著者
鈴木 健太郎
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-28, 1995

今日の日本における占い人気の高さは世人の広く認めるところであるが、現代日本の占いを扱った学術的な研究は未だほとんどなされていないのが現状である。そこで、本稿ではまず、今後行われるべき占い研究の足がかりを得るために、複雑多様な様相を見せている諸々の占いを幾つかの類型に分類・整理することを試みる。類型化にあたっては、個々の占いを成り立たせている究極的根拠(占考原理)の種別と、運勢を好転させるための対処策の性格に見られる差異を分類の指標とし、研究の資料には一般読者向けに書かれた「占い本」を用いることにする。さらに後半では、分類作業によって得られた3つの類型のそれぞれが持つ固有の特質を、人間の運勢を左右する基因が人間とどのような関係にあると捉えられているかといった把捉様式のレベルに求めていく。そこには日本の宗教的な思惟・意識の構造を解明するための糸口の一つが潜んでいると考えられるからである。
著者
小関 卓也 堀 茜 見原 好治 河本 かずさ 伏信 進矢 小宮 大 鈴木 健太郎 祥雲 弘文 若木 高善 村山 哲也 塩野 義人
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.111-116, 2012-05-20 (Released:2017-12-24)
参考文献数
30
被引用文献数
1

フェルラ酸は植物細胞壁に存在する最も豊富なヒドロキシ桂皮酸の1つで,ヘミセルロースのキシランにおいては側鎖のアラビノフラノースのO-5あるいはO-2の位置に,ペクチンにおいては側鎖のアラビノフラノースのO-2あるいはガラクトピラノースのO-6の位置でエステル結合している。また,フェルラ酸は5,5'-,8,5'-,8,8'-および8-O-4'-結合によるダイマーを形成し,キシラン,ペクチン,リグニンとの架橋を形作っている。麹菌Aspergillus oryzae RIB40のゲノム配列情報を基に,ヘミセルロースの効率的分解に寄与するフェルラ酸エステラーゼと類似する遺伝子配列をいくつか見出し,それら遺伝子をクローン化し,Pichia pastorisで発言させた。それぞれのリコンビナント酵素のうちAoFaeBとAoFaeCはタンナーゼファミリーのフェルラ酸エステラーゼで,一次構造と一般的性質は似ていたが,いずれもタンナーゼ活性は検出されず,また,それぞれの酵素はシナピン酸エステルに対する特異性が異なっていた。AoPrbAはAoFaeBおよびAoFaeCと一次構造は類似しているものの,フェルラ酸エステラーゼ活性やタンナーゼ活性は検出されず,4-ヒドロキシ安息香酸エステル特異的なエステラーゼで,タンナーゼファミリーに分類されるエステラーゼは,その多様性が示唆された。
著者
鈴木 健太郎 菊池 恵美子 木之瀬 隆
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.23-33, 2007-06-25
被引用文献数
3

車いす移送車両の安全性と快適性の現状と課題を明らかにすることを目的に,利用する障害当事者にアンケート調査を実施した。回答者は119名で,その中で65歳以上の高齢層の症例は79名(66.4%)であった。結果,利用時の事故遭遇者は11名(9.2%),ヒヤリ・ハット体験者は11名(9.2%),乗り心地に何かしらの問題を感じる症例は66名(55.5%)であった。得られた回答を,年齢,身体障害の程度,使用している車いすの種類,添乗者の有無,乗り心地の状況で分析した結果と記述意見から,車いす移送車両やその利用における課題は,車いすを車いす移送車両に固定する方法,車いすと利用者との適合,車体や道路状況の改善とそれに応じた運転の配慮,運転手や添乗者の気配りや理解,対応方法や安全確認にあることが示唆された。
著者
小柳 隆人 Kotaro YAMAMOTO 鈴木 健太郎 君塚 涼
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Q2GS901, 2020 (Released:2020-06-19)

