著者
鈴木 康治
出版者
経済学史学会
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.83-99, 2011 (Released:2019-08-20)

Defoe definitely agrees that luxury is a vice, though he also recognizes that luxury as a consumptive action entails economic benefits for the political society. Furthermore, he realizes that the conspicuousness of riches in consumptive actions can have morally restraining effects on the common people. The central theme of this article is to distinguish Defoe’s implications for the consumption theory from his discourses on luxury. For this purpose, it is expedient to focus on Defoe’s considerable regards for the English gentry, because it can clarify his luxury discourse in the social context wherein luxury is to be clearly comprehended as a consumptive action. When logically integrated with the gentry discourse, the luxury discourse represents the consumption theory in eighteenth-century England. Moreover, it is notable that morality is included in economic activities in Defoe’s luxury discourse. Defoe struggles to find a cohesive logic in his social theory closely relevant with the structural change of his time. In this contemporary dynamics, it is the gentry comprising virtuous individuals with riches and intelligence that he expects to find as the leading entity governing the new hierarchical order to be settled with the quality and quantity of their consumptive actions. Thus, it is safe to say that Defoe’s theory of consumption correctly grasps the social order newly established in eighteenth-century England. JEL classification numbers: B 31, Z 19.
著者
鈴木 康之 森山 聡之 杉本 等
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

1)「携帯端末の高度情報取得」を司るシステムの検討:高度測定の要素技術としてRTK測位に着目し、この手法を援用しシステム化を行い評価することを目指している。具体的には、申請者の所属する機関に過年度設置され観測データが無償公開されたRTK基準局との間で、当該サーバに新たに本研究の経費で電波の送信設備を設け(管理者から内諾取得済み)無線通信を行いながら補正情報をスマホに取り組む方法の、高効率化を含む必要な計測を行う。対象地域が広範なため、加えて小セル方式のWiFiは実用性に乏しいため、WiFi以外に電波法上取り扱いの支障が少ない「デジタル簡易無線(H30年度までに措置済み、フィージビリティの確認済み)」「LoRaWAN等のデジタル系特定小電力無線(H31措置予定)」を利用し、どちらの方式が優位か比較検討する。2)端末とサーバ間インターフェースを司る基本構成の検討:端末の取得データを各種データベースと紐づくサーバに集積するソフトを設計し実装する、現在骨格部分の設計が完了しており、最大の関門を通過した。前項のRTK基地局からの補正データを受信すると同時あるいは逐次に端末の測位データを危険度マップ生成サーバに向け送受信する機構を構築する必要があり、送受の切り替えタイミングや周波数相互間干渉の有無について、パラメータを大きく振った網羅的な試験研究と最適化検討を引き続き行っている。3)単体での運用によるフィージビリティの確認:今後、優先順位づけの基本となる「勝率データ」の蓄積の有効性について検討する予定である。端末1台を試作し100か所の「出発地点」と20種類の「水害到来シナリオ」を設定し高度測定・結果判定・サーバへの蓄積の状況を確認する準備が整った。4)その他:測位航法学会・日本災害情報学会・地理情報システム学会等において情報交換を行う。H30年度は日本災害情報学会で発表した。
著者
相本 啓太 太田 進 上田 誠 鈴木 康雄 元田 英一 木村 宏樹
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.90-96, 2011-04-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2

