著者
中堀 祐香 高野 直樹 大江 史晃 齊藤 朋子 萩谷 功一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.409-414, 2018-11-25 (Released:2018-12-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本研究は,ばんえい競走馬における能力検定後馬体重(馬体重)を適切に説明する数学モデルの選択および遺伝率を推定することを目的とした.データは,2007年から2016年までに能力検定に合格した重種馬1,849頭の品種,性別,生産地市町村および馬体重の記録,および27,214個体を含む血縁個体である.測定時月齢は,能力検定合格回次の検定実施月と誕生月の記録から推定した.遺伝分析に用いる数学モデルを決定するため,測定年,性別,測定時月齢および生産地市町村を組み合わせた複数の母数効果モデルを仮定した.赤池の情報量規準,ベイズの情報量規準および決定係数より,遺伝分析には,測定年,性別および月齢を母数効果として含むアニマルモデルを採用した.馬体重の遺伝率推定値は,中程度(0.47)であったことから,遺伝的改良が可能な形質である.
著者
萩谷 功一 安宅 倭 河原 孝吉 後藤 裕作 鈴木 三義 白井 達夫 渥美 正
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.345-351, 2004 (Released:2006-07-26)
参考文献数
17
被引用文献数
8 8

ホルスタイン種における月1回の検定記録から乳期全体の記録を予測する方法について比較検討した.データは,1990年から2002年までに独立行政法人家畜改良センターの4つの牧場で飼養されたホルスタイン種における771個体からの232,337の初産次の乳量における検定日記録である.乳期あたりの乳量は,分直後から分後305日までの乳量(以下,305日乳量)の合計とした.分析では,検定日間隔(Test Interval ; 以下,TI)法,最良予測(Best Prediction ; 以下,BP)法および多形質予測(Multiple Trait Prediction ; 以下,MTP)法からの推定値と真の305日乳量を比較検討した.MTP法における泌乳曲線の説明には,WoodまたはWilminkのモデルを採用した.TI法およびBP法を比較した場合,泌乳初期から中期の検定日記録に対してBP法が優れており,泌乳末期の検定日記録に対してTI法が適していた. MTP法は,Wilminkのモデルを採用した場合に,Woodのモデルを採用した場合よりも乳期全体において推定精度が高かった.Wilminkのモデルを採用したMTP法の推定精度は,泌乳初期から中期にかけてBP法と同程度であり,泌乳末期で他との比較において真の値にもっとも近似した.このことより,Wilminkのモデルを採用したMTP法は,乳期全体を通じて優れた推定法であることが示唆された.
著者
中谷 功治 Koji Nakatani
出版者
関西学院大学史学会
雑誌
関西学院史学 (ISSN:04511263)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-27, 2011-03

1 0 0 0 OA 微粒子の磁性

著者
古林 孝夫 間宮 広明 中谷 功
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.638-644, 1999-08-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
23
被引用文献数
1
著者
田中 きく代 飯田 収治 阿河 雄二郎 中谷 功治 藤井 和夫 関 隆志 横山 良 田中 きく代 赤阪 俊一 大黒 俊二
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、「文化的ポーダーランド」と「マージナリティ」という概念を設定し、集団における周辺部に焦点をあて、そこに存在する人・モノ・ことのあり様に、対抗・抗争する諸社会の間にあって融和し共生しようとする要因を見出そうとするものである。「文化的ボーダーランド」は、国家や民族という文化的背景を異にする集団問に存在する中間的空間で、それら複数の集団の周辺部をも含むものである。そこでは、対立的要因をはらみながらも、様々なレベルでお互いに共鳴し和解しあう要因のネットワークが張り巡らされている。一方の「マージナリティ」は、そうした空間で、越境をしたり、もとの集団に戻ったりするハイブリッドな存在のあり様を示している。本研究では、これら中間領域の中間的存在が、歴史の中の媒介項として、歴史の連続性を生み、またダイナミズムを与えてきたのではないか。中間の存在を注視することで、一元的ではない複層的で多様な人間世界の歴史的なメカニズムを理解できるのではないかという問題意識から、世界史を全体として見通すようなフレームワークを模索した。また、このフレームワークに基づいて、参加者を「西洋古代・中世班」、「ヨーロッパ近代・現代班」、「アメリカ史班」の3つの班に編成したが、それぞれの時代や地域の「文化的ボーダーランド」空間で、特に「マージナリティ」に留意しながら、結びあう諸関係、結び合わせる媒体や媒介項の存在を具体化しようとした。これらの研究を、研究者個人の研究に依存するのではなく、班ごとに随時連絡をとりあい、また全体の研究会に持ち寄ることで、研究構成員の共通認識を作り上げた。そして、これに基づき、総合的観点から、世界史における「文化的ボーダーランド」と「マージナリティ」概念の有用性を再確認した。これらの概念と本研究のフレームワークをさらに洗練することで、従来の一元的な世界史の描き方ではない、エリートから一般の人びとまで、諸段階の様々な集団を射程に入れた研究が可能で、複層的で多様な人間世界を解明しうるのではないか。また、集団における周辺の役割やアイデンティティと構造の関係といった世界史の課題にも応えうるのではないかという展望を持つに至った。
著者
西谷 功
出版者
勉誠出版
雑誌
アジア遊学
巻号頁・発行日
no.132, pp.112-127, 2010-05
著者
浦野 聡 師尾 晶子 太記 祐一 草生 久嗣 中谷 功治 小笠原 弘幸 深津 行徳 益田 朋幸 村田 光司 田中 咲子 松崎 哲也 奈良澤 由美 KORKUT Taner
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