Open-Domain Question-Answeringは機械読解と情報検索の複合タスクであり,通常のQuestion Answeringのタスクと異なり,質問の解答を含む文献データがないため,文献候補を発見する必要がある.本論文ではこのタスクの解決のために,1. 機械読解学習データに基づくクエリの拡張,2. 機械読解の出力活性化関数のsigmoid化,3. 機械読解スコアのマージとランキングの3つのアプローチを提案する.評価実験では文献データを取り除いた日本語の質問応答データセットを用い,従来の手法を適用した場合に比べ,提案手法の回答精度が向上したことで提案手法の有効性を示す.
著者
原 進 鈴木 健太 山田 陽滋
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00208, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
17

Recently, proceeding of the aging society has encouraged research and development of power assist systems. The authors' research group studies on the assist system control using an assist cart as a rollator. The merit of the proposed system is the aging people walk by themselves using the cart as the assisting tool and it helps anti-aging. Most serious problems of the proposed system are the avoidance of fallings and collisions without losing operability. To solve the problem, this paper proposes the remote control system taking operators' safety and operability into account. The remote control has a possibility of the establishment of the cost-effective multiple target control systems by reducing the requirement for each control target system. However, because of the limitation of communication data capabilities, the controller cannot grasp the state of the controlled object completely. To grasp the state and keep the safety, the authors apply an evaluator in the remote control system. It detects the effect of the uncertainty and keeps the controlled object safe. In addition, as an interface for the users to avoid the collisions, this paper applies the stiffness control. Introducing the virtual spring into the control system, the proposed system prevents the controlled object to collide the obstacle, without losing operability. Based on an application example for the one-dimensional assist rollator collision avoidance, this paper reveals the practicality of the proposed system by conducting experiments and the simulations. The result shows the proposed way is one of the effective ways for applying a remote control system to the assist system problem.
著者
岡田 東一 鈴木 健太郎 柴田 俊一 萩原 武士 兼田 利勝
出版者
福井工業大学
雑誌
福井工業大学研究紀要. 第一部 (ISSN:02868571)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.159-166, 2003-03-20

The time capsule [Biological and Environmental Specimens Time Capsule] aims at the storage of biological and environmental data on contemporary earth until 1000 year future from now on. In order to make the samples kept in the capsule for ultra-long time useful in judging that of biological and environmental degradation of the earth comparing the data with 1000 year time difference, two conditions for the biological contents in the capsule are necessary they are: (1) oxygen free and (2) temperature below -60℃, which should strictly be fulfilled for 1,000 years. The ultra-long-term recorder has been developed which is energized by the stored energy of the materials. The time span [t] is regulated by the torsion creep behavior of pure copper. The pressure [P] in the capsule is to be monitored by a pen cylinder type pressure gauge, and temperature [T] by bimetal. All these three essential key values: P, T, in the capsule and time are to be recorded on the clean surface of metal plate with the scratch of the needles, which follows on each sensor. The extrapolation of the torsion creep data gives approximately 8 rotations on time scale shaft, which leads us to the 40mm transverse motion of scratch needles during 1000 year [3×10^<10>sec] lapse of time.
著者
北越 大輔 鈴木 健太郎 鈴木 雅人 山下 晃弘
出版者
東京工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

ICT機器(スマホ,タブレット等)と自宅に設置したセンサを用い,高齢者が要支援・要介護状態となることを予防する取組を,家族や地域を巻き込み継続的に実現可能とする包括的介護予防システムの構築を目指す.これまで個別に開発してきた認知訓練部,見守り部,対話エージェントの各々に改善や拡張を加えながら統合を図る.各部,各機能の有効性や,統合後のシステム利用を通した長期的・相乗的な介護予防効果について評価する.
著者
鈴木 健太郎
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-28, 1995-06-10 (Released:2017-07-18)

