著者
福井 幸男 Sachio Fukui
雑誌
桃山学院大学人間科学 = HUMAN SCIENCES REVIEW, St. Andrew's University (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-41, 2011-03-30

Sen no Rikyu (1522-1591) was one of the well-known founders of the traditional tea ceremony (Sado) in medieval Japan. Toyotomi Hideyoshi (1537-1598) ordered Sen no Rikyu to commit ritual suicide (seppuku) in February, Tensho 19 (1591), because he was the general who won the final victory in the military conflicts among the Samurai and unified medieval Japan. Various opinions have been offered concerning the reasons for Sen no Rikyu's death. However, no firm hypothesis has yet been reached. The author has critically reviewed a large number of historical materials and theories regarding this episode to try to elucidate the truth. The official announcement of the Toyotomi Hideyoshi regime gave as the principal reasons for Sen no Rikyu's punishment, was his lese majesty toward both General Toyotomi himself and the emperor, together with his unreasonable valuation and trade in tea-ceremony items. Sen's lese majesty charge also included his construction of an overly splendid gate to the Daitokuji Temple in Kyoto, and his order to place a wooden sculpture of himself on the gate. However, the author has managed to locate many descriptions from sources about the miscellaneous circumstances of his death that differ quite considerably from information found in other cases of ritual suicides. Using these idiosyncratic materials, the author seeks to further elucidate the truth about the causes of Sen no Rikyu's seppuku.
著者
福井 里江 原谷 隆史 外島 裕 島 悟 高橋 正也 中田 光紀 深澤 健二 大庭 さよ 佐藤 恵美 廣田 靖子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.213-222, 2004 (Released:2006-09-21)
参考文献数
22
被引用文献数
4 11

組織風土尺度30項目版(外島・松田,1992,1995)の短縮版を作成し,信頼性と妥当性を検証するため,民間企業2社の正社員819名を対象として自記式質問紙調査を実施した.調査内容は,原版の組織風土尺度30項目版,NIOSH職業性ストレス調査票(the Generic Job Stress Questionnaire, GJSQ),および一般健康調査12項目版(the 12-item General Health Questionnaire, GHQ-12)であった.組織風土尺度には伝統性尺度,組織環境性尺度という2つの下位尺度があり,それらの得点の高低によって,各従業員が認知する組織風土を伝統自由・組織活発型(イキイキ型),伝統強制・組織活発型(シブシブ型),伝統自由・組織不活発型(バラバラ型),伝統強制・組織不活発型(イヤイヤ型)に分類することができる.原版の組織風土尺度の主成分分析を行った結果(バリマックス回転,因子数2),それぞれの因子における因子負荷量が0.50以上であった各6項目を短縮版に採用し,組織風土尺度12項目版(the 12-item Organizational Climate Scale, OCS-12)とした.内的一貫性は伝統性因子がα=0.63,組織環境性因子が0.71と許容範囲であった.OCS-12の各下位尺度はGJSQの多くの下位尺度およびGHQ-12と有意に相関し,構成概念妥当性が比較的高いことが示された.OCS-12を用いて分類した組織風土の4類型間では,イキイキ型における職業性ストレスが最も良好であった.OCS-12は職場の組織風土に関する従業員の認知を測定する上で,おおむね十分な信頼性と妥当性を有することが示唆された.
著者
福井 昌則 中村 駿佑 宮寺 良平
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2015-GI-33, no.15, pp.1-5, 2015-02-26

本稿では,不等式を満たすチョコレートゲームの必勝法解析について述べる.チョコレートゲームは,Robin が提案したゲームであり,組み合わせゲームである CHOMP の変種であるが,CHOMP と異なるのは,必勝法が計算できるタイプが多数存在することである.長方形のチョコレートは,伝統的な石取りゲームと数学的に同値であるが,私達が研究するチョコレートゲームは,座標間に不等式の関係が成立しているものであり,そのチョコレートに対してグランディ数を求める公式を導出した.本稿では,私達の研究しているチョコレートゲームの説明,数学的背景,そしてモバイル端末向けに作成したチョコレートゲームについて述べる.
著者
福井 健策
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.661-668, 2014
被引用文献数
1

