著者
岡和田 愛実 金子 文成
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.689-696, 2019-07-15

はじめに ヒトは身体や外界からの情報を固有感覚や皮膚感覚,視覚から得ている.運動を実行すると,それらの運動の感覚が入力され,知覚することができる.筋紡錘への刺激である振動刺激や皮膚を伸張させる皮膚刺激などを行うことで,実際には運動が生じていないにもかかわらず運動を認知する.このように,感覚刺激により,安静にしているにもかかわらずあたかも自分自身の四肢などが運動しているように知覚することを運動錯覚という1).筆者らは,視覚刺激を用いて運動錯覚を誘導する視覚誘導性運動錯覚(kinesthetic illusion induced by visual stimulation:KINVIS)について研究を行ってきた.そこで開発されてきたシステムは,理工学的には仮想現実技術を応用したものである.また,運動の認知以前に映像内の仮想身体像に身体所有感を生じることから,脳内の身体認知システムに対する刺激方法であると言うことができる.さらに生理学的には,ニューロモデュレーション効果を発揮する刺激である. われわれは,日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)“未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業(ニューロリハプロジェクト)”の研究開発支援を受け,脳卒中に代表される中枢神経系疾患に起因する感覚運動麻痺の回復を図るための研究開発に取り組んできた.KINVISを誘導する臨床システムであるKiNvisTMは,そのプロジェクトで開発されたものである.このKiNvisTMを使用し,現在は脳卒中片麻痺患者を対象としたKiNvis療法の効果を検証している.
著者
小林 しのぶ 金子 有紀子 柳 奈津子 小板橋 喜久代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.27-33, 2010-12-20 (Released:2016-08-25)
参考文献数
17

本研究の目的は,リラクセーション外来受診者の特性および外来でのリラクセーション技法実施の効果を明らかにすることである.A病院リラクセーション外来受診者113名 (49.0±13.5歳) を対象に主訴,受診理由,ストレス状態を調査した.また,受診者113名の延べ378回のリラクセーション技法実施前後に血圧,脈拍,リラックス尺度を測定した.その結果,精神的健康診断パターン検査 (MHP-1) から,受診者は高いストレス状態にあることが確認された.また,8割近い受診者が精神的訴えを抱え受診することが明らかになった.受診理由は「心身の安定を図りたい」が最も多く,受診者の7割以上があげた.リラクセーション技法実施前後の比較では,実施後に血圧と脈拍数が有意に低下し (p<0.001),主観的指標のリラックス尺度得点は実施後に有意な上昇が認められ (p<0.001),リラクセーション技法により,心身両面からリラックス反応が得られた可能性が示唆された.
著者
古川 真衣 立石 一希 勝又 英之 山口 翔瑚 金子 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.25-29, 2020 (Released:2020-06-30)

本研究では、特別な分析機器を使用せずに銅イオンを測定する目的で、検出領域としてウェル状スポットを有する紙製分析デバイス(PAD)を開発した。PADは、トリクロロシランの化学気相成長(CVD)でクロマトグラフィー紙に疎水性障壁を形成させることで作製した。検出・定量領域には、銅との反応で茶色を呈する錯化剤として、ジエチルジチオカルバミン酸(DDTC)を固定した。水試料中の銅の検出に適用した後、作製したPADは、画像として取り込まれ、RGB値へ変換することで定量に適用された。
著者
指宿 敦子 内宮 礼嗣 松下 茂人 河井 一浩 金蔵 拓郎
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.3-5, 2010-02-01
参考文献数
8

48歳,女性。8年前から両前腕を中心に環状の浮腫性紅斑が多発していた。毎年6月下旬に赤くなり,11月頃に改善することを繰り返していた。半袖になる時期に皮疹の悪化が両前腕に著しかったこと,事務職でデスクマットを使用していることより,デスクマットによる接触皮膚炎を疑い,デスクマットのパッチテストを施行したところ,強陽性反応を認めた。デスクマットの成分は塩化ビニル樹脂,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP,可塑剤),エポキシ化亜麻仁油(安定剤),金属石けん系安定剤,N,N'-メチレンビスステアロアミド(転写防止剤)の5種類で,このうち製造中止のため入手できなかった金属石けん系安定剤を除く4種類について,パッチテストを施行したが結果は全て陰性であった。以上の結果より,デスクマットの成分のうち,金属石けん系安定剤による接触皮膚炎が推測され,デスクマット製造会社より同じ金属塩を含むが構造式の異なる金属石けん系安定剤を入手し,パッチテストを行ったところ陽性であった。近年デスクマットに含まれる抗菌剤による接触皮膚炎が多数報告されているが,自験例が使用していたデスクマットは抗菌剤は含有されていなかった。抗菌剤を含まないデスクマットによる接触皮膚炎はこれまでに報告されていない。おいて発表した。
著者
金沢,美知子
出版者
日本ロシヤ文学会
雑誌
ロシヤ語ロシヤ文学研究
巻号頁・発行日
no.11, 1979-10-10

