著者
佐野 弘純 福島 啓太郎 矢野 道広 嘉数 真理子 篠田 邦大 加藤 陽子 新小田 雄一 森 尚子 石田 裕二 斎藤 雄弥 豊田 秀実 足立 壯一 大曽根 眞也
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.275-280, 2022 (Released:2022-10-25)
参考文献数
4

【背景】小児血液・腫瘍性疾患の長期にわたる治療に際し用いられる中心静脈カテーテル(Central Venous Catheter; CVC)について,全国的にどういった種類のCVCが使用され,どのように管理されているかについての情報は乏しい.そこで日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)参加施設でのCVCの使用・管理状況について調査した.【方法】JPLSG参加155施設に2016年2月から同年7月まで,CVCの使用・管理状況について,SurveyMonkey®を用いたWebアンケート調査を行った.【結果】98施設(63%)から回答を得た.以下,「%」は回答した施設数を母数とした回答比率を指すものとする.白血病・リンパ腫の患児に対しては97%の施設が基本的に全例にCVCを使用していると答えた.CVCのタイプ別にみると,長期留置型は86%の,短期留置型は16%の,ポートは7%の,末梢挿入型は44%の施設で使用されていた.皮膚刺入部の管理法,アクセスポートを含めた輸液ラインの管理法,カテーテル関連血流感染症が疑われた際の対応については施設ごとで差を認めた.【考察】施設の規模や診療体制の違いからCVCの使用や管理の状況は施設ごとに大きく異なっていた.今後はCVCを安全に使用し,感染を予防するための管理指針が必要と考えられた.
著者
渡辺 優奈 善方 裕美 石田 裕美 上西 一弘
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.Supplement1, pp.S26-S38, 2013 (Released:2013-05-24)
参考文献数
33
被引用文献数
4 1

【目的】妊娠期を通じた横断的および縦断的な鉄摂取量と鉄栄養状態の実態を明らかにし,妊娠期の鉄摂取基準の妥当性を検討した。【方法】妊娠5~12週の妊婦160名をリクルートし,妊娠初期,中期,末期,出産時,産後1ヵ月の調査で身体計測,出産時および新生児調査,鉄剤投与の有無,血液検査,食事記録調査のデータがすべてそろった103名に対し,鉄摂取量と鉄栄養状態を評価した。【結果】妊娠期の鉄摂取量において妊婦の鉄の推奨量を下回った者の割合は妊娠初期71.8%,中期98.1%であった。一方,鉄栄養状態は妊娠初期と比較して中期,末期では赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値および血清鉄濃度は有意に減少したが,産後1ヵ月までに初期と同様の値まで回復した。また妊娠貧血(Hb<11.0 g/dl,Ht<33.0%)の割合は妊娠初期4.9%,中期41.7%,末期53.4%であったが,MCV,MCHの中央値は基準範囲(MCV: 79.0~100.0 fl,MCH: 26.3~34.3 pg)の下限値を下回ることはなかった。なお,低出生体重児は3名,早産児は1名のみであった。【結論】本研究で明らかになった鉄の摂取量で十分であったとはいえないが,鉄需要の亢進にともなう鉄吸収の亢進の可能性が示唆され,現在の妊婦の鉄の摂取基準ほど多くの鉄を摂取せずに鉄栄養状態が維持された。また,鉄の吸収がどの程度亢進しているかまではわからず,体内の総鉄量も評価できなかった。今後は妊婦の体内総鉄量の動態を評価することなど,さらなる検討が必要である。
著者
石田 裕
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.378-384, 1993-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
18
被引用文献数
3
著者
大竹 安史 福田 衛 石田 裕樹 中村 博彦 花北 順哉 高橋 敏行 兼松 龍 南 学 妹尾 誠
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1198-1210, 2021-11-10

Point・Anterior cervical foraminotomyは最小限の骨削除を行うことで固定を回避しつつ,神経根をピンポイントに除圧する術式である.・可能な限り支持組織を温存することと,最大限の神経除圧を行うことは相反する概念であり,これらのバランスをとるのに習熟を要する.・狭い術野で正確に神経根に至るためには,解剖学的知識,術中の良好なorientationが肝要である.
著者
曽田 直樹 堀 信宏 大場 かおり 山田 みゆき 長谷部 武久 石田 裕保 河合 克尚 藤橋 雄一郎 田島 嘉人
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第23回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.O007, 2007 (Released:2007-11-02)

