著者
鈴木 一敏
出版者
財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.160, pp.160_1-16, 2012-03-25 (Released:2012-06-15)
参考文献数
40

Threatening to retaliate is a common means of influence in trade conflicts. In most cases, retaliation is carried out either through the suspension of tariff concessions or through additional tariffs. The target of retaliations can be industries that were uninvolved in the original conflict. This article examines the use and effectiveness of such “cross-industry” threats.With a cross-industry threat, the compositions of domestic games tend to become more complicated with respect to both the threat's sender and target, as compared with intra-industry cases. Unrelated industries tend to have different industrial associations, fall under different bureaucratic jurisdictions, and be represented by different politicians. Thus, we can expect the decision-making process involving cross-industry threats to be more complicated and politically difficult than in intra-industry cases.However, the extensive literature on threat effectiveness has paid insufficient attention to whether retaliation threats are cross-industry or intra-industry. To compensate for this limitation, I examine cases involving U.S. unilateral trade actions and WTO dispute settlements, which yield several findings.First, the use of cross-industry threats by the United States has increased dramatically in 1980s.Second, a close examination of U.S. section 301 cases reveals that cross-industry threats are clearly more effective than intra-industry ones. The selection of targets (cross-or intra-industry) also exhibits a clear tendency. Cross-industry threats are used almost exclusively in attempts to open foreign markets (through the removal or modification of high tariffs, quantitative restrictions, patent protections, industrial standards, tax systems, etc.), and not in the cases of export subsidies, in which the purpose of the U.S. is to protect its own industries from import penetration.The increase in the use of cross-industry retaliation, this study argues, is caused by the changing nature of the negotiation process. After the 1980s, the principle source of trade conflicts shifted from foreign export penetrations (e.g., textile, steel, and auto) to foreign non-tariff barriers such as government regulation, copyright protection, market structure, and domestic institutions. The domestic group supporting trade barriers are not limited to the export industry, and therefore, are not always subject to trade retaliation. Since this renders threats of intra-industry retaliation ineffective, cross-industry threats are now used more frequently.This trend is not limited to the United States. Records from WTO dispute settlement cases demonstrate that most trade retaliations are now targeted at industries that are unrelated to the original conflict.Underlying this change is a dynamic process of liberalization and international harmonization. Trade liberalization begins with competitive industries, and uncompetitive industries tend to be left behind. Similarly, domestic systems of nontradable goods sectors are last to be harmonized. Therefore, as internationalization continues, supporters of alleged trade barriers are less likely to engage in export businesses, thereby decreasing their likelihood of becoming a target of direct trade retaliation.
著者
児玉 晴男 鈴木 一史 柳沼 良知
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.95-105, 2012-03

放送アーカイブの構築は,「e-Japan戦略II」で取り上げられた重要な施策である。この放送アーカイブは,放送事業者により著作・制作された放送番組が対象となっている。ここで,放送番組のコンテンツの構造は,テキストと映像(動画,静止画)からなっている。そのテキストと映像とがメディア融合されアーカイブされたコンテンツは,インターネット配信される対象としてのウェブキャストコンテンツを指向するものになろう。ところが,その取組みは,十分に履行されている状況にあるとはいえない。その要因に,著作権とプライバシーとの相関問題がある。もうひとつの課題として,倫理的な問題がある。本稿は,コンテンツのインターネット配信に関する法的・倫理的な課題への対応について,著作権法制と情報法制および放送倫理と出版倫理などを統合する観点から考察する。その考察から,わが国の社会制度に適合したコンテンツのインターネット配信に関する社会情報システムは,コンテンツ管理と権利管理が相互に連携し,権利管理を財産権の保護と制限および人格権とコンテンツの同一性の保持とを連携させることによって,効率的で合理的に機能するものとなることを導出する。そして,コンテンツのインターネット配信を促進するための,コンテンツ管理と権利管理とが相互に連携するコンテンツの著作・制作・保存の仕組みの開発事例について紹介する。
著者
加藤 一実 鈴木 一行 符 徳勝 西澤 かおり 三木 健
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1281, pp.403-407, 2002-05-01
被引用文献数
1

Ca_2Bi_4Ti_5O_<18> (CBTi245) thin films were deposited by spin-coating a precursor solution of metal alkoxides on Pt-passivated Si substrates. Thickness of the as-deposited amorphous layer affected the nucleation site, microstructure and electrical properties. The onset of crystallization of thin films to a pyrochlore phase was below 550℃ via rapid thermal annealing in oxygen. A perovskite phase developed by further annealing at temperatures of 650 or higher. The CBTi245 thin films which were prepared by multi-coating and multi-crystallizing of the 20 nm-thick amorphous layer showed random orientation, a columnar-like structure, and P-E hysteresis loops.
著者
巽 敏之 菊池 圭 小池 義和 鈴木 一成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.401, pp.97-100, 2012-01-19