В Настоящей статье рассматриваются структура и смысл незаконченного романа <<Неточка Незванова>>, одного из ранних произведений Ф. М. Достоевского. Предметом анализа являются следующие проблемы: I. метод повествования (то есть, как велось повествование); II. содержание повествования (то есть, о чем велось повествование); III. цель повествования (то етсть, т какой целью велось повествованиие). I. Как : В этой главе исследуется структура романа с двух точек зрения : во-первых, каким образом повествователь рассказывает каждое отдельное событие? (§1) ; во-вторых, каким образом он переводит рассказ с одного события на другое и упорядочивает много событий? (§2) ; В изображении отдельного события важную роль играют воспоминания, толкования, впечатления и т. д. героини Неточки и повествователя Неточки. Далее автор статьи замечает, что для структуры этого романа характерно соединение общего изложения многих событий с конкретным изображением осбого события. II. О чем : В этой главе автор ставит перед собой цель рассмотреть две главнйшие истории, которые определяют содержание романа, а именно : историю духовного форования героини Неточки и историю семей, в которых она проживала-и раскрыть связь между одним и другим. Автор приходит к следующим выводам : три семьи, изображенные в этом романе, являются не только сферой жизни героини, но и основой ее внутренего мира ; На формирование мировоззрния героини воздействует прежде всего ее сознание своей собственной вины, которое неразделимо связано с воспоминаниями первой семьи, в частности, с воспоминаниями о смерти матери. Итак семьи в <<Неточке>>, в отличие от почти всех предыдущих произведений писателя, воплощают саму идею и тему романа. III. С какой целью : Некоторые стилевые характеры в этом романе объясняются неясностью позиции повествователя Неточки, неясностью цели ее повествования. Она то излагает прошлые события объективно, прямо и откровенно, то затуманивает смысл событий, не раскрывая того, что знает о них и какое отношение имеет к ним. В последнем случае бросается в глаза субьективное, своевольное изложение, которое выявляет тайиое беспокойство повествователя. Такая неясность цели повествования замечается вомногих из пр
著者
森鼻 健史 金子 明寛 富田 文貞 諏訪 俊男 河野 喜郎 小林 寅哲
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.973-982, 1989-04-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
15

新規マクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) はラット顎下腺におけるミクロオートラジオゲラフィーによる分布状態の検討では腺房, 導管部共に良好な14C-TE-031の集積がみられた。健康成人男子ボランティア3名によるTE-031 300mg単回投与の血清中, 及び唾液中移行濃度は平均値でそれぞれCmax1.49μg/ml, 1.93μg/ml. Tmax2.91時間, 2.66時間, T1/2 6.31時間, 4.15時間, AUC18.58μg・hr/ml.17.70μg・hr/mlである。又, 同症例から得られた唾液中細菌叢は本剤の唾液中濃度の上昇に伴い, 総細菌数は減少したが12時問後には回復した。又, 経過中菌の耐性化はみられなかつた。以上本剤は個体差はあるものの, 血清中を上回る唾液中移行濃度を示し, 唾液によるTherapeutic drug monitoring (TDM) も可能な薬剤と考える。又, 本剤によると思われる一過性の唾液細菌叢の減少はみられるものの早期に回復し, 単回投与では耐性菌の出現もなく短期投与では口腔正常細菌叢への影響の少ない薬剤と考える。Clarithromycin (TE-031, A-56268) は大正製薬株式会社総合研究所でErythromycin (以下, EM) から合成された新規マクロライド系抗生物質であり, 良好な血中及び組織移行性を示すことが知られている。臨床的にも急性歯性感染症に対し, EMの1/4~1/3量である1日300~400mg投与で約80%の有効率が得られている1)。我々は, 本剤が唾液中への移行性が良いとされていることから1), 顎下腺組織への移行性について, ラットに14C-TE-031を投与後の移行分布をミクロオートラジオグラフィーにて検討し, 又, 3名の健康男子ボランティアに対し本剤300mgを食前投与し, 経時的に血清中及び唾液中濃度を測定すると共に, 唾液中細菌叢への影響を調べた。
著者
前田 憲吾 清水 芳樹 杉原 芳子 金澤 直美 飯塚 高浩
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001239, (Released:2019-01-31)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

