著者
福田 早苗 渡邊 映理 小野 直哉 坪内 美樹 白川 太郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.293-300, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
17
被引用文献数
1

目的 近年,その市場の増大が注目される現代西洋医学以外の伝統的な医療や治療方法であるが,国内での使用の実態を明らかにした報告は,あまり多くない。本研究では,自記式質問票を用いて,町単位の実態調査を実施し,その使用実態を明らかにするとともに,結果から伺える問題点をとらえる。方法 熊本県小国町町民35歳以上64歳以下の3,501人全員を対象とした自記式質問票を実施した(回収率83.6%)。質問票の内容は,「個人の属性」,「健康状態」,「生活習慣」についてであった。現代西洋医学以外の伝統的な医療や治療方法の使用経験の有無については,「漢方薬」,「栄養補助食品/健康食品(カルシウム・ビタミンなど)」,「カイロプラクティック/整体」,「マッサージ/指圧」,「イメージ療法/ヨガ/瞑想」,「鍼灸」,「気功/太極拳」,「アロマセラピー/ハーブ」,「温泉」について,それぞれ,「使用頻度」・「医師の処方/薦めの有無」・「目的」・「効果」・「費用」についてたずねた。結果 現代西洋医学以外の伝統的な医療や治療方法使用・摂取は,約57%であり,全体的に年齢が高いほど,女性であるほど,高かった。最も多いのは,栄養補助食品/健康食品で女性47%,男性35.3%であった。医師に薦められて(処方で)用いている項目で最も多いものは,「漢方薬」であり,女性で24.8%,男性で11.4%であった。もっとも治療院や専門店の利用率が高いのは,カイロプラクティック/整体であった(男性68.6%,女性70.5%)。結論 現代西洋医学以外の伝統的な医療や治療方法使用・摂取は,約57%と,各国平均に比べても高く,使用・摂取は,女性や年齢が高いものに多かった。利用状況は高く,健康政策上に無視できない影響を与えると考えられる。
著者
川本 芳 白井 啓 荒木 伸一 前野 恭子
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.53-60, 1999 (Released:2009-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
11 11

An adult male captured at Nakatsu village, Wakayama Prefecture, was identified as an interspecific hybrid between the Japanese and Taiwan macaques. Electrophoretic analysis of diagnostic blood proteins (adenosine deaminase, ADA; NADH-dependent diaphorase, DIA; transferrin TF) strongly supported the occurrence of hybridization between native Japanese macaques and artificially introduced Taiwan macaques in the prefecture. The male had a Taiwanese-like mitochondrial DNA. This suggested that the hybrid resulted from a mating between an immigrant male of Japanese macaque and a group-member, female Taiwanese macaque in the northern area of the Arida River.
著者
吉村 理 前島 洋 小林 隆司 峯松 亮 佐々木 久登 田中 幸子 金村 尚彦 白濱 勲二 上田 健人 上田 千絵 渡辺 誠 矢田 かおり 宮本 英高 森山 英樹 加藤 浩 河元 岩男
出版者
広島大学大学院保健学研究科
雑誌
広島大学保健学ジャーナル (ISSN:13477323)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.73-77, 2001

頚髄損傷の評価では,頚髄の損傷の程度と損傷高位が重要である.米国脊髄損傷協会は,脊髄損傷の障害の評価法を発表し,脊髄損傷の神経学的および機能的分類のための国際基準として現在国際的に使用されている.しかし可能性に挑戦するリハビリテーションとしては,より詳細な高位分類が必要である.Zancolli分類は頚髄損傷四肢麻痺の上肢機能を細かく分類し,リハビリテーションからみても車椅子ADLが自立する可能性のあるC6を細かく分けているのは有用である.しかしマット上基本動作,移乗・移動などの動作が自立するか否かの判断に重要な肩甲帯筋群の評価がない.従来肘伸展筋である上腕三頭筋はC7髄節筋であるが,Zancolli分類ではC6髄節残存群のサブグループとしているのは混乱をまねく.そこでZancolli分類を改良し,損傷高位別の機能到達目標を決定するための評価表を作成し,ADLが自立する可能性について検討した.改良Zancolli分類でみるとC6BⅡが車椅子ADL自立の境界レベルである.
著者
梅野 和也 中村 浩一 井元 淳 白澤 浩太郎 石田 猛流 加来 謙治 土井 康太
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.313-317, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