【目的】膝歩きは臨床で骨盤に対するアプローチとして使われることがあるものの,その動作特性の解析に関する報告は少ない。そのため本研究は骨盤に着目し,膝歩きを歩行と比較することで,膝歩きの運動特性を解析することを目的とした。【方法】対象の健常者24名(22 ± 2歳)に三次元動作解析装置用マーカーを貼付し,歩行と膝歩きの1歩行周期における骨盤可動域の平均変化量,重心移動を解析し,比較を行った。また,体幹・骨盤近位の7筋での立脚期,遊脚期における% MVC(% Maximum Voluntary Contraction:最大随意収縮に対する割合)を求め,歩行と膝歩きの比較を行った。【結果】骨盤前後傾・水平回旋可動域の平均変化量において,膝歩きの方が有意に高値を示した。筋活動量は立脚期,遊脚期において計測した多くの筋で歩行と比較し,膝歩きの方が有意に高値を示した。【結論】膝歩きは,骨盤の可動性・近位筋の活動性を高める運動療法として有用である可能性があると考えられた。
著者
越智 敦彦 直井 牧人 江夏 徳寿 藤崎 明 船田 哲 鈴木 康一郎 志賀 直樹 太田 智則 久慈 弘士 細川 直登 岩田 健太郎
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.644-648, 2011 (Released:2012-08-09)
参考文献数
7

連鎖球菌感染の内,特にA群溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎は短時間に敗血症性ショック,多臓器不全から死に至る可能性がある重症感染疾患であり,救命には早期かつ適切な治療(壊死組織のデブリードマンと抗菌薬加療)が要求される.デブリードマンされた組織の鏡検にて連鎖球菌を認めた場合,それがA群溶血性連鎖球菌であるかどうかは,培養結果を待つことなく咽頭用の迅速A群溶血性連鎖球菌抗原検出キット(ストレップA)を用いることで予想することができる. 今回我々は,この検査キットを使用することで早期にA群溶血性連鎖球菌感染症と判断し得た,61歳男性の陰部に発症した壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)の1例を経験した.その起炎菌の早期同定が,適切な外科的処置と抗菌薬の選択を可能とし,救命に繋がったと考えられたため報告する.
著者
渡辺 朝一 鈴木 康
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.155-160, 2011-03-20 (Released:2013-03-20)
参考文献数
14

We observed Bewick's Swans Cygnus columbianus foraging upon rhizomes of Sparganium japonicum at narrow waterway in rice fields in Shibata City, Niigata Prefecture, in November, 2007.
著者
鈴木 康譯 星野 良一 藍澤 鎮雄 大原 健士郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.561-568, 1981-06-15

抄録 母親(57歳)・息子(26歳)の間でみられたfolie à deuxについて,心理学的背景とその経過を中心に,臨床精神医学的な考察をおこなった。発端者は息子であり,劣位者であるはずの息子から優位者である母親に妄想が伝播しており,西田の『二重の結合』があてはまる。息子の妄想発症には,わずかな刺激で動揺する感情面の未熟さ・敏感さが関係しており,心因反応性に生じている。継発者の母親において妄想が強固であるが,①思考の発展性や可塑性が十分といえず細かいことに拘泥しやすいこと,②主観性の高いこと,③内的洞察力の不足,等といった心理状況が大きく左右していると思われる。従来folie à deuxの心理機制として,同情と共感・被暗示性などが言われているが,上記の事実も無視できない。なお,本症例では,経過中に母子心中未遂がみられているが,それがfolie à deux解体の動因となっていることも注目される。
著者
鈴木 康秋 伊藤 啓太 上原 聡人 上原 恭子 久野木 健仁 藤林 周吾 芹川 真哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.923-930, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

68歳,男性.肝障害精査にて当科受診.トランスフェリン飽和度,血清フェリチンが高値のため,鉄過剰症が疑われた.肝MRI(magnetic resonance imaging)IDEAL(Iterative Decomposition of water and fat with Echo Asymmetry and Least-squares estimation)IQのR2*MapによるR2*値が著明に高く,高度の肝内鉄沈着所見を呈した.肝組織生検の鉄染色では,肝実質細胞内に高度の鉄沈着をびまん性に認め,肝ヘモクロマトーシスの診断となった.MRI IDEAL IQによる新たな鉄測定法は,ヘモクロマトーシスの非侵襲的検査法として有用である.
著者
鈴木 康宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-38, 2020 (Released:2020-08-27)
参考文献数
8