【目的】股関節内旋筋及び外旋筋は、股関節を回旋させる以外の機能として歩行時に同時収縮による安定性の役割や遠心性収縮による制御としての役割などがある。そのため両筋群の筋出力の優位性を把握することが必要である。股関節内外旋筋出力の優位性は、一般的に外旋筋出力の方が高いとされている。しかし、股関節伸展位(解剖学的肢位)での報告が多く、関節角度や姿勢変化に応じた筋出力の優位性についての報告はまだない。適切な評価や治療を施行するためには、異なる肢位での筋出力の優位性を把握することは重要であると考える。そこで今回、運動肢位の違いによる股関節内旋筋と外旋筋の筋出力の優位性について若干の考察を加え報告する。 【対象】対象は、下肢に既往のない健常な成人84名とした(平均年齢22.5±4.7歳、平均身長168.3±7.2_cm_、平均体重61.7±9.8_kg_)。全員には、本研究の趣旨を十分説明した上で同意を得た。 【方法】運動課題は最大等尺性股関節内旋・外旋運動とし、股関節屈曲位(椅坐位)と股関節伸展位(背臥位)での条件で筋出力の測定を行った。その際、股関節内外旋中間位・外転10°膝関節90°屈曲位とした。筋出力の測定には、バイオデックス社のシステム3を使用し、各条件でそれぞれ1回測定した。測定は3秒間行い、測定間には10秒間の休息を入れた。代償動作の防止のために、ベルトにて体幹、骨盤、大腿骨をシートに固定した。両上肢は座面両端の手すり、あるいは支柱を把持した。測定順序は、ランダムに行った。統計処理は対応のあるt検定を用い、有意水準は1%未満とした。 【結果】股関節伸展位での内旋筋出力は58.9Nm、外旋筋出力は74.8Nmであった。また股関節屈曲位での内旋筋出力は98.2Nm、外旋筋出力は80.6Nmであった。伸展位では外旋筋出力、屈曲位では内旋筋出力が有意に高い値を示した。 【考察】今回の測定では股関節屈曲位と伸展位では内外旋筋出力の優位性が逆転する結果となった。要因として肢位が異なることにより股関節内外旋に参加する筋が異なることが伺えた。一般的に股関節内旋筋の主な動筋は、小殿筋前部線維・中殿筋前部線維・大腿筋膜張筋であるが、KAPANDJIらによると梨状筋は股関節屈曲60度以下では外旋筋,60度以上では内旋筋として働くと報告している。またDelp SLらは大殿筋上部線維・中殿筋後部線維・小殿筋後部線維・梨状筋は伸展位では外旋筋として働き屈曲位では内旋筋として働くと報告している。つまりこれらの筋作用の逆転が今回の結果に大きく関わったと思われた。
著者
柴田 裕一 鬼頭 壮宜 石田 裕之 後藤 優吾 上條 正義
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1068-1074, 2020

近年、更なる日没前後から夜間に発生する交通事故低減を目的に、路面にシンボルを投影し歩行者等に車両の挙動を伝える路面描画ランプが検討されている。本論文では交差点左折時に作動するターンシグナルランプ用路面描画を想定し、必要な明るさ及び幻惑光(グレア)の有無を確認した。
著者
鈴野 弘子 石田 裕
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.479-484, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

高地栽培バナナの風味の良さを化学成分の面から明らかにする目的で, 標高の異なる土地, すなわち, 高地 (1000m), 中地 (500m) および低地 (0-20m) で栽培した3種類のバナナを収穫後, 20℃で追熟させ, 各熟度別での成分変化を比較検討した.高地および中地栽培バナナの水分含有量は, 低地栽培バナナに比べ, いずれの熟度段階においても低い値であった. デンプン含有量は, 完熟段階 (ステージ3) において, 高地栽培バナナが最も低かった. また, 糖および酢酸イソアミル含有量は, 完熟段階で高地栽培バナナが最も多かった. 熟度段階の成分変化をみると高地および中地栽培バナナは低地栽培バナナに比較して, 未熟段階 (ステージ1) から適熟段階 (ステージ2) にかけて糖含有量, 糖酸比および酢酸イソアミル含有量が急激に増加した. 特に高地栽培バナナにおいては, 糖酸比と酢酸イソアミルが顕著な増加を示した. 以上の結果から, 標高の高い土地で栽培されたバナナは, 適熟段階において通常の低地栽培バナナより甘み, 香りが強くなることがわかった.
著者
石田 裕昭
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-37, 2016-10-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1