日本が今,貴重な予算をかけても早急に整備すべきインフラは「知のインフラ」である。欧米がその整備にしのぎを削る文化資料の巨大デジタルアーカイブについては,わが国でも価値ある活動は少なくないが,その多くは「ヒト・カネ・著作権」というべき課題にあえいでいる。特に大量の文化資料をデジタル公開しようとすれば権利処理の手間は膨大となり,わけても,探しても権利者が見つからない「孤児作品」の問題は深刻で,欧米でも対策が進む。わが国でも権利処理を推進するために,(1)権利情報データベースの整備,(2)パブリックライセンスの普及,(3)孤児作品対策を含むアーカイブ法制の立案,などの対策を早急に進めるべきである。
著者
重宗 明子 三浦 清之 上原 泰樹 小林 陽 古賀 義昭 内山田 博士 佐本 四郎 笹原 英樹 後藤 明俊 太田久稔#清水博之#藤田米一#石坂昇助#.中川原捷洋#奥野員敏#山田利昭#小牧有三#堀内久満#福井清美#大槻寛#丸山清明
出版者
農業技術研究機構中央農業総合研究センター
雑誌
中央農業総合研究センター研究報告 (ISSN:18816738)
巻号頁・発行日
no.16, pp.17-37, 2011-03

「華麗舞」は1979年に北陸農業試験場(現中央農業総合研究センター・北陸研究センター)において,超多収品種の育成を目的として,インド型多収品種「密陽23号」を母とし,日本型多収品種「アキヒカリ」を父とする人工交配を行って育成された品種である.1990年から「北陸149号」の系統名で関係各府県における奨励品種決定調査試験およびその他の試験に供試してきたものであり,2006年10月4日に新品種として「水稲農林415号」に命名登録された「華麗舞」の特性の概要は以下のとおりである.1. 出穂期は「コシヒカリ」より4~5日早く,成熟期は「コシヒカリ」より5~9日早く,育成地では"中生の早"である.2. 稈長は「コシヒカリj」より20cm程短く" 短",穂長は「コシヒカリ」より長く" やや長"穂数は「コシヒカリ」より少なく"少",草型は"穂重型" で,脱粒性は"難"である.粒形は"細長"である.千粒重は「コシヒカリ」よりやや軽い. 3.収量は,標肥では「コシヒカリ」より少ないが,多肥では「コシヒカリ」並である.4.炊飯米は, 「コシヒカリ」.「日本晴」よりも粘りが少なく,硬い.表面の粘りが少ないのでとろみのあるカレーソースとのなじみが良く,カレーライスへの嗜好性が高い.5. いもち病真性抵抗性遺伝子はPiaとPibを併せ持つと推定され,葉いもち圃場抵抗性は"中",穂いもち圃場抵抗性は不明である.穂発芽性は"やや易",障害型耐冷性は"極弱"である.
著者
福井 幸太郎 飯田 肇 小坂 共栄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.43-61, 2018-01-01 (Released:2022-09-28)
参考文献数
64
被引用文献数
1

飛騨山脈の四つの多年性雪渓で,地中レーダーで氷厚を,測量用GPSで流動を観測し,氷河の可能性を探った.その結果,カクネ里雪渓と池ノ谷雪渓は厚さ30mを超える氷体を持ち2m/年以上の速度で流動していたことから氷河,内蔵助雪渓は厚さ25mの氷体を持つが流動速度が3cm/年と遅いため多年性雪渓に移行しつつある氷河,はまぐり雪雪渓は現在流動していない多年性雪渓であることが分かった.日本で氷河と判明した多年性雪渓は合計六つになった.また,飛騨山脈の氷河の特性を現地観測データから検討した.その結果,気候条件的に現在の飛騨山脈では氷河が存在可能であること,平衡線高度が同じ地域内で大きくばらつくこと,カクネ里雪渓と池ノ谷雪渓は1955~2016年の61年間で面積がそれぞれ12, 16%減少したことが分かった.
著者
中石 一英 福井 康弘 荒川 良
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.199-205, 2011-11-25 (Released:2011-12-10)
参考文献数
17
被引用文献数
35 31

