著者
金 彪
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.254-258, 2019-04-25

はじめに 姿勢の制御,ならびに体幹四肢の骨格筋の運動を制御するのは,4つの要素である.すなわち,大脳皮質ならびに脳幹から下行する運動系経路,小脳,大脳基底核,ならびに脊髄の運動系(前角ニューロンと介在ニューロンからなる分節回路)である.このことはよく知られているところであろう.しかし,これらの構造の相互の連結については,脊髄の臨床に携わる外科医たちには意外に正しく認識されていないことがある.その結果として,機能・生理学やモニタリングの意義解釈に関するディスカッションが間違った方向に進んでいることもあるので,再整理しておくことに意義があると考える.
著者
金城 光
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.134-150, 2001-06-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
70
被引用文献数
7 2

Research on source memory in the source monitoring paradigm was reviewed and discussed. The author analyzed three factors contributing to the current upsurge of source memory research: (a) a basic theoretical framework and a basic experimental paradigm for source monitoring were established by Johnson and her collaborators, (b) source monitoring tasks were a more sensitive measure than recall and recognition tasks to assess one's explicit memory among different populations, and (c) the source monitoring paradigm is so flexible and versatile to design a variety of experiments. Further studies are necessary for the paradigm to find a better way of analyzing data and to verify its premises. Regardless of these problems, however, the author predicted a further explosion of source memory research in the paradigm because it would give us a hint of an underlying mechanism of how memory is processed.
著者
金 海峰
出版者
日本財務管理学会
雑誌
年報財務管理研究
巻号頁・発行日
no.22, pp.94-102, 2011

自己株式取得による資本政策の利用が本格化したのは,この平成13年商法改正の自己株式取得全面解禁以降である。この改正により,自己株式の取得・保有,処分,消却は企業の裁量に委ねることとなり,企業の利益重視経営から資本効率化経営へと転換を促し,企業の資本制度に大きな変化をもたらした。本稿では,平成13年改正前の旧商法までの自己株式の取得について原則禁止の理由を理解しつつも,自己株式制度の歴史的変遷を検討するとともに,上場企業全体の平成7年から平成21年までの自己株式の取得実態について考察した。特に,株主総会決議による自己株式取得と取締役会決議による自己株式取得の比較分析によって自己株式制度の変遷に伴い自己株式の活用が有効な資本政策として定着していることを解明したのである。
著者
秦野 賢一 金沢 一樹 山津 健司 角田 欣一 窪田 健二 若松 馨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2014 (Released:2014-12-16)

製糖工程で発生する廃糖蜜から回収される暗色物質(DM)の特性解析を行い、DMが金属結合活性を持つことを見出した。現在、植物と共に金属結合剤などを添加し土壌の重金属の易動性を高めることによる効率的な植物修復が研究されている。植物修復の促進剤としてのDMの可能性を検証する為に、各種重金属塩を含む寒天培地中にDMを添加することによるダイコンRaphanus sativusの成長阻害の軽減効果を調査した。軽減効果が確認されたPb2+, Zn2+, Ni2+, Cu2+に関しては、DMを含めた4種類のキレート剤による植物体のバイオマス量と金属蓄積量に与える影響についても検証した。硫酸銅添加培地では、DMのみが植物体のバイオマス量とCu2+蓄積量の両者を同時に促進することができた。このことは、銅汚染土壌における理想的な次世代型植物修復の促進剤としてDMが大きな可能性をもっていることを示唆した。
著者
金子 充
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.33-43, 2002-08-31 (Released:2018-07-20)

産業構造の転換に伴って,人びとの働き方,家族のあり方,ライフコースが大きく変化してきている。そのことは,社会福祉の「対象」が変化していることを表している。こうした社会福祉の現代的な「対象」の問題は,ジェンダー論,人種/エスニシティ論,そしてアンダークラス論から提示されている。「批判的社会政策論」(Critical Social Policy)はこれらの議論のエッセンスを凝縮し,階級,ジェンダー,人種/エスニシティなどの観点から,人びとが「社会的に分裂した」(social division)状態にあることに注目しつつ,そのような、人びとの差異やアイデンティティに配慮した福祉国家を構築することに関心をもつアプローチである。こうした視点をもとに,現代の社会変化と「社会的分裂」に関する議論を踏まえた社会福祉対象論を再構成するための展望について論じる。
著者
金 恩一 藤井 英二郎
出版者
千葉大学園芸学部
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
no.46, pp.p215-220, 1992-03
被引用文献数
1

