著者
藤代 節 庄垣内 正弘
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究課題はヤクート(サハ)語の英雄叙事詩オロンホの調査研究である。2年間に集中的に英雄叙事詩およびヤクート語について帝政ロシア、旧ソ連邦、現ロシア共和国の各時代を通じて著された関連文献の調査、整理、テキスト等の基礎的データの入力作業を行った。初年度にはロシア科学アカデミー東方学研究所にて帝政ロシア時代のサハ語資料の閲覧、検索などをおこなった。また機会を得て、サハ共和国内の共和国立図書館などにおいてもオロンホ資料に関連する文献調査を行い、ヤクート語話者あるいはヤクート語周辺の言語の話者等に研究協力を依頼し、オロンホに関連しての調査研究を行った。本研究課題の成果としては研究代表者の藤代、研究分担者の庄垣内がともに各自学術論文、出版物、また研究発表等を通じて随時、発表してきた。本研究課題の実施期間を通じて、サハ(ヤクート)共和国内で出版されたヤクート語学や文学に関連する文献も多く収集することが出来た。これらは特にここ2、3年に飛躍的に入手が容易になった出版物である。本研究課題を遂行して、研究成果全体、特にオロンホのデータを蓄積じたものを刊行すべき必要性を強く感じている。これらの学術文献におけるオロンホの扱い方及び未だ数量的には大量とは言えないがオロンホテキスト資料を今後も有効に活用して、オロンホのデータ蓄積を大きくしていきたい。研究代表者等は近い将来にオロンホデータに言語学的分析を加えたものを出版することを目指している。
著者
池田 勝久 小林 俊光 伊東 善哉 高坂 知節
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.535-538, 1988-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

Twenty-two patients (30 ears) with tinnitus were given Tsumura-Daisaiko-to and its clinical usefulness was evaluated. The drug was remarkably effective in 16.7% of the ears, moderately effective in 6.7%, slightly effective in 26.7%, and not effective in 49.9%. About 46% of the patients showed a tendency to improve tinnitus. The drug showed a significant decrease of serum cholesterol and triglycerol values and was suggested to affect the auditory system via metabolism of lipid.
著者
倉成 由美 石橋 通江 梅﨑 節子
出版者
純真学園大学
雑誌
純真学園大学雑誌 = Journal of Junshin Gakuen University, Faculty of Health Sciences (ISSN:21866481)
巻号頁・発行日
no.7, pp.63-71, 2018-03

【要 旨 】 就 労 継 続 支 援 A 型 事 業 所 を 利 用 す る 統 合 失 調 症 者 の 就 労 継 続 プ ロ セ ス を 明 ら か に す る こ と を 目 的 に 就 労 継 続 支 援 A 型 事 業 所 を1年以 上 利 用 す る 統 合 失 調 症 者5名に 対 し 半 構 造 化 面 接 を 実 施 し た.得 ら れ た 語 り の内容を質的帰納的に分析した結果,18個のカテゴリーを抽出した.さらにカテゴリーは,就労継続のプロセ スとプロセスを支える存在に大きく分けられた.就労継続プロセスとして,統合失調症発症の時期から疾病の 治療への葛藤・疾病をコントロール出来てきた時期,一般就労を諦めて福祉就労に就いた時期,福祉就労を含 めた 日常 生活 が確 立し てき た時 期と3つの 段階 を踏 んで 就労 継続 出来 てい ると 判断 した. また, 就労 継続 プロ セスを支える人々の存在が大きく影響していた.支援者が就労継続プロセスを支える存在となるためには,疾 患の特徴や現在置かれている状況を見極め,信頼関係をつくりながら自己効力感を高めるように支援すること, さらに,生活のなかで就労が習慣化し,日常生活リズムが確立するように支援していくことが重要であるAbstract: This study aimed to clarify the process by which schizophrenic individuals utilize type support offices for continuous employment to seek and participate in continuous employment Semi structured interviews were administered to five schizop hernia patients who had used the services of a type support office for continuous employment for one year or longer, Interview contents were subjected to qualitative and inductive analysis. A total of 18 categories were extracted from the results that could be conceptually divided broadly into ʻ work continuation processʼ and ʻentities supporting the process.ʼ After the onset of their disease, schizophrenic individuals were found to follow a three stage process as they sought and participated in continuous employment these periods were respectively characterized by) personal struggles with treatment and nascent control and management of their disease;2)the a andonment of regular employment and the pursuit of job opportunities via social welfare and 3)the establishment of a daily routine that incorporated their new welfare-related job. Furthermore, the presence of other peple who supported the interviweees during the process was found to be a crucial component of its success. Individuals in support roles needed to ascertain the characteristics of job seekersʼ disease and social circumstances and improve their feelings of self -efficacy.They also built trusting relationships to usefully assist these patients in the work continuation process. Another important function of supporters was to help patients become acclimatized to their jobs as part of their lifestyles and establish a regular routine
著者
石川 博康 玉井 克人 見坊 公子 角田 孝彦 澤村 大輔 梅木 薫 菅原 隆光 矢島 晴美 佐々木 千秋 熊野 高行 三上 英樹 三上 幸子 高木 順之 門馬 節子 菊池 朋子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.8, pp.1229-1239, 2003-07-20 (Released:2014-12-13)