This is the age of the Fourth Industrial Revolution, and rapid digitization is bringing about tremendous changes in our society and business. In particular, new technologies such as IoT (Internet of Things), Big Data, and AI (Artificial Intelligence) are evolving with tremendous momentum, and companies are required to drastically transform their businesses themselves by utilizing digital technologies. This is called "Digital Transformation (DX)", and it is essential to transform corporate management through the reform of corporate IT departments. DX is progressing overseas like this, but, is Japanese companies able to cope with this change? And if not, what kind of change should we make in the future? In this research, in the global management environment where digital transformation is progressing, we focused on the corporate IT department, and surveyed on problem recognition and organizational reform of each company, and analyzed the tendency. In Japan, Ambidexterity's theory is too biased toward "exploitaion", and has not been able to shift to "exploration". Especially, Japanese don’t like change and have slow organizational decisions. Therefore, IT department and the digitalization department should be separated first. And, cluster analysis proved that the involvement of top management to DX departments contributed to the progress of DX.
著者
鈴木 康夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.61-67, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
18
被引用文献数
1

血球成分吸着除去療法(CAP)は,活動期潰瘍性大腸炎における新たな治療法としてステロイド抵抗症例の寛解導入を可能にすると同時にステロイドの減量も可能にすることが示されている.さらには,ステロイド投与を行わずCAP単独でも寛解導入を可能にすることが示され,副作用発現の危険性が高いステロイド投与を回避する治療法も可能になってきた.CAPの実施に際して症例の適応基準や運用方法を工夫することによって,有効性を一層向上させることが可能と思われた.
著者
村上 恭通 鈴木 康之 槙林 啓介
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2018年度は東寺領新見荘がおかれた岡山県新見市、弓削嶋荘がおかれた愛媛県上島町で次のような調査を実施し、研究成果を得た。新見市においては前年度、神郷高瀬地区で実施した踏査成果を前提に、5月に貫神ソウリ遺跡、鍛冶屋床遺跡において地中レーダー探査を実施した。その結果ではいずれの遺跡においても明確な構造物の輪郭が捉えられないため、10月、11月に試掘調査を実施し、貫神ソウリ遺跡では後世の土地削平、製鉄関連施設が根こそぎ滅失し、縁辺部にスラグ原のみを遺していることが判明した。これに対し、鍛冶屋床遺跡は石組の構造物を遺し、小舟状遺構の一部を確認し、地下構造が残存していることを明らかにした。放射性炭素年代測定により、前者が13世紀後葉、後者が15世紀後葉~16世紀前葉であることもわかった。これらの遺跡以外にも踏査により新畑南遺跡、永久山一ノ谷遺跡でスラグ原を確認し、スラグ噛み込み木炭を測定した結果、いずれも16世紀を中心とする遺跡であることが判明した。愛媛県上島町では8月に佐島・宮ノ浦遺跡(Ⅱ区)を発掘調査し、併行して上弓削・高濱八幡神社の調査も行った。宮ノ浦遺跡では10~11世紀の遺物をともなう灰白色粘土層と厚い焼土層を検出した。これらは粘土を用いた構造物で、なおかつ焼土を生成するような施設の残骸であり、生産活動に関連する可能性が考えられる。高濱八幡神社は2013年に小規模な試掘を行い、揚浜式塩田の浜床の可能性の高い硬化面を確認していたが、この発掘調査により、一定の面積を有し、砂堆上を整地して粘土を貼り付けた塩田浜床であることを実証した。浜床層に含まれる木炭を資料とした年代測定の結果、下層は9世紀、上層は12世紀を中心とする年代を示し、古代に造成された塩田が中世前期まで使用されていたと考えられるようになった。
著者
大島 稔 赤本 伸太郎 柿木 啓太郎 萩池 昌信 岡野 圭一 鈴木 康之
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.589-592, 2011-03-31 (Released:2011-05-10)
参考文献数
16

