- 著者
-
鈴木 康代
- 出版者
- 千葉県南房総市立丸山中学校
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2010
〈研究の目的〉本研究では中学校3年「水溶液とイオン」で,生徒の興味・関心を高め,自主的に学ぶ意義を感じる学習プログラムの開発を目指した。生徒に自ら学ぶ意義を感じさせる手段として,基礎知識を活用して問題解決したり実験結果から考察したことを表現したりする能動的な活動を取り入れること,モデルづくりや実験など体験学習を増やすこと,日常生活との関連を図ることの三つが有効かどうかを解明しようと試みた。〈研究方法〉1「水溶液とイオン」の単元で生徒の自主的な学びを引き出すため,学んだ知識を活用して問題解決し,考えを表現する授業プログラムを開発する。2 生徒の問題解決を助け興味・関心を高めるモデルや教具を開発する。3 学習内容と生活との関連を図り学ぶ意義を感じさせるため,専門家や企業との連携授業を企画・実施する。4 他の単元においても表現活動やモデルづくり,連携授業が有効かどうかを調査する。〈研究成果〉・単元全体を通して「乾電池の仕組み」を探ることを柱とした学習プログラムを組んだ。生徒は自ら積極的に問題解決しようとする姿勢をみせ,生徒の興味・関心を高め,イオンについて学ぶ意義を高めるのに有効であることが明確になった。・考察の際に生徒一人一人に制作させたイオンモデルを使用したことは,生徒の思考を進めることができ,目に見えないイオンについて初めて学ぶ中学生にとって,有効な手段であることが分かった。モデルと合わせて行った簡易電池作りや自作乾電池作りなどの体験学習は電池の仕組みを考えさせる上で有効であった。・企業や大学,博物館,高校の化学部との連携授業は「化学って凄い」と言う感想をひきだし,学んだことが実生活に生かされていることを実感させ,学習意欲向上に有効であった。・新学習指導要領で取り入れられた内容である遺伝・無脊椎動物の単元で,モデルづくり,連携授業,表現活動等同様の支援を入れた授業を実施した。知識の定着と学習意欲の高揚に効果があった。平成24年度の新学習指導要領全面実施に向けて,言語活動を含む新しい学習プログラムを作ることができた。