著者
王 暁瑞
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.20-30, 2014-02-10 (Released:2019-02-28)

幕末の歌人橘曙覧の歌には、「寒僕」「寒婢」などのような、「寒」の字を冠した歌題を伴う一群の連作がある。これは、清の蒋士銓の詩「消寒雑詠和王蔗村太守十首」(消寒雑詠王蔗村太守に和す十首)及びその影響を受けた頼山陽、広瀬旭荘の詩と深くかかわっているとみられる。本稿では、このことを中心に論じながら、合わせて「妓院雪」「侠家雪」「書中乾胡蝶」など、和歌において一般には見られない曙覧の歌題と旭荘また茶山の詩題との関係も視野に入れて、その和歌の特質の一斑を考察する。
著者
王 珏
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.57-64, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
34

消費者の認知,感情,行動に広く影響を与える重要な心理状態を示す概念として,勢力感という概念がある。近年,消費者勢力感の影響に関する研究が徐々に増えてきている。しかしながら,当該領域全体の俯瞰的なレビュー論文はまだ存在しない。そのゆえ,消費者勢力感に関する既存研究の知見を整理し,今後の研究課題を明らかにすることは重要なことである。本稿は,消費者勢力感に関する既存研究を(1)勢力感と補償的消費,(2)勢力感と広告コミュニケーション効果,(3)勢力感と観光,(4)勢力感とSDGs,(5)勢力感と社会的過密という5つの研究潮流に分けて概観する。その結果,今後の研究課題として,(a)補償的WOMの検討,(b)広告の掲載場所と広告の視覚的要素への注目,(c)過密環境セッティングの多様性の探究を抽出する。
著者
王 財源 遠藤 宏 豊田 住江 河内 明 北出 利勝 兵頭 正義
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.319-322, 1992-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

中国の鍼灸補瀉手技のひとつに「透天涼」と呼ぶ鍼技法がある。古くから伝えられて来た刺入方法で, 涼しいような, 冷たい, あるいは寒いといった寒冷感覚が局所に引き起こされる。今回, 腰痛患者5例を対象として, 局所と遠位の皮膚温度および深部温度を測定した結果, 局所より遠位部において, 温度が下降していくような現象が認められた。また, 患者自身の自覚症状においても「冷たくなるような」,「足が冷えて急にトイレへ行きたくなった」などの感覚が引き起こされた。特に炎症症状のある急性期の腰痛患者では,「大変に気持ちが良い」とのことであった。統計学的にも有意な差が認められた。

2 0 0 0 OA 日本書紀 30巻

著者
[舎人親王] [編]
巻号頁・発行日
vol.[7], 1610
著者
王 秀文
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.11-45, 1998-02-27

植物にまつわる民間伝承において、桃ほど古く、広く伝えられているものはあるまい。中国の『詩経』に収められている遠い周の時代の民謡、春秋戦国の時代から行われた諸儀式と年中行事、漢の時代に急に浮上してきた度朔山伝説、六朝時代から盛んに伝えられるようになってきた西王母の伝説や神仙説、さらに晋の陶淵明の「桃花源記」や明代に集大成された『西遊記』物語、および今もお正月に、門戸の両側に貼り付ける赤い紙切れの「春聯」など、至るところに、桃の伝承が浸透している。いっぽう、日本においても、記紀神話から平安時代の宮中の儀式まで、鬼門信仰から「桃太郎」の民話まで、桃の伝承は数多くみられる。

2 0 0 0 OA 淳化閣帖第1-10

著者
淳化三年宋王著奉敕輯
出版者
肅藩刊
巻号頁・発行日
vol.[2], 1615
著者
流王 貴義
出版者
東京女子大学現代教養学部国際社会学科社会学専攻紀要編集委員会
雑誌
東京女子大学社会学年報 (ISSN:21876401)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-15, 2018-03-02

社会学が政治・公共を論じることは可能なのか.現代の社会学にとっては,このような問い自体が無用に思える.20世紀の後半以降,政治社会学は社会学の一分野として確固たる地位を占め,21世紀になってからは,公共社会学という標語が注目を集めている.その一方で,ハーバーマスやアレントが公共を重視する立場から社会学的な思考に投げかけた疑念に対して,適切に答える準備が私たちには整っているであろうか.
著者
王 才林 宇田津 徹朗 湯 陵華 鄒 江石 鄭 雲飛 佐々木 章 柳沢 一男 藤原 宏志
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.387-394, 1998-12-01
参考文献数
18
被引用文献数
1