症例は30代,男性。刺身を食べた2日後より突然の腹痛を自覚し近医を受診し,加療目的で翌日当院に紹介,入院となった。来院時,激しい腹痛と反跳痛を認めたが筋性防御は認めず,単純撮影でイレウス像を呈していた。CTで腹水の貯留および小腸に限局した壁肥厚と炎症所見を認め,その部位より口側の小腸の拡張を認めた。内ヘルニアなどによる小腸の絞扼性イレウスの他に,画像所見より小腸アニサキス症を疑い,緊急手術を施行した。開腹所見で中等量の腹水を認め,回盲部から100cm口側の小腸壁に点状の発赤と浮腫,肥厚を認めた。同部をイレウスの原因と判断し,小腸部分切除術を施行した。切除腸管の粘膜内に刺入した線虫を認め,小腸アニサキス症と診断した。小腸アニサキス症はまれな疾患であり,一般的に術前診断は困難である。しかし,腸閉塞の鑑別疾患として絞扼性イレウスなどが考えられる場合は時期を逸することなく手術を検討することが重要である。
著者
髙橋 聡 和田 耕一郎 公文 裕巳 増田 均 鈴木 康之 横山 修 本間 之夫 武田 正之
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.105, no.2, pp.62-65, 2014-04-20 (Released:2015-06-13)
参考文献数
10

NIH慢性前立腺炎問診票は,慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状の程度や治療の評価に用いられる症状スコアである.我が国では,日本泌尿器科学会が公認したNIH慢性前立腺炎問診票日本語版が確立されていないことから,日本泌尿器科学会では(排尿機能・神経泌尿器科)専門部会長の武田正之を委員長としてNIH慢性前立腺炎問診票日本語版作成委員会を立ち上げ検討を行った.検討の結果,過去に発表されたNIH慢性前立腺炎問診票日本語版の案と日本語版International Prostatic Symptom Score(IPSS)から,NIH慢性前立腺炎問診票日本語版を作成した.今後の臨床研究において,このNIH慢性前立腺炎問診票日本語版が活用されることを強く希望する.
著者
鈴木 康之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.626, 2020-05-15

私が初めて本格的な英語論文を書いたのは1986年でした。当時,論文執筆に関するテキストはほとんど無く,他の論文の表現や構成を参考にしながら,四苦八苦して継ぎはぎの英作文をしていた記憶しかありません。本書で植村研一先生が強調しておられる“comfortable English”にはほど遠いものでした。当時,本書があったら私の苦労の何割かは軽減し,ワンランク上の雑誌に掲載できていたことでしょう。近年,論文執筆に関するテキストは随分多くなりましたが,本書は次の3点でとても魅力的です。 (1)医学研究者・医学英語教育者・雑誌編集者・同時通訳者としての長年の経験に基づいて,“どのような論文が一流誌に採択されるか?”を熟知した植村先生が,まるで直接語りかけてくださるように,歯切れ良くポイントを示しています。植村先生のお話を一度でも聞いたことのある方は,特に実感されるでしょう。植村先生の頭に蓄積されてきた智慧とノウハウを学びとってほしいと思います。 (2)全編を通じて“comfortable English”と“短縮率”がキーワードとなっています。日本人特有の婉曲・冗長な表現を戒め,言葉をいかにそぎ落とすかを多くの実例で示し,演習によって実践力が高まる工夫がされています。英語論文の読者・査読者の多くはnative speakerであり,comfortableな英語を心がけることが重要です。“うまい英語”とは決して美文ではなく,読者の頭に素直に入っていく“simple and clear statement”なのだと理解しました。“うまい英語”のコツがわずか50ページの中に凝縮されているとは驚きです。 (3)コンパクトな構成で,忙しい医師・研究者でも手軽に読むことができます。読みやすく(comfortable Japanese!),明快(simple and clear!)に書かれていますので,一度全編を通読することがお薦めです。これから英語論文にチャレンジしようとしている若手はもちろんのこと,論文の質をワンランク高めたい中堅,論文執筆を指導する立場のベテランにとっても格好の参考書です。一度でも英語論文を書いた方なら,読んでいてうなずかされることばかりです。査読者の視点を知ることで,どんな論文を書けば良いかを知ることができます。
著者
鈴木 康夫
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

