著者
白石 朝子 安髙 久美子 木村 恵 鍋島 直美 伊藤 誉人 井手 飛香 近藤 貴子 尾崎 彩子 塚田 順一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.65-70, 2022 (Released:2022-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

COVID-19蔓延下の面会制限で入院療養への影響,患者・家族のニーズの把握は重要である.産業医科大学病院 緩和ケアセンターに紹介された担がん患者,家族(以下,患者家族),当該患者のプライマリーナース(以下,PNs.)を対象とし,無記名自記式の質問紙調査を行った.統計解析にはEZRを用い,p<0.05を有意差ありとした.患者31例(男性9例,女性22例,年齢中央値65歳(30~85歳)),患者家族25例,PNs.26例の回答を得た.「面会制限があることで気持ちが落ち込むことがあるか」という質問では患者よりも有意に患者家族への影響が強かった(p<0.05).面会手段に関しては患者と比較して患者家族は直接面会を希望する傾向にあった(p<0.05).面会制限の影響は患者よりも患者家族に大きく,面会制限下では家族ケア・サポートがより重要であると考えられた.
著者
藤若 恵美 進藤 貴子 永田 博
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.351-357, 2010

本研究の目的は,祖父母との親密性と介護経験の両面から孫世代である大学生の介護観を検討すること,そして,孫世代が介護を実際にどの程度担うことができると考えているのかを介助に対する自信によって測定し,介護場面での孫世代の役割について検討することであった.その結果,祖父母との親密性が高い孫世代は,親密性の低い孫世代よりも家族介護意識と社会的介護意識の両方が高く,家族介護にとどまらず,介護を支援する社会資源にも目をむけていた.祖父母との親密性と介護経験の交互作用はいずれの介護意識においても認められなかった.また,孫世代は現時点で間接的な介助を行う自信があることが示され,介護場面において孫世代が重要な存在となり得ることが示唆された.
著者
財津 桂 片木 宗弘 中西 啓子 志摩 典明 鎌田 寛恵 鎌田 徹 西岡 裕 三木 昭宏 辰野 道昭 岩村 樹憲 佐藤 貴子 土橋 均 鈴木 廣一
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.73-90, 2011 (Released:2011-08-12)
参考文献数
31
被引用文献数
4 3

Comprehensive analytical method to identify 11 kinds of synthetic cannabinoids has been investigated by thin layer chromatography (TLC), gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS) and liquid chromatography/tandem mass spectrometry (LC/MS/MS). The analytes used in this study have already been detected from various herbal-type designer drugs: 8 kinds of aminoalkylindoles (AAIs) (JWH-015, JWH-018, JWH-073, JWH-081, JWH-200, JWH-250, JWH-251 and JWH-398), two kinds of cyclohexylphenols (CPs) (CP 47,497 and Cannabicyclohexanol), and a Δ9-tetrahydrocannabinol analog (HU-210).   Although specific color changes were observed for the cannabinoids using Marquis reagent, identification of each analyte based on Rf values was difficult to be obtained by TLC.   On the other hand, GC/MS and LC/MS/MS were appropriate for their qualitative analyses because of their chromatographic and mass spectral differentiation. A semi-polar capillary column DB-5MS showed the best separation and retention properties of the targeted cannabinoids among the tested GC column phases. Also, characteristic fragment ions were observed in each electron ionization-mass spectrum. The observed fragment ions were mainly derived from α-cleavage of ketone and α-cleavage of amine for AAIs, simple cleavage for CPs, and McLafferty rearrangements for HU-210.   Based on the ionization efficiency of the target analytes using LC/MS/MS, electrospray ionization positive mode was selected for AAIs, and negative mode for CPs and HU-210. All analytes were completely separated by gradient elution of ammonium formate aqueous solution-acetonitrile mobile phase on a C18 (ODS) separation column. In addition, characteristic fragment ions were observed in product ion spectra of AAIs and second generation product ion spectra of CPs and HU-210, enabling reliable confirmation.   These results provide useful information not only for simultaneous analyses of the targeted cannabinoids but also for structural assignment of future cannabimimetic compounds that may appear in the illicit drug market.
著者
青木 昭子 佐藤 貴子 五十嵐 俊久
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.615-619, 2003-11-25 (Released:2011-02-24)
参考文献数
8
被引用文献数
5 4

