著者
山下 梓 篠原 雄治 坂井 浩晃 宮本 靖久 鈴木 康司 永富 康司
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.41-46, 2020-02-25 (Released:2020-04-24)
参考文献数
9

レトルト殺菌を受けた人毛DNAは,湯せんや電子レンジ加熱と比較して著しく断片化することから,この断片化をPCRで検出することでレトルト殺菌履歴の判別,すなわち人毛が工程内で混入したか否かを判断できると考えた.ヒトDNA特異的検出プライマーとして,レトルト殺菌判別には増幅産物長約500 bp,DNA抽出確認用に増幅産物長約200 bpとなるプライマーセットをそれぞれ設計し,微小な人毛でも評価できるようにした.増幅産物はアガロースゲル電気泳動後,蛍光染色で可視化した.混入モデル試験として,人毛をレトルト殺菌し,その抽出DNAを鋳型にレトルト殺菌判別用プライマーセットでPCRを行った結果,DNA増幅は認められず,非加熱,湯せん,電子レンジ加熱では増幅が認められた.また,DNA抽出確認用プライマーセットではいずれの加熱条件においてもDNA増幅が認められた.一方,人毛以外の混入も想定して,脊椎動物共通プライマーも同様に設計し,9種のペットや家畜由来DNAを検出できることを確認した.本手法はレトルト殺菌を受けた人毛DNAの熱分解を特異的に検出でき,レトルト食品中に発見された毛様異物の混入時期推定に有用な分析手法であると考えられた.
著者
吉田 直哉 鈴木 康弘 安部 高太朗
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.81-89, 2018 (Released:2019-01-23)
参考文献数
30

本稿の目的は、保育者の専門性に関する議論の現状と、その課題を明らかにすることにある。現在の保育者の専門性論には、保育者の専門性を、具体的に保育者が向き合う複数の職務の場面ごとに専門性を当てはめていく論法、あるいは、ケアという保育者にとっての根源的・核心的な専門性を想定し、そこから保育者の具体的な職務能力が派生すると考える論法の二つの形態が見られる。前者は、複数に分化した専門性の間の関連性が見失われがちであるという欠点、後者は、ケアという心理的・倫理的概念が、保育者の専門性を、個人の人格的な特性や資質といった、訓練可能なスキル以外のものに押し込めてしまう欠点を有している。今後の保育者の専門性論は、これらの欠点の克服、つまり、保育者の専門性諸要素の構造化と、保育者の専門性を訓練可能、伝達可能なスキル・知識の体系として構築することという二つの課題に向き合わなければならない。
著者
鈴木 康夫
出版者
警察政策学会 ; 1999-
雑誌
警察政策
巻号頁・発行日
vol.20, pp.263-303, 2018
著者
鈴木 康弘 佐藤 三佳子 森松 文毅 高松 薫
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.159-169, 2004-03-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
3 9

The histidine-containing dipeptide carnosine (p-alanyl-L-histidine) exists widely in the skeletal muscle of vertebrates. The biological role of carnosine has not been well established, but it is believed to act as a cytosolic buffering agent. We prepared an extract of chicken breast meat that is an abundant source of carnosine and its related dipeptide anserine (β-alanyl-1-methyl-L-histidine). The purpose of this study was to examine the effects of extract (CBEX^<TM>) supplementation on high-intensity intermittent exercise performance. Eight male subjects performed two experimental trials (CBEX and placebo treatment). Each trial consisted of two intermittent cycle ergometer sprints separated by a 20-min recovery period. Intermittent exercise consisted often 5-s maximal sprints with 25-s of recovery between each sprint. The subjects were given 190 g of experimental soup containing either 40 g of CBEX or no CBEX 30 min before each trial. Anserine and its related amino acid in plasma were detectable 30 min after CBEX supplementation. However, plasma carnosine was not detectable. In the CBEX group, the subjects exhibited high power during the latter half of intermittent exercise compared with the placebo group. These results suggest that pre-exercise CBEX supplementation improves intermittent exercise performance, possibility by restraining the decrease of intracellular pH and thereby delaying the onset of fatigue.
著者
木村 宏樹 元田 英一 鈴木 康雄 金井 章 吉倉 孝則 種田 裕也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.225-232, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