古代から中世にかけての地中海世界における聖域空間と社会の関係の変動を具体的に調査するため、リキア地方(トルコ南西部)のトロス遺跡の司教座聖堂に焦点を定め、発掘調査を行った。この聖堂は、古代の都市の主聖域に建造されており、それ以前の神殿や聖域との関係で重要な知見を得られることが期待されたが、キリスト教の国教化から50年ほど経った五世紀の半ばには完成し、その後、11世紀に至るまで、隣接する旧都市の主神殿クロノス神殿までの空間に教会付属の工房区域が形成され、都市の手工業の中心となったことが明らかにされた。
著者
小笠原 國郎 菅原 勉 谷口 孝彦 廣谷 功 吉田 尚之 高橋 道康
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

生理活性の発現は分子の持つキラリティーに依存する.それゆえ有機化合物の合成に当っては常にキラリティーの制御をも可能にするジアステレオ制御合成方法論の確立が必須である.本研究は基質制御型の合成方法論の立場から効果的なエナンチオかつジアステレオ制御法の確立を目的として行った.すなわち,本質的な立体制御要素を備えたキラル分子を先ず獲得し,この分子の持つ立体化学的ならびに化学的な機能性を反映させて効果的に目的物にエナンチオかつジアステレオ制御下に到達するものである.具体的には分子的に備わったカゴ状構造を持ち,さらに分子内にエノン単位あるいはジエノン単位を顕在的あるいは潜在的に保有する環状キラル分子を設計し,これを化学的不斉導入法あるいは酵素的分割法によって光学的に純粋に獲得しこれを基本合成素子として生理活性天然物の合成を検討した.その結果,シクロペンタジエノン等価キラル合成素子,シクロヘキサジエノン等価キラル合成素子,ジオキサビシクロ[3.2.1]オクテノン型多目的キラル合成素子,ならびにビシクロ[3.2.1]オクテノン型キラル合成素子開発に成功し,これらより多種にわたる生理活性天然物のエナンチオかつジアステレオ制御合成への道を拓いた.代表的例はプロスタグランジン鍵中間体,8組16種のアルドヘキソースの集約的合成,6種のコンドリトール異性体すべて,エストロン,ビタミンD,モルヒネ,カラバル豆アルカロイド,カイニン酸,抗マラリアアルカロイド,フェブリフジンおよびキニーネ,抗菌性シュードモニク酸,等の獲得に成功した.
著者
田中 きく代 阿河 雄二郎 竹中 興慈 横山 良 金澤 周作 佐保 吉一 田和 正孝 山 泰幸 鈴木 七美 中谷 功治 辻本 庸子 濱口 忠大 笠井 俊和
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、海域史の視点から18・19世紀に北大西洋に出現するワールドの構造に、文化的次元から切り込み、そこにみられた諸関係を全体として捉えるものである。海洋だけでなく、海と陸の境界の地域に、海からのまなざしを照射することで、そこに国家的な枠組みを超えた新たな共時性を映し出せるのではないか。また、海洋を渡る様々なネットワークや結節点に、境界域の小さな共同体を結びつけていくことも可能ではないか。このような着想で、共同の研究会を持ち、各々が現地調査に出た。また、最終年度に、新たなアトランティック・ヒストリーの可能性を模索する国際海洋シンポジウム「海洋ネットワークから捉える大西洋海域史」を開催した。なお、田中きく代、関西学院大学出版会、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)研究成果報告書『18・19世紀北大西洋海域における文化空間の解体と再生-「境界域」の視点から-』を、報告書として刊行している。
著者
松岡 俊英 南 佐和子 尾谷 功 八木 重孝 矢田 千枝 帽子 英二 谷本 敏 梅咲 直彦
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.7-10, 2010

