著者
亀谷 宏美 金崎 未香 小田切 雄司 小幡 明雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.250-258, 2019

<p> 41種類の色調の異なるトマトジュースのヒドロキシラジカル, アルコキシラジカル, スーパーオキシドラジカルおよび一重項酸素の消去能をESRスピントラップ法により評価した. 濃赤色系, 赤色系, ピンク色系, 黄色系の各活性酸素消去能では大きな違いは見られなかったが, 濃赤色系が赤色系よりも一重項酸素消去能が有意に高かった. これらの色調のトマトについては, ヒドロキシラジカルと一重項酸素消去能は外観の色調と関係した結果が得られた. しかし, アルコキシラジカル, スーパーオキシドラジカルについては色調との相関はあるものの, リコピンと<i>β</i>-カロテンだけでは関連性を説明できず, 他の抗酸化成分の関与が推定された. 一方, レモン色系のトマトは既に流通している従来のトマトジュースに比べ, アルコキシラジカル, スーパーオキシドラジカル, 一重項酸素の消去能が有意に高く, 新しい機能性が期待された.</p>
著者
仲宗根 素子 金城 政樹 大中 敬子 大久保 宏貴 西田 康太郎
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.8-11, 2020

外傷歴の無い内反肘変形に伴う後外側回旋不安定症(PLRI)の治療報告は少ない.両側の非外傷性内反肘で右側にPLRIを認める症例に対し,上腕骨矯正骨切りと靭帯再建術を行った.【症例】14歳男性.外傷歴なく両肘内反変形が出現.肘関節の亜脱臼,自己整復を繰り返していた.左側の亜脱臼は12歳ごろ自然に消失したが,右側は持続し,痛みを認めたため手術を予定した.肘内反角は右14 &deg; 左5&deg; ,Humerus-Elbow-Wrist angleは右-13&deg; ,左-5&deg; であった.手術では右上腕骨に対し14&deg; の外反矯正骨切り術を行い,長掌筋腱を用いて外側尺側側副靭帯を再建した.術後6か月で不安定性を認めなかった.【考察】本症例は先天性の内反変形が外側支持機構の弛緩を生じPLRIを生じたと考えられた.本症例では靭帯再建術だけでなく上腕骨矯正骨切り術を併用したことで関節不安定性が改善されたと思われた.
著者
古澤 賢彦 金本 勇 若尾 義人 高橋 貢 宇根 有美 野村 靖夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.501-504, 1995-07-20
参考文献数
16

チャウチャウ系雑種雄犬 (1歳4ヵ月齢) が腹水と徐脈を主徴として来院した. 高度の心拡大をともなう特発性心房停止を認め, 利尿剤投与と腹水の穿刺除去を継続したが, 11ヵ月の経過で死亡した. 剖検では高度の右房拡張が, 病理組織学的検査では心房の脂肪線維化が認められ, 基礎疾患として特発性右房拡張症が考えられた.
著者
金子 大二郎 大西 政夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.235-244, 2003

本研究は, 中国・インドの巨大な人口増問題と新たな水資源制約時代を背景に, 現代における穀物需給の体制上の問題点と水資源不足の視点から, 穀物生産量の監視について, 現在の気温中心のモデルを発展させた光合成型のモニタリング法が必要であることを説いている.人口の巨大な両国における水制約の条件下では, 従来からの有効積算気温や植生現存量ばかりでなく, 日射と作物の水ストレスをも考慮した穀物生産指標を新たに開発することが必要である.本論文は, 世界気象データと衛星による植生指標を用い, 日射・有効気温・植生現存量・気孔開度を考慮した光合成型の穀物生産指標をモデル化し, 水資源不足時代における穀物生産量を早期に監視する方法を提案している.小麦・米・トウモロコシ等の穀物生産量の中で水稲を研究対象として最も重視する.その理由は, 水稲は食糧問題の中で単位面積当たりの収穫量が小麦より高いことから人口扶養力が大きく, また, 水資源を最も多く必要とし, 水配分の視点から重要な作物となっているからである.
著者
金子 大二郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学環境リモートセンシング研究センター年報
巻号頁・発行日
vol.9, pp.28-31, 2004-08