前十字靱帯(ACL)再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練の一つにレッグプレス運動がある.本研究では,レッグプレス運 動において,姿勢の違いがACL にかかる負荷である脛骨引き出し力や筋張力に与える影響について考察した.矢状面から動作計測を行い,下肢関節角度と足部に作用する反力から筋骨格モデルを用いて脛骨引き出し力や筋張力を推定した.11 種の姿勢について検討した結果,脛骨へは常に後方引き出し力が作用しACL 再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練としてレッグプレス運動は安全であること,体幹を屈曲させることでより大きな後方引き出し力が作用しより安全に行えることが示唆された.
著者
伊藤 博隆 馬場 駿吉 高木 一平 大屋 靖彦 横田 明 伊藤 弘美 稲垣 光昭 小山 賢吾 北條 郷明 丸尾 猛 東内 朗 杉山 和子 河合 〓 森部 一穂 鈴木 賢二 柘植 勇人 板谷 純孝 鈴木 康夫
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.Supplement52, pp.107-118, 1991-12-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

Mao-bushi-saishin-to extract capsules (6 caps. /day) were administered orally to 61 perennial nasal allergy patients presenting with nasal obstruction for 4 consecutive weeks to assess the overall efficacy, safety and utility of the drug. In the doctor's evaluation, the overall efficacy rate covering excellent and good responses was 38.3% at week 2 of treatment and 54.7% at week 4 of treatment. The utility rate covering useful and higher ratings was 60.7%.Nasal symptoms, viz, sneezing attack, nasal discharge, nasal obstruction, dysosmia and interference with daily living were all improved. Nasal obstruction, in particular, disappeared in many cases, thus generating a high improvement rate. Nasal mucosal findings, viz, swelling of inferior turbinal mucosa, watery secretion in nasal cavity, and nasal discharge eosinophil count showed good improvements.The time course of each nasal symptom i n terms of the average score according to allergy diaries, revealed significant reduction in nasal obstruction, dysosmia and interference with daily life in severity at and after week 2 and sneezing and nasal discharge were significantly alleviated at week 4 as compared with the findings obtained during the baseline period.As side effects, headache was reported in one case and stomachache in one case. These symptoms were relieved after discontinuation of treatment.
著者
渡辺 朝一 鈴木 康
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.67-73, 2019-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
20

2005 年12 月11 日,越後平野の水田地帯の一角にある休耕田において,コハクチョウ137 羽がケイヌビエの種子を採食していた.コハクチョウによる休耕田の利用は希である.
著者
鈴木 康弘 渡辺 満久 廣内 大助
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, pp.861-870, 2004-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
8 9

The surface faults of the Mid Niigata prefecture Earthquake in 2004 appeared along preexisting active fault traces (lines) of the Obirou fault, as well as the northern part of the western marginal fault of the Muikamachi basin. The vertical displacement of surface faults are within 30 cm, and the three areas with distinct faults can be summarized as follows. At Obirou, in Hirokami village (Uonuma city), the road surface is vertically displaced by approximately 30 cm just along the active fault line, and the waterways located on the fault line are compressed and broken. At Shitakura, in the Horinouchi town (Uonuma city), the surfaces of both the highway and the old road are cracked and vertically displaced by approximately 20 cm. At Aoshima, in Koide town (Uonuma city), the surface faults clearly extend over 500 m in length. Paddy fields, gardens, waterways, roads, and houses are vertically displaced by approximately 20 cm. The facts mentioned above indicate that the Mid Niigata prefecture Earthquake in 2004 (probably the main shock) was caused by the rejuvenation of these active faults.
著者
河野 忠 鈴木 康久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

