著者
田中 圭介 河内 亮周 安永 憲司 小柴 健史
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、インセンティブの設計を様々な暗号技術 (電子署名・相手認証・ブロックチェーン技術) に拡張することである。このため、研究課題を2つ設定し、各課題に対して研究期間を大きく3つに分けている。課題(A)の既存暗号技術に対するインセンティブ設計では、合理的証明にもとづいた委託計算で利用されている報酬の技術的な設定手法を電子署名や相手認証などへ応用し、さらにその手法をその他の技術へ適用可能な形へ一般化させる。課題(B)のブロックチェーンに対するインセンティブ設計では、ブロックチェーンに対して適切にインセンティブを設定する手法を考案し、そのインセンティブの設定を、課題(A)で発展させたインセンティブの技術的設定手法で実現する。課題(A)に対しては、今年度は2018年度までに行った第1フェーズ「インセンティブ設計技法に関する調査と研究」で得られた知見を活用し、第2フェーズ「インセンティブを用いた電子署名・相手認証のモデルと技術の設計」を行った。今年度は特に、これらの要素に密接に関わるSecure Message Transmission (SMT)と呼ばれる要素に着目し、複数ある通信路がすべての敵に支配されたとしても、合理的な敵を考える場合には、安全に通信を行うことができることを示した。課題(B)に対しては、今年度は2018年度までに行った第1フェーズ「ブロックチェーンに関する調査と研究」で得られた知見を活用し、第2フェーズ「インセンティブを用いたブロックチェーンのモデルと技術の設計」を行った。典型的なproof-of-workにおいてはハッシュ関数の特定の要件を満たす値を出力するような入力を見つけることが行われている。これはある種の計算問題を解くことに対応しており、この問題を別の計算問題に置き換えたときのインセンティブ設計についての可能性についてに考察を行った。
著者
田中 義信 井川 直哉
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.26, no.302, pp.149-154, 1960

The authors have made investigations about diamond wheel grinding in which plunge cut method by plain cup diamond wheels of bronze bonded was adopted. In this paper the influences of the diamond concentration of the wheel on stock removal is discussed theoretically and experimentally. And surface roughness produced in the grinding tests is also described.<BR>Theoretical investigation shows the tendency that stock removal decreases with the increase of the diamond concentration of the wheel if assumed the wheel having the abrasive grains whose tip has spherical shape, and the similar tendency was recognized in the grinding tests to some extent.<BR>Characteristics of the stock removal-normal grinding force (or contact pressure between the wheel and work surface) for a diamond wheel was clarified.<BR>It is also known that surface roughness <I>H</I><SUB>max</SUB> decreases with the increase of the diamond concentration of the wheel.
著者
豊田 輝 田中 和哉 平賀 篤 佐野 徳雄 菅沼 一男 西條 富美代 安齋 久美子 渡辺 長 相原 正博 渡邊 修司 青栁 達也 新永 拓也 中山 彰博
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.657-664, 2021 (Released:2021-08-20)
参考文献数
12

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックへの対応経験を理学療法士(PT)養成課程における一つのモデルとし,今後の備えとなる事業継続マネジメント(BCM)の在り方を検討した.具体的には,BCMプロセスに沿って本学科のパンデミック発生後からの対応を振り返り検討した.結果,BCMプロセスごとに8つの問題点が抽出され,その対応策としてパンデミックに対応する業務継続計画を策定した.今回,BCMプロセスに沿った検討により,本学科における全業務の洗い出しと業務優先度の選定,それに必要な組織体制の見直しが可能となり,さらには今後の課題も明確となった.今後も,社会の要請に応えるべく,パンデミック発生時においても質の高いPTの養成が継続できる組織であるため再考を続けたい.
著者
田中 是規
出版者
京都文教短期大学
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.73-77, 2018

本年6 月29 日に、働き方改革関連法案が成立した。働き方改革の総合的かつ継続的な推進、長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、などといった目標を掲げ、これらの目標を実現すべく労働関連法の改正を行うものである。また、9 月に行われた自民党総裁選挙後の新内閣で生涯現役社会の実現に向けた社会保障制度改革の基本方針が閣議決定され、70 歳まで定年延長が掲げられるなど、労働環境に大きな変化が起こりつつある。
著者
田中 亮裕 渡邉 真一 中野 夏代 宮本 仁志 中西 和雄 流郷 昌裕 伊東 亮治 田内 久道 守口 淑秀 池川 嘉郎 末丸 克矢 長谷川 均 高田 清式 相引 眞幸 安川 正貴 荒木 博陽
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.232-239, 2010 (Released:2012-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

