著者
田中 孝治 加藤 隆
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.138-138, 2010

津波や土砂崩れのような予測が可能な自然災害の場合には,避難情報などによる避難誘導が重要な役割を果たす。しかし実際には,避難情報に従う住民が極めて少ないという事例が報告されている。このことから,住民に適切な意思決定と行動を促すことができる避難情報が必要であると考える。そこで本研究では,避難情報が避難準備情報,避難勧告,避難指示へと段階的に発令されることに着目し,避難情報の段階が一段引き上げられたことを明示することが,避難行動をとるべきか否かの判断にどの程度影響を及ぼすかについて検証を加えた。その結果,避難準備情報から避難勧告へ引き上げられたことが明示される方が,避難すると思われる住民の割合が多いことが示された。したがって,避難勧告などの避難情報を段階的に発令する場合には,避難情報の段階が引き上げられたことを明示し,避難行動をとるという意思決定を促すべきだと考える。
著者
山本 雄平 中村 健二 田中 成典 藤本 雄紀
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_139-I_146, 2013

CGMには,地域住民に役立つ情報が多く投稿されている.例えば,地域の防犯に関する情報や災害時の緊急対応に関する情報などが含まれており,あらゆる地域の様々な情報が集約され公開されている.しかし,CGMは誰でも投稿可能なメディアであるため,1つのWebページに複数の地域に関する情報が混在することや同一地域でも異なるトピックの情報が含まれることが多くあり,特定の地域やその内容に関連した情報のみを抽出することが困難である.そこで,本研究では,CGMに流通する情報を投稿単位に分割し,各投稿が対象としている地域や内容に基づいてグループ化することで,CGMから有害な地域情報を抽出する手法を提案する.さらに,グループ化した投稿に含まれる位置情報を解析してGIS上に表示することで,地域情報マップの構築の可能性を検討する.
著者
石塚 英弘 伊藤卓 竹内 敬人 千原 秀昭 中野 英彦 眞野 倖一 吉村 忠与志 中西 敦男 田中 洋一
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.95, pp.1-8, 1994-11-09

93年1月号からSGML方式全文DBによる電子出版になった日本化学会欧文誌の電子投稿の研究である。94年4月、日本化学会は広く使用されているワープロソフトMS Wordのスタイルシート機能を使った電子投稿の実験を開始した。この手法は、)投稿者にSGMLを意識させない、)交換フォーマットであるRTF(ch Text Form)を使用するため、プログラムでSGML方式全文DBに変換できる、)他のワープロソフト、WordPerfect,PageMakerでも投稿可能、などの長所を持つ。This paper reports a method of electronic contribution by an author to "Bulletin of the Chemical Society of Japan", that has been published with a SGML-based system since January 1993. Chemical Society of Japan started an experiment of electronic contribution using a style sheet function and RTF (Rich Text Format: an exchange format) of Microsoft Word, which is one of the most popular word-processing software. This method has the following features; (1) an author need not know SGML; (2) contributed file in RTF can be converted to SGML-based full-text database by a program; (3) the method can be used in other word processing software: WordPerfect or PageMaker.
著者
田中 裕史 迫田 晃弘 安藤 正樹 石森 有
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.107-114, 2016 (Released:2016-08-09)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Ambient dose rates are continuously monitored in Ningyo-toge Environmental Engineering Center, Japan Atomic Energy Agency. The present study discussed the variations in ambient dose rates, observed from April 2014 to March 2015, due to snowfall as well as rainfall. It is much snowy as one of climatic features in this area. Rain or snow was sampled for a certain period in the day of interest (17 cases in total), and then the concentration of radon progeny was measured. With the measured data, the variation in ambient dose rate was calculated considering the accumulation of the radon progeny on the ground. As a whole, this calculation was found to reasonably reproduce the time trends of observed dose rates, except for four cases. Based on the backward trajectory analysis, it was explained that the discrepancy in two cases out of the four was induced by changes of radon progeny concentration in precipitation around sampling period. It was suggested that the other two cases were caused by the run-off of rain from the ground surface.

1 0 0 0 OA 人工知能

著者
田中 幸吉
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.84-93, 1980-03-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
9

This article is an introductory overview on artificial intelligence and its applications.The first section explains artificial intelligence and presents a bibliographical survey of related research and development works.The following section contains a brief review on some research topics together with perspectives obtained from a methodological view point.Lastly, some interesting and practical applications of artificial intelligence are illustrated along with the works of the present author.
著者
田中 愛 西野 明 Tanaka Ai 西野 明 ニシノ アキラ Nishino Akira
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.121-124, 2007-02