帯状疱疹の現状把握を目的とし,2000年4月から2001年3月までの1年間に東日本地区の総合病院と診療所の計11施設を受診した帯状疱疹患者1,065例を対象に統計的解析を行った.結果として,1)8月が最多であったが季節差は認めなかった.2)男女比では女性が多く(M:F=1:1.4),年齢別では60代を中心とした大きな峰と10~20代の小さい峰との2峰性を示した.3)発症部位は上肢~胸背部が最多で31.2%を占め,胸髄部発症例は全体の50.8%であったが,部位別分節別で比較すると頭顔部が最多であった.4)汎発化は2.3%にみられ,70代を中心に頭顔部症例が多かった.5)PHN(postherpetic neuralgia:帯状疱疹後神経痛)は5.3%に残存し,70代を中心に腹背部に多かった.6)抗ウイルス薬は全体の79.0%に投与されていた.7)頭顔部症例の13.4%に眼病変が,1.1%にRamsay-Hunt症候群がそれぞれ合併していた.8)全体の8.8%に基礎疾患を認めた.9)2回以上の再罹患率は全体の3.6%であった.10)医療機関別の比較では患者の年齢層が有意に異なっており,総合病院は60代以上の高齢者主体で診療所は50代以下が多かった.
著者
松内 佳子 中島 節子
出版者
日本移植・再生医療看護学会
雑誌
日本移植・再生医療看護学会誌 (ISSN:18815979)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-13, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
31

本研究の目的は、小児期に生体肝移植を受けた患者が捉えている家族の様相について明らかにすることである。ナラティヴ・アプローチを用い、対象者6名にインタビューを実施した。対象者に共通したテーマとして【家族の気遣いや苦労への気づき】【家族の結束】【ドナーとなった親との強固な絆】【同胞への自責の念】を見出した。小児期に生体肝移植を受けた対象者たちは、成長発達過程にある療養生活での体験や、家族や医療者等から移植当時の話を聞くことにより、生体肝移植や療養生活を通じた経験を意味付けし、家族の様相を捉えていた。そして、自身の生体肝移植や療養生活における困難が家族の結びつきを強化した出来事と解釈する一方で、同胞への影響を省みた自責の念を抱いていた。同胞への自責の念やドナーとなった親との強固な関係性は、移植患者の自己概念や家族全体の関係性への影響を及ぼす危険性があると示唆された。
著者
脊板 弘康 倉橋 節也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.3A3J1301, 2019 (Released:2019-06-01)

顧客第一主義を標榜し、品質第一主義を掲げて世界を席巻してきた日本企業で今、品質詐称事件が後を絶たない。これは、これまで各企業が日本独特の高コンテクスト社会ならではの概念である「空気」を用いて絶対化していた品質第一といういわば信念が組織内の現実の問題により相対化し崩れたために詐称に至るものと考えられる。 本研究で、Giddensの構造化の理論の枠組みを基に、山本七平の言う日本独特の精神文化とも呼べる「空気」により形成された顧客への「忖度」が相対化され破れに至る様を、ビジネスゲームを用いて再現させる事を目的としている。
著者
柳田 浩孝 倉橋 節也
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.251-271, 2021-03-15 (Released:2021-03-30)
参考文献数
26

本研究の目的は,スタートアップ企業のパフォーマンスと彼らに対する外部支援の関連性について調査を行うことである.分析に際しては,2,897件(第1回調査時点)のスタートアップ企業から回答を得られたアンケート調査を用いた.分析手段としては,因果推論手法の1つである傾向スコアマッチングを採用した.まず外部支援とパフォーマンスを分類したうえで個々の支援ごとに効果を検証したところ,大半の支援ではスタートアップ企業のパフォーマンスを改善する因果効果を認めることができなかった.次に,一部の外部支援を採り上げ,その他支援との組み合わせ効果を検証したところ,非公的資金と公的資金支援の組み合わせで売上が有意に成長したなど新たな因果効果が確認された.これらの結果から,目指す自社の将来像に基づき,受け入れる外部支援やその組み合わせを慎重に模索していくことの有効性が示唆された.
著者
渡部 洋 松川 節 古松 崇志
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

元代から明代初期までの多言語史料(碑文華夷訳語)を解読分析し、史料の1つ達魯花赤竹公神道碑銘の注釈書(「漢文・モンゴル文対訳「達魯花赤竹君之碑」(1338 年)訳注稿」2012 pp107-238)を『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第29号に掲載した。
著者
野村 節三
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.393-416, 1997-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
194
被引用文献数
2 2