This study was undertaken in order to evaluate the effectiveness of interventions by the Department of Infection Control and Prevention in promoting the proper use of antibiotic drugs for methicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) prescribed to inpatients.We performed 3 interventions : 1.Protocol improvement for anti-MRSA drug use ; 2.Change in alcohol-based handrub and training in hand hygiene and 3.Devised reporting system for drug use.The effects of the interventions were determined by segmented regression analysis of interrupted time series for drug usage and cost before and after the interventions were commenced.The change in slope of drug use was -1.05 vials/1000 inpatients per month (95% Confidence interval (C.I.) -2.84,0.74)and the change in level was -8.21 vials/1000 inpatients (95% C.I.-14.67,-1.75).There was a significant decrease in the ratio of the patients receiving anti-MRSA drugs to MRSA incidence between before and after the interventions.These results suggested that usage of anti-MRSA drugs was immediately reduced by the interventions to promote the proper use of drugs.An ordinary estimate of reduction in costs was ¥29 million per year while a more conservative estimate produced a decrease of ¥20 million per year.These findings suggest that monitoring antimicrobial use and promoting the proper use of antibiotics for MRSA are important roles for pharmacists to perform.
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

本発表では、日本人の女性セックスワーカーへのインタビュー・データをもとに、客と恋人の区別に注目することで、セックスワークという仕事の性格について考察する。2012年11月までに行ったセックスワーカー11人へのインタビューをもとに、セックスワーカーの恋人観、恋人と客とを区別するような行為や言説、客が恋人になる過程や葛藤を明らかにする。これによってこれまでのセックスワーク論批判を吟味する。
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.63, 2012

本分科会の目的は、女性による接客が主たる職場で、男性客を叱りつけるという行為について考察することである。これによって、働く女性のエイジェンシーや、仕事とジェンダーならびにセクシュアリティとの関係についての理解を深め、感情労働研究に貢献したい。具体的に取り上げるのは、銀座のクラブホステス、京都のスナックのママ、関東の芸者、日本人セックスワーカー、在韓米兵相手のフィリピン人セックスワーカーである。
著者
浅井 友詞 田中 千陽 馬渕 良生 佐久間 英輔 曽爾 彊
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0502, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】長期臥床による筋萎縮の研究は古くから行われ、筋力に関する研究では、1週間の臥床により10から15%、3~5週間では50%低下するといわれている。また、立野らはマウスの後肢懸垂モデルにて2週間で筋の湿重量が20%減少したと報告している。こうした量的な研究から最近では質的な検討がなされてきたが多くは動物実験である。我々は第41回本学会で献体された2症例より、入院期間の違いによる筋萎縮の変化を肉眼的観察および筋組織の横断面より検討し報告した。そこで今回は筋組織の縦断面からの情報を加え検討したので報告する。【第1報の要旨】短期(4日)および長期入院(4ヵ月半)中、肺炎にて死亡した2症例の肉眼的観察にて長期入院例の下腿三頭筋に高度の筋萎縮がみられ、扁平化していた。組織学的にも細胞間の結合組織が増加すると共に筋細胞は減少し、細胞の形態は極度に萎縮していた。【症例】症例1: 死亡時年齢90歳・女性・身長約145cm・死因;急性胆のう炎にて4日間入院中、誤嚥性肺炎にて急死。症例2: 死亡時年齢92歳・女性・身長約145cm・死因;4ヶ月半入院中、肺炎にて死亡。【肉眼的観察】症例2は、下肢筋の強度な筋萎縮と共に、大体外側の腸脛靭帯から膝関節下部外側の付着部までの軟部組織に緊張がみられ、柔軟性の低下から膝関節に屈曲拘縮が推測できる。このことより歩行困難となり、臥床を強いられていたことが予測できる。岡崎によると安静臥床後6週間で、下腿三頭筋の筋力低下は他筋と比較して特に大きいと報告され、今回の症例2の筋萎縮と同様の症状である。【組織学的観察】本献体はホルマリン固定にて保存され、肉眼解剖時に上腕二頭筋・大腿四頭筋・腓腹筋・ヒラメ筋を採取した。標本はホルマリン固定後、定法にてパラフィン包埋をした。その後、5μmで薄切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染色した縦断面を光学顕微鏡にて観察した。症例1では、各筋において筋線維の形状が保たれ、線維間は、結合組織で隔壁され、密集した縦方向への筋線維が観察された。一方、症例2では不規則な筋線維の配列間に多量の結合組織を観察した。また、筋線維数の著明な減少がみられ、結合組織中には多くの核が点在していた。今回観察された症例2の廃用性の変化は、筋線維数の減少のみならず、結合組織の増加など退行性変化が強く認められ、筋の伸縮性低下より理学療法の阻害因子となり得ると思われる。【まとめ】今回献体より入院期間の違いによる筋の変化について検討し、長期入院者では筋細胞間に結合組織が増加し、筋機能の低下が示唆された。
著者
荒川 友美子 田中 辰明
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.229, 2005

