著者
佐藤 好紀 野田 英行 杉村 武昭 長崎 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.374-383, 2011-01-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年,画像認識においてU-SURFのようなスケール不変特徴量抽出アルゴリズムが多く用いられている,U-SURFは,画像認識アプリケーションにとっては非常に有効であるが,実行には画像中に散在する多くの局所領域に対する処理が必要となり,超並列処理時において,処理並列度を高めることは困難である.そこで本研究では,U-SURFの組込み超並列処理プロセッサに対する最適な並列実装手法を提案した.U-SURFの局所特徴量抽出処理を積分画像をベースとして並列化することで,効率的な並列処理アルゴリズムを実現した.提案手法の導入により,MXコア併用時の局所特徴量抽出処理の実行時間は約1710msから約234msへ短縮し,約7.3倍の高速化を実現した.また,汎用RISCプロセッサのみ使用時とMXコア併用時のU-SURF,及びベクトルマッチングの実行時間は,40271msから991msへ短縮し,約40.6倍の高速化を実現した.評価結果より,組込み超並列処理プロセッサを使用したシステムにおける,提案手法の有効性を示した.
著者
新見 道治 野田 秀樹 河口 英二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.608, pp.13-18, 2000-02-03

濃淡画像に対する準可逆画像圧縮法を提案する.本手法は, ビットプレーン分解して得られる二値画像を可逆圧縮する方法をベースにしている.この場合, 雑音パターンが画像上に出現すると圧縮率が上がらない.そこで, 雑音パターンを規則的なパターンで置き換えることで圧縮率の向上を狙う.雑音パターンか否かは雑音度なる尺度をもとに判定する.雑音領域と判断された領域は市松模様と置き換える.上位ビットプレーンの雑音パターンの情報のみ保存し, 下位ビットプレーンの雑音パターンは復号化時に擬似乱数で近似する.この近似により再生画像に歪みが生じることになる.実験では, 高PSNRにおいては本手法が有効であることを確認した.
著者
野田 尚史
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.105, pp.32-53, 1994-03-15 (Released:2007-10-23)
参考文献数
26

This paper sets out to analyze various types of thematized or topicalized sentences in Japanese and Spanish under a single procedure of ″thematization ″. Sentences analyzed include so-called double-subject sentences and pseudo-cleft sentences in Japanese and left-dislocated sentences, cleft sentences, and pseudo-cleft sentences in Spanish.Thematization is the procedure whereby a copy of the constituent designated as the theme is attached to the head of the proposition, and the original constituent in the proposition is then pronominalized. For example, double-subject sentence (1) is derived by thematization from the proposition (2), in which the head noun zisyo modified by an adjective is designated as the theme.(1) Zisyo wa atarasii no ga ii.(2) atarasii zisyo ga ii [theme: zisyo]Differences in the procedure of thematization in Japanese and Spanish are:1) In Japanese the theme-marker wa is attached to the theme; inSpanish nothing is attached.2) In Japanese the theme of a sentence may be an argument of the predicate, a genitive noun, or a head noun modified by an adjectiver genitive noun; in Spanish only an argument of the, predicate may be thematized.3) In Japanese the pronominalized constituent generally becomes null; in Spanish it becomes a clitic pronoun.
著者
毛利 彰宏 野田 幸裕 鍋島 俊隆
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.141-146, 2007 (Released:2007-08-10)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

水探索試験は,絶水していないマウスを一度だけ給水ビンのある環境に暴露した時,その中にある給水ビンのノズルの位置について覚えているかどうかを指標にする学習・記憶試験である.ノズルの位置に対する記憶は自由な探索行動の中で水に対する強化効果なしに獲得されるため,動物の潜在的な学習能力(潜在学習)を反映すると考えられている.グルタミン酸機能低下仮説に基づいた統合失調症様モデル動物[N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体拮抗薬のフェンシクリジン(PCP)を急性あるいは連続投与した動物およびNMDA受容体サブユニット遺伝子欠損マウス]は潜在学習障害を示すため,潜在学習にはNMDA受容体が関与していると考えられる.特にPCP連続投与マウスでは前頭皮質ドパミン作動性神経系の機能低下が認められ,ドパミンD1受容体を介するNMDA受容体機能の低下が潜在学習障害の発現に関与していることが示唆されている.ノルアドレナリン作動性神経機能を低下させたマウスやドパミンおよびノルアドレナリンの合成能が低下しているチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子変異マウスにおいても潜在学習障害は認められる.一方,ドパミン作動薬によっても潜在学習は障害される.この障害はドパミン作動性神経機能の亢進によっておりドパミンD2受容体を介したものであると示唆されている.このような潜在学習障害は頭部外傷モデル動物において認められる.受容体以降の細胞内情報伝達系の潜在学習における役割についてはカルシウムシグナルのセカンドメッセンジャーであるCa2+/calmodulin kinaseII(CaMKII),その下流のcyclic AMP response element binding protein(CREB)が関与していることが,特異的阻害薬や遺伝子変異マウスを用いた研究において報告されている.これらシグナル伝達に対して抑制作用をもつノシセプチンは潜在学習を障害する.このように潜在学習は多くの神経系の相互作用により細胞内情報伝達が変化し,形成されるものと考えられている.
著者
安井 浩樹 網岡 克雄 青松 棟吉 阿部 恵子 平川 仁尚 倉田 洋子 野田 雄二 植村 和正
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.289-293, 2011-10-25 (Released:2013-03-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