2002年1月から12月に大腿骨頸部骨折のため入院した38人について, 入院後の合併症を検討した. 平均年齢84.5±6.8歳. 女性32例, 男性6人. 27人 (71%) が軽度以上の痴呆を有し, 33人 (86.8%) が何らかの基礎疾患を有した. 基礎疾患の種類は高血圧29人, 脳梗塞/脳出血後遺症7人, うっ血性心不全5人, 糖尿病4人, 胃潰瘍/胃炎3人, 虚血性心疾患4人, 抑うつ/うつ病2人. 3人が大腿骨頸部骨折の既往を有した. 14例 (37%) で入院後合併症の併発がみられた (肺炎9人, めまい, 嘔吐, 心不全急性増悪, 総胆管結石, 消化管出血各1人). 術前に肺炎を合併8人, 術後に合併1人. 肺炎の重症度は軽症2例, 中等症5例, 重症2例で, 重症の2例は死亡となった. 起因菌が同定されたのは2例のみ (肺炎球菌, インフルエンザ桿菌) であった. 肺炎合併群は非合併群に比べ有意に高齢で, 痴呆の程度が重かった. 入院前の日常生活自立度や歩行能力は2群で差がなかったが, 肺炎合併群では骨折後の自立度や歩行能力が骨折前に比べ有意に低下していた. 肺炎合併群では有意に手術までの日数が長く, 手術例のみの比較では, 肺炎合併群の入院日数が有意に長期であった. 大腿骨頸部骨折のため入院した患者の予後を改善するためには, 入院後肺炎の予防が重要と考えた.
著者
山田 久美子 近藤 貴子 飯沼 光生
出版者
名古屋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

子宮内環境は胎児の発達だけでなく、出生後の子の健康障害発症の素因を胎児期に形成し、出生後の健康障害発症に影響を及ぼすことが示唆されている。妊娠期の腸内細菌叢は子へと伝えられ、離乳期には最初の細菌叢が完成すると考えられる。また、咀嚼運動のストレス緩和効果も解明されつつある。本研究では、摂食を開始する離乳期について、ストレス暴露とストレス下で棒を噛ませる咀嚼運動をさせた妊娠マウスから出生した仔マウスについて、肥満やストレスとの関連が示唆されている腸内細菌叢、間葉系幹細胞の脂肪への分化能および肥満関連因子の定量などを行うことにより、ストレスと肥満発症の素因形成および咀嚼運動の影響について検討する。
著者
佐藤 貴子 町田 隆一 大塚 功 原 寛美
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.620-624, 2006 (Released:2006-10-26)
参考文献数
12

急性期脳卒中リハビリテーションでのラクナ梗塞の治療成績について調査した.対象は2004 年1 月から2005 年5 月までに当院へ入院し,リハビリテーション科へ入院あるいは経過で転科し,急性期リハビリテーションを実施した急性期ラクナ梗塞患者51例で,電子カルテより後方視的に調査した.その結果,患者全体の平均在院日数は31.9±15.6日であった.入院時のmotor FIM平均は41.0±18.4 点で退院時のmotor FIMの平均は68.7±19.9 点,motor FIM gainの平均は,27.7±15.3 点で,motor FIM gain/dayは1.3±0.9であった.ADLは,入院時は82%がmodified Rankin Scale(mRS)4以上の症例であったが,退院時はmRS3以下86%の歩行獲得率であった.退院時の転帰は51 例中43 例(84%)が自宅退院,残り8 例が回復期リハ病棟へ転院という結果であった.今回の調査から,ラクナ梗塞では早期にリハビリを処方し離床開始を実施することで約1 カ月の入院期間で歩行獲得および自宅復帰までが十分可能であると推察された.
著者
高橋 彰子 福原 一郎 高木 伸輔 井手 麻衣子 新田 收 根津 敦夫 松田 雅弘 花井 丈夫 山田 里美 入岡 直美 杉山 亮子 長谷川 大和 新井 麻衣子 加藤 貴子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100455, 2013