〔目的〕3種類の運動イメージ評価法とmental practice(MP)でのパフォーマンスの変化との関係を検討することとした.〔対象と方法〕健常学生20名とした.MP前後における運動課題の成績比較からMPの有効性を検討し,Movement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version(JMIQ-R),メンタルクロノメトリー,メンタルローテーションの3種類の評価結果とMPの効果との関係を検討した.〔結果〕MP前後の運動課題に有意な改善が認められ,メンタルクロノメトリーとパフォーマンスの変化量との間に中程度の相関関係が認められた.〔結語〕メンタルクロノメトリーで測定した運動イメージ能力が,MPの効果と関わりがある可能性が示唆された.
著者
高橋 和宏 山路 雄彦 白倉 賢二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb0507, 2012

【はじめに、目的】 インピンジメント症候群の原因は様々であるが,インピンジメント症候群者を対象とした上肢挙上の研究では肩関節回旋筋腱板や肩甲胸郭関節での前鋸筋,僧帽筋の筋機能低下,肩甲骨運動異常などが報告されている.また,インピンジメント症候群のリスクとして,挙上速度の速い上肢挙上があげられている.臨床ではそれらに加え,体幹の機能低下を認めることも多い.腹部筋群の筋活動は,背臥位に比べ立位にて増大し,特に内腹斜筋や腹横筋で増大すると報告されている.上肢挙上に関する体幹機能としては,feedforwardに関する研究は多く報告されている一方,上肢挙上運動中に伴う腹部筋群の筋活動についての報告はあまりみられない.本研究では健常者を対象に,異なる挙上速度において上肢挙上中の腹部筋群の筋活動を調査し,安静立位時の腹部筋群の筋活動と比較検討することを目的としている.【方法】 神経学的および整形外科的に既往のない健常男性20名(平均年齢26.4±3.5歳)を対象とした.矢状面上での右上肢挙上を課題とし,測定には筋電図(WEB-5000)と三次元動作解析装置(VICON612)を用いて,サンプリング周波数1080Hzと60Hzとで同期させた.対象筋は,両側の外腹斜筋(EO),内腹斜筋(IO),腹直筋(RA)とした.赤外線反射マーカーは右肩峰,右肘頭に貼付した.挙上速度は,fast(最大速度),natural(至適速度),slow(6秒間かけての上肢挙上)の3段階とした.各挙上速度ともに3回ずつ測定を行った.筋電図の分析には安静時(rest)および各挙上速度での上肢挙上開始から挙上150°までの平均RMSを用い,各筋の最大等尺性収縮時のRMSを100%として正規化し,%RMSを求めた.統計学的検定にはDunnettの方法を用いて,restを対照群として,fast,natural,slowの各群との比較を行った.有意水準は5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は群馬大学医学倫理委員会で承認を得て実施した.研究実施の際は,本研究の趣旨を書面にて対象者に説明し,同意書に署名を得たうえで行った.【結果】 右EOはrest7.4±5.3%,fast18.1±7.9%,左EOはrest7.4±4.8%,fast23.6±18.9%,右IOはrest10.2±5.0%,fast32.7±26.5%,左IOは11.0±6.6%,fast25.1±20.1%,右RAはrest6.2±3.5%,fast12.9±8.8%,左RAはrest6.8±4.5%,fast13.3±9.4%であった.両側EO,右IOにて,fastではrestに対し有意な差が認められた.一方,natural,slowではrestに対し有意な差は認められなかった.【考察】 Hodgesらは挙上速度の速い上肢挙上では,上肢運動による反力や姿勢変化による重心移動をコントロールするために,feedforwardとして体幹筋群が先行して働くことを報告している.今回,fastにおいて腹部筋群の筋活動が安静時に比べ有意に高くなっていた理由としては,上肢挙上中も身体への反力や重心移動が大きく生じ,それをコントロールするために,肩関節周囲筋群のみでなく腹部筋群の筋活動も必要となったと考えられる.一方,natural,slowでは腹部筋群の筋活動は安静時比べ差がないため,肩関節周囲筋群の筋活動がより重要であると考えられた.今回の結果より,速度の速い上肢挙上では,腹部筋群の筋活動が必要であることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】 スポーツ動作など最大速度を必要とする際には,腹部筋群を含めたアプローチが重要となってくると考えられる.一方,至適速度での上肢挙上では,安静時と比べ腹部筋群の筋活動が変化しないため,肩関節や肩甲胸郭関節の局所的なアプローチが重要となると考えられる.
著者
白井 正夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.86-87, 2019-01-10

JR横浜駅西口の繁華街。まだ明るい時刻なのに,会場のホテルがどうにも見当たらない。歩き回ったあげく,通りのコンビニエンスストアに飛び込んだ。手のすいた男の店員さんがいたので,「すみませんが…」と道を尋ねたら,アジア系の若者だった。 若者は困った老人に親切だった。自分のスマホでホテルを探し出し,画面を見せながら流ちょうな日本語で説明してくれたが,地図が英語版なのでよく分からない。
著者
定野 真志 白神 大典 河野 恭之
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2014-HCI-156, no.12, pp.1-7, 2014-01-08