1780(安永9)年に出版された『都名所図会』は,日本で最初の名所図会といわれている。その中には当時の京都が文字による情報だけでなく,挿絵や鳥瞰図として写実的に描かれており,現在の観光ガイドブック的な存在として製本が間に合わないほどの売れ行きとなった。また,1787(天明7)年には,その続編となる『拾遺名所図会』が出版された。その中には名水の記述も多く,全部で150程度を数えることが出来る。1985年当時の環境庁が日本名水百選を発表したが,『都名所図会』に登場する名水は,さながら18世紀京都における名水百選といっても過言ではないだろう。これらの名水は現在どの様な状況に於かれているのだろう,という素朴な疑問から本研究を開始し,京都中の名水を対象に人文科学的および自然科学的な調査を実施した。『都名所図会』に登場する名水の分布は主に京都市街地に集中しているが,北は鞍馬山以北,南は奈良との境にまで及んでいる。多くの名水でその場所は特定できるものの,正確な場所が不明な名水も少なくない。しかし,それはほぼ市街地中央部から南西部に限られている。また,この地域の名水は,石碑のみのものや,新しく掘られたものが少なくないことが分かった。水質および同位体の分析結果から,京都盆地の地下水の水質は,井戸深度に依存するというよりも,地域によって特徴付けられていることが示された。盆地一帯の地下水は概ねCa-HCO3型を示しているが,地域によって(Na+Ca)-HCO3型やNa-Cl型,Na-HCO3型の水質組成を示す地点も見られた。京都盆地には複数の帯水層があることが確認されているが,盆地の地質は砂礫層が厚く堆積しているため,涵養された水は比較的速く浸透する。鴨川近辺の地下水は河川水が混合し,その影響が現れていると考えられる。また,北部山地の湧水では,石灰岩地域の影響を受けてCa-HCO3型の水質組成を示していた。一方,堀川周辺の地下水は井戸深度が比較的浅く,相対的にNO3-濃度が高くなっている箇所もあり,人間活動の影響を受けていると考えられる。名水の現状は,都市化や地下鉄開業などの影響もあって,鴨川以西,地下鉄東西線以南の地域はほぼ涸渇状態となっている。当時の地下水位が数m程度と推定されるものの,現在は50m前後,深いもので100mにも低下している。酒造メーカーの集中する伏見や宇治でも同様で,すべての井戸は新たに再掘削したものであり,宇治の八名水と言われた湧水群は,宇治上神社の「桐原水」のみが細々と湧出を見る程度である。東山以東や京都市街地以外の名水は,比較的当時の状態を保っていると考えられ,水質汚染もほとんど見られない。それに対して市街地にある名水は,西陣や伏見御香宮神社の「御香水」で,硝酸イオンが各々27.6,17.5mg/l検出された。また,近年の都市化や地下鉄開業による地下水環境への影響が名水の存在に大きな影を落としていることも判明した。その一方で,現存する多くの名水は,様々な伝説伝承を語り継ぎ,京都の水文化を物語る重要な文化財となっていることも明らかとなった。本研究は,平成21-23年度科研費補助金(基盤研究C)「『名所図会』を用いた京都盆地における水環境の復元」(研究代表者:河野 忠)の一部を使用した。
著者
山田 明宏 幡野 健 松岡 浩司 照沼 大陽 江角 保明 左 一八 鈴木 康夫 西川 喜代孝 名取 泰博
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.161, 2004 (Released:2010-03-29)

