著者
辻村 みちよ 山西 貞 秋山 礼子 田中 住子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.145-148, 1955
被引用文献数
1

(1) 緑茶を淹れた時の蒸気の中にH<sub>2</sub>Sが含まれていることを認め,且つ,香高い良質の緑茶程H<sub>2</sub>S量の多いことを証明した.<br> (2) 緑茶香気中にthiol類は殆ど認められなかつた.<br> (3) H<sub>2</sub>S発生の母体は茶葉中のシステインが主であること,及び,茶が古くなる程システインは分解していることを認めた.<br> (4) 茶その他10種の植物葉につき,水蒸気蒸溜によるH<sub>2</sub>Sの発生量を測定した結果,柳と茶が著しく多量のH<sub>2</sub>S発生し他の植物の2~20倍にも及ぶことを認めた.
著者
小張 真吾 磯崎 淳 山崎 真弓 田中 晶 安藤 枝里子 中村 陽一
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.155-163, 2016
被引用文献数
2

【背景】近年, 食物アレルギー児の数は増加し, 乳幼児を預かる施設での対応が求められている. 【目的】横浜市内の幼稚園・保育所での食物アレルギー児への対応の実態を明らかにする. 【方法】横浜市内の全幼稚園・保育所を対象に, 食物アレルギー児の把握法, 食事状況, アドレナリン自己注射薬 (エピペン<sup>®</sup>) の使用などについて無記名アンケート調査を行った. 【結果】過去の同種の調査と比べ食物アレルギー児の割合は幼稚園・保育所ともに増加していた. 保育所に比べ幼稚園では除去食や代替食対応が可能な施設は少なく, 食物アレルギー児の把握も医師の診断以外で行っている施設が多かった. 保育所の中でも, 認可外保育所には同様の傾向がみられた. エピペン<sup>®</sup>処方児は幼稚園で多かったにもかかわらず, 投与可能な施設は幼稚園のほうが保育所と比較し少なかった. 食物アレルギーに関する知識は, 保育所に比べ幼稚園職員で乏しい傾向があった. 【結語】幼稚園や認可外保育所を中心に, 乳幼児保育施設において, 食物アレルギーに関する知識の啓発と食物アレルギー対応の拡充をより進める必要がある.
著者
田中 ひとみ
出版者
城西大学
雑誌
城西現代政策研究 (ISSN:18819001)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-34, 2007-03

My insist is about the New type of the judgement. Some civil judgement has theeffect to the third person who has the lawful interest with the former suit. In caseof the guarantee, the person who borrows the house at second hand, and so on.And for that, the reason in the former judgement has the effect to the third personwho has the interest with the suit.The third person is bound by the former judgement. But in the latter suit, he orshe can insist his or her own refutations.By this theory, the actual civil relations are solved consistently among the peoplewho have the interest in the case. And more, the court provides the civil dueprocess for the third person. I call this new type as derivative suit, derivativejudgement.
著者
田中 直 服部 学 中村 和義 井上 敦裕
出版者
学研メディカル秀潤社
巻号頁・発行日
pp.1033-1035, 2021-07-25

インフルエンザや新型コロナウイルスのワクチン接種後に,FDG-PET検査にて腋窩リンパ節が高集積を示すことが知られている.今回,筆者らは,MRI検査のDWIBS(diffusion weighted whole body imaging with back ground body signal supression)像にて,新型コロナワクチン接種後に腋窩~鎖骨上リンパ節が高信号を示した1例を経験した.さらに,この経験を踏まえて,同じく新型コロナワクチン接種後の2名のボランティア撮像を行い,腋窩リンパ節の信号上昇を確認したので,併せて報告する.
著者
篠崎 由賀里 隅 健次 山地 康大郎 田中 聡也 佐藤 清治
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1159-1162, 2014

水上バイク事故により生じた外傷性直腸肛門損傷から縦隔気腫にまで至った1例を経験した。水上バイクの後部座席に乗船した20歳女性が振り落とされて落水。肛門部痛と気分不良を訴え,6時方向での肛門直腸の断裂を確認。胸腹部CTで肛門から直腸周囲と縦隔にまで広がるairを認め,落水した際のウォータージェット推進装置から噴き出した水による直腸裂傷,後腹膜気腫,縦隔気腫と診断した。緊急手術施行し損傷部位を縫合閉鎖,後腹膜ドレナージ,横行結腸人工肛門を造設した。術後致命的な合併症は無かったが,膀胱直腸機能障害が改善しなかったために受傷後22日目,人工肛門形成,自己導尿状態で退院。水上バイク事故による重傷損傷は増加しており,国土交通省運輸安全委員会も注意喚起している。本症例では症状は軽度であるも骨盤神経叢の損傷が疑われ膀胱直腸機能に重篤な後遺症が残る可能性もある。同様の事故を防ぐための行政対策も必要と考える。
著者
河村 剛史 田中 二仁 松本 学 平塚 博男 伊野 照子
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.14, pp.1649-1659, 1975-12-31 (Released:2013-05-24)
参考文献数
93