川崎病 は年々増加傾向にあり合併症に冠動脈障害がある. ビタミンDの生理機能は, 腸管からのカルシウム吸収と骨へのカルシウム取り込みであるが, 免疫抑制作用を有することが報告されている. 川崎病児における血清ビタミンD濃度と治療反応性について検討した. 川崎病100例にガンマグロブリン療法初回奏功群と不応群における症状, 血液検査結果, 血清25 (OH) D濃度を検討した. 奏功群71例, 不応群29例であった. 解析では, 不応群は奏功群に比し, 血清25 (OH) D濃度は低かった. 川崎病患児において血清ビタミンD濃度は, 初回ガンマグロブリン反応性へ関与している可能性がある.
著者
鈴木 康司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.8, pp.568-575, 2014 (Released:2018-03-15)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

免疫力を高められるなどの機能性ヨーグルトの販売が今冬も好調だった。ヨーグルトにおいては,乳酸菌は善玉菌である。一方,同じ乳酸菌でもアルコール飲料に生育すると,腐敗や混濁を引き起こし,悪玉菌になる。グラム陽性菌に対して抗菌活性を示すホップ成分を含んでいるなど,ビールは微生物が生育しにくい飲料である。そのビール中で生育できるビール混濁乳酸菌について,長いビール醸造の歴史の中でどのように適応進化してきたか,また,その耐性機構はどのようなものかについて,解説いただいた。
著者
北村 望美 鍋島 雅美 君塚 実和子 平井 竜二 山北 令子 鈴木 康仁 木村 黎史
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.2, 2017 (Released:2019-04-03)

【目的】上腕骨外側上顆炎( 以下上顆炎) は, 短橈側手根伸筋を主体とする上腕骨外側上顆の伸筋付着部障害とされている.しかし病態は不明確な点が多く, 長期化する症例や再発する症例を多く経験する. この経験から, 上顆炎患者と健常者の間に身体特性の違いが影響していると考え, 両者の関節可動域の比較, 検討を行った.【方法】対象は上顆炎患者11 名22 肢( 男7 名, 女4 名, 平均年齢58.8 ± 11.5 歳) の上顆炎群及び, 上肢に既往の無い健常者11名22肢(男7名,女4名,平均年齢53.5±15.2歳)のControl群(以下C群)とした.上顆炎群患側(右9肢,左2肢),健側(右2肢,左9 肢)に合わせ,C群患側(右9肢,左2肢),C群健側(右2肢,左9 肢)を比較対象とした.関節可動域の測定項目は肘(屈曲,伸展),前腕(回外,回内),手(掌屈,背屈,橈屈,尺屈)とし,自動と他動をそれぞれ測定した.上顆炎群とC 群の患側・健側可動域をMann-Whitney のU 検定を用いて有意差を求めた( 有意水準5%未満).【倫理的配慮, 説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に準じ, 事前に対象者に研究の目的と方法, 個人情報の取り扱いについて説明し, 同意を得た.【結果】患側自動回外では上顆炎群(85 ±10°),C 群(92.7±17.3°)と上顆炎群が有意に低値を示した(p <0.05). 患側他動回内では上顆炎群(87.3 ±12.3°),C 群(92.3 ± 7.7°)と上顆炎群が有意に低値を示した(p <0.05). 健側自動回外では上顆炎群(82.7± 27.7°),C 群(92.7± 17.3°) と上顆炎群が有意に低値を示した(p <0.05).【考察】上顆炎群は患側自動回外・他動回内, 健側自動回外に有意差を認めた. 自動回外で制限がみられた事から, 上顆炎群は回外筋等の主動作筋の機能低下により, 補助筋である手根伸筋の負荷が増大している可能性が考えられる. また, 回内の制限因子である輪状靭帯, 外側側副靭帯には上顆炎の要因である短橈側手根伸筋が起始し, 更に回外筋等と共同腱となり付着している事から, 上顆炎に関与する筋や靭帯の影響を受けている可能性が示唆された.