1)地域の医療・介護現場における医師,薬剤師,看護師,介護士などの多職種連携推進を考えるワークショップを行った.2)「地域における多職種連携に必要なものとは?」,「地域における多職種連携を妨げている要因とは?」,「地域における多職種連携を妨げている要因への対策」についてディスカッションを行った.3)重要な課題として,コミュニケーション,情報共有,リーダーシップ,その他が抽出され,その他には,医療・介護の制度面の改善の他,多職種連携の意義の明確と共有が挙げられた.
著者
星野 由紀子 河本 献太 野田 邦昭 佐部 浩太郎
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.77-88, 2011 (Released:2011-02-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Continual and autonomous learning are key features for a developmental agent in open-ended environments. This paper presents a mechanism of self-regulated learning to realize them. Considering the fact that learning progresses only when the learner is exposed to appropriate level of uncertainty, we propose that an agent's learning process be guided by the following two metacognitive strategies throughout its development: (a) Switch of behavioral strategies to regulate the level of expected uncertainty, and (b) Switch of learning strategies in accordance with the current subjective uncertainty. With this mechanism, we demonstrate efficient and stable online learning of a maze where only local perception is provided: the agent autonomously explores an environment of significant-scale, and self-develops an internal model that properly describes the hidden structure behind its experience.
著者
野田 幹雄 田原 実 片山 貴之 片山 敬一 柿元 晧
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.37-46, 2002-03-25
被引用文献数
10

1996年2月から2年間にわたり瀬戸内海中部水域の4地点に設置された4種類の付着基質の餌料培養効果が比較された。使用した付着基質は、マガキ殻、アコヤガイ殻、砕石のいずれかを集積した塊をポリエチレンメッシュ(目合20×25mm)で覆い、直径15cm、長さ30cmのパイプ状にしたものと同サイズの円柱状コンクリートである。メッシュパイプの基質は、内部に多くの空隙をもつ点に特徴があった。24ヵ月浸漬後の付着動物相の比較では、どの基質もフジツボ類とホヤ類が優占したが、コンクリート区に比べ内部空隙のある基質では十脚類と軟体動物(腹足類と二枚貝類のみ)が着生量および出現種ともに増加した。付着動物量の経月変化の比較でも、内部空隙のある基質で付着動物と餌料動物の着生量は高い状態で推移し有意差が認められた。この傾向は特に十脚類で明瞭であった。このような付着動物相の相違は、基質構造の相違に由来することが示唆された。
著者
野口 正典 松岡 啓 野田 進士 江藤 耕作
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.1154-1160, 1984-07-20
被引用文献数
3

陰嚢奇形そのものは少なく、また、その中でも会陰部副陰嚢と呼ばれる陰嚢奇形は非常に稀である。われわれは、不完全型陰茎前位陰嚢を合併した会陰部副陰嚢の1例を経験したので、報告する。症例は、3歳の男児で身長96.4cm、体重16.6kg、栄養状態良好、正常な発育を呈しており、1983年2月14日、外性器の異常を訴え当科へ入院した。会陰部左側に陰嚢様の腫瘤を認めた。縫線は陰茎、陰嚢では正常な位置に認め、会陰部腫瘤の右側を囲むような走行であった。両側の睾丸は腫瘤前方のそれぞれの陰嚢内に認めた。また、不完全型陰茎前位陰嚢の合併も認められた。染色体検査、排泄性腎孟造影、尿道膀胱造影などを含めた臨床検査所見に異常所見は認められなかった。1983年2月25日、Glenn-Andersonの方法に準じた陰嚢形成術、ならびに会陰部副陰嚢切除術を施行した。病理組織学的に、摘出物は正常陰嚢皮膚と診断された。術後経過良好で満足すべき結果が得られた。会陰部副陰嚢に関して、現在までに報告された7例を集計し、若干の文献的考察を加えた。会陰部正中線上の副陰嚢は陰唇陰嚢ひだの三重発生の結果であり、また会陰部左側の副陰嚢は陰唇陰嚢ひだの二重分割後の異常移動によるものと想像した。
著者
野田 由佳里 水野 尚美 荒川 あつ子
出版者
愛知文教女子短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13405225)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.79-86, 2009-03

