著者
福井 憲彦
出版者
学習院大学史学会
雑誌
学習院史学 (ISSN:02861658)
巻号頁・発行日
no.34, pp.157-167, 1996-03

講演(Lecture)
著者
福井 敬一 佐藤 英一 新堀 敏基
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

2015年7月7日より,正式運用を開始した静止気象衛星ひまわり8号は先代のひまわり7号(MTSAT-2)に対し,大幅な機能強化が図られた.搭載された可視赤外放射計(Advanced Himawari Imager, AHI)は観測波長帯数が5バンド(可視1,赤外4)から16バンド(可視3,近赤外3,赤外10)へと,空間分解能もほぼ倍に高解像度化した.さらに,全球の観測頻度も60分ごとから10分ごとに向上するとともに,日本域を観測する領域観測1,2(東西2000 km,南北1000 km)や火山観測や台風観測などに利用される東西南北1000km四方の可動領域(領域観測3.機動観測)では常時2.5分ごとの観測も可能となっている.機動観測では台風観測時以外はカムチャッカの火山を対象に観測している時間が多い(2018年1月末現在はマヨン火山を含む領域を観測している).また,東西1000km,南北500kmの領域2か所(領域観測4,5.ランドマーク観測)を常時約30秒ごとに観測している.領域観測4,5の主目的は,位置合わせや月・深宇宙を利用した感度校正(Bessho et al., 2016)であるが,軌道が安定していることもあり,火山噴火を主対象とした領域を観測することも多く,2018年1月末現在,領域4,5は各々,インドネシアのアグン火山,桜島を含む領域を観測している.ひまわり8号の高解像度・高頻度観測によってMTSATに比べ小さな噴火も観測可能となるとともに,多バンド化によって,火山灰雲の高度推定精度が向上し,火山灰雲の光学的厚さや粒径などの情報を含む火山灰プロダクトの開発が進められている(Hayashi et al., 2016).さらに,火山ガス(SO2)の検出も可能となってきている(例えば,Ishii et al., 2018).桜島を含む領域では,ひまわり30秒データとともに,全球観測,日本域観測のデータも利用できるため,10分毎に4回,1分間で4枚の画像を取得できる時間帯がある.さらに,同じ領域を領域観測3,4,5で観測することも可能であり,このような運用を行えば,さらに高頻度の観測も可能になる.噴火直前の火口の温度状況や噴火直後の噴煙柱の成長の様子を捉えるため,ひまわり8号の30秒ごとの超高頻度観測(Super-Rapid Scan)データを利用した研究を開始した.Fukui et al. (2017) では桜島爆発直後の噴煙柱についてバンド3(波長0.64μm,空間分解能500m)の30秒毎データと桜島周辺で実施している高密度気象レーダーデータ(Sato et al., 2017),監視カメラ映像データとを比較検討した.今回はバンド3データと赤外データから求めた桜島爆発時の噴煙柱の上昇過程と噴煙上端の温度の時間推移から見た噴煙柱の成長過程について報告する.参考文献Bessho, K. et al. (2016) An Introduction to Himawari-8/9 —Japan’s New-Generation Geostationary Meteorological Satellites. J. Meteor. Soc. Japan, 94, 151-183, DOI:10.2151/jmsj.2016-009.Fukui, K. et al. (2017) Observations of volcanic eruption columns using Himawari-8 Super-Rapid Scan 30-sec imagery. JpGU-AGU Joint Meeting 2017, MIS02-P03Hayashi, Y. et al. (2016) Observation of volcanic ash clouds by Himawari-8. JpGU 2016, MIS26-06.Sato, E. et al. (2017) Volcanic ash plume observation by weather radars. JpGU-AGU Joint Meeting 2017, MIS02-P01.Ishii, K. et al. (2018) Using Himawari-8, estimation of SO2 cloud altitude at Aso volcano eruption, on October 8, 2016. Earth, Planets and Space, 70:19, DOI:10.1186/s40623-018-0793-9.
著者
福井 順子 河野 えみ子 奥平 咲絵 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.419-425, 1998-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
2

うがい薬はかぜ症候群, その他の口腔疾患の治療と予防に広く使用されており, その有効性についてはよく知られている.しかし, 使用方法についてはあまり検討されておらず, 各人各様に行なっているものと思われる.そこで患者が実際にどのようなうがいを行なっているか, ポビドンヨード含嗽剤を用いて調査し, 現在提唱されているマニュアルと比較した.その結果, 患者は規定の3~6倍薄い希釈液を用い, 短い時間でうがいを行なっていた.うがい方法については, 多くの患者が咽頭部分にうがい液が行き渡る咽頭型のみのうがい方法であった.これらの事実はうがいの有する機械的除菌作用と殺菌作用とが有効に活かされていないことを示している.その他, 現在提唱されているうがいの方法にも幾つか問題のある事が解り, 筆者らの目的である『有効なうがい方法の確立』に良い手がかりとなった.
著者
網本 和 内田 賢 内山 靖 大城 昌平 金谷 さとみ 酒井 桂太 福井 勉 山田 英司 横田 一彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.812-817, 2020-07-15