今日の日本における占い人気の高さは世人の広く認めるところであるが、現代日本の占いを扱った学術的な研究は未だほとんどなされていないのが現状である。そこで、本稿ではまず、今後行われるべき占い研究の足がかりを得るために、複雑多様な様相を見せている諸々の占いを幾つかの類型に分類・整理することを試みる。類型化にあたっては、個々の占いを成り立たせている究極的根拠(占考原理)の種別と、運勢を好転させるための対処策の性格に見られる差異を分類の指標とし、研究の資料には一般読者向けに書かれた「占い本」を用いることにする。さらに後半では、分類作業によって得られた3つの類型のそれぞれが持つ固有の特質を、人間の運勢を左右する基因が人間とどのような関係にあると捉えられているかといった把捉様式のレベルに求めていく。そこには日本の宗教的な思惟・意識の構造を解明するための糸口の一つが潜んでいると考えられるからである。
著者
内藤 直人 前田 健一 山口 悟 牛渡 裕二 鈴木 健太郎 川瀬 良司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_361-I_370, 2013 (Released:2014-03-14)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Cushioning materials, such as sand cushion placed on rock sheds, are attracting attention as construction devices that can effectively disperse and reduce rock fall energy before rocks collide with rock fall protection works. To support performance-based designs for rock fall countermeasures, the present study estimated rock fall behaviors and impact forces using 2D discrete element method (2D-DEM). As one of the typical behaviors, propagated impact force can exceed impact force of falling mass. We conducted two numerical analysis focused on this phenomenon; monotonic penetration test controlling under constant penetration velocity, and removing falling mass during penetration process for any time. In addition, the effects based on some condition of sand cushion, weight of falling mass and its velocity are examined from the view point of impact force-penetration relationship of sand cushion.
著者
鈴木 健太
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.401-395, 2019-12-20 (Released:2020-09-10)
参考文献数
6

This paper investigates the kṣāntipāramitā in the smaller Mahāprajñāpāramitāsūtras. Translated terms in the Daoxing banruo jing 道行般若経 (T. 224), the oldest version of the smaller Mahāprajñāpāramitāsūtras, were examined first. The translator of the Daoxing banruo jing, Lokakṣema, had translated kṣānti into 忍辱, kṣāntipāramitā into 羼提波羅蜜, and anutpattikeṣu dharmeṣu kṣāntiḥ into 無所従生法楽. Moreover, the Daoxing banruo jing barely explained the contents of the practice of kṣānti. In conclusion, the smaller Mahāprajñāpāramitāsūtras did not change the contents of kṣānti practice already known through other sūtras and elsewhere.
著者
藤原 建紀 鈴木 健太郎 木村 奈保子 鈴木 元治 中嶋 昌紀 田所 和明 阿保 勝之
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.145-158, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
43
被引用文献数
3

海域の全窒素 (TN) ・溶存無機態窒素 (DIN) が大きく低下した大阪湾において, 生態系の栄養段階ごとに生物量の経年変化および季節変動パターンの変化を調べた。調査期間の1990~2019年には, 経年的水温上昇はほとんどなかった。DINの低下に伴って, 一次生産量が減り, クロロフィルで測った植物プランクトン量が減り, これが繊毛虫・カイアシ類などの動物プランクトンの減少, 仔稚魚量の減少へと連動していた。生態系全体としては, 各栄養段階の現存量がほぼ線形的に応答するボトムアップのシステムとなっていた。TNの低下が, DINの枯渇期間を夏のみから, 春から夏に広げ, これによる一次生産量の低下が, 上位栄養段階への窒素フローを減らしたと考えられた。また, 仔稚魚では, 内湾性魚種はどの優占魚種も生物量が大きく減少していた。一方, 広域回遊性のカタクチイワシだけは減らず, この一種のみが優占する状態に変化していた。
著者
濱田 真由美 佐々木 美喜 住谷 ゆかり 鈴木 健太 仁昌寺 貴子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.5_875-5_889, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
75

目的:授乳を行う母親の体験に関する質的研究結果を統合する。方法:質的研究40件を抽出し,メタ・サマリーを行った。結果:授乳に必要とされる自律性を発揮する体験,意思をもって授乳方法を選択する体験,母乳を与えようと努力する体験,母乳に母子関係を投影する体験,母乳に「母親」を投影する体験,断乳・卒乳・離乳と折り合いをつける体験,授乳に対する否定的体験,支援に満足した体験,支援に不満を抱いた体験の9トピックと30の結果に統合された。出現頻度が高かった結果(effect sizes 20~38%)は,母乳育児や搾乳に伴う身体的・精神的苦痛,「母親」としての自己価値が揺るがされる体験,母親の自律性や意思を示す体験であった。結論:母乳を与えることに伴う母親の身体的・精神的苦痛や自己価値が揺るがされる問題状況に取組み,母親の自律性や意思を尊重した支援創出に向けた研究が必要である。