1992年から,プラント・オパール分析による中国長江中・下流域における稲作の起源およびその伝播に関する日中共同研究が開始され,太湖流域に所在する草鞋全山遺跡における古代水田趾の発掘調査が行われた。調査の結果,遺跡の堆積土層が10層確認され,5層からlO層までは馬家浜中期(B.P.5900〜6200年)の文化層であることが判った。また,プラント・オパールの分析により,春秋,綾沢,馬家浜時期の水田土層が確認された。さらに,馬家浜中期の土層から40面余りの水田遺構が検出された。本論文では,検出された水田遺構の一部および各土層から採取した土壌試料について行ったプラント・オパールの定量分析および形状分析の結果を報告し,当該遺跡における古代イネの品種群およびその歴史的変遷について検討を加えたものである。プラント・オパールの定量分析より,各遺構および各土層からイネのプラント・オパールが多量に検出された。この結果から,草革全山遺跡周辺では,B.P.6000年の馬家浜中期からイネが継続して栽培されてきたと推測される。
著者
明仁親王
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4-6, pp.73-101, 1966-07-31 (Released:2011-07-04)
参考文献数
49

1. ウロハゼとフタゴハゼGlossogobius giuris (HAMILTON) は同一種と認める人と, 異種或は異亜種として区別する人があるので, この両者の比較を試み, いくつかの違いを見いだした。2. ウロハゼとフタゴハゼGlossogocius giuris (HAMILTON) は形態上および分布上から考慮して別種とするのが妥当である。3. ウロハゼの学名には従来brunneusが日本では用いられて来たが, 高木 (1962) によってbrunneusはヨシノボリに用いるべきであることが明らかにされたので, 新たに学名を求める必要が生じた。そこでウロハゼの学名Gobius olivaceus TEMMINCK & SCHLEGELとGobius fasciato-punctatus RICHARDSONの発表年月日を調べ, Gobius olivaceusに先取権があることを見いだした。4. ウロハゼの学名はGlossogobius olivoceus (TEMMINCK & SCHKEGEL) が妥当であると考える。
著者
有川 二郎 杉山 和良 高島 郁夫 森松 組子 王 華 CLARENCE Peters WANG Hua CLARENCE Pet 宋 干 李 徳新 ANTTI Vaheri BO Niklasson 網 康至 伊勢川 裕二 五十嵐 章
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1. 研究分担者、杉山和良らは中国、北京市と西安市近郊で野生げっ歯類の捕獲調査を実施し、2地区より100例のげっ歯類が得られ抗体および抗原の分布を明らかにした。2. 中国側研究分担者、李徳新を3カ月間、日本側研究機関に招聘し、得られた材料の解析を行い、中国由来2株のウイルスの遺伝子配列が一部決定され、日本側流行株よりもむしろ韓国由来株に近縁であることが明らかになった。3. 研究代表者、有川二郎と研究分担者、森松組子は米国側研究分担者、Petersを訪問し、世界各地での本ウイルス流行状況と遺伝的解析方法についての最新情報を得た。4. 研究分担者、Vaheri(フィンランド)をわが国に招聘し、北欧地域調査と北欧由来およびアジア由来ウイルスの相互比較の可能性について情報交換と将来計画を検討した。5. 研究代表者有川と研究分担者、高島は、英国、オーストリアおよびスロバキア側研究分担者の所属研究機関を訪問し、欧州におけるハンタウイルス感染症流行地域拡大に関する情報を得た。病原性の高い血清型(Dobrava型)である可能性についても情報を得た。6. 研究分担者、森松、苅和は英国側研究分担者の研究所を訪問し、遺伝子再集合ウイルス作製法ならびにReverse genetics法に関する最新の情報を得た。7. 研究代表者、有川および研究分担者、森松、高島、苅和は、韓国側研究分担者、李鎬汪の研究所を訪問し韓国流行株との比較解析に関する情報収集を行った。8. 中国側研究分担者(王 華)をわが国に招聘し、中国の人と動物由来ウイルスの遺伝子の相互関係の解析を実施中である。現在までに約50株の遺伝子の増幅に成功した。9. 中国側研究分担者(陳 化新)をわが国に招聘し、中国の野生げっ歯類の生態とハンタウイルス流行との関係について情報収集を行った。