や抗体を検出して、わが国に既に侵入しているあるいは侵入する恐れのある新たなウイルス性感染症をいち早く補足し、それらの予知法を考察しようとするものである。最終年度である本年度は、岐阜及び西表島での昆虫採集を引き続き行い、それらからのフラビウイルス(日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ脳炎ウイルス及びデングウイルス)遺伝子の検出を試みた。また、蚊由来培養細胞C6/36細胞を用いてウイルス分離も試みた。1)岐阜及び西表島における蚊の採取:本研究期間内において、最終的に20,919匹及び40,423匹の蚊がそれぞれ岐阜及び西表島で採取された。岐阜で採取された蚊のうち最も多かったのはイエカ属(80.0%)で、ハマダラカ属(17.2%)がそれに続いた。一方、西表島では、クロヤブカ属(62.7%)及びヤブカ属(32.7%)の蚊が大きな割合を占めた。2)RT-PCR法を用いた蚊からのフラビウイルス遺伝子の検出:同一のプライマー・セットを用いて日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ脳炎ウイルス及びデングウイルスの遺伝子を検出することができるRT-PCR法により、685プール(1プール50匹、計29,966匹)の蚊からウイルス遺伝子の検出を試みた。しかしながら、目的の増幅産物を得ることができなかった。以上にことから、上記のウイルスは岐阜及び西表島に高度に浸潤していないことが示唆された。3)蚊由来培養細胞を用いたウイルス分離:C6/36細胞に接種した599プールのうち、34プールが明瞭な細胞変性効果(CPE)を発見した。このうち西表島のヤブカ属のプールから分離されたCPE発現因子について各種生物性状を調べたところ、上記ウイルスとは異なるフラビウイルスであることが示唆された。今後、このウイルスの哺乳動物に対する病原性等を詳細に検討する予定である。
著者
山本 奈恵 木下 秀文 井上 貴昭 川喜多 繁誠 大口 尚基 六車 光英 河 源 坂口 雄沢 足立 靖 坂井田 紀子 植村 芳子 松田 公志
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.665-669, 2007-09

76歳男。患者は頻尿および排尿困難を主訴とした。前立腺生検を施行し, 低分化型前立腺癌およびGleason score 4+5の診断を得た。Maximum androgen blockade(MBA)療法を開始したところ, PSAは低下し, CT上でリンパ節腫脹の消失を認めた。しかし, その後, 腰背部痛が出現し, 疼痛による歩行困難, 嘔吐, 食事摂取困難が生じ緊急入院となった。所見ではFDG-PETで骨以外の病変として右肺尖部, S状結腸に集積を認め, 肺小細胞癌に準じた化学療法を考慮したが, 全身状態の不良にて施行できないまま急速に病状が悪化した。そして症状出現から約3ヵ月後に患者は死亡となった。尚, 剖検所見から本症例は低分化型前立腺癌が脱分化を来し, 多臓器に転移したものと考えられた。A 76-year-old man had been treated with maximum androgen blockade therapy for a poorly-differentiated prostate adenocarcinoma (T3cN1M0, prostate specific antigen (PSA) 65 ng/ml, Gleason Score 4+5=9) since September 2002. By August 2003, his serum PSA levels were undetectable and the lymph node swelling had vanished. However, in December 2004, his serum PSA levels started rising gradually up to 0.66 ng/ml. Radiation therapy on the prostate was then performed (66 Gy). At that time, no metastasis was detected by computed tomography and bone scintigraphy. In August 2005, multiple bone metastases were detected. Immunohistochemical examination of a biopsy specimen from the bone lesion revealed a small cell carcinoma/neuroendocrine cell carcinoma. He died with undetectable PSA levels (less than 0.008 ng/ml) in December 2005. The autopsy showed multiple organ metastases including bone, liver, lungs and others. The immunohistochemical examination revealed pure small cell carcinoma in all metastatic lesions. A precise histological examination of the lungs using a 1 cm serial section could not reveal any tumors compatible with primary lung cancer. We concluded from the clinical history and autopsy findings that his initial poorly-differentiated adenocarcinoma of the prostate dedifferentiated into a pure small cell carcinoma with neuroendocrine differentiation.
著者
大西真晶 源 元佑太 江口 隆之 加藤宏章 西出 亮 上島 紳一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.51-64, 2006-03-15
被引用文献数
13

