著者
小金井 一隆 木村 英明 杉田 昭 荒井 勝彦 福島 恒男 嶋田 紘
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.103, no.12, pp.1355-1360, 2006 (Released:2006-12-06)
参考文献数
20
被引用文献数
2

潰瘍性大腸炎に直腸(肛門)膣瘻を合併した5例の治療成績を検討した.全例が発症後5年以上経過した全大腸炎型,再燃緩解型で,4例に肛門周囲膿瘍,下部直腸狭窄などの病変があった.難治またはdysplasiaのため4例に大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合術を行い,1例は保存的治療中である.瘻孔を含めて直腸を切除した1例と瘻孔部を残し肛門膣中隔を筋皮弁で再建した1例は膣瘻が完全に閉鎖し,瘻孔部を切除した1例は少量の分泌物を認めるのみで,著明に改善した.潰瘍性大腸炎に合併する直腸膣瘻は下部直腸,肛門に長期間強い炎症がある例に発症し,根治には大腸全摘術,回腸嚢肛門管あるいは肛門吻合術が必要と思われた.
著者
千葉 康平 金子 賢人 出雲 雄大 山下 智幸 林 宗博 田中 清和
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.627-633, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
34

〔目的〕重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する腹臥位療法実施前後の呼吸機能を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕2020年3月~2021年11月に日本赤十字社医療センターで人工呼吸器管理を行ったCOVID-19患者24例を対象とした.対象群における腹臥位療法実施前後での呼吸機能を比較検討した.呼吸機能の指標には,血液データからP/F比と人工呼吸器のグラフィックモニターからPpeak,PEEP,⊿P,Cstatを用いた.〔結果〕腹臥位療法実施後,P/F比とCstatは有意に増加していた.腹臥位療法実施後,PpeakとPEEP,⊿Pは減少していたが有意差はなかった.〔結語〕重症COVID-19患者に対する腹臥位療法実施は,呼吸状態改善に寄与することが示唆された.
著者
金子 賢人 石坂 正大 千葉 康平 山下 智幸 乃美 証 田中 清和 髙橋 仁美 久保 晃
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.537-542, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
13

〔目的〕重症COVID-19肺炎で入院し,自立歩行で退院した患者の特徴を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕集中治療室でリハビリテーションを実施した112例を対象に,退院時の歩行の可否で自立群(76名)と非自立群(36名)を基礎情報,呼吸機能,身体機能,離床状況を2群で比較,検討した.〔結果〕自立群と非自立群は,年齢(55.8 ± 12.3 vs 66.7 ± 13.0歳),せん妄(12 vs 12名),Sequential Organ Failure Assessment score(SOFA)スコア(7 vs 8),ferritin(1813 vs 1168 ng/mL),挿管期間(6.1 vs 11.1日)で有意差がみられた.〔結語〕自立群では,年齢,せん妄,SOFAスコア,ferritin,挿管期間が関係することが示唆された.
著者
森田 純哉 小嶋 暁 金野 武司 橋本 敬
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.557-574, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
48

To realize a harmonious society where various groups collaborate, it is essential to understand the characteristics of communication systems generated from the traits of different individuals. This paper describes a study exploring the relationship between the establishment of novel communication systems and autistic traits, which are conventionally viewed as indicative of a communication disorder. The participants engaged in coordination games based on experimental semiotics and completed the Autism-Spectrum Quotient (AQ). Contrary to the traditional view of autistic traits, but consistent with the fact that individuals with these traits have been involved in many societal innovations, the results of this study show that autistic traits can facilitate the establishment of novel communication systems. Furthermore, correlation analysis suggests that various subcategories of autistic traits show differences in their relation to the stages involved in the establishment of communication systems. The findings contribute to our understanding of the process of language evolution and could promote communication among diverse individuals.
著者
渡辺 仁資 井上 理 金塚 文子 栗原 祐史 松浦 光洋 吉濱 泰斗 代田 達夫 羽鳥 仁志 新谷 悟
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.57-62, 2010-03-31 (Released:2013-03-26)
参考文献数
12