キャビテーション環境での絶対音圧計測は半導体基板における高周波超音波洗浄において重要である。しかし,従来のニードル型ハイドロホンではキャビテーション気泡により損傷の恐れがある。筆者らは,屈折率変調方式の光ファイバハイドロホンを超音波洗浄機の絶対音圧計測に適用を試みている。光ファイバハイドロホン及びマイクロホンは集束超音波の分野で利用されてきているが,キャビテーション気泡の影響による出力変化が音圧計測の妨げになることが問題となる。今回の報告で,キャビテーション環境で光ファイバハイドロホンの適用可能性について検討する。検出機構を増やし気泡の影響を補う計測法を提案する。
著者
山田拓人 鈴木一徳 和良品友大 林隆史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.635-637, 2011-03-02

近年、Hadoopなどの大規模のデータを分散処理するフレームワークが<br />普及したことにより、蓄積された大量のデータを分析する<br />データマイニングが盛んに行われている。<br /><br />しかしながら、複数の異なる種類のデータを組み合わせた分析では、<br />各々のデータフォーマットが異なるため、分析処理が複雑になってしまう。<br /><br />そこで我々は異なる種類のデータを組み合わせた分析を容易にするために、<br />様々なデータをある一定の形式に変換可能な情報基盤を構築した。<br />具体的には、すべてのデータを分析処理が容易なXML<br />または構造を持ったテキスト形式に変換する。<br /><br />構築した基盤を用いて、<br />各種センサー・医療用データ・天候データ<br />を組み合わせたデータマイニングの結果も含めて報告する。
著者
鈴木 一郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ヒドラジン、ヒドラジド型不斉有機触媒を用いた不斉Biginelli反応に関して検討を行った。ピラゾリジン塩酸塩が高活性を示したことから、これを元にアザプロリン型不斉触媒を合成し、Biginelli反応に応用した。しかしながら、ピラゾリジンに比べ、触媒活性が大きく低下したほか、不斉収率は低いことが解った。このほかにジアミイミダゾリジノン、アミノオキサゾリジノン型触媒を検討した。これらの触媒はDiels-Alder反応においては高活性を示し、不斉収率も極めて高かった。
著者
鈴木 一之 井関 邦敏 中井 滋 守田 治 伊丹 儀友 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.551-559, 2010-07-28
参考文献数
40
被引用文献数
3 2

透析条件・透析量と生命予後の関係を明らかにするため,日本透析医学会の統計調査結果を用いて,後ろ向き・観察的な研究を行った.2002年末の週3回施設血液透析患者を対象に,事故・自殺を除く死亡をエンドポイントとして,患者の透析条件・透析量と2003年末までの1年死亡リスク,および2007年末までの5年死亡リスクについて,ロジスティック回帰分析を行った.2002年末の平均的透析条件は,透析時間239分,血流量(Qb)192 mL/分,ダイアライザ膜面積(膜面積)1.55 m<SUP>2</SUP>,透析液流量(Qd)486 mL/分であった.また,尿素の標準化透析量(Kt/V urea)は平均1.32,指数化しない透析量(Kt urea)は平均40.7 Lであった.予後解析の結果,透析時間は240分以上270未満を基準として,それより透析時間が短い患者群で死亡リスクが高く,透析時間が長い患者群で死亡リスクが低い傾向を認めた.Qbは200 mL/分以上220 mL/分未満を基準として,それよりQbが少ない患者群で死亡リスクが高く,Qbが多い患者群で死亡リスクが低い傾向を認めた.膜面積は1.2 m<SUP>2</SUP>未満の患者群で死亡リスクが高かったが,それ以外の膜面積と死亡リスクの関係は明確ではなかった.透析量はKt/V urea 1.4以上1.6未満またはKt urea 38.8 L以上42.7 L未満を基準として,それより透析量が少ない患者群では死亡リスクが高く,それより透析量が多い患者群で死亡リスクが低かった.以上の傾向は,残腎機能がないと仮定が可能な,調査時点で透析歴5年以上の患者で顕著であった.一般的な週3回血液透析では,平均的な透析条件・透析量よりも,透析時間の延長やQbの増加によって透析量を増大させることが,患者の生命予後の改善につながる可能性が示唆された.
著者
中井 滋 政金 生人 秋葉 隆 井関 邦敏 渡邊 有三 伊丹 儀友 木全 直樹 重松 隆 篠田 俊雄 勝二 達也 庄司 哲雄 鈴木 一之 土田 健司 中元 秀友 濱野 高行 丸林 誠二 守田 治 両角 國男 山縣 邦弘 山下 明泰 若井 建志 和田 篤志 椿原 美治
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-30, 2007-01-28
被引用文献数
19 7