三心房症は比較的まれな疾患で,現在まで文献上200例以上の報告がある.われわれは36歳の女性で三心房症にASDを合併したLucas&Schmidtの分類IB1型を経験した.今まで報告された手術例82例を検討した結果,手術予後を左右しているものは,術前に正しい診断がなされていたかどうか,術後の呼吸管理の良否,肺血管の器質的変化の程度であるといえる.したがって直視下での手術そのものは容易であるので,診断技術の向上による早期手術と術後の呼吸管理が重要になってくる.しかしながら,本症はしばしば術前診断が困難なことが多く,成人で本症にARDを合併した場合,特に難しい,われわれはASDの診断のもとに手術を行ない偶然に本症を発見,根治することができた. この経験からASD閉鎖前には必ず肺静脈還流口の確認と偏帽弁口の検索を行なうという基本的手技の重要性を再確認した.
著者
艾爾肯 牙生 加藤 鎌司 明石 由香利 Nhi Phan Thi Phuong Halidan Yikeremu 田中 克典 龍 波 西田 英隆 龍 春林 Wu Min Zhu
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.52-65, 2011
被引用文献数
18

中国新疆ウィグル自治区のハミウリは <i>cassaba</i>, <i>chandalak</i>, <i>ameri</i> および <i>zard</i> の 4 変種に分類されているが,その遺伝的多様性についてはほとんど研究されていない.そこで,ハミウリおよび近隣地域の在来品種を含むメロン 120 系統を供試して,遺伝的多様性ならびに類縁関係を解析した.ハミウリ 24 品種の種子長はいずれも 9 mm 以上であり,欧米のフユメロン変種と同じく大粒系に分類され,中国東部のマクワ・シロウリ(小粒系)とは明瞭に異なった.一方,イラン,アフガニスタン,パキスタンおよび中央アジア諸国では,大粒系および小粒系の両者が混在していた.PS-ID 領域(<i>Rpl16-Rpl14</i>)の SNP(一塩基多型)および ccSSR7 マーカーにより葉緑体ゲノムの塩基配列多型を解析した結果,供試したメロン品種が 3 種類の細胞質型(母系)に分けられること,そしてハミウリの細胞質型(T/338bp 型)が欧米のフユメロン品種(T/333bp 型)と異なることが明らかになった.一方,RAPD および SSR マーカーを用いた核ゲノムの多様性解析では,ハミウリの多様性指数(D = 0.243)が他地域の在来メロンより低いことが判明した.系統間での遺伝的距離に基づくクラスター分析の結果,ハミウリのうち果実の貯蔵性に優れる <i>ameri</i> 変種および <i>zard</i> 変種のほとんどが第 2 クラスターに分類されたことから,両変種は遺伝的に分化していないと考えられた.一方,早熟で果実の貯蔵性が悪い <i>chandalak</i> 変種は第 4,第 6 クラスターに分類され,上記 2 変種とは遺伝的に分化していることが判明した.第 2 クラスターには他地域のメロン 12 系統も含まれたが,このうちトルクメニスタンおよびアフガニスタンのメロン 3 系統がハミウリと同じく大粒系(種子)で T/338bp 型(細胞質)であったことから,ハミウリが西方から導入されたと考えられた.これに対して,中国東部のマクワ・シロウリは小粒系,A/338bp 型であり,また核ゲノムの解析でも第 1~第 9 クラスターから遠く離れた第 10 クラスターに分類されたことから,ハミウリとは別起源であることが示された.<br>
著者
田中 里奈
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2013-02

制度:新 ; 報告番号:甲3895号 ; 学位の種類:博士(日本語教育学) ; 授与年月日:2013/2/19 ; 早大学位記番号:新6267
著者
田中 久美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.691-696, 2005-06-15
参考文献数
18
被引用文献数
1