The Preceptor system on the nursing site doesn's establish compared with the nursing education, and have the reality of which the work that original Preceptor bears doesn's consist. Because the participant's consideration investigation of the Preceptor training association is done, and the ideal way of Preceptor in the future was examined, it reports.
著者
小野田 奈穂
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.211-219, 2008-03-10 (Released:2009-11-06)

The purpose of this study was to investigate "the personal-self" for women raising their children. 12 participants were interviewed, and date was analyzed using the KJ method. The main results were as follows. First, "the personal-self was classified into four types : (1)participation to society, (2)physical time, (3)psychological time, (4)interpersonal relationship. Second, it was suggested that the level of stress of "the personal-self" influence the level of stress resulting from child care.
著者
野田 勉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.898-904, 1993-06-20

第2世代EDTVの高音質化として, 映像搬送波を直交変調して多重伝送するディジタル音声信号伝送システムの検討を進めている.この方式では, 現行テレビ放送との両立性のために, 多重信号の低域成分を抑圧したディジタル符号化が必要である.ディジタル符号化として, ダイコード符号などのパーシャルレスポンス符号を対象に, 現行テレビ放送受信機への妨害を定量評価し, ダイコード符号が優れていることを確認した.一方, 直交多重受信機の帯域が充分でない場合の多重信号の再生を考えると, パーシャルレスポンス符号のクラス4が有利である.本文では, 両者の優位さを兼ね備えた方式として, 送信符号をダイコード符号とし, 直交多重受信機で1+D処理してパーシャルレスポンス符号のクラス4に変換して復号する方式を考案し, その改善効果をシミュレーションにより確認している.
著者
井谷 嘉男 野田 恒夫 伊藤 公彦 安達 進 東條 俊二 新谷 雅史 大西 泰彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1099-1106, 1997-12-01

乳癌術後 tamoxifen (TAM) 内服による内性器および血中性ホルモンへの影響を検討した. (1) TAM 内服73例(TAM 群)の婦人科受診理由を調査したところ, 月経異常, 性器出血, 帯下増量感など TAM との関連を疑わせた症例は33%(24/73)であった. (2) TAM 群73例と基礎疾患がなく TAM 群と年齢分布に差を認めない非内服例68例(対照群)で, 子宮膣部上皮細胞の成熟度を成熟指数(MI)および核濃縮指数(KPI)にて比較した. 閉経前では差は認めなかったが, 閉経後では TAM 群で有意に中層細胞は減少(p=0.002), 表層細胞は増加しており(p < 0.0001), KPI も上昇していた(p < 0.0001) (unpaired t test). (3) TAM 群閉経前12例と閉経後25例で血中 LH 値, FSH 値, エストラジオール(E_2)値, プロゲステロン(P)値を測定した. 閉経前では一定の傾向はみられなかった. 閉経後ではE_2値は閉経後正常範囲内に分布し, LH 値は48%(12/25)で, FSH 値では52%(13/25)で閉経期正常値の範囲に達せず低値であった. (4) TAM 群において上記各ホルモン値と MI, KPI間に相関は認めなかった(スピアマンの検定). (5) 閉経後 TAM 内服例において子宮内膜の増殖性病変を57%(12/21)に認めた. うち3例に子宮内膜癌が存在した. 以上より, TAM はエストロゲン(E)様効果を発現することがあり, その機序は TAM の内性器への直接作用と考えられた. 特に閉経後では TAM の E 様効果が顕在化, 持続しやすく, 子宮内膜増殖病変の危険因子となり得る. TAM 内服者の管理は, 子宮膣部上皮細胞の成熟度を算定し, TAM の内性器への影響を評価することが重要である. 子宮膣部上皮細胞の成熟度が上昇した閉経後の TAM 内服例では, 内膜細胞診と共に経膣超音波断層法などによる子宮内膜の肥厚の評価や, 内膜組織診による内膜病変のより正確な把握が必要である.