中国・インドの巨大な人口増問題と新たな水資源制約時代を背景に,現代における穀物需給の体制上の問題点と水資源不足の視点から,穀物生産量について新たな光合成型のモニタリング法が必要である。人口の巨大な両国における水制約の条件下では,従来からの有効積算気温や植生現存量ばかりでなく,日射と作物の水ストレスをも考慮した穀物生産指標を新たに開発することが重要となる。本研究は,世界気象データと衛星による植生指標を用い,日射・有効気温・植生現存量・気孔開度を考慮した光合成型の穀物生産指標をモデル化し,水資源不足時代における穀物生産量を早期に監視する方法を提案した。小麦・米・トウモロコシ等の穀物生産量の中で水稲を最も重視した。水稲は食糧問題の中で単位面積当たりの収穫量が小麦より高いことから人口扶養力が大きい。また,水資源を最も多く必要とし,水配分の視点から重要な作物となっているからである。
著者
有吉 慶介 松澤 暢 矢部 康男 加藤 尚之 日野 亮太 長谷川 昭 金田 義行
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
no.13, pp.17-33, 2011

&nbsp;&nbsp;同じプレート境界面上にある複数の断層セグメントが連動して地震が発生した場合,一般にはスケーリング則に従うと考えられている.しかし,スマトラ島沖地震のような超巨大地震となると,走行方向に長い形状となり,アスペクト比一定の前提条件が破綻するため,活断層調査などからは諸説に分かれているのが現状である.そこで本稿では,摩擦構成則に基づく地震サイクルの数値シミュレーション結果について,単独地震と連動型地震のすべり量を比較するという新たな観点から,特徴を見出すことにした.その結果分かったことは以下の通りである.断層セグメント間の距離と破壊遅れの時間差が共に短い場合には,地震時すべりが断層サイズに比例して大きくなるが,プレスリップは単独地震とほぼ変わらない.一方,断層セグメント間の距離と破壊遅れの時間差が共に長い場合には,地震時すべりは数割程度しか増幅しないため,マグニチュードに換算するとほぼ変わらないが,プレスリップは単独地震に比べて数倍程度増幅することが分かった.これらの知見を活かして,スマトラ島地震でみられた短期的・長期的の連動型地震を考察し,東北地方太平洋沖地震に伴う長期的な時間遅れを伴う連動型地震の可能性について調べた.その結果,東北地方太平洋沖地震の周辺で後続する大規模地震の発生可能性を判断・予測するためには,三陸はるか沖地震・十勝沖地震の震源域や,太平洋沖でのフィリピン海プレート北限に沿った房総半島沖において,海底観測をする必要があることを指摘した.
著者
李 相鎬 金 惠善 崔 善喜
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.414-420, 2005 (Released:2005-10-01)
被引用文献数
1

韓国科学技術情報研究院(KISTI: Korea Institute of Science and Technology Information)は韓国政府傘下の情報センターであった研究開発情報センター(KORDIC),産業技術情報院(KINITI)とスーパーコンピュータセンターが2001年に統合されて設立された。主要機能は科学技術情報のDB構築および流通,超高速研究網(KREONet)とスーパーコンピュータの運営および管理,科学技術情報の分析などであるが,本記事では主に科学技術分野の学術情報のデータベース構築および流通を紹介する。
著者
金井 雅彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は本来 Margulis の超剛性定理を典型とする高階リー群の格子の剛性に関わるものであった.しかし,研究方向は1年ほど前から変わりつつある.それを説明したい.Margulis の超剛性定理に先行して確立されたリー群の剛性定理のひとつに Mostow のそれがある.とくに,n 次元実双曲空間の等長変換群の一様格子は n が 3 以上のとき剛性を有する.一方,n=2 の場合には剛性現象は発現せず,逆に柔軟性とでも呼ぶべきものが観察される.その柔軟性を極めて精密な形で記述したのがタイヒミューラー空間論である.この類似がトンプソン群というまったく異種の離散群に対しても観察されることを認識したのが1年のことである.それ以降,この類似性を追求している.ところで,トンプソン群には F, T, V と言う記号で表される合計3種が存在する.いま,問題にしているのは,F ないし T である.これらの離散群の定義においては,Z[1/2] が登場する.そこに現れる 2 を 2 以上の整数 m で置き換えることにより,あらたな離散群が得られる.それを F(m), T(m) と書くことにしよう.McClearly-Rubin と Brin の結果を合わせると,F=F(2), T=T(2) に対しては Mostow の剛性定理に相当する結果が得られる.一方,m が 3 以上の場合には,柔軟性が発現することが Brin-Guzman により指摘されている.しかし,いま名前を挙げた研究者たちは,彼等の結果と Mostow の剛性定理やタイヒミューラー空間論との類似性を意識していないよう推察される.一般化トンプソン群 F(m), T(m) の剛性ー柔軟性を Mostow の剛性定理やタイヒミューラー空間論の類似性を強く意識しながら,新たな理解を目指し,部分的ではあるが成果を上げた1年間であった.
著者
金澤 健 牛渡 裕二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.15-24, 2021 (Released:2021-03-20)
参考文献数
34