本稿では,スケーラブルなネットワーク基盤として,計算幾何の分野で知られるドロネー図をトポロジとして持つP2P ドロネーネットワークとその自律分散生成アルゴリズムを提案する.ここでは,まず本P2P ドロネーネットワークの特徴について述べ,次に生成アルゴリズムについて述べる.提案アルゴリズムは,各ノードの局所的な動きから,ノード間の幾何学的な位置関係を利用して接続関係を更新し続けるアルゴリズムであり,さらにノードが相互に情報交換することでネットワークを構成できる特徴を持つ.また,ノードが幾何学的退化状態にある場合も動作できる.本アルゴリズムにより,与えられた2 つのP2P ドロネーネットワークを融合することも可能であり,P2P パラダイムの持つスケーラビリティを活かしながら,システムの対象空間を段階的に拡張できる.提案アルゴリズムでは,ノードの3 つの操作を定義している.すなわち,局所ドロネー化操作と三角化通知操作が,局所的なドロネー図を自律分散的に生成し,委譲操作により,ノード間でノード情報の情報交換を行う.最後に,数値シミュレーションにより,P2P ドロネーネットワークの形成過程を,ノードへの負荷,P2P ドロネーネットワークへの収束ステップ数,各ノードの次数の変化,ネットワーク負荷などから検証し,提案アルゴリズムの有効性を確認する.また,本アルゴリズムの適用性についても議論する.This paper proposes a P2P Delaunay network whose topology is a Delaunay diagram wellknown in computational geometry as a scalable network infrastructure for spatial data management. We first discuss its features as a P2P network, and propose an algorithm to construct the network autonomously and distributively in P2P settings. In the proposed algorithm, nodes update their connection defined by node adjacency with respect to geometric location and generate local Delaunay networks of neighboring nodes, while they exchange node-location information to generate a network. The algorithm also works for the case nodes locate in geometrical degeneracy. Furthermore, the algorithm can also be applied to merging two independent P2P Delaunay networks. Owing to the algorithm, we can manage large target spaces using the P2P paradigm, and furthermore extend the target space incrementally y utilizing scalability that the P2P paradigm possesses. By numerical simulations, he authors examine the construction process of P2P Delaunay networks in terms of loads of odes, time-steps consumed for constructing P2P Delaunay networks, degree of each node, nd networkload cost. The applicability of the proposed algorithm for P2P models is also iscussed.
著者
鈴木 源吾 山室 雅司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

企業における情報基盤整備の一環である企業全体の情報モデル作成では,スキーマ統合が必要である.筆者らは,スキーマ統合に用いる共通データモデルとして概念グラフを用いて,スキーマ間の異種性解消を容易にする方法を提案した.本稿では,このアプローチではスキーマ要素間の類似度計算も容易になることを述べる.
著者
〓 延輻 辻村 泰寛 玄 光男 山崎 源治
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.947-957, 1996-10-15

実在する多くのコンピュータシステムは, 閉鎖型, あるいは開放型と閉鎖型が混在した混合型のマルチクラス・ネットワークモデルによりモデル化される.このもでる化はM/M/s待ち行列モデルに基づいて行われるもので, コンピュータシステムの性能評価を行う手段として常套的に用いられる.待ち行列理論によるコンピュータシステムの性能評価では, 従来, 指数分布あるいはポアソン分布を仮定して, 到着率やサービス率などを確定値として取り扱ってきた.しかし, 様々な外的あるいは内的な要因により関連するデータが多くのあいまいさをふくんでいたり, それらのデータを十分に得られないというような理由により, 現実のシステムではそれらの値を確定値では与えにくい場合も多く存在する.このような場合, これまでは解析者が過去の経験等により主観的に確定値としてそれらの値を与えて性能評価が行われてきたが, この方法では評価結果が十分に現実の状況を包含しているとは言いがたく, ともすれば解析者の主観に依存した偏った結果になってしまう恐れがある.本論文では, 上述のような状況を改善するために, パラメータの持つあいまいさをファジィ数で表現することにより, M/M/s待ち行列モデルをファジィ化し, さらにこれを用いたマルチクラス・コンピュータシステムの性能評価方法を提案する.これにより, 従来の評価方法よりも実際的で柔軟なコンピュータ・システムの性能評価を行うことが可能になる.さらに, 数値例により提案する手法の有用性を示す.
著者
宣 在源
出版者
筑波大学社会科学系 (経済学)
雑誌
筑波大学経済学論集 (ISSN:03858049)
巻号頁・発行日
no.52, pp.1-5, 2004-10

