著者
佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.144-150, 2010-04-01
被引用文献数
1

機関リポジトリ(IR)とオープンアクセス(OA)雑誌はBudapest Open Access Initiative(BOAI)を背景に普及してきた。本稿では両者の現状をBOAIの理念と持続可能性の観点から検討する。現在のIRとOA雑誌は, BOAIが挙げる3つの障壁のうち法の壁や技術の壁への対応に問題がある。持続可能性については継続的なコンテンツ収集のために,IRでは研究活動の中に埋め込まれること,OA雑誌では質を維持しながら多くの論文を掲載することが重要となる。また,BOAIは「研究の加速」などをOAの実現の目的としているが,IRとOA雑誌にはこれを損なう危険性もある。
著者
安蒜 孝政 市村 光広 佐藤 翔 寺井 仁 松村 敦 宇陀 則彦 逸村 裕
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
2010年日本図書館情報学会春季研究集会発表要綱
巻号頁・発行日
pp.87-90, 2010-05
被引用文献数
4

本研究の目的は電子情報環境下で育った世代に見られる情報探索行動の特徴を明らかにすることである。そのため、学生と図書館員を対象に課題実験を行い視線データ、パソコン操作ログなどを収集して両者の情報探索行動を比較した。実験結果から、学生と図書館員を比較すると学生はWikipedia を起点としたWeb 閲覧をおこなうこと、書架に出た際には視線を向ける場所が定まっていないこと、図書の選定時には請求記号ではなくタイトルを見ていること等が示された。2010年日本図書館情報学会春季研究集会 京都 2010年5月29日
著者
大森 悠生 池内 有為 逸村 裕 林 和弘
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.68-76, 2023-10-06 (Released:2023-10-06)
参考文献数
15

研究者が初めてオープンアクセス(OA)を実現する要因,及び OA に対する認識の経年的な変化を明らかにするために,2016 年から 2022 年にかけて隔年で実施された NISTEP の質問紙調査の回答を二次分析した.結果,研究者が初めて OA を実現する主な要因は,投稿した雑誌や所属機関のポリシーなどの外的な要因であった.OA を妨げる要因のうち,資金不足解消が OA の実現につながっていること,投稿したい雑誌や所属機関が OA ポリシーを策定することによって OA が推進される可能性が示唆された.また,研究者は外的な要因を契機として OA を実現した後,徐々に OA に貢献したい,といった内的な要因が醸成される傾向がみられた.
著者
逸村 裕
巻号頁・発行日
2013-08

第74回私立大学図書館協会総会・研究大会. 2013年8月29日(木)~30日(金)中京大学名古屋キャンパス
著者
大原 司 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報メディア学会
雑誌
第13回情報メディア学会研究大会発表資料
巻号頁・発行日
2014-06

国内心理学分野におけるオープンアクセスの実態と進展状況を明らかにするため、『筑波大学心理学研究』掲載論文が引用する和雑誌掲載もしくは日本語の論文を対象にWebにおける公開状態調査を行った。結果から、心理学分野におけるオープンアクセスの論文の割合の経年的な増加と、引用時点でオープンアクセスではなかった論文の遡及的なオープンアクセス化が明らかとなった。
著者
逸村 裕 安井 裕美子 ITSUMURA Hiroshi YASUI Yumiko
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.131-144, 2006-03 (Released:2012-06-22)

近年、大学に対する評価活動が活発になっている。その評価活動の一部に研究評価がある。特に大学院重点化政策において、研究指標をどう定めるかが課題となった。このために用いられる指標としてインパクトファクター(Impact factor)が誤用される例が散見されるようになった。インパクトファクターは1970年代にユージン・ガーフィールドが学術雑誌の評価のために考え出した引用数と掲載論文数から算出される学術雑誌に関する指標である。本稿では学術情報流通と引用、引用文献分析とインパクトファクターの特性について述べ、さらに主要学術雑誌のインパクトファクターの経年変化調査のデータを示し、その数値がいくつかの要因により、少なからず変動することについて考察を行う。まとめとして、インパクトファクターは、同一分野内における学術雑誌の位置づけを検討する際の指標とはなるが、組織、個人の研究評価に利用することはできないことについて述べた。 Currently, there is a great deal of academic evaluation activity and evaluation in Japanese universities. “Impact Factor” came to be misused as one of the evaluation measurements. Originally, Eugene Garfield invented Impact Factor as a type of measurement that reflects the average number of citations per article for each scholarly journal. In some cases, Impact Factors have proved so attractive to many evaluators and researchers that they started applying Impact Factor not only to journal evaluation but also to research activities and researchers. This issue is complicated by the fact that, some journals require that papers be topical and current so researchers are shifting the questions they investigate to accommodate journals with a high-impact factor. In this paper, described the characteristics and history of citation, citation analysis and Impact Factor. We conclude that Impact Factor shows the rank of the scholarly journal in the same field. However, Impact Factor does not describe the research evaluation of the organization and the researcher.
著者
種市 淳子 Taneichi Junko 逸村 裕 Itsumura Hiroshi
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and Information Science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-23, 2006 (Released:2005-09-28)