【はじめに、目的】重症心身障害児者(以下;重身者)は,異常筋緊張など多様で重層した原因で症候性側弯が発症進行する.側弯の進行予防に対して理学療法が施行されるが,それ以外にも日常生活で使用する側弯装具が処方される場合も多い.今までは,ボストン型装具や硬性コルセットなどが広く使用されているが,大きく,通気性も悪く,服が着にくい,また痛みを訴えるなどのデメリットもあった.近年,3点固定を軸に側弯進行を予防し,装着感がよく,通気性なども改善された動的脊柱装具(DSB 通称プレイリーくん)が開発された.開発者の梶浦らは,多様な利点で,重身者の症候性側弯に有効であると述べている.しかし,親の子に対する装具装着の満足度や,理学療法士による効果判定などの関連性や,装具装着による変化に関しての報告は少ない.そこで,動的脊柱装具を処方された重身者の主たる介護者の親と担当理学療法士にアンケート形式で満足度と装具の効果について検討することを目的とした.【方法】対象は当院の外来患者で動的脊柱装具を作成した側弯のある児童または成人17名と,担当理学療法士6名とした.対象患者の平均年齢15.9歳(3~22歳),GMFCS平均4.7(3~5),Cobb角平均82.46(SD31.62)°の側弯を有していた.装具に対する満足度や効果の実感に関するアンケートを主たる介護者の親と担当理学療法士と分けて,アンケートを2通り作成した.親へのアンケートは,装具装着の見た目,着けやすさ,姿勢保持のしやすさ,皮膚トラブル,装着時間,総合的な満足度などの装具使用に関する項目に関して,20項目の質問を紙面上で答えさせた.理学療法士には姿勢変化,治療的効果などの評価の4項目に関して紙面上で記載させた.その他,装具装着前後でのCobb角を算出した.統計処理はSPSS ver20.0を用いて,質問紙に関しては満足度合を従属変数とし,その他の項目を独立変数として重回帰分析を実施し,関連性についてはpearsonの相関を用いた.理学療法士の効果判定に関係する因子の検討では理学療法士の評価を従属変数として,効果に対する要因,Cobb角を独立変数として多重ロジスティック解析を実施した.各質問紙項目内による検討に関してはカイ二乗検定を用いた.また,Cobb角の変化に関しては対応のあるt検定を用いた.危険率は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】全対象者と全対象者の親に対して,事前に本研究の目的と方法を説明し,研究協力の同意を得た.【結果】Cobb角は動的脊柱装具作成装着前後で有意に改善した.動的脊柱装具に関する親の満足度と関連する項目はCobb角の変化ではなく,体に装具があっていると感じている,装具の着けやすさ,装具を装着したときの見た目と関連していた.満足度と装着時間とは正の相関をしており,満足度が高い人ほど装着時間も長かった.理学療法士の評価は満足感と関連していなく,姿勢保持のしやすさ,Cobb角と関連していた.【考察】今回GMFCSレベル4~5のADLで全介助を要し,側弯の進行の危険性が高い方を対象としており,親の関心や理学療法士の治療選択も側弯予防は重要な目標の1つである.重身者の親の満足度は主に子どもの装着に関係する項目と最も関連していた.理学療法士の効果検討としてはCobb角,姿勢保持と関連していた.動的脊柱装具装着の前後で側弯に改善がみられることは,梶浦らの報告とも同様で,この体幹装具が側弯に対して長期的な効果の可能性も示唆された.その装具に関する理学療法士の効果判定はCobb角と関連が強く姿勢の変化を捉えている傾向にあった.親の満足度は最も快適に使用できる項目であり,満足しているほど装着時間が延長することが考えられる.今回のアンケートより,装具に対する親への感想を聴取することで生活状況の確認となり,満足度を高めるように作成することが可能となると示唆された.【理学療法学研究としての意義】重身者にとって側弯は内臓・呼吸器疾患と直接的に結びつきやすく側弯の進行予防は生命予後に関しても重要である.側弯進行予防の理学療法を効果的にするためにも,使いやすい側弯装具は重要な日常生活器機である.新たに開発された動的脊柱装具の満足度と効果についてアンケート調査を行った.親が実際の装具使用を肯定的に感じているほど,装着時間も長く,親の満足度に関連する因子として,装着しての見た目や,子の過ごしやすさも重要な因子であることが今回示唆された.
著者
永瀬 茂 小林 郁 工藤 貴子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 : 化学と工業化学 = Journal of the Chemical Society of Japan : chemistry and industrial chemistry (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.3, pp.177-184, 1994-03-10
参考文献数
40