韓・日の植栽の構成や取扱いを比較するための基礎として点, 線を対象に, 眼球運動を解析した.実験に用いた対象は白板, 丸点, 横線, 縦線, 横縦線, 右斜め線, 左斜め線, X線である.停留点では「白板」より「丸点」で集中する傾向が見られた.韓国人は「横線」, 「縦線」, 「横縦線」の線上に停留点がより多く分布し, 視点移動もいずれの対象においても横方向の移動がより多く見られた.これに対して日本人では「横線」と「縦線」における停留点の分布と視点移動がいずれもその線上に分布し, また「横縦線」でも対象に則する傾向が見られた.斜め線に対する停留点の分布型では, 韓国人は「右斜め線」, 「左斜め線」, 「X線」いずれにおいても同じ分布型を示すのに対して, 日本人は対象ごとに分布型が異なる傾向が見られた.従って, 韓国の人々は対象物に係わらず一定した見方を示す傾向があるのに対して, 日本人の見方は対象に則して変化する傾向をより強く示すものと考えられる.
著者
三野 彰理 石川 友規 金丸 明博 中島 誠
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.26-29, 2019-11

緊張病は,原因不明の意識障害として診断に至らないことも多いが,発熱や自律神経症状を合併した悪性緊張病として致死的な経過をとる場合があり,適切な診断・治療が必要である.悪性緊張病は昏迷,筋緊張,カタレプシーなどの症状を呈し,発熱や炎症反応,CK 上昇などを伴うため,悪性症候群との鑑別が重要となる.悪性緊張病を疑った場合はベンゾジアゼピン系薬剤の処方を行うと,著明な改善を認めることが多い.今回我々は慢性統合失調症の患者が精神症状の悪化により処方薬を自己中断した後に,悪性緊張病をきたし,ベンゾジアゼピン投与にて改善を見た59歳女性の1例を報告した.
著者
金子 周平
出版者
森林遺伝育種学会
雑誌
森林遺伝育種 (ISSN:21873453)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.113-116, 2013-07-25 (Released:2020-07-13)
参考文献数
8
著者
相原 建人 渡邊 啓太 土肥 永生 金子 祥平
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.1313-1318, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
6

これまでCPVAの性能向上を目的として,CPVAの振動低減性能について解析可能な理論解析法を構築してきた.また構築した理論解析法により性能向上に寄与する振り子重心軌道を提案している.本研究では実際に重心軌道が異なる二つの実機を試作し,性能評価試験を行い理論解析結果と比較することで理論解析法の有効性を検証する.
著者
金子 岳夫 両角 一範 袴田 恭弘 岡田 誠之
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成17年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1545-1548, 2005-07-25 (Released:2017-08-31)

It experimented about the decrease status which accompanies the heating of chlorine residuals. As for the result, the higher the water temperature became, the faster the decrease speed became. In the experiment in the still-standing condition which used a copper tube with 15 mm diameter, in case of equal to or more than 50 ℃ , it disappeared within about 1 hour.
著者
江木 盛時 黒田 泰弘 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 小谷 穣治 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 志馬 伸朗 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 谷口 巧 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 鶴田 良介 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 土井 研人 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 土井 松幸 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 中田 孝明 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 中根 正樹 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 藤島 清太郎 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 小倉 裕司 細川 直登 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 升田 好樹 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 松嶋 麻子 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 矢田部 智昭 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 安宅 一晃 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井上 茂亮 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 射場 敏明 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 垣花 泰之 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 川崎 達也 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 久志本 成樹 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, 2020
被引用文献数
2

<p>日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。</p>