The World Wide Web (WWW) has had an unprecedented impact on the creation and utilization of information. As the amount of information continues to increase, it has become more difficult to select trustworthy information on the Web. This paper aims to analyze information seeking behaviors on the Web and examines the information evaluation process based on experimental research on two-year college students. The study also aims to make use of its results to enhance information users’ education in libraries in the future. First, the paper reviews previous related studies, examining studies on Web searching tendencies and those on the evaluation of Web resources in accordance with their methodologies, and pointing out the simplicity of Web searching patterns and factors that influence information evaluation. Then, in order to validate these previous studies, we examine two-year college students’ searching processes using search engines and the OPAC (Online Public Access Catalogue) by implementing the observational method and protocol analysis. In our examination, we divide the students into two groups, one that has been using the Internet for over five years and the other for under two years, and we analyze their searching behaviors. Moreover, in order to make a comparison, we also use the result of the same research on university students. We find that, 1) Web searching is a repeated behavior, repeating a simple pattern regularly. In evaluating search results, the students quickly filter out unnecessary information. 2) Experience of using search engines affects information seeking and its evaluation behaviors, which is more distinctive in students with long experience of the Internet. 3) Students have a tendency to evaluate Web resources based on visual and experimental factors, but lack skills in evaluating contents quality. 4) We find the same tendencies in university students. In conclusion, integrating all these findings, we construct a process model of information evaluation in Web searching.
著者
Sato Sho Nagai Yuko Koga Takashi Sugita Shigeki Saito Mika Itsumura Hiroshi 佐藤 翔 斎藤 未夏 逸村 裕
出版者
De Gruyter Saur
雑誌
Open Access to Scientific Information: Trends, Models and Strategies for Libraries
巻号頁・発行日
vol.IFLA publications ; 153, pp.157-166, 2011-07
被引用文献数
2

To evaluate how the deposition of journal articles in Institutional Repositories(IRs) affects the number of citations and e-journal usage, we placed some articlespublished in Zoological Science in two IRs, and compared their use in IRswith e-journals, as well as with the number of resulting citations between 2008and 2009. The results reveal that deposit in IRs did not reduce e-journal usage.Moreover, whereas the journals gained new readers, this did not have an effecton the number of citations.
著者
佐藤 翔 永井 裕子 古賀 崇 三隅 健一 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.383-402, 2011-09-27
被引用文献数
1 2

本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.
著者
佐藤 翔 逸村 裕
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
三田図書館・情報学会研究大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009年度, pp.9-12, 2009-09-26

大学・研究機関による機関リポジトリの設置とコンテンツの整備が進むにつれ、リポジトリに収録されたコンテンツの利用状況に注目が集まっている。中でも「誰がコンテンツを使っているのか」(アクセス元)、「どこから機関リポジトリにアクセスしているのか」(アクセス方法)、「どのようなコンテンツが利用を集めるのか」(コンテンツ属性)の3点はリポジトリ運用の参考になるとともに機関リポジトリが果たしている役割を考える上でも重要である。このうちアクセス方法についてOrganは外部サイトからのアクセスの96%がGoogleからであったとしており1)、また利用の多いコンテンツについてRoysterはNebraska-Lincoln大学リポジトリのアクセス上位論文の多くがリポジトリ以外で公開されていないコンテンツであったとしている2)。しかしこれらの調査はリポジトリソフトウェア上の単純な統計やランキングに基づいており、詳細な分析は行っていない。利用の詳細を見た研究としてはBonilla-CareloによるStrathclyde大学リポジトリの利用分析があり、利用数とアクセス元の国の数の間に相関があること等が示されているが3)、分析対象は物理学分野の文献に限られておりコンテンツ属性の分析は十分には行われていない。そこで本研究では機関リポジトリ収録コンテンツの利用数とアクセス元(ユーザドメイン)、アクセス方法、コンテンツの属性(文献タイプ、記述言語、出版年等)の関係を明らかにすることを目的に、4つの機関リポジトリのアクセスログ分析を行った。また、分析結果から合わせて利用数に影響するその他の要因についても明らかにすることを試みる。
著者
佐藤 翔 冨本 壽子 逸村 裕
出版者
「図書館情報メディア研究」編集委員会
雑誌
図書館情報メディア研究 (ISSN:13487884)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.53-65, 2009-10

大学・研究機関において機関リポジトリの設置が普及するにつれ、リポジトリで公開したコンテンツの利用状況、中でもどのような特徴を持つコンテンツがよく使われるのかに注目が集まっている。本研究では論文の特徴の一つとして被引用数に着目し、機関リポジトリに収録された文献における被引用数とダウンロード数の関係を分析、被引用数からよくダウンロードされる論文を推測することが出来るかどうかを検討する。分析対象は北海道大学(HUSCAP)、京都大学(KURENAI)、筑波大学(Tulips-R)の3つの機関リポジトリに収録された雑誌掲載論文のうち、Web of Scienceにも収録されている論文である。各論文の被引用数と2008年中のダウンロード数をそれぞれ集計し、相関関係の有無を分析した。また、出版年や分野ごとの引用慣行による影響を排除するため、出版年別および物理学分野の論文に限定した場合についても分析を行った。分析の結果、被引用数とダウンロード数の間には相関はなく、被引用数の多寡からは機関リポジトリ収録後によくダウンロードされる論文を推測出来ないことがわかった。
著者
土屋 俊 竹内 比呂也 佐藤 義則 逸村 裕
出版者
国立情報学研究所
雑誌
Progress in informatics : PI (ISSN:13498614)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-49, 2007-03