近年ではPDAや携帯電話などの小型携帯端末が普及し、これに伴って文書入力システムが議論されるようになった。 入力デバイスとしては、キーボードを用いるものからセンサや音声認識などを用いるものまでさまざまに提案されているが、少数キーによる入力は、キーボードの発展形として注目を集めている。 少数キー入力の問題の本質は、言語の総文字数よりも少ないキー数を用いていかに文書を入力するかという点にある。 この問題に対しては、日本は漢字の入力方法として世界で最も早くから取り組んできている。 現在では、predictive text entryとして世界的に研究されるようになり、日本で発展してきた技術上の思想が世界中の言語へ広がりつつある。 本稿ではこの世界の流れの中で、予測入力を中心に少数キー入力を捉える。 少数キー入力は、最先端の機器類を通して発展してきたが、同時に高齢者や身障者とのコミュニケーションを広く支援するユニバーサルな道具としての可能性も秘めている。 従来のコンピュータは、フルキーボードという特殊な環境を前提としており、そこではタッチタイプの技能に通じた達人だけを対象としてきた。 しかし、計算機が日常に浸透するにつれ、ユニバーサルな入力技術が求められるようになり、その1つの解決策の鍵を少数キー入力研究が握っている。以下ではまず入力システムの一般モデルを示し、次にさまざまに提案されている少数キー入力について述べる。
著者
中田 毅 桜井 康雄 田中 和博
出版者
一般社団法人 日本フルードパワーシステム学会
雑誌
日本フルードパワーシステム学会論文集 (ISSN:18803121)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.13-18, 2008 (Released:2009-08-28)
参考文献数
5
被引用文献数
1

This paper deals with the proposal of an electric-pneumatic hybrid drive system composed of an AC servomotor and a pneumatic cylinder type actuator, and its control methods. The rotational movement of the AC servomotor is transformed into the linear movement through a ball screw that is placed in the piston, and this hybrid drive system can be operated in the direction of gravitational force. Three control methods such as a pressure compensated control, a torque control and a hybrid control that combines both control methods are proposed from the view point of the reduction of the driving torque of the AC servomotor. The basic characteristics of the hybrid drive system are investigated by the experiment relating to the three control methods when the inertial mass moves vertically upwards and downwards during one cycle. Each control method is effective in reducing the driving torque of the AC servomotor and the views on the reduction of the driving torque of the AC servomotor in each control method are described.
著者
田中 美知子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.438-440, 1996-06-25

分娩後の乳汁分泌は徐々に増加し,産後7〜8日目では500ml/日前後の乳汁分泌がある(図1)。しかし,この時期以後,母乳分泌が過剰となり,母乳育児に困難をきたす場合がある。その原因として考えられることには,高エネルギー食,催乳剤の乱用,大量の輸液,過激な乳房マッサージによる乳房への刺激,等がある。特にⅡb型・Ⅲ型(橋口精範氏による分類より)等の乳房では,これらの影響を特に受けやすい。 その他,特殊例ではあるが,筆者が指導援助をした高プロラクチン血症の褥婦さんで乳汁分泌過多の人がいた。
著者
岡本 正三 田中 良平
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.173-176, 1958
被引用文献数
1

The deterioration resistance of three marquenching oils (one imported and two home products), were compared by measuring their various physical properties and cooling ability. These measurements were carried out on fresh and deteriorated samples under the exactly same conditions by an electric-resistance heater immersed in each. In the measurement of the cooling ability a carbon tool steel and a bearing steel were used as specimens, and after the marquenching, the depth of hardening in constant size specimens and the critical diameter in variable size specimens were determined. It was found that, among these oils, one of the home products is superior to others in cooling ability and particularly in stability against deterioration.
著者
田中 美順
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.343-347, 2020-06-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
13

アロエは,サボテンのように見えるがユリ科の植物で,その種類は数百種類以上とも言われている.日本では,キダチアロエが観賞用として多く使用されており,その特徴である茎が木のように立ち上がる形状から,キダチは,木立を意味している.一方,アロエベラは,アラビア半島南部,北アフリカ地中海沿岸やアフリカ南部諸島を原産地とし,その特徴として親株を中心に巨大な肉厚の葉が放射状に育つ.その葉は,大きいものでは1枚2~3 kgになることもあり,葉肉は食品の原料として用いられる.今回,われわれが行った研究を中心に,アロエベラ葉肉に含まれるアロエステロールの機能性について報告させていただく.
著者
田中 雄次
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢
巻号頁・発行日
vol.96, pp.7-35, 2008-03-07