本研究の目的は,バレーボールの試合におけるサーブの重要性を明らかにすることである。バレーボールは1999年にルール変更が行われ,「ラリーポイント制」が採用された。このルール変更によって,これまでの「サイドアウト制」とは異なる試合の流れが生じていると考えられる。特にこの変化の影響を大きく受けていると考えられるのが,サーブである。そこで本研究では,実際にスコアリングを行い,1.「試合の流れ」としての連続失点の状況,2.サーブミスが試合の流れに及ぼす影響,3.「攻撃的サーブ」が試合の流れに及ぼす影響についてそれぞれ考察し,ラリーポイント制に適したゲーム分析を試みた。その結果,サーブミスが連続失点のきっかけとなりやすく,また「攻撃的サーブ」が必ずしもラリー取得にはつながらないことから,「ミスを避けるサーブ」が必要であることが示唆された。
著者
田中 克幸 滝口 哲也 有木 康雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.2047-2057, 2011-12-01

本論文では,non-factoid型質問応答技術の一つであるWhy型質問応答を可能とするための技術として,Whyテキストセグメントを識別する識別器の構築方法を提案する.具体的には,テキストセグメント中の文法情報に着目し,機械学習の一つであるSupport Vector Machineにより,それらの特徴パターンを学習することによって,Whyテキストセグメント識別器を構築する.これにより,どのようなドメインのテキストセグメントに対しても,有効に機能するWhyテキストセグメント識別器が構築でき,WebのようなオープンドメインにおいてWhy型質問応答が可能となる.提案手法によるWhyテキストセグメント識別能力の評価のために,Yahoo!知恵袋の回答集合からなる学習データセットをもとに,Whyテキストセグメント識別器を構築して実験を行った結果,F値=0.661,正解率=63.25%の識別性能を有する識別器を構築することができた.これより,従来のWhy型質問応答の問題点であったルール作成に手間が掛かる,識別器がドメインに依存する,ラベル付けされた学習データの入手が困難である,といった問題が改善され,より識別能力の高いWhyテキストセグメント識別が可能となった.
著者
田中 史生
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.194, pp.329-341, 2015-03

本稿は,8世紀の日本官印と隋唐官印と比較することによって,日本律令国家の官印導入期における中国の影響と,日本官印の特質について考察するものである。考察の結果,日本律令国家の官印は,隋唐官印のなかでも紙による文書行政とかかわる「官署印」の直接的影響を受けて成立したが,その法量を唐よりも大型化させるとともに,官司のレヴェルに従って印面文字の字体や形式と組み合わせながら法量を細分化し,その区分を遵守させるなどの特徴があることが明らかとなった。また隋唐においては,御璽が一般的な命令伝達文書の作成過程で紙に押印されることはなく,諸州などに下される文書には,裁可された案件の諸司における処理ないし行政手続きが正しく行われることを保証するために六部所属の二十四司の印が押されたが,日本において命令伝達の中核に置かれた印は内印,すなわち天皇御璽で,中央政府の文書発給の全てを天皇が直接統治することに重きを置いた押印制度となっていた。さらに諸国印は,国府とそれが統括する地方の間の文書に印が押されるのではなく,中央政府と国府との関係の中での押印を基本としていた。そこには,日本古代官印の文書行政における実務的機能とのかかわりだけでなく,印の大きさ,押印の仕方,印面文字の字体・形式によって,中華日本を表現するともに,天皇の直接統治と,天皇を中心とした中央集権的なビラミッド型の官司配置という,日本律令制の理念的構造を表象ようとする古代国家の意図が読み取れるであろう。This article compares official seals of Japan and China (the Sui and Tang Dynasties) in the eighth century to examine the impact of China on the introduction of official seals in the ritsuryo nation of Japan and the characteristics of Japanese official seals. The analysis reveals that although the official seal system of the ritsuryo nation of Japan was established under the influence of Sui/Tang official seals, in particular the direct influence of government office seals which were closely connected to the document administration, the Japanese system was characterized by the following points: the official seals of Japan were bigger than those of the Tang Dynasty and classified in detail by their size as well as the typeface and style of the characters on their face according to the level of government, and the classification was strictly adhered to. In addition, in the Sui and Tang Dynasties, the imperial seal was not used when issuing general directives, and the seals of the 24 bureaus of the six ministries were affixed on documents sent to provinces in order to ensure implementation of approved documents and proper administrative procedures in each government office. On the other hand, in Japan, Naiin, the imperial seal, was stamped on directives as a rule, and emphasis was placed on the direct control of the emperor over all documents issued by the central government. Moreover, in principle, provincial documents were affixed not by the provincial government and its subordinate governments but by the central and provincial governments. These findings indicate not only the practical functions of official seals in the document administration in ancient Japan but also the intention to use differences in the size of seals, the way of stamping them, and the typeface and style of characters on their face to express the Japanese ethnocentrism and symbolize the direct rule of the emperor and the ideal structure of the Japanese ritsuryo system based on a pyramid, centralized government organization led by the emperor.