内山 本日は理学療法教育をめぐる現状を共有し,今後の展望について意見交換したいと思います. まず,教育関係者の共通認識として主要な行政文書を確認しておきます.2月28日付の文部科学省・厚生労働省の事務連絡として「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う医療関係職種等の各学校,養成所及び養成施設等の対応について」が出され,在学中の学生に不利益が生じないよう,迅速かつ弾力的な対応が示されています.
著者
山縣 友紀 五十嵐 芳暢 中津 則之 堀本 勝久 福井 一彦 植沢 芳広 山田 弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.D-I81_1-18, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

In drug development, Drug-Induced Liver Injury (DILI) is a significant cause of discontinuation of development, and safety evaluation and management technology at early development stage are highly required. In recent years, toxicity prediction by in silico analysis is expected, and the machine learning research using omics data has attracted attention. However, the lack of explanation of machine learning is a problem. In order to make an appropriate safety assessment, it is necessary to clarify the mechanism of the toxicity (toxic course). In this study, we focus on the toxic course and propose an ontological model of the liver toxicity, which systematizes toxicity knowledge based on a consistent viewpoint. In application research, we introduce a prototype of a knowledge system for supporting toxicity mechanism interpretation. Based on the ontology, this system provides information flexibly according to the user's purpose by using semantic technologies. The system provides a graph visualization function in which nodes correspond to concepts and edges correspond to interactions between concepts. In such a visualization function, a toxic course map shows causal relationships of the toxic process. We illustrate examples of application to safety assessment and management by combining ontological and data-driven methodologies. Our ontological engineering solution contributes to converting from data to higher-order knowledge and making the data explainable in both human and computer understandable manner. We believe that our approach can be expected as a fundamental technology and will be useful for a wide range of applications in interdisciplinary areas.
著者
青山 真人 夏目 悠多 福井 えみ子 小金澤 正昭 杉田 昭栄
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.109-118, 2010

本研究の目的は、捕食動物に由来する種々の刺激がヤギに及ぼす忌避効果を、ヤギの生理学的および行動学的反応を解析することによって検討することである。実験1においては、7つの刺激-CDプレイヤーで再生したチェーンソーの運転音(ChS)、イヌの吠え声(DoB)、オオカミの遠吠え(WoH)、ライオンのうなり声(LiG)、トラのうなり声(TiG)、テレビモニターに映したオオカミの映像(WoV)、実物のイヌの毛皮(DoS)-をそれぞれ4頭のメスシバヤギに提示し、その反応を観察した。DoBおよびDoS区において、他の区に比較して血中コルチゾル(Cor)濃度が有意に高く(P<0.01、反復測定分散分析およびTukeyの検定)、30分間の身繕い行動の頻度が有意に少なかった(P<0.1、Friedmanの検定とNemenyiの検定)。他の刺激については、いずれの測定項目においても対照区(提示物なし、音声を出さないCDプレイヤー、映像を映さないテレビモニター)との間に違いはなかった。実験2においては、実験1と同じ4頭のヤギを用いて、ChS、DoB、WoH、LiG、TiG、DoSの6つの刺激の忌避効果を検討した。飼料のすぐ後方にこれらの刺激のいずれかを提示し、それぞれのヤギがこの飼料を摂食するまでに要する時間を測定した。4頭いずれの個体も、DoBおよびDoS区においては30分間の観察時間中に一度も飼料を摂食しなかった。一方、他の刺激においては遅くとも126秒以内には摂食を開始した。各個体においで、実験2における結果と、実験1における結果との間には強い相関が観られた(対血中Cor濃度:r=0.78〜0.94、対身繕い行動の頻度:r=-0.73〜-0.98)。実験3では、メスシバヤギ5頭を用い、実験1と同じ方法でChS、DoB、イヌの置物(DoF)、DoS、段ボール箱で覆ったイヌの毛皮(DSC)の効果を検証した。実験1と同様、DoBおよびDoS区において、有意な血中Cor濃度の増加と身繕い行動の頻度の減少が観られた。DSC区においては5頭中4頭が、顕著な血中Cor濃度の増加あるいは身繕い行動の頻度の減少のいずれかを示した。これらの結果から、本研究で観られたイヌの吠え声、あるいはイヌの毛皮に対する忌避効果は、ヤギがこれらの刺激に強い心理ストレスを持ったことが原因であると示唆された。さらに、視覚的な刺激は、少なくともそれが単独で提示された際には効果が薄いこと、聴覚的な刺激および嗅覚的刺激が強い忌避効果をもたらす可能性が示唆された。
著者
福井 一
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.53(1996-MUS-015), pp.51-54, 1996-05-25