Das primare Ziel des Nibelungen-Films war nicht Unterhaltung und Abenteuer, sondern "das deutsch Volk ... sollte sich ruhig schauend beschenken lassen, empfangend erleben und damit neu gewinnen, was ihm, dem Volk als Ganzem, angeblich nur blasse Erinnerung war: das Hohelid von bedingungsloser Treue" (Harbou). Die Inszenierung ist auf die "sinnliche Evidenz der Bilder" (Heller) angelegt. Die monumentalen Bauten oder die direkte Einfuhlung von Menschen in die Filmarchitektur sowie die statuarischen Bewegungen und Charaktere der Haupthelden unterstutzen die grundlegednde kunstlerische Aussage des Films. In der Verfilmung Langs geht es darum, vier unterschiedliche Welten miteinander zu kontrastieren : die "uberfeinerte Kultur" am Hof zu Worms, die "gespensterhaft-elfische" des jungen Siegfried, die "bleiche, eisige Luft" in Brunhilds Isenland und die "asiatische" Welt des Hunnenkonigs Etzel. "Es musste mir also darauf ankommen", so Lang in einem der zahlreichen programmatischen Aufsatze vor der Premiere, "in einer Form, die das Heilig-Geistige nicht banalisierte, mit den Nibelungen einen Film zu schaffen, der dem Volke gehoren sollte". "Dem Deutschen Volke zu eigen" lautet auch die Widmung, die dem Film vorausgestellt ist.
著者
田中 敏郎 平野 亨 比嘉 慎二 有光 潤介 河合 麻理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2006
被引用文献数
2

この数十年間でアレルギー疾患の有病率が増加しているが,種々の環境変化の中で食習慣の変化も有病率の増加に関与しているものと推測されている.果物,野菜やお茶に含まれるフラボノイドは,好塩基球や肥満細胞からのヒスタミンや IL-4, IL-13 などのサイトカインまた CD40 リガンドの発現を抑制する活性を有する.ルテオリン,アピゲニンとフィセチンに強い活性 (IC50=2–5 μM) が認められ,また日常摂取の多いケルセチン,ケンフェロールにも中等度の抑制活性 (IC50=15–18 μM) が観察された.その作用機序として,転写因子 NFAT と AP-1 の活性化を抑制することが示された.フラボノイドをアトピー性皮膚炎のモデルマウスに投与することで,発症や症状軽減が認められる.また,疫学研究において,フラボノイドの高摂取群では喘息の発症率が低かった報告もなされており,適切なフラボノイドの摂取がアレルギー疾患に対する予防や補完代替医療となる可能性が期待される.<br>
著者
小口 悟寛 袖山 健 清澤 研道 古田 精市 野村 洋 小口 寿夫 宮坂 誠 矢崎 国彦 笠原 寛 床尾 万寿雄 小岩井 俊彦 徳永 真一 田中 栄司
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.689-693, 1993

透析業務中の針刺傷事故で, HCV抗体陽性の透析患者血に暴露した後, C型急性肝炎を発症し, その後慢性肝炎へ進展したの2症例を経験した. 2例とも, HCV抗体陽性で肝機能が正常の透析患者に使用した注射針を誤って手掌に穿刺した. 1例は針事故後1か月後より全身倦怠感の出現とともにトランスアミナーゼの上昇を認め, 6か月後にはHCV抗体が陽性となった. 他の1例は特に自覚症状の出現はなく, 針事故後4か月目にトランスアミナーゼの上昇を認め, 6か月後にHCV抗体が陽性となった. 2例とも, 肝機能の悪化と改善を繰り返し, 針事故後, 9か月目と15か月目の肝生検による肝組織学的検査では, chronic persistent hepatitisの所見を示した. 2例ともにβ-インターフェロンの投与によりトランスアミナーゼは正常化した.
著者
ト部 晋平 浜村 亮次 藤野 有弘 田中 弘之 宮國 泰明
出版者
耳鼻
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.174-181, 1995

マスキングなしの気導域値に左右差があるとき, オーバーマスキング (OM) の可能性がない最高のノイズを用いる骨導聴力検査のマスキング法を考案した. 本法の手順はA BC法やABCI法よりも単純であり, 理論的に最も能率的なマスキング法である. さらに, 非検耳の気導骨導差 (A-B gap) が気導音の両耳間移行減衰量 (IaA) に等しい場合でも, プラトー法を応用することによつて, 検耳の真の骨導域値を推定できる場合があることを述べた. A-B gapとIaAの関係式は, マスキング法を理論的に解析する上で最も重要な式である.