2005年末の統計調査は全国の3,985施設を対象に実施され, 3,940施設 (98.87%) から回答を回収した. 2005年末のわが国の透析人口は257,765人であり, 昨年末に比べて9,599名 (3.87%) の増加であった. 人口百万人あたりの患者数は2,017.6人である. 2004年末から2005年末までの1年間の粗死亡率は9.5%であった. 透析導入症例の平均年齢は66.2歳, 透析人口全体の平均年齢は63.9歳であった. 透析導入症例の原疾患毎のパーセンテージでは, 糖尿病性腎症が42.0%, 慢性糸球体腎炎は27.3%であった.<br>透析患者全体の血清フェリチン濃度の平均 (±S.D.) は191 (±329) ng/mLであった. 血液透析患者の各種降圧薬の使用状況では, カルシウム拮抗薬が50.3%に, アンギオテンシン変換酵素阻害薬が11.5%に, アンギオテンシンII受容体拮抗薬が33.9%に投与されていた. 腹膜透析患者の33.4%が自動腹膜灌流装置を使用していた. また7.3%の患者は日中のみ, 15.0%の患者が夜間のみの治療を行っていた. 腹膜透析患者の37.2%がイコデキストリン液を使用していた. 腹膜透析患者の透析液総使用量の平均は7.43 (±2.52) リットル/日, 除水量の平均は0.81 (±0.60) リットル/日であった. 腹膜平衡試験は67%の患者において実施されており, D/P比の平均は0.65 (±0.13) であった. 腹膜透析患者の年間腹膜炎発症率は19.7%であった. 腹膜透析治療状況に回答のあった126,040人中, 676人 (0.7%) に被嚢性腹膜硬化症の既往があり, 66人 (0.1%) は被嚢性腹膜硬化症を現在治療中であった.<br>2003年の透析人口の平均余命を, 男女の各年齢毎に算定した. その結果, 透析人口の平均余命は, 同性同年齢の一般人口平均余命のおよそ4割から6割であることが示された.
著者
鈴木 一生 根本 栄治
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
茨城講演会講演論文集 : Ibaraki district conference
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.121-122, 2007-09-28

To clarify the relation to the power generation of the fractal and the solar battery, the amounts of power generation when not using it in case of the case to use the fractal figure were compared in this research. The figure prepared two kinds (the Sierpinski carpet and Sierpinski gasket). In addition, each reversing figure was prepared and it experimented. The experiment measured the change in the amount of power generation while changing the complexity in the figure. As a result, it was clarified that the amount of power generation changed when the fractal figure was used
著者
鈴木 一成 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎 小池 義和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.81, pp.7-10, 2009-06-04

半導体枚葉洗浄において,石英導波路管を伝搬体とした新しい超音波洗浄機用振動子を提案する.中実棒を伝搬体とした場合,超音波は縦振動で伝搬し,定在波による振動分布が生じる.一方で導波路管壁での超音波は横(屈曲)振動で伝搬し,進行波成分が増す.また,導波路管壁は伝搬液を経由した音源振動により間接的に駆動する,導波路管壁面振動には伝搬液内で生成された高調波成分が観測される.枚葉スピン洗浄機に導波路管型振動子を搭載し,CMP後洗浄での微粒子除去率(PRE:Particle removal efficiency)との関連を評価した.
著者
鈴木 一成 小池 義和 潘 毅 岡野 勝一 副島 潤一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.17, pp.23-28, 2009-04-17
被引用文献数
1

半導体ウェーハの枚葉洗浄処理にスピン洗浄機が使用されており,1MHz程度の流水式高周波超音波振動子は微粒子除去に有効である.流水中の超音波は伝搬距離が短いが,内径4mm程度の石英ガラス製導波路管を適用することで伝搬距離が延長される.本稿ではCMP後洗浄での微粒子除去率(PRE)および導波路管内の音波伝搬について評価を行う.導波路管内の音波伝搬は壁面吸収による減衰が支配的となる.音源入力5Wでの壁面吸収係数は計算値と一致するが,30Wでは異なる.このとき音源近傍の音圧は578kPa(235.2dB)に達し,導波路管出口での受波音圧レベルは非線形吸収に伴う飽和現象を示す.高調波成分の観測や衝撃波形成距離についても検討する.
著者
馬場 悠男 鈴木 一義
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series D, Anthropology (ISSN:03853039)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-9, 2005-12

In the late Edo era, a human skeleton intended for medical education was carved from cypress wood by a craftsman, Ikeuchi under the supervision of a medical doctor, Banri Okuda in Osaka City. The model for the carving was based on a criminal's skeleton. The skeleton was beautifully made to be articulated and assembled by various methods, which reveals excellent craftsmanship. By and large, the wooden skeleton shows morphological characteristics usually seen in early middle-aged females of the Edo era. The wooden skeleton might have been used for the promotion of European medicine, which was emergent in the Edo era Japan, rather than for practical medical education.
著者
鈴木 一臣 入江 正郎 田仲 持郎 山本 敏男
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

インプラント歯科治療における骨の誘導を促すことおよびインプラント上部構造体(クラウン、ブリッジ等)の新規接着材を開発した。チタン製インプラント表面をリン酸化プルラン処理することによって、ラット脛骨に埋移入2週間後でチタン表面に新生骨の形成が促進された。一方、ウレタンジメタクリレートにアミノ酸(シスチン)誘導体を15~20%添加することで、金銀パラジウム合金に対して22.4MPa(SD:1.8)の接着強さを示し、5-55℃熱負荷2万回後においても10%の低下に止まった。