音楽が内分泌に及ぼす影響については、研究が少ない。この研究の目的は音楽聴取がテストステロン()分泌に及ぼす影響を調べることである。合計70人の被験者(男性60名、女性10名)が二つの条件で実験を受けた:30分の音楽聴取(被験者の好きな音楽、グレゴリオ聖歌、モーツァルト、ジャズ、ポピュラー音楽)と、3)分の沈黙である。その間4回にわたって唾液を採取し、T値(フリー・テストステロン)をRIA法により測定した。その結果、音楽聴取により有意にT値が減少した。分散分析の結果、Tに主効果があり、音楽のカテゴリーとTの間に相互作用が見られた。Tは音楽能力やストレス、免疫反応などとも関係が深い物質である。本実験結果は音楽知覚・認知分野のみならず、音楽療法の基礎研究にも重要な資料となると同時に、音楽の「機能」にもあたらしい光をあてるものと考える。

5 0 0 0 気候学

著者
福井英一郎 著
出版者
古今書院
巻号頁・発行日
1941
著者
福井 栄二郎
出版者
島根大学法文学部山陰研究センター
雑誌
山陰研究 (ISSN:1883468X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.57-82, 2018-12

本稿の目的は「地域」の意味を考察することである。この「地域」という概念が多義的であることはこれまでにも議論されてきた。文化人類学の用語を用いれば「地縁集団」に近く、同質性・均質性をその特徴としている。だが都市部における「地域」は、これとはまた異なった様相を呈する。それは匿名的な集団で、成員たちに共通する価値観はない。むしろ見知らぬ者どうしが問題解決的な目的に沿って集合した集団であるともいえる。これらの特徴を齋藤(2000)の議論に沿って整理すれば、前者を「共同体」、後者を「公共圏」と言い換えることができるだろう。そして「地域」をどのように捉えるにせよ、こうした集団から排除される「他者」がいるのもまた事実である。本稿では、刑余者の方々に生活史のインタビューを試みた。彼らは刑期を終え、それまで何の紐帯もない「地域」でいきなり暮らすことを余儀なくされる。また「元犯罪者」というスティグマも抱えて生活しなければならない。それゆえ彼らの多くは地域から排除されており、そのなかでうまく暮らせていないという感情を抱いている。家族とは音信不通で、友人もおらず、孤独を訴える者も少なくない。つまり、その疎外感は「親密圏」が構築できないことに存しているともいえる。こうした一連の考察を踏まえ、「地域」を「社会的なもの(the social)」としてだけではなく、私的・個人的な親密圏という観点から考察する必要性について指摘した。

5 0 0 0 二関節筋

著者
福井 勉
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.511, 2008-06-15

二関節筋とは起始と停止が2つの関節をまたぐ筋を指す.単一関節に関係する単関節筋と対比されることが多いが,多くの関節に作用する多関節筋という語の一部とも考えられる.下肢では大腿直筋,半腱様筋,半膜様筋,大腿二頭筋長頭,腓腹筋などが,上肢では上腕二頭筋長頭,上腕三頭筋長頭などがその代表である.二関節筋は2つの関節をまたいでいるため,一方の関節運動は他方の関節の影響を受ける.端座位で膝関節最終伸展を行う際に骨盤後傾が起こりやすいのは,ハムストリングスの短縮のためである.しかし,骨盤後傾は大腿直筋の起始部を停止部から遠ざける効果もある.投球動作やキック動作のように,四肢末端が強いトルクを出す際には,主動作筋の筋長を最大限にしていることが観察できる.キック動作のフォロースルーでも,骨盤後傾と体幹回旋によって,下前腸骨棘は脛骨粗面に容易に近づかない.そのためキック動作では,下肢末梢の瞬間中心は股関節よりも中枢の体幹に位置するようになる.このように,二関節筋は関節中心から遠い浅層に位置するため,レバーアーム長が長いことも大きなモーメント発揮に有利であると考えられる. 二関節筋は2つの関節の運動をつかさどるため,運動のパターン化を来す場合もある.変形性膝関節症における大腿筋膜張筋-腸脛靱帯の強い緊張,ジャンパー膝における大腿直筋の強い活動は,拮抗筋機能低下だけではなく,筋の付着部付近の単関節筋活動の機能低下とも結びついている.骨盤付着の二関節筋はすべて体幹姿勢の影響を受けるため,例えばジャンパー膝では,股関節屈曲モーメントが大きくなる骨盤後傾姿勢をとりやすく,同時に膝関節伸展モーメントを増大させてしまう.つまり,ある二関節筋が作用すれば,最小限の姿勢保持や動作が可能であるため,他の筋群の活動は必要とされない姿勢になり,負荷が一箇所に集中するようになる.したがって,ジャンパー膝の原因療法としては,股関節伸展モーメントを動作中に増大するような運動療法が考えられる.変形性膝関節症でも,股関節外転モーメントの増大は骨盤の反対側への傾斜,中殿筋筋力低下と共に生じ,二関節筋への負荷が過剰であるために生ずるとも言える.以上のように,筋炎や腱炎,肉ばなれなどは二関節筋特有と言っても過言ではなく,さらに二関節筋の過剰な運動参加は関節不安定化に移行しやすいなど,機能障害と結びつきやすい.関節疾患における単関節筋機能向上の運動療法が,肩関節や体幹に代表されるローカルマッスルへのアプローチに移行したのは機能障害との関連からであり,臨床に導入された根拠ともなっている.