<b>目的</b> 平成15年6月「高齢者、身体障害者の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」が改正された。これにより、公共交通機関においてもユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーが広まっている。福祉後進国といわれているわが国であるが現状でのバリアフリーの普及はどの程度であるか、福祉先進国であると予想したイギリス、ロンドン地下鉄と東京メトロのバリアフリー施設の設置について比較検討することで、今後日本が公共交通機関においてバリアフリーをどう普及していくべきか提案することを目的とした。<br><b>方法</b> 日本とイギリスの公共交通機関のバリアフリー施設の設置について比較するために、日本においては東京メトロ各駅、イギリスにおいてはロンドン地下鉄各駅を調査対象とし、エレベーター、エスカレーター、ホームドアシステム、電車内での車椅子スペースなど、バリアフリー設備の有無を調査した。<br><b>結果</b> 東京メトロ駅総数169駅のうち81駅が、ロンドン地下鉄駅総数323駅のうち66駅においてエレベーターの設置があった。ホームドアシステムについては東京メトロ19駅に対し、ロンドン8駅という結果であった。バリアフリー設備の有無の割合では東京がロンドンより大幅に高いという結果になった。
著者
太田 隆徳 伊藤 孝一 杉浦 時雄 小山 典久 齋藤 伸治 村上 周子 田中 靖人
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.403-412, 2021-07-01 (Released:2021-07-08)
参考文献数
38

症例は2歳男児.母と姉と祖母がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアで,母と姉はHBe抗原陽性かつ高HBV DNA量(HBV DNA>7 log IU/ml)だった.出生直後に抗HBsヒト免疫グロブリンが投与され,HBワクチンが出生時,生後1,6カ月時に接種された.1歳時にHBs抗原陰性,HBs抗体333.8 mIU/mlだったが,2歳時にHBs抗原0.25 IU/ml,HBs抗体115.6 mIU/ml,HBV DNA 3.5 log IU/mlとHBV感染が成立した.直接シークエンス法による遺伝子解析により,本児,母,姉由来のHBVにワクチンエスケープ変異として知られるG145R変異とP120Q変異を認めた.母と姉が保有していた変異株が1歳以降に本児に水平感染したと考えられた.高ウイルス量HBVキャリア妊婦から出生した児では,2歳以降も継続的なフォローアップと積極的なワクチン追加接種も考慮する必要があると考えられた.
著者
森 博子 岡田 洋右 田中 良哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.323-329, 2012-12-01 (Released:2013-02-28)
参考文献数
25

ビタミンD欠乏症は骨粗鬆症,骨折の原因のみならず,近年では2型糖尿病や心血管疾患,高血圧,癌,感染,自己免疫疾患などの発症リスクを上昇させると報告されている.日光曝露不足や食事からのビタミンD摂取不足が,ビタミンD欠乏症に繋がっており,特に女性においてビタミンD欠乏症は,よくみられる病態と考えられる.女性が長く健康で働きつづけるためには,様々な疾患との関連が報告されているそれらの病態の上流に位置するビタミンDは極めて重要な因子である.
著者
田中 栄一
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 = Journal of Tokyo Women's Medical University (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.187-201, 2015-12

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)治療は生物学的製剤の出現に伴いこの10年間で大きく進歩した。生物学的製剤は遺伝子組み換え技術を応用して、特定の標的分子を特異的に認識する抗体や受容体を改変した医薬品である。RAの病態を増悪させているtumor necrosis factorやinterleukin-6などの特定のサイトカインや、リンパ球活性化に関連する分子と結合し、その作用を減弱または消失させる働きを有する。本邦では、2003年にインフリキシマブが発売されて以来、RAに対する生物学的製剤としてはバイオシミラーの1製剤を含めると現在8種類の製剤が承認され使用可能である。いずれの生物学的製剤もRA患者の臨床症状の改善、骨関節破壊の進行防止、身体機能の改善などの作用を有し、より"寛解"が現実的な治療目標として認識されるようになった。しかしながら一方で、生物学的製剤には、感染増加などの安全性の問題、使用すべき適応となる患者の選択、高額な薬剤費、必ずしも大多数の患者が十分な効果を得ているわけではないこと、使用しているうちに当初は認められていた効果が減弱してくる二次的な効果減弱、いつまで継続的な投与が必要なのか、生物学的製剤の中止は可能かなどいくつかの問題点も残されており、今後、これらの問題点が明らかにされることが望まれる。
著者
高橋 晶 伊藤 ますみ 岡崎 光俊 田中 晋 原 恵子 渡辺 雅子 開道 貴信 大槻 泰介 加藤 昌明 大沼 悌一
出版者
日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 = Journal of the Japan Epilepsy Society (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.74-80, 2007-08-31
参考文献数
9

われわれは成人期に脳出血が生じ、初めてウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病)と確定診断された側頭葉てんかんの1例を経験した。症例は36歳男性。8歳時月に1&sim;2回の嘔吐から始まる短い意識減損発作が出現した。17歳時、脳波上左前側頭部に棘波を認め側頭葉てんかんと診断された。27歳時けいれん発作重積とひき続くもうろう状態が2日持続した。その後MRIにて両側海馬硬化、右脳内出血瘢痕を認めた。36歳時、遷延する意識障害を呈し画像所見にて脳内出血を認め、もやもや病と診断された。本例の発作は、臨床症状および脳波所見からは側頭葉起源のてんかん発作と考えられ、もやもや病は偶発的に合併したものと判断した。ただし、てんかん原性獲得にもやもや病による慢性的血行動態異常が関与した可能性は考えられた。以上からてんかんの経過中であっても他の脳器質疾患の並存を考慮すべきと思われた。<br>