公 告掲載論文の取り下げについて 本誌,Vol.30 No.1 (2010年 3月号)に掲載された「当科における過去 3年間の口腔悪性腫瘍症例の臨床統計的検討」渡辺仁資,井上 理,金塚文子,栗原祐史,松浦光洋,吉濱泰斗,代田達夫,羽鳥仁志,新谷 悟 上記論文につきましては,データ解析のための統計学的方法とその解釈に不備があっため,著者本人の依頼により取り下げに致します.なお,論文審査過程において指摘できなかったことを真摯に受け止めて,今後の論文審査を実践いたします.2013年 10月 30日 Dental Medicine Research編集委員長 中村雅典
著者
金子 猛 磯部 潔 笠原 正男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.46-50, 2003 (Released:2011-06-08)
参考文献数
9
被引用文献数
5 4

術前腹部CTで石灰化を伴う小腸腫瘤性病変を認め, 開腹手術で小腸間膜に異所性膵組織を認めた1例を報告する. 症例は54歳の男性. 1996年9月25日より腹痛出現し, 入院精査で小腸に石灰化を伴う腫瘤性病変をCTで認めた. 保存的治療で腹痛軽快するが, 2週間後のCTでも縮小した腫瘤性病変を小腸に認めた. 小腸造影では異常所見を認めなかった. 1996年11月7日, 再び腹痛が出現し救急外来受診. CTでは前回と同様に小腸壁の肥厚と石灰化病変を認めた. 開腹手術を施行し, トライツ靱帯より50cm肛門側に, 小腸に接する小腸間膜内に4cm大の腫瘤性病変を認めた. 小腸とともに切除した. H.E.染色および特殊染色において腺房組織, 導管とランゲルハンス島を検索され, Heinrich I型の異所性膵組織と診断された. 好酸球浸潤を認め, 異所性膵組織が膵炎を引き起こしたものと考えられた.
著者
長滝 祥司 三浦 俊彦 浅野 樹里 柴田 正良 金野 武司 柏端 達也 大平 英樹 橋本 敬
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

人間は己の存在形態を正当化するために神話や宗教などを創造してきた。道徳において先鋭化するこれらは、人間を取り巻く自然条件によって偶然に枠組みが定められたものであり、条件が変容すればその内容は根底的に変わりうる。現在、様々な技術が人間の心理的身体的能力を拡張し始めると伴に、人間を凌駕する知的ロボットが創造されつつある。我々はこうした事態を自然条件の大きな変容の始まりと捉え、未来に向けた提言が必要と考える。そこで本研究は、ロボット工学や心理学などの経験的手法を取り入れつつ、ロボットのような新たな存在を道徳的行為者として受容できる社会にむけた新たな道徳理論の主要テーゼを導出することを目的とする。
著者
金 明哲 徳田 尚之 村上 征勝 田中 栄一
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.49-65, 1992-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
24

中国語の音声認識の機械処理を進める上で,中国語の計量的な性質を把握することは不可欠である.本論文ではSuen(1986)が中国語の高頻度単語として提唱している6,321語を用いて,中国語の音声認識を行う上で必要となるその音声学的性質について以下の項目にわたる計量分析を試みた.(1)声母,韻母,音素,声調の出現頻度(2)音節,音素を単位とした単語長 (3)音素を単位としたエントロピー,1次条件付きエントロピーおよび2次条件付きエントロピー (4)声母,韻母,音素を単位とした近距離単語数および声調,品詞が近距離単語数に与える影響 (5)声母,韻母,音素を単位とした置換対.その結果,例えば,声調や品詞情報が既知の場合でも一漢字単語では音素を単位としたレーベンシュタイン距離1の単語数は1単語あたり10.38語にものぼり,機械的な音声認識において単語単位での誤り訂正は極めて難しいが,二漢字単語では同じレーベンシュタイン距離1単語数は声調や品詞情報を考慮しなくとも1単語あたり平均約3語で,声調,品詞情報が既知であると1単語あたり0.26語まで減少するため,声調,品詞情報などを有効に利用することにより単語単位の誤り訂正が十分可能であると考えられるなど,今後中国語の音声認識などの機械処理を進める上で有益な幾つかの結果を得た.