野外の餌動物がほとんど発生していないゴマにタバコカスミカメが大発生し世代交代することが観察されたことから,本種はゴマで増殖が可能と推測された.そこで,ゴマでタバコカスミカメは増殖が可能であるか否かを知るとともに,キュウリ,ナス,トマトおよびピーマンでの増殖についても検討した.餌にゴマ,キュウリ,ナス,トマトまたはピーマンの葉を与えた区,それとゴマの葉とともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えた区を設け,タバコカスミカメを飼育し,繁殖能力を比較した.タバコカスミカメの卵から成虫までの生存率はゴマでは59.3%あり,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えても生存率は有意に高まらなかった.このゴマでの生存率はキュウリを与えた場合と有意差はなかったが,ナスより有意に高かった.また,トマトおよびピーマンでは成虫まで発育した個体は見られなかった.卵から成虫までの発育日数はゴマでは29.0日と,キュウリおよびナスに比較して有意に短かったが,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えると有意に短縮した.成虫の生存日数はゴマで雌が38.4日,雄が27.7日であり,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えても有意差は認められず,ゴマでの生存日数は他の植物と比較して有意に長かった.1雌当たり総産卵数はゴマでは63.6卵であったが,ゴマとともにスジコナマダラメイガ解凍卵を与えると166.4卵と有意に増加した.ゴマ以外の植物での1雌当たり総産卵数は4卵以下で,ゴマと比較して有意に少なかった.ゴマだけを与えた飼育から求めた日当たり内的自然増加率および30日当たり増殖倍率は,それぞれ0.0465および4.0であり,ゴマとスジコナマダラメイガ解凍卵を与えて得た0.0865および13.4に比較して小さかった.しかし,ゴマでは動物質の餌がなくてもタバコカスミカメは増殖できることが明らかになったことから,ゴマはタバコカスミカメのインセクタリープランツとして利用できる可能性が示された.
著者
土井 サチヨ 山名 信子 福井 弥生 高橋 純 畠山 絹江 西村 美智代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.327-331, 1971-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

It is believed that it would be a helpful measure in determining the size of clothes and also an important factor in designing clothes to study the change in the human body proportion according to the physical growth of the body.In this report, a study is made on the body proportions of boys and girls ages from 7 to 15. The summary of the results is as follows : (1) The degree of the growth in the lengths varies with the part of the body. As for the three items of the head length (height, width, and length of a straight line drawn from the front to the back), the growth is very slow in all ages. By comparing the rate of increase in the crotch height with that in the sitting height, it is found that the former is greater than the latter for the boys who are from 7 to 13 years old, and for the girls from 7 to 11 years old.(2) The head-body index (ratio of the stature to the head height) becomes larger and larger as the age advances, and the indexes of girls show higher values than those of boys up to the age of 13.(3) The comparison of proportional lengths of some parts of the body made between boys and girls measured by assuming that their respective statures are 100, shows that girls over 13-14 have larger values of the total head height and sitting height and smaller value of crotch height than boys of the same ages.
著者
米田 諭 小林 洋三 布居 剛洋 竹田 幸祐 松森 篤史 安藤 稔 辻之上 裕久 西村 公男 福井 博
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.1270-1273, 2006 (Released:2006-11-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は28歳女性.近医でインフルエンザBにてリン酸オセルタミビルなどを処方され,翌日夜間より下腹部痛,下痢,血便が出現し当院を受診.大腸内視鏡検査で横行結腸左半部に全周性にわたる表層の出血,びらんを認めた.内服薬中止にて症状,内視鏡所見の治癒を認めた.薬剤リンパ球幼若化試験でリン酸オセルタミビルのみ陽性であった.本症例はリン酸オセルタミビルが誘因と考えられた急性出血性腸炎第1例目であり報告した.
著者
福井 綾子 奥田 隆史 井手川 哲夫 田学軍
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.17, pp.149-152, 2008-03-06
被引用文献数
1