症例は48歳女性.43歳時に下肢硬直感が出現したが3か月で自然軽快した.両下肢の筋硬直が再発し,ミオクローヌスが出現し入院.意識清明,言語・脳神経は異常なし.両足趾は背屈位で,足関節は自他動で動かないほど硬直していた.神経伝導検査は異常なく,針筋電図では前脛骨筋に持続性筋収縮を認めた.血液・髄液一般検査は正常で,抗GAD65抗体・抗VGKC複合体抗体は陰性.脊髄MRIにも異常なく,症候学的にstiff-limb症候群(SLS)と考え,ステロイドパルス療法を実施し筋強直は改善した.その後,血液・髄液の抗glycine受容体抗体が陽性と判明した.プレドニゾロン内服後,再発はない.
著者
金平 隆史 野長瀬 裕二 野田 博行
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.19-24, 2017

本研究では、これまでほとんど研究されて来なかった二次下請け、一次下請けおよびセットメーカーの三者間の産業財マーケティングについて、二次下請け企業が両顧客の購買行動を把握しタイムリーな情報活動を行う手法を、事例研究により検討した。購買行動モデルとして、 Shethモデルを三者間関係に拡張したものとそれと関連する情報活動モデルを提案し、X社の一般照明事業を例に購買行動を分析した。その結果、両顧客での採用に向けて、一次下請けの期待形成フェーズ突破が重要なステップである事が判った。また、一次下請けの電気と光学の両技術知識を持つ担当エンジニアの存在は、一次下請け社内の調整力、セットメーカーとの調整力、の両面で二次下請けに有益である可能性を示唆した。さらに、提案や情報提供によりコンフリクト解消した8案件の存在は、コンフリクト解消フェーズにおける情報活動の重要性を示唆した。
著者
根岸 雅史 投野 由紀夫 酒井 英樹 長沼 君主 高田 智子 内田 諭 金子 恵美子 村越 亮治 奥村 学 工藤 洋路 能登原 祥之 小泉 利恵 石井 康毅 篠崎 隆宏 和泉 絵美 印南 洋 中谷 安男
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

まず、指導タスクとテスト・タスクのうち、CEFR-Jの各CAN-DOディスクリプタに基づくテスト・タスクの開発およびその困難度の検証を優先することを決定した。各CAN-DOディスクリプタに基づく評価タスクの開発としては、2017年度はPre-A1からA2.2を作成したが、2018年度はB1.1からB2.2までのテスト項目の開発と検証を行った。リーディングにおいては、リーディングのテキスト・タイプ、テキスト困難度、タスクについて検討し、修正をした後、テスト・セットを作成した。リスニングにおいては、リーディングと同様、リスニングのテキスト・タイプ、テキスト困難度、タスクについて検討し、修正をしたが、音声の収録およびテストの実施には至らなかった。ススピーキング(発表)・スピーキング(やりとり)・ライティングにおいては、タスクと採点方法について検討し、修正をした後、テスト・セットを作成した。これらのテストをそれぞれ実施し、採点・統計的な分析・解釈を行った。言語処理班では、リーディングやリスニングのテキスト分析の結果に基づき、テキストのCEFR-Jレベルの判定を可能にするプログラムの開発を行い、公開した。さらに、文法のレベル別基準特性を判定を可能にするCEFR-J Grammar Profileを開発・公開した。音声認識では、スピーキング・テスト解答データを追加することで、音声認識プログラムの精度を向上した。2019年3月23日に「CEFR-J 2019シンポジウム in 京都」を開催し、170名余りの参加者があった。このシンポジウムでは、3年間の研究成果の発表をするとともに、CEFR-Jのリソースの活用ワークショップも行った。さらに、CEFR-Jの利用企業や協力校の発表機会を提供した。これらの活動により、CEFR-Jが広く認知され、日本の英語教育の改善に大きく資することができた。
著者
林 慶 西村 亮平 山木 明 金 輝律 松永 悟 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.951-956, 1994-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
29
被引用文献数
34 38

イヌにおいてメデトミジン20μg/kgとミダゾラム0.3mg/kg(Me-Mi), あるいはメデトミジン20μ/kgとブトルファノール0.1mg/kg(Me-B)を組み合わせて投与し, 得られた鎮静効果を, メデトミジン20, 40および80μg/kg(Me20, Me40, Me80)を単独投与した場合の効果と比較検討した. その結果, Me-MiおよびMe-Bでは非常に迅速に強力な鎮静効果が得られ, 約40分間の最大効果発現時には, いずれのイヌも完全に横臥し, 周囲環境, 音刺激に反応せず, 中程度の反射抑制と鎮痛作用が得られ, さらにMe-Miでは自発運動も全く消失し, 優れた筋弛緩作用も得られた. これに対しMe40, Me80では, その鎮静効果はMe-Mi, Me-Bに比べて弱くまた個体間のばらつきもやや大きかった. Me20ではその効果はさらに弱かった. イヌにおいてメデトミジンをミダゾラムあるいはブトルファノールと併用すると, 両者が相乗的に作用することにより低用量のメデトミジンを用いても, 強力な安定した鎮静効果が得られるものと考えられ, とくにメデトミジン-ミダゾラムの組み合わせでは非常に優れた鎮静状態が得られ, イヌの鎮静法として幅広く応用可能で有用であると考えられた.
著者
金 炳坤
出版者
身延山大学仏教学部
雑誌
身延山大学仏教学部紀要 (ISSN:13464299)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-21, 2015