本書は、1930年代前半期の日本における経済統制について、最近の日本の経済史研究で取上げられることが多くなった戦時統制経済の歴史的前提としてではなく、現代日本経済におけるセイフティーネットの形成過程として分析しているものである。その場合、本書におけるセイフティーネットというのは、市場経済の失敗によって発生したリスクを社会が相互信頼にもとづいて分担する協力関係または制度を指している。 ...
著者
鈴木 源太 岩本 健嗣 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.63, pp.65-72, 2004-06-17
被引用文献数
1

写真撮影によって,写っている情報家電やセンサの情報を取得する環境情報スナップショットを開発する.撮影したデジタル写真は,情報家電やセンサ上のアプリケーションを起動する視覚的なコンソールとなる.ホームネットワーク環境おいては数多くの情報家電やセンサが配置されると予想されるが,それら実際の機器と,それらのネットワーク上の情報をどのように結びつけて取得するかが課題である.我々の提案するu-Photoでは,情報家電やセンシングエリアを写真に取ることで,それらのネットワーク上のアプリケーション情報をデジタル写真上にGUI として付加し,そこからすぐに情報取得や,アプリケーション起動が実現できる.加えて,ビデオの再生中といった動作中のアプリケーションの状態も写真の視覚情報とともに取得し,u-Photoを通じて他の情報家電への同じ作業の再現といった複数機器間の協調動作も実現できる.In this paper, we describe a novel method u-Photo for capturing contextual information of networked appliances and sensors in ubiquitous home network environment. In ubiquitous home network environment, it is difficult for users to understand the likage of the physical and virtual world. In u-Photo, users can get intuitively embedded contextual information by taking photographs and start distributed application from the photograph without any configuration of destination such as IP address. In addition, u-Photo also records status of application to realize multi-device collaborative appliications such as suspend/resume of user's task.
著者
久保田 仁志 中村 智幸 丸山 隆 渡邊 精一 Hitoshi Kubota Tomoyuki Nakamura Takashi Maruyama Seiichi Watanabe 栃木県水産試験場 独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所水面利用部 東京水産大学海洋環境学科 東京水産大学資源育成学科 Tochigi Prefectural Fisheries Experiment Station Freshwater Fisheries and Environment Division National Research Institute of Fisheries Science Department of Ocean Sciences Tokyo University of Fisheries Department of Aquatic Biosciences Tokyo University of Fisheries
出版者
The Japanese Society of Fisheries Science
雑誌
日本水産学会誌 = Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.703-709, 2001-07-15
参考文献数
19
被引用文献数
5 12

1993年6月∿1995年11月にかけて, 利根川水系鬼怒川の小支流において, イワナ, ヤマメの生息数, 当歳魚の移動分散, 成長の季節変化を調査した。3ヶ年の総採捕個体のうち, イワナは81.4%(1073個体中873個体), ヤマメは98.8%(244個体中241個体)が当歳魚であった。ヤマメ当歳魚は2月から採捕され, 8月以降はほとんど採捕されなかった。これに対して, イワナ当歳魚は3月から採捕され, 6月以降は1回の調査あたりの採捕数の変化はなかった。一方, 1995年に鬼怒川本流で採捕調査を行ったところ, 採捕された当歳魚のうちイワナが8.0%, ヤマメが92.0%を占め, ヤマメ当歳魚が優占した。以上の結果から, 小支流は特にイワナ当歳魚にとって重要な成育場所であると考えられた。We investigated the seasonal changes in number, dispersal and growth of juvenile Japanese charr Salvelinus leucomaenis and masu salmon Oncorhynchus masou masou in the Karatakisawa Stream, a small tributary of the Kinu River in central Japan. 873 (81.4%) of a total 1073 charr caught by monthly sampling from 1993 to 1995 were age-0,and 241 (98.8%) of a total 244 salmon were age-0. Most of the newly emerged age-0 salmon were caught in the spring of 1995. They shifted downstream, and the number of fish decreased markedly by early summer. The number of the age-0 charr caught at any sampling from any month did not decrease until the end of autumn, although the distribution of the age-0 charr shifted downstream. In contrast, of a total 387 age-0 fish captured by samplings in the adjacent Kinu River in 1995,356 (92.0%) were salmon, whereas only 31 (8.0%) were charr. These results suggest that small tributaries play an important role as nursery habitats, especially for Japanese charr.