Mirror neurons in the ventral premotor cortex (area F5) and inferior parietal cortex (area PFG) in the macaque monkey brain has provided the physiological evidence for direct matching of the intrinsic motor representations of the self and the visual image of the actions of others. The existence of mirror neurons implies that the brain has mechanisms reflecting shared self and other action representations. This may further imply that the neural basis self-body representations may also incorporate components that are shared with other—body representations. It is likely that such a mechanism is also involved in predicting other’s touch sensations and emotions. However, the neural basis of shared body representations has remained unclear. Here, we propose a neural basis of body representation of the self and of others in both human and non-human primates. We review a series of behavioral and physiological findings which together paint a picture that the systems underlying such shared representations require integration of conscious exteroception and interoception subserved by a cortical sensory-motor network involving fronto-parieto-inner perisylvian circuits (the ventral premotor [PMv]—the ventral intraparietal area [VIP]/inferior parietal area [PFG]—secondary somatosensory cortex [SII]/insular cortex [IC]).
著者
新井 祐未 石田 裕美 中西 明美 野末 みほ 阿部 彩 山本 妙子 村山 伸子
出版者
日本栄養・食糧学会
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.139-146, 2017 (Released:2017-11-16)

世帯収入別の児童の栄養素等摂取量に対する学校給食の寄与の違いを明らかにすることを目的とし,小学5年生の児童とその保護者を対象に調査を実施した。世帯収入は保護者への質問紙調査,児童の栄養素等摂取量は平日2日と休日2日の計4日間の食事調査(秤量・目安量記録法)により把握した。低収入群と低収入以外群に分け,摂取量および摂取量に占める学校給食の割合について共分散分析により比較した。低収入群は平日より休日に摂取量が有意に少ない栄養素が多く,特に昼食で有意な差が認められる栄養素が多かった。また平日,休日ともにたんぱく質摂取量が有意に少なかった。平日1日あたりの摂取量に占める学校給食の割合には有意な差が認められなかった。休日を含めた4日間の総摂取量に占める学校給食の割合は,たんぱく質,ビタミンA,食塩相当量で有意な差が認められ,いずれも低収入群の割合が低収入以外群の割合より高かった。4日間の摂取量に対する学校給食の寄与は,低収入以外群より低収入群の方が高いことが明らかとなった。
著者
金光 秀子 佐藤 郁雄 石田 裕美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.148-154, 2008-09-30
参考文献数
26

&nbsp;&nbsp;ケアハウスおよび養護老人ホームに入居中の,健康な65歳以上の男性8人,女性19人,合計27人を対象とし,連続3日間の食事調査を行い,同時に摂取した食事サンプルの分析値から,Seの摂取量 (実測値) を推定した。<BR>&nbsp;&nbsp;食事調査のエネルギーおよび栄養素摂取量の計算値の平均値は,男女とも多くの栄養素が食事摂取基準 (身体活動レベルI,70歳以上) の推奨量,目安量等を満たしていた。しかし,個人別にみるとカルシウム,マグネシウム,亜鉛,ビタミンA,ビタミンB2,ビタミンC,食物繊維は推奨量および目安量等の水準に達していない者が多くみられた。また,実測Se摂取量,摂取エネルギー1,000kcal当たりおよび基準体重1kg当たりのSe摂取量はその推奨量を満たしており,不足の可能性は低いと考えられたが,個人差が大きく,食事摂取量の少ない高齢者ではSe摂取量が低い傾向がみられた。また,全Se摂取量の約40%が魚類を主にした料理に依存していた。栄養有効性を考慮するとSeの栄養状態が危惧される。
著者
石田 裕昭
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.208-215, 2005-03-25 (Released:2017-01-14)

The present study explored perfectionists' task-strategy and its inefficiency in the information-seeking task from the misregulation perspective. Participants were divided into two groups on the basis of Perfectionism Cognitions Inventory (PCI). Twenty-eight students, 15 high- and 13 low-perfectionism participants, were asked to prepare for the test by gathering information, which was designated as either important or unimportant. The amount of unimportant information was regarded as a tangential strategy, such that too much effort or excessive persistence would impair the efficiency in the task. The hypothesis tested was that high perfectionists' inefficient strategy would lead to a drop of their test score. The results suggested that high-perfectionists collect unimportant information more than low-perfectionists, and resulting in them attaining a lower test score. Our findings indicated that perfectionists' high motivation and adherence to problem solving, coupled with their use of careful strategy, could backfire.
著者
石田 裕子 安部倉 完 竹門 康弘
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-14, 2005-08-08 (Released:2009-01-19)
参考文献数
43
被引用文献数
3 4