本論文は,NACSIS-ILL と名付けられた図書館間相互貸借(ILL) リクエストメッセージ送付システムによって1990 年代半ばから実現されてきた大学間の図書館協力サービスに関する基本的事実を記述するものである。この研究は,NACSIS-ILL によって記録された1994 年から2005 年までのデータに基づいている。本研究の主要な調査結果として,以下の諸点を挙げることができる。すなわち,1) 日本の大学におけるILL においては「外国雑誌」に掲載された論文のコピーに対する要求が1990 年代にはきわめて支配的であるという点が特徴的であること,2)皮肉にも,特に看護学分野の雑誌に顕著に見られるように「国内雑誌」に掲載された論文に対する要求の増加が,2002 年に始まったコンソーシアム体制下のサイトライセンスによってオンラインで利用可能になった「外国雑誌」掲載論文に対する要求の減少を埋め合わせるかのように顕著になったこと,3)図書に対する現物貸借の要求は,それが要求全体に占める割合は小さいとはいえ,NACSIS-CAT という総合目録データベースの成長に従って増加してきたこと,4) 充足率は現物課貸出,複写提供のいずれにおいても安定的に高く,ターンアラウンドタイムの平均も概ね1週間以内であり,システムはきわめて効率的であるということ,5) システム本来の目的は相互に受益者となるような協力システムの構築にあったが,実際には主に要求するだけの図書館と供給するだけの図書館が存在しており,これは部分的には1970 年代に指定された「分野別外国雑誌センター」館に起因するものであること,6) いくつかの中小規模の図書館が近年供給を始めておりこれが顕著な動きを示していることである。
著者
松本 紳 逸村 裕 歳森 敦
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.9-14, 2011-03-31 (Released:2017-11-01)

2007年度より改組され新たなスタートを切った筑波大学情報学群知識情報・図書館学類について記した。知識科学,情報経営・図書館,知識情報システムの三主専攻からなる学類の使命,教育理念,輩出すべき人材,そして1年次からのカリキュラム構成とその特色,就職先/進路について述べた。また学類と附属図書館とが協同で設置したラーニングコモンズとそこから派生した「図書館情報学若手の会(ALIS:Around Library and Information Science)」の活動について記述した。学類は発足して4年目であり,今後,評価活動を通じてカリキュラムの見直し,改定すべき所を検証していくところである。
著者
Itsumura Hiroshi 大原 司 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報メディア学会
雑誌
第13回情報メディア学会研究大会発表資料
巻号頁・発行日
2014-06

国内心理学分野におけるオープンアクセスの実態と進展状況を明らかにするため、『筑波大学心理学研究』掲載論文が引用する和雑誌掲載もしくは日本語の論文を対象にWebにおける公開状態調査を行った。結果から、心理学分野におけるオープンアクセスの論文の割合の経年的な増加と、引用時点でオープンアクセスではなかった論文の遡及的なオープンアクセス化が明らかとなった。
著者
水嶋 英治 吉田 右子 宇陀 則彦 白井 哲哉 逸村 裕 大庭 一郎 阪口 哲男 原 淳之 平久江 祐司 松村 敦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究はアーカイブ技術を導入し「21世紀図書館情報専門職養成研究基盤アーカイブ」を構築するとともに日本の図書館専門職養成史を再検討することを目的とする。筑波大学図書館情報メディア系の前身組織関係資料の解明に向け、図書館情報専門職教育関係史料に関して包括的研究を実施した。本研究で遂行した研究課題は(1)文献資料・実物資料の精査と電子化のための選別・整理および文献資料補足のための聞き取り調査(2)現物資料の整理・展示および組織化、文献資料の部分的電子化、多言語インタフェース設計(3)図書館職養成史に関わる現物資料群の同定とアーカイブ活用可能性の検討(4)図書館情報学教育史の批判的再検討である。
著者
岡部 晋典 逸村 裕
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.122-127, 2016

本稿では,学生への倫理教育と研究者の倫理について述べる。前半では学生への倫理教育のなかで,しばしば問題視されるコピペレポートを取り上げる。具体的には大学の初年次教育が必要になった背景に触れ,コピペレポートに対する方策や機械的な抑止力等について述べる。後半では,研究者の研究倫理,研究ガバナンスについて述べる。近年の研究者を取り巻く状況や,それに関連するさまざまな不正が指摘されている。これらにまつわる事例として,オープンアクセスジャーナルや査読にまつわる問題等とその対応を取り上げる。最後に,不正を起こさせないガバナンスの必要性について述べる。