ゲルマニウムを骨格にもつ芳香族化合物,多面体化合物,ラジカルカチオンの特性をab initio分子軌道計算を用いて理論的に研究した.具体的には,(1)ベンゼンと多環式芳香族化合物のナフタレン,アントラセン,ナフタセンおよびペンタセンの骨格炭素をすべてゲルマニウムで置換したときの構造と電子的特性,(2)ゲルマニウムを骨格にもつテトラヘドラン,[n]プリズマン(n=3-10),ドデカヘドランなどの多面体化合物の歪みエネルギー(3)シクロトリゲルマン,ビシクロ[1.1.0]テトラゲルマン,ペンタゲルマ[1.1.1]プロペランおよびヘテロ原子置換体のイオン化による興味深い構造変化を明らかにした.ゲルマニウム骨格の特性を系統的に明らかにするために,対応する炭素,ケイ素,スズおよび鉛化合物とそのラジカルカチオンの同様な計算結果とも比較した.これらより,ゲルマニウムに特有な興味深い物性と新規な構造をいくつか予測した.
著者
中橋 史衡 田中 周 武藤 友和 吉田 真一 佐藤 貴子 鈴木 敬二 森豊 浩代子 鈴川 活水
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.E-171_1-E-171_1, 2019

<p>【はじめに・目的】</p><p>乾,山口,實はChungらによる被殼出血症例の出血部位を血管支配領域別に分けた6分類を用いて,それぞれ回復期病棟,急性期病棟の独歩獲得率を調査している.しかし,同分類と被殻出血症例に対する装具処方の関連を調査した報告はみられない.今回被殼出血症例における当院退院時の独歩獲得率及び装具処方との関連を各部位間で調査し先行研究との比較検討を行った.</p><p>【方法】</p><p>2011年~2018年の間に入院した被殻出血患者87名を対象とした.男性56名,女性31名,年齢平均58.52(±12.59)歳,損傷側は左側36名,右側51名であった.既往歴に脳血管疾患や整形外科疾患を有する症例は除外した.急性期頭部CT画像と回復期入院 時頭部CT画像(撮影日:発症後平均25±11日)を用いて出血位置を確認しChungらが報告している6タイプ(前方タイプ,中間タイプ,後内側タイプ,後外側タイプ,外側タイプ,大出血タイプ)に分類した.退院時Functional Independent Measure(以下;FIM)移動項目1-5点を独歩不可能群,6-7点を独歩可能群とし,独歩獲得率を求めた.各タイプの割合,年齢平均,独歩獲得率,退院時FIM移動項目およびFIM認知項目の点数,BRS,内包後脚への進展の有無を比較した.統計学的解析はJ-STATを用い,独立した多群の差の検定としてKruskal Wallis検定を行い,多群比較としてscheffe法を行った.有意水準はいずれも p<0.05とした.</p><p>【結果】</p><p>分類別の症例数は前方タイプ3名(3.4%),中間タイプ7名(8.0%),後内側タイプ2名(2.0%),後外側タイプ30名(34.4%),外側タイプ21名(26.4%),大出血タイプ22名(25.2%).各タイプでの年齢・性別の有意差なし.独歩獲得率(装具処方)は前方タイプ100%(処方なし),中間タイプ100%(処方なし),後内側タイプ100%(処方なし),後外側タイプ93.3%(AFO43.3%,KAFO23.3%),外側タイプ90.4%(KAFO9.5%),大出血タイプ54.5%(AFO13.6%,KAFO86.3%,その他9.0%).大出血タイプにて有意に独歩獲得率およびBRSの低下が認められた.内包後脚への進展は後外側タイプ,大出血タイプにおいて有意にみられ,この両タイプ間の比較では大出血タイプに有意な進展を認めた.</p><p>【考察】</p><p>山口によると独歩獲得率は後外側タイプにて50%,大出血タイプにて13.4%と有意に低下しているとされるが当院では大出血タイプのみに有意な低下が認められた.また,当院での独歩獲得率は後外側タイプ93.3%・大出血タイプ54.5%と先行研究に比べ良好であった.当院では発症から回リハ病棟入棟までの入棟期間が短く(平均25±11日),また当院入院後比較的早期の装具処方(平均11.3±18.5日)と起立訓練の実施により積極的な立位・歩行訓練を実施している.実際に大出血タイプ症例の86.3%に早期にKAFOが処方されておりこれらが良好な独歩獲得率に寄与した可能性が示唆される.タイプ別の装具処方数については内包後脚および放線冠への進展がみられやすい後外側タイプ,大出血タイプにおいて多くの装具が処方されたことが考えられる.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言の基準に従い、データは研究以外の目的には使用せず、個人が特定されないよう匿名化した。また当院の規定に基づき個人情報の取り扱いには十分配慮して行った。</p>
著者
忠津 佐和代 梶原 京子 篠原 ひとみ 長尾 憲樹 進藤 貴子 新山 悦子 高谷 知美
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.313-331, 2008