城北ワンド群に生息するトウヨシノボリ縞鰭型について,生息場所スケール(ワンド間比較)と微生息場所スケール(底質型間比較)での分布様式と摂餌生態を調査した.縞鰭型は,本川では採集されず,ワンド内でのみ生息が確認された.とくに,年間を通して小型で底質の小さい閉鎖的なワンドに多く生息していた.微生息場所スケールでは,泥や落葉が多い底質に多く生息していた.充満度(体重に対する消化管内容物湿重量の割合)は5月に高く,とくに,5月の0歳魚で高かった.消化管内容物には,止水環境に生息するケンミジンコ科やシカクミジンコ属などの動物プランクトンや,チビミズムシやユスリカ類などのベントスが多く出現した.これらの結果は,トウヨシノボリ縞鰭型の生活様式が,ワンドの止水環境に適応していることを示している.いっぽう,繁殖期と稚魚期には新設ワンドに多く生息しており,繁殖期の成魚は長径16∼21cmの大きな石の下面に産卵していた.したがって,トウヨシノボリ縞鰭型の生息場所には,餌場としての泥や落葉が堆積した止水域の生息場所と,産卵場としての侵食が卓越した石底のある生息場所が必要なことが示唆された.また,淀川大堰の運用が淀川の環境とヨシノボリ類の個体群に与える影響を考察した.
著者
古庄 律 石田 裕 谷岡 由梨
出版者
東京農業大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ムクナ豆にはL-ドーパが高含有されていることに着目し、加熱処理して可食化したムクナ摂取によるパーキンソン(PA)病の病態軽減と抗酸化作用の両面から検討を行い、次のような成果を得た。①加熱処理したムクナ豆粉末を6-OHDA処置したPA病モデルラットに与えると対照動物に比べ運動機能が改善された。②DPPHラジカル消去活性は、14.3mmol Trolox/100gだった。③ヒト肝由来細胞株を用いた抗酸化能については、H2O2濃度10μM暴露時の生存率が111%で無添加時(88%)に比べ生存率は高値であった。以上により、ムクナ豆はPA病の病態改善と抗酸化機能を有する機能性食品であることが示された。
著者
駿藤 晶子 山本 妙子 吉岡 有紀子 硲野 佐也香 石田 裕美 村山 伸子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.143-151, 2020-08-01 (Released:2020-09-26)
参考文献数
17

【目的】本研究は,日本において,世帯収入と小学生の子を持つ保護者の食料品へのアクセスも含めた食生活状況との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】東日本4県の4地域(6市村)の19小学校に在籍する小学5年生(10~11歳)の保護者のうち,同意が得られた1,231名を対象に質問紙調査を実施し,そのうち920名を解析の対象者とした。世帯収入が貧困基準以下の群(低収入群)とそれ以外の群(低収入以外群)に分け,朝食を食べる頻度,家庭での食品の使用頻度,子どもの食事に関する項目,食料品の入手や買い物に関する項目,時間的なゆとりの実感,地域での子育てに関する項目と世帯収入との関連について,χ2 検定またはFisherの正確確率検定を用いて検討し,その後,各項目を目的変数とし,説明変数は世帯収入として二項ロジスティック回帰分析を行った。【結果】多変量解析の結果,低収入群は低収入以外群に比べて,子どもの健康維持に適した食事の量とバランスがわからないといった食知識がない者,経済的な理由もしくは買い物が不便であるという理由で生鮮食品や必要とする食物の入手が困難になる者,時間的なゆとりを感じていない者が多かった。【結論】小学生の子を持つ保護者は,世帯収入が貧困基準以下であると,子どもの健康維持に関する食知識がない者,経済的な理由もしくは買い物が不便なために食料品の入手が困難である者,時間的ゆとり感がない者が多いことが明らかになった。
著者
石田 裕美 菊池 正一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.139-145, 1991 (Released:2010-04-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

成人女子8人 (21~25歳) を対象に, 強制選択3滴法と一対比較強制選択全口腔法を用いて, 塩化ナトリウム水溶液の検知閾値と認知閾値の測定を行い, 測定方法間の比較及び閾値の時刻による変動を検討した。1) 滴下法による測定の幾何平均値 (標準偏差) は, 検知閾値10.3(2.8)mmol/l, 認知閾値28.6(1.9)mmol/l, 全口腔法によるものは, 検知閾値4.9(2.5)mmol/l, 認知閾値16.0(1.7)mmol/lとなり, 両閾値とも全口腔法のほうが有意に低値を示した。2) 滴下法, 全口腔法ともに閾値の時刻による変動は認められなかった。3) 閾値の個人差が認められ, 測定方法間の Spearman の順位相関係数は, 検知閾値rs=0.92(p<0.01), 認知閾値rs=0.90(p<0.01)と有意であった。また測定方法間に, 検知閾値, 認知閾値共通の回帰式y=1.0x-0.3が得られた (x, 滴下法; y, 全口腔法, ともに対数変換値)。4) 方法別にみた両閾値の変動係数に有意差は認められなかった。