生体内の細胞表層上には、糖タンパク質や糖脂質などの複合糖質中の糖鎖が外側に向かってアンテナ状に存在している。生体内に侵入してきたウイルスや細菌は、これらの糖鎖をマーカーとし、感染することが知られている。近年、糖鎖のもつ生理活性を高効率で発現させる糖鎖クラスター効果が注目を集め、様々な支持体を用いた糖鎖クラスター化合物の構築が盛んに行われている。これまで我々は有機ケイ素化合物であるカルボシランデンドリマーを支持体として液晶など様々な機能性基の集積化および物性評価を行ってきた。カルボシランデンドリマーは世代の拡張や分岐数・鎖長の制御が容易であるなどの特徴がある。この為、カルボシランデンドリマーを用いて糖鎖を集積化した場合、標的とするウイルス・毒素の糖鎖結合部位に適した分子設計がナノオーダーで可能であり、新たな糖鎖製剤となることが期待できる。
著者
鈴木 康介 後藤 悠太 欠畑 岳 彼末 一之
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.18007, (Released:2019-04-18)
参考文献数
46

This study was performed to devise an instructional program for children who were not good at sprinting and to verify the program’s effectiveness for improvement of sprinting ability and motion. The participants were 19 upper grade elementary school children who were not good at sprinting. The program included 2 drills with some teaching devices and running on flat markers. The children attended the program for 8 days (2 days per week) and each lesson lasted an hour. In order to validate the program outcome, sprint time (50 m), interval speed (every 10 m), average speed, maximal speed, rate of speed decline, interval and average step frequency and step length were analyzed, and sprint motions were evaluated. The results were as follows: 1) Most of the children’s 50 m times were below the national average. This suggested that their negative feelings toward sprinting resulted from the realization that they were unable to run as fast as other children. 2) The children’s sprint times were improved after the program, and a significant correlation between pre-time and post-pre time was revealed. It was also found that the greater the increase in the children’s step frequency, the faster their sprint times became. These results suggest that sprinting instruction allows low-performing children to increase their step frequency and improve their sprint times. 3) The main aim of the program was to improve children’s sprint motions in the mid sprint phase, and the participants practiced start motions only twice during the program. As a result, speeds from the start to 10 m, 20-50 m, and maximum speed were increased significantly by this practice, suggesting that significant changes of speed led to improvement of the sprint times. 4) Participants became able to swing back their leg under their body and to make contact with the ground with the middle or front of the foot. Therefore it was considered that the drills and running on flat markers with teaching devices were valuable for improving the children’s sprint motions. 5) Although the scissors-like leg motion was not improved by practice with a color board and bells, the kneefolding motion of the swing leg did appear to be improved. Therefore, the children seemed to acquire basic skill in more rapid scissors-like leg motion. These results suggest that our instructional program was effective in enabling children to improve their sprinting ability and motion. However, additional research focusing on aspects such as the relationship between sprinting ability and sprint motion, or individual feelings and motor competency in the context of sprinting, will be needed.
著者
渡辺 満久 中田 高 後藤 秀昭 鈴木 康弘 西澤 あずさ 堀内 大嗣 木戸 ゆかり
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