青年期のヘルスプロモーションの視点から,大学生のピアカウンセリング手法による性教育の必要性と教育内容を検討するため,某大学生858人を対象に自記式質問紙調査を行い,以下の結果を得た.性交経験者は,男性では1年生(62.1%)・2年生(77.1%)・3年生(91.1%),女性では1年生(41.5%)・2年生(62.4%)・3年生(70.1%)と学年を上がるごとに増加していた.性に関わる問題の第1の相談相手の割合が最も高いのは「友人(73.1%)」であり,性に関わる意識や行動に最も影響を与える第1のものも「友人(45.5%)」であった.性の問題の相談場所がない者が24.0%いた.大学生のピアに対する期待は,具体的な知識に加え,交際相手とのトラブルへの対応や避妊法の具体的な技術指導,ピアカウンセリングが包含する相談しやすい人や秘密の守られる場の提供であった.最も知りたい内容は,21項目中,「性感染症の知識(47.0%)」で,以下2割以上は「男性と女性の心理や行動の違い(46.3%)」,「エイズ(44.8%)」,「愛とは何か(40.5%)」,「緊急避妊法(39.6%)」,「避妊の方法(35.8%)」,「異性との交際のしかた(34.8%)」,「セックス(性交)(29.3%)」,「自分の体について(27.2%)」,「性の人生の意味(26.1%)」,「性欲の処理のしかた(24.9%)」,「思春期の心理(23.6%)」,「性に関する相談機関(22.0%)」の12項目であった.以上から,青年期にある大学生にもピアによる性教育の潜在的・顕在的ニーズがあること,その教育内容として心理的・性行為付随側面のニーズが高くなっていることが窺える.この時期のQOLを実現するため,新入生の時期からピアカウンセリング講座やピアカウンセリングが展開できる場やサポート環境を整えていくことが求められる.
著者
梅山 秀明 工藤 貴子
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.554-558, 1981-02-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
26

Diborane as a molecular complex was studied by using a double zeta ab initio MO method and energy decomposition analyses. For diborane, a qualitatively major contribution of HOMO-LUMO transfers was reported by Yamabe et al. on the basis of configuration analyses by using a single zeta basis set. However, no quantitative work on the origin on the complex formation has been reported. In this note, we show that the charge transfer energy is the dominant contributor to the complex formation (2BH3→B2H6). The charge transfer energy and the exchange repulsion are analyzed at the molecular orbital (MO) levels.