本稿では,Bluetooth デバイスやWi-Fiデバイスを検出可能な携帯端末を用いて得られた social context と GPS データロガを用いて取得した GPS データの解析結果から,検出された各デバイスを属地/属人に分類する手法を提案する.Bluetooth/Wi-Fi デバイスを検出して得られた social context の解析は,検出データのノイズ・抜け落ちを考慮したデータ補間を行い,Bluetooth/Wi-Fi デバイスが連続して検出された区間を,ユーザが何らかのイベントに参加していた区間と判定して,イベン卜同士の類似度や周期から検出された各デバイスを属地/属人に分類した.また GPS 履歴の解析には,GPS データのクラスタリングを行い,ユーザの行動状態を滞在・移動に分類することで,ユーザのイベントに関わっていた時間区間を明確にした.
著者
池田 七衣 白井 文恵 土肥 義胤
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.5_19-5_25, 2006-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
17

院内感染は,患者への新たなる感染や多剤耐性菌の拡散に繋がることから,医療従事者にとって重要な問題である。院内感染対策に重要なことは,感染源を認識しその伝搬経路を遮断することである。頭髪は手指が触れる機会も多く,感染源及び伝搬経路となる可能性がある。そこで,シャンプーで洗髪した頭髪への,院内感染で重要な位置を占める黄色ブドウ球菌,緑膿菌,大腸菌の付着性について調べた。その結果,頭髪には多量の細菌が付着することが明らかになり,付着した細菌の40 ~ 60%はシャンプー洗髪でも遊離せず付着したままであった。また,黄色ブドウ球菌は,種々のシャンプー剤により殺菌されるが,緑膿菌や大腸菌は全く殺菌されないことも明らかになった。従って,多くの緑膿菌株や大腸菌株は,シャンプー洗髪しても一部が生きたまま付着し続け,再び増殖することから,頭髪が院内感染における感染源および伝搬経路となる可能性を強く示唆した。
著者
佐久間 孝志 平尾 利行 妹尾 賢和 岡田 亨 白土 英明 老沼 和弘 阿戸 章吾
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第27回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.15, 2008 (Released:2008-08-01)

【はじめに】 股関節の安定化機構として、解剖学的・力学的知見から、股関節深層筋は力学的支持という役割だけでなく、関節運動の誘導を担っている可能性があることが推測される。その中で股関節深層筋のトレーニングはいくつか紹介されているが、いずれも実際に股関節深層筋の収縮を検証している報告は少ない。そこで今回は股関節深層筋である小殿筋に着目し、小殿筋が収縮しやすい股関節肢位および負荷量について検討した。 【対象】 対象は本研究に同意を得た股関節に既往のない健常男性10名とした。 平均年齢25.3歳、平均体重63.8kg、BMI21.8であった。 【方法】 被検者に側臥位をとらせ、膝関節伸展位、股関節内外転・内外旋中間位にて、屈曲30度、0度、伸展10度の3肢位にて等尺性股関節外転運動を行った。それぞれにおいて低負荷運動と高負荷運動を行わせ、各肢位での小殿筋の収縮を測定した。測定には超音波画像診断装置 GE横河メディカルシステム LOGIQ BOOK を用い、MRI画像より大転子と腸骨稜を結んだ線上の近位1/3、および上前腸骨棘と後上腸骨棘を結んだ前方1/3を小殿筋の測定箇所として固定した。また検者は同一としプローブを固定する者1名、抵抗を加える者1名として測定を行った。 得られた画像から安静時と収縮時における小殿筋の厚みを計測し、収縮時の厚みを安静時の厚みで除すことで収縮率を算出した。統計処理はTukeyの多重比較および対応のあるT検定を用い、有意水準5%未満とした。 【結果】 低負荷運動時においては伸展10度での収縮率が屈曲30度、屈曲0度のときよりも有意に高値を示した。高負荷運動時では、股関節屈曲角度の違いによる収縮率の変化はみられなかった。各股関節屈曲角度における低負荷運動と高負荷運動時における収縮率を比較すると、伸展10度のときのみ低負荷運動で有意に高値を示した。 【考察】 今回の結果から、股関節伸展位および低負荷運動にて有意に高い収縮率を認めた。これは小殿筋の走行から股関節伸展位では股関節軸より後方に位置するため、股関節屈曲位よりも股関節伸展位で外転筋として作用しやすくなり高い収縮率を認めたものと考える。また、股関節深層筋には遅筋線維の割合が高いことが報告されていることから、低負荷運動の方が有意に高い収縮率を認めたものと考える。今後、さらに本研究を踏まえ股関節深層筋トレーニングの有効性を検討していきたい。