ここ数年,消費者発信型メディア (CGM) と呼ばれるサービスが急速に普及した.我々は,インターネットを介して個人の所有情報を他者と共有可能となり,情報が広く,高速に伝播される環境を手に入れた.我々の環境の変化は,"検索"と"共有"という行動を含む AISAS と呼ばれる行動パターンを発生させている.この行動パターンにより,検索行動を起こす消費者から特定サイトへアクセスが集中し,インターネット回線やサイトへ想定外の負荷がかかる場合がある.そこで本研究では,消費者の検索行動が情報ネットワークリソースへ与える影響を考察するために,(1) 消費者間のヒューマンネットワークを考慮した情報伝播過程の表現,(2) (1) がネットワークに与える負荷の分析,を行う.Consumer Generated Media (CGM) describes a variety of new and emerging sources of online information that are created, initiated, circulated and used by consumers intent on educating each other about products, brands, services, personalities and issues. CGM refers to any number of online word-of-mouth vehicles, including but not limited to: consumer-to-consumer e-mail, postings on public Internet discussion boards/forums, Usenet newsgroups, consumer ratings web sites or forums, blogs, social networking web sites and individual web sites. Once a web site gets the top rating by the online word-of-mouth, the number of accesses to the web site increases rapidly and then causes congestion phenomenon and then the site to shut down. In this paper, the authors present a prediction method of the effect of on-line word-of-mouth on nformation network resources.
著者
篠田 明恵 福井 恒明 中井 祐 篠原 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.157-164, 2004-06-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14

Shinto-shrines were one of the most important elements of Castle town in Japan, such as creeks and streets. We consider them impossible to move because they are established on their site. However, in Edo city, they were frequently moved by the governors from the development of the city to the end of Edo era. The purpose of this study was to understand how they treated and located the Shinto-shrines from the viewpoint of city planning in Edo city. In the study, the location and transference of 110 shrines were plotted on the map, the reason of transfer, the condition of the site, and the tendency of location were analyzed. As a result, the study has shown that the principles of Shinto-shrines' location was changed as following: 1) before Edo era, they were located as religious element and indirect government system, 2) in the beginning of Edo era, the construction of the castle preceded the shrine location, 3) after the middle of the era, they were treated as the stock of the land from the standpoint of city planning, but the religious meaning was not lost to the last. These results are unique and not mentioned in the previous study of castle town.
著者
福井 康貴
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.198-215, 2008-06-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
43

本稿は,戦前日本の大卒者の就職において〈自己の力で職に就く〉という自己志向的なルールが登場するまでのプロセスを明らかにする.明治・大正期の就職は紹介者や学校成績の影響力が非常に強かったのだが,従来の研究はこうした事態を現代的な価値観点を投影して理解しがちであり,両者の担う意味を十分に捉えていなかった.本稿では,当時の人々の認識に定位することでこの事態をより正確に把握し,それが自己志向的なルールの登場とともに背景化したことを指摘する.最初に,近世商家の職業観と対照する形で,戦前における職業選択の自由を検討し,それを職業選択の可能性として社会学的に概念化する.つぎに,この可能性に対処するために,就職が紹介者と学校成績への信頼という2つの形式をとったことを指摘したうえで,人々が両者を正当なものとして考えていたことを明らかにする.最後に,大正期後半から昭和初期に両者が非正当化すると同時に,志望者の「人物」に注目する面接試験が登場する経緯を描きだす.その過程は,「自己/他者」および「個人/制度」という行為主体に関する区別に「正当/不当」という道徳的な区別を重ねることで,自己本位の職業選択のあり方を導くものだった.
著者
福井 健策 田島 佑規
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.28-31, 2023-02-01 (Released:2023-03-28)
参考文献数
5

劇作家、演出家、舞台美術・衣装・照明・音響スタッフ、音楽家、振付家、俳優(実演家)など実に多くの者が制作に関与する舞台芸術公演の収録・アーカイブ・利活用においては、その権利関係を整理することは欠かせない。ここではEPAD事業や実務の経験を踏まえ、観客が劇場で体験した「なま」の公演そのものを保存することはできないという特徴を有する舞台芸術のアーカイヴィングにとって、最も重要な資料の一つと考えられる公演映像の保存・利活用のための権利処理を念頭におき、「権利の固まり」ともいえる公演映像に特有の権利の壁と、それを乗り越える上で有益と思われる視点を示したい。