魚類の細菌性感染症は古くから欧米やわが国で主として病理学的, 細菌学的研究がなされ, 膨大な知見が蓄積されている。中でも, せっそう病菌, ビブリオ病菌, 鰭赤病菌, シュードモナス症菌およびカラムナリス病菌は広く世界的に分布し, 水産業にとって重要な病原菌である。近年, これら病原菌の病原因子の研究が始められ, 菌体内のリポ多糖や細胞表面タンパク質, 菌体外のプロテアーゼ, ロイコサイトリジン, ヘモリジン, エンテロトキシン, グリセロホスホリピド-コレステロール アシルトランスフェラーゼ (GCAT) あるいはホスホリパーゼその他の酵素の特性が解明されつつある。最近, とくにせっそう病菌では細胞表面タンパク質, リポ多糖, 菌体外細胞溶解毒素およびGCAT, ビブリオ病菌では外膜タンパク質, 菌体外プロテアーゼおよびヘモリジンがその病原性に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。ここではせっそう病菌, ビブリオ病菌およびカラムナリス病菌とそれらの病原因子についての研究の現状を述べた。
著者
岡本 節子 古明地 夕佳 髙田 健人 長瀬 香織 苅部 康子 堤 亮介 谷中 景子 長谷川 未帆子 榎 裕美 大原 里子 加藤 すみ子 田中 和美 遠又 靖丈 小山 秀夫 三浦 公嗣
出版者
一般社団法人 日本健康・栄養システム学会
雑誌
日本健康・栄養システム学会誌 (ISSN:24323438)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.10, 2022 (Released:2022-09-26)
参考文献数
13

目的:令和3 年度介護報酬改定の6 か月後の介護老人福祉施設(特養)及び介護老人保健施設(老健)における栄養ケア・マネジメント(NCM)を担う常勤管理栄養士の業務時間調査から、NCM の課題を整理し、検討することを目的とした。 方法:介護保険施設220 施設の常勤管理栄養士を対象に、3 日間の10 分間ワークサンプリング方式の自記式業務時間調査票を令和3 年9 月に依頼をした。 結果:有効回答は特養34 施設の管理栄養士44 人、老健17 施設の管理栄養士27 人であった。1 施設あたりの平均常勤管理栄養士数は特養1.4 人、老健2.0 人となっていた。特養及び老健常勤管理栄養士の一日一人当たりの業務時間において『NCM に関する業務』が最上位の業務として位置づけられ、『給食に関する業務』は上位の2 割程度であった。 結論:管理栄養士の業務は従来の給食からNCM へと大きく転換していた キーワード:特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、栄養ケア・マネジメント、業務時間調査、給食
著者
高橋 節子 近堂 知子 平尾 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.100-106, 2013 (Released:2013-10-18)
参考文献数
21
被引用文献数
5

生米粉および α化もち米粉の和菓子用米粉7種の特性は,ラピッドビスコアナライザーによる加熱・冷却時の粘度および糊液のテクスチャー測定より求め,ショ糖添加の場合と比較した。また練りきり,ういろう生地の調製法の違いが物性に及ぼす影響についても検討した。その結果,白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉はそれぞれ近似の粘度および糊液のテクスチャーを示した。白玉粉の粘度は上新粉に比べて低いが,最高粘度を示す温度は75℃と上新粉よりも低く,低温で糊化しやすいことを示した。α化もち米粉の上南粉は白玉粉,もち粉に近似のテクスチャーを示し,寒梅粉は粘度が低く,軟らかい糊液であった。練りきりは練りあんにぎゅうひを加えることにより,硬さ,凝集性が大となり成形性を増し,保型性を高める効果を示した。ういろう生地は,熱いうちに混捏したものが,また副材料は小麦澱粉に比べてくず澱粉を使用したものが,破断応力,破断エネルギーはともに大きい値を示し,こしのある生地が得られた。
著者
高橋 節子 北原 久子 貝沼 圭二
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.151-159, 1981-06-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
27
被引用文献数
11 7

調理材料として各種の澱粉を使用する立場から緑豆およびサゴ澱粉の性質について,馬鈴薯およびトウモロコシ澱粉を対照として,顕微鏡観察,アミログラフィー,フォトペーストグラフィー,膨潤度・溶解度,アミロース含量,β-アミラーゼによる分解限度,白度,X線回折,澱粉ゲルの物性測定等の実験を行った.その結果,緑豆澱粉の性質から緑豆澱粉を原料とする豆麺の物性に及ぼす要因を考察した. 最後にX線回折を測定していただきました千葉大学渡邊幸雄博士に心より厚くお礼申しあげます.
著者
秋葉 節夫
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.39-60, 2017-09-14 (Released:2021-12-12)
参考文献数
21

本稿では、山形県酒田市北平田地区における農事組合法人「ファーム北平田」設立までの経緯を明らかにするとともに、同法人の事業内容を明らかにすることで、「集落営農」が東北地方における農業の担い手のあり方のひとつとしての重要性が高まってきていることを明らかにする。同法人の設立の契機には、「品目横断的経営所得安定対策」への対応があったのであるが、同時に、庄内地域においても、近年の米価下落や後継者不足などに対応するために、農業の担い手自らが「地域農業」について考えざるを得ないという状況にあったことが影響している。具体的には、認定農業者などの大中規模層が多く参加する場合の個別経営への配慮から「枝番管理方式」が採用され、他方では、「経営所得安定対策」の提示から実施までの期間が短かったために、体制を充分に整えるところまではいっていないが、いずれにせよ、事例で検討した「集落営農」の形態が必然的に選択されてきているのである。