海底活断層の位置・形状は、巨大地震の発生域や地震規模を推定する上で欠くことのできない基礎的資料である。本報告では、地震と津波が繰り返し発生している日本海東縁部において、海底地形の解析を行った。海底DEMデータと陸上地形(いずれも250 mグリッド)とを重ね合わせ、立体視可能なアナグリフ画像を作成し、陸上における地形解析と同世の作業を行った。 日本海東縁は新生のプレート境界として注目され、これまでにも海底地形や地質構造の特徴をもとに活断層が多数認定されてきた。また、歴史地震の震源モデルなどについても、いくつかの詳しい検討が報告されている。本研究によって、これまでの活断層トレースと比較して、その位置・形状や連続性に対する精度・信頼性が高い結果が得られたと考えられる。 松前海台の南西部(松前半島の西約100 km)~男鹿半島北部付近を境に、活断層の密度が異なる。北部では、活断層の数はやや少なく、南北あるいは北北西-南南東走向の活断層が多い。奥尻島の東西にある活断層をはじめとして、長大な活断層が目立つ。1993年北海道南西沖地震(M7.8)の震源断層モデルとして、奥尻島の西方で西傾斜の逆断層が想定されているが、海底にはこれに対応する活断層は認定できない。この地震の震源断層に関しては、詳細な海底活断層の分布との関係で再検討が必要であろう。後志トラフの西縁は、奥尻島東縁から連続する活断層に限られている。その東方には北北西-南南東走向の複数の活断層があり、積丹半島の西方沖には半島を隆起させる活断層が確認できる。 松前海台の南端から南方へ、約120 km連続する活断層トレースが認められる。これは、余震分布などと調和的であることから、1983年日本海中部地震(M7.7)の震源断層に相当すると考えられる。久六島西方では活断層のトレースが一旦途切れるようにも見えるが、これは、データの精度の問題かもしれない。これより南部では、北北東-南南西走向の活断層が密に分布している。粟島の北方の深海平坦面を、南から北へ延びる最上海底谷は、深海平坦面を変位させる(北北西側が隆起)の活断層を横切って、先行性の流路を形成している。このような変動地形は、極めて活動的な活断層が存在することを示している。なお、1964年新潟地震の起震断層に関しては、浅部の解像度が悪いため、十分には検討できない。 アナグリフ画像を用いて海底地形の立体視解析を行うことにより、日本海東縁部の海底活断層の位置・形状を精度よく示すことができた。その結果、歴史地震の震源域との比較が可能となった。また、海底活断層の位置・形状に加えて、周辺の変動地形の特徴を明らかにすることによって、地震発生域や津波の発生源の特定や減災になどに関して、より具体的な検証や提案が可能になると考えられる。今後は、歴史地震と海底活断層との関係をさらに詳細に検討してゆく予定である。
著者
竹内 健 山田 哲弘 鈴木 康夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.7, pp.1244-1250, 2015-07-05 (Released:2015-07-05)
参考文献数
25

クローン病は慢性炎症性腸疾患であり,病変は肛門病変を含め消化管に非連続性に発生する.若年者に多く発症し,経過も長いことから反復して画像検査を行う必要がある.生物学的製剤などが導入され治療方法が多様化することにより,病態把握のためにより詳細な画像評価が求められているが,被検者の身体的負担もできる限り軽減する必要がある.CT enterographyは腹部~骨盤部を一度に俯瞰できるだけではなく,腸管壁や腸管外病変も評価でき,空間・時間分解能の高い横断的画像検査方法としてクローン病の診断に非常に有用である.一方,X線被曝の低減化のためには,低線量CT導入や厳密な適応判断が求められる.
著者
鈴木 康弘 杉田 律子 鈴木 真一 丸茂 義輝
出版者
日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.825-830, 1997
参考文献数
25
被引用文献数
7 14

ひき逃げ事件で重要な物的証拠となる自動車用フロントガラスの微細片について, これに含まれる微量不純物をICP-MSで定量し, 分析値の比較によるガラス片相互の異同識別を試みた.マイクロ波加熱分解装置を利用して, 5mg以下のガラス片を粉砕せずに迅速に分解する条件を検討した.分析操作は以下のとおりである。試料約10mgを精ひょうしでテフロン製密閉容器に移し, フッ化水素酸及び過塩素酸各0.5mlを加えた後, マイクロ波加熱によりガラス片を完全に分解した.これに硝酸2ml及び内標準として10μg/mlのPd溶液0.1mlを加え, イオン交換蒸留水で25mlに希釈して測定用試料溶液を調製した.異同識別に有効な不純物として, Co, Rb, Sr, Zr, Ba, La及びCeの7元素が検出された.本法によるNIST標準試料の分析値は, CoとZrを除いて保証値と良好な一致を示した.本法を実際のフロントガラスの分析に応用したところ, 同一試料内での分析値の変動は異なる試料間の差異と比較して十分に小さく, 分析値の比較はガラス片相互の異同識別に有効であった.