副角(Rudimentary uterine horn)は子宮奇形のなかでも最もまれな奇形とされる.副角妊娠はこの副角に妊娠したものであり,総妊娠数の0.0037~0.0082,総子宮外妊娠の0.24~0.6%にみられると報告されている.破裂時には大出血を起こし子宮摘出が必要となることもある.今回われわれは破裂前に診断し治療し得た副角妊娠の1例を経験したので報告する.症例は23歳の初産婦で無月経を主訴に前医を受診した.妊娠12週5日の健診の際に双角子宮あるいは子宮外妊娠の疑いにて当院に紹介となった.初診時に子宮体部は手拳大で圧痛はなくやや左側に傾いていた.経腟超音波検査では下腹部右斜位断像で肥厚した内膜を有する子宮体部を認めた.また左斜位断像にてCRL59.6mm(12週4日相当),心拍動のある胎児を含む腫瘤を認めた.子宮内腔と子宮内膜との連続性はなく,また腫瘤壁は子宮筋層とほぼ同様の輝度であり,腫瘤壁の厚さは約1.37cmであった.ダグラス窩には液体貯留は認めなかった.同日,子宮外妊娠疑いにて入院となった.妊娠13週4日にMRIを施行し,主角腔の子宮内膜とは完全に独立し連続していない副角腔内に胎児を認めた.以上より副角妊娠と診断し妊娠13週5日に開腹手術を施行した.左側子宮底部に破裂寸前の8cm大に腫大した副角を認め,表面から漏出するような出血を認めた.副角に切開を加え,胎児,胎盤を除去した後,副角を切除し創部を2層縫合し手術を終了した.術中に副角と主角の子宮内腔とに交通はみられなかった.〔産婦の進歩62(1):7-10,2010(平成22年2月)〕
著者
坂本 公也 永田 真 保谷 功 井上 憲一 木内 英則 坂本 芳雄 山本 恵一郎 土肥 豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.840-845, 1993

十分量のステロイドを含む薬物療法によっても鎮静し得ず, therapeutic awakeningを試みることにより改善が得られた気管支喘息の1例を経験したので報告する。症例は33歳の女性で17歳発症の気管支喘息である。重積発作のため近医へ入院したが, 症状の改善が得られず当科へ転送となった。種々の治療により喘息症状の軽快が得られ, 順調に経過していたが, 再度早朝から始まる喘息発作が頻発するようになった。就寝前の気管支拡張剤およびプレドニゾロンの十分量の投与等を行ったが, 喘息発作の改善は得られなかった。therapeutic awakening, すなわち患者を午前3時に治療的に静かに覚醒させサルブタモール2.5mgの吸入投与を行ったところ, 自覚症状および理学的所見の速やかかつ著明な改善が得られた。治療抵抗性のmorning dippingに対して, therapeutic awakeningは試みる価値のある治療手段の1つであると考えられた。
著者
渋谷 功 山田 豊一 広田 秀憲 伊東 睦泰
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.259-269, 1979-01-31

1.本研究は,牧草群落における競争をある特定期間に限定するのではなく比較的長期にわたり年数回の剪葉を繰り返えしながら経時的にとらえることにより,群落構造変動のしくみとそれに果す競争の役割を解明しようと企画された。そのため,まずprimary canopyでの競争の初発とその自律的発現因子との関係をイタリアンライグラスを用いた5実験により調べ,ここに第1報とした。2.自律的誘発因子として種子の大小を取りあげた。大粒種子は小粒種子にくらべ胚乳のみでなく胚(幼芽,幼根)についても大きく,また離乳期間内の生長もよく,そのため出芽幼植物の生長にも勝った。出芽率は初めの1週間では小粒種子よりも大粒種子で明らかに高かったが,3週間にはその差は消えた。3.以上の結果をふまえて,大粒種子幼植物と小粒種子幼植物,あるいは早播幼植物と晩播幼植物をそれぞれ単播および混播したところ,LAIがおよそ1前後に達した頃より競争効果がみられ,小粒種子植物は大粒種子植物により,また晩播植物は早播植物により増数的形質について生長が抑圧された。早播植物は競争の結果,単播区の生長より勝ったが,大粒種子植物の場合そのような正の競争効果は明らかでなかった。4.本実験結果に既往の諸報告を加味して考えると,新播牧草のPrimary canopyにおいては,種間,種内を問わず,まず種子の大小や出芽の遅速により自律的に競争が生起するのは明らかである。