極限解析の上界定理を用いて,凍害による材料劣化が生じたRC柱部材に対し,実験結果の回帰式等を用いずにせん断耐力を解析的に算定可能な力学モデルを構築した.構築したモデルは,実橋のコンクリートコアから取得した劣化深度に基づいて変位場を分割することで,劣化域のせん断耐力への寄与を評価することが可能である.凍結融解促進試験後にせん断破壊を生じた11体の実験結果との比較により,構築したモデルが±20%の算定精度を有していることを確認した.さらに,著しい凍害が顕在化した既設RC道路橋の橋脚のせん断解析を行い,劣化深度を指標とした力学的合理性のある健全度評価の可能性を示した.
著者
金 鳳珍
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.140, pp.474-453, 2000-12

Inoue Kakugōrō, as a foreign assistant or advisor, had been employed at a new government office named Bakmunkuk (博文局), having published the modern newspaper such as 'Hansŏngsunbo (漢城旬報)' and 'Hansŏngzubo (漢城周報).'We may say, in a sense, he had been engaged in enlightening the society or reforming the old system when he stayed in Chosŏn for about four years.However, we need to be careful about what motivated him to do this and/or what was his genuine, real purpose in doing that.We must ask whether his motive/purpose was pure or not.By putting these questions, we can reveal not only the real facts of this historical case but also the real problems resided in the historico-psychological depths of the modern history of Japan and Chosŏn.This paper will be a critical suggestion for 'deconstructing' the history of the Japan-Korea relation.
著者
金子 善彦
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.88-100, 2007

In Motu Animalium (MA, hereafter), Aristotle repeatedly says, "The soul moves the body", "Desire moves the animal", etc.. Commentators, who interpret Aristotle's philosophy of mind in a non-dualistic way, would find these claims perplexing, since they appear to imply that the soul is a non-material substance, separable from body, and imparts motion to body. Martha Nussbaum, one of the most influential proponents of the functionalistic interpretation of Aristotle, argues that the capacities of the soul are called "the movers of the animal" because of their role in the explanation of goal-directed motions, not of their causal agency, and so his claims there do not imply the Cartesian or Platonic conception of the soul as an incorporeal agent. However, although this sort of view is dominant in the recent literature, I don't think that it is a plausible reading. A number of passages in MA suggest that Aristotle takes the animal soul, or part of it, to be a causal agent in the quite literal sense, by which an animal can be moved to act. That wouldn't be so embarrassing if you saw that it is his theory of causation and other connected doctrines that lie behind the account of animal movements in MA. My aim in this paper is to show that this is a crucial aspect of Aristotle's philosophy of mind and action developed in MA. The first part of my discussion treats the MA's account of the initiation of animal (and human) movements. Aristotle explicitly says that the capacities of the soul, such as perception, imagination, thought and desire, have by themselves the power to alter a bodily organ (on his view, the heart). It is important to notice that he thinks such an alteration occurs because an animal's soul receives a certain form from the external world and thereby acquires the power to change its physiological state. The idea is that the form itself, both internal and external, has the causal efficacy by virtue of which the alteration in an animal at the material level can be brought about. I show that this idea is the key to understanding Aristotle's view, and that he makes use of it here on the basis of both the theory of formal and efficient causation he has established in Physics and his other writings, and the view which might be called "isomorphism" developed in De Anima. Next, I turn to another passage from MA. It is supposed to strongly support the functionalistic interpretation because Aristotle seems to introduce the connate pneuma to provide a material basis for mental causation. However, a careful reading will show that he insists there is a distinct type of alteration that the soul itself, rather than its material correlate, would undergo, which he calls "energeia" elsewhere. Here too he holds that a physiological change like that of pneuma takes place just as the result of this formal level causation. I conclude by suggesting in brief that such a picture of Aristotle's philosophy may throw some light on the problem of mental causation.