Jikaku Daishi Ennin (慈覺大師 圓仁), who is considered to have laid the foundations of Buddhism in Japan, receiving the title of Daishi (大師) for the first time in Japan, came to stay at Chishan Fahuayuan, which Jang-Bogo had established, as he was entering the Buddhist profession. Here, he prayed to the god in Chishan to help him spread the message of Buddhism, and he vowed that if his prayers were realized, he would build a temple to commemorate this.It was also at Chishan Fahuayuan that Ennin heard about Wutaishan from Seong-im (聖琳), a Silla monk, and this led to his full-fledged Buddhist activities in Tang. Even later, Ennin received unstinting support and devoted protection from countless Silla people living in Tang. After conducting Buddhist activities for 10 years using the maritime traffic network that Jang Bogo had established, Ennin safely concluded his activities and returned to Japan.The Memorial Stone of Jang Bogo, Ambassador of Cheonghaejin was erected in Hieizan Enryakuji by Wando county per the request of the Tendai sect in Japan (memorial ceremony held on January 13, 2002). This was an event that shed a new light on the relation between Jang Bogo and Ennin, but the reality is that it has not yet solidified its position.Ennin, who diligently tried to firmly establish the Tendai sect, was not able to fulfill his vows (AD 840) at Chishan Fahuayuan during his time, and requested that they be carried out through his will. This is the origin of Sekizan-zen'in (赤山禪院), which was built in AD 888 by Ennin's disciples who inherited his uncompleted vows, but as of now, no historical artifacts related to this can be found at Sekizan-zen'in.At Hieizan Enryakuji (比叡山 延曆寺), Sekizan-myōjinja (赤山明神社) (present Sekizan-gu), which was built by people who lived after Ennin, and which is located in front of Yokawa-chūdō (橫川中堂), which was established by Ennin in AD 848, is the only artifact that conveys this fact.This paper aims at investigating cultural heritage related to Jang Bogo inside the Tendai sect in Japan, and at providing status updates on this issue for its commercialization for tourism.
著者
金 炳坤
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.321-315, 2019

<p>The <i>Pŏphwa kyŏng chiphŏmki</i> 法華経集験記 (Jpn. <i>Hokekyō Shūgenki</i>), thought to have been completed in 718 AD, was first reported by Shōjirō Ōta to exist in Japan in 1958.</p><p>However, because in this manuscript the name of the author was written only using the character Zyaku 寂, the theory was that it was written by Yiji 義寂 (919–987) from China, who was active during the period of the Song Dynasty.</p><p>In 1980, Ōta argued that the author of the manuscript was Ŭijŏk 義寂 (7th to 8th century), who was active in Silla during the Tang dynasty, but the evidence for his theory is inadequate.</p><p>In this paper I prove that Ŭijŏk of Silla was a disciple of Xuanzang 玄奘 (602–664), and because the influence of the disciples of Xuanzang can be seen in the preface to this manuscript, the author of the manuscript is Ŭijŏk of Silla.</p><p>In addition, because there are discrepancies between the records in Buddhist catalogs and the manuscript of this book, it will be clarified that this manuscript is not the original <i>Pŏphwa hŏmki</i> 法華験記 written by Ŭijŏk of Silla, but an abbreviated version of it.</p>
著者
國本 千裕 宮田 洋輔 小泉 公乃 金城 裕奈 上田 修一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.199-212, 2009

本研究は読書の行為に焦点を当て「読書とはいかなる行為であるのか」を明らかにすることを目的としている。既存の読書研究は,読書の対象や,児童や生徒に対する読書指導といった側面に焦点を当てるものが多かった。これに対して本研究は,個人の行う読書は様々な次元からなる行為であると考え,成人を対象として読書の次元を明らかにしようと試みた。20代から40代の計29名を対象にフォーカス・グループ・インタビューを5回実施し,発言を分析した結果,読書とは,対象(何を読むのか)に加えて,志向(なぜ・何のために読むのか),行動(どのように読むのか),作用(読んだ結果何を得るのか),場所(どこで読むのか)の五つの次元から成る行為であることが明らかになった。特に対象は,物理的媒体,ジャンル,内容評価といった観点からみられる可能性が示唆された。