著者
小口 雅史 熊谷 公男 天野 哲也 小嶋 芳孝 小野 裕子 荒木 志伸 鈴木 琢也 笹田 朋孝
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、律令国家最北の支配拠点である秋田城の性格をまず明らかにし、その秋田城による北方支配や北方世界との交流が、具体的にどのようなもので、どこまで及んだのか、またその一方で北方世界内部のみの、秋田城支配と関わらない交流がどのようなものであったかを検討した。それによれば、秋田城の北方支配は意外に限定的で、北の領域では北の論理に基づく主体的な流通が優勢であったことが明らかになった。一方秋田城の性格については、文献史料の解釈からは非国府説、出土文字資料の解釈からは国府説が有利であることを確認した。最終的結論は今後の課題としてなお検討を続けたい。
著者
遠藤 次郎 鈴木 琢也 中村 輝子
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.223, pp.129-137, 2002 (Released:2021-08-13)

Sanki Tashiro and Dosan Manase are known for their role as founders of the Gosei-ha school in Japan. Observing that Japanese medicine had not been based on a clear theory, they introduced into Japan the satsusho benchi practiced in Chinese medicine during the Jin and Yuan dynasties. The basis of this system was to examine the patient's condition, then determine the treatment accordingly. Dosan Manase in particular employed the satsusho benchi, writing out a new prescription each time treatment was required, without reference to existing prescriptions. In this study, we carried out an investigation into the "Ishin shoden" edited by Dosan Manase, which reveals the process by which Dosan established the new satsusho benchi system of medicine within the framework of traditional Japanese medicine. In the early stages of the process, Dosan prepared prescriptions based on existing iou-tou prescriptions, modifying these by adding or removing medicines. Then, in the middle period, he prepared prescriptions based on toso-tou prescriptions, designed on the basis of the kun shin sa shi or Junchen Zuoshi theory, again modifying these by adding or removing medicines. In the final stage of the process, Dosan ceased this practice of adding or removing medicines from a basic prescription, adopting instead the satsusho benchi system of writing out a new prescription for every treatment. In addition, we consider the reasons why the satsusho benchi system was not employed by Dosan's successors, and discuss the effects of this.
著者
福田 英嗣 鈴木 琢 早乙女 敦子 早出 恵里 向井 秀樹
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.123, no.2, pp.133-141, 2013

成人アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis:AD)の入院療法における病勢マーカーについて検討した.対象は当院皮膚科に2009年3月から2010年1月までに,急性増悪ないし重症例のため入院加療した成人AD 26名である.年齢は17~48歳(平均値±SD:28.7±8.0歳),性別は男性10名,女性16名で,入院期間は7~25日(13.0±3.5日)である.方法は,入院時(第2病日)と退院時の早朝(7時~8時)に血清コルチゾール値,血漿adrenocorticotropic hormone(ACTH)値,血清thymus andactivation-regulated chemokine(TARC)値,血清lactate dehydrogenase(LDH)値,末梢血好酸球数を測定し,比較検討した.さらに,日本皮膚科学会(日皮会)AD重症度分類,痒みのVisual analoguescale(VAS)値,Skindex-16,Dermatology Life Quality Index(DLQI)に関しても比較検討した.結果は,入院時に低値を示した血清コルチゾール値と血漿ACTH値はともに有意な増加を示し,入院時に高値を示した血清TARC値や血清LDH値は有意に減少した.一方,末梢血好酸球数は減少するも有意差を認めなかった.また,日皮会AD重症度分類,Skindex-16,DLQIおよび痒みのVAS値は有意に減少した.今回の検討で,2週間程の短期入院における血中病勢マーカーは血清コルチゾール値,血漿ACTH値,血清TARC値,血清LDH値が有用であった.これらの中で,血清TARC値は全例において入院時から退院時に減少し,測定幅を考慮すると,血清TARC値が重症度と改善度の評価を最も反映するマーカーと考えた.その他のマーカーとして日皮会AD重症度分類,Skindex-16,痒みのVAS値およびDLQIが有用であった.
著者
石井 明子 鈴木 琢雄 多田 稔 川西 徹 山口 照英 川崎 ナナ
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.5, pp.280-284, 2010 (Released:2010-11-10)
参考文献数
45
被引用文献数
2 2

腫瘍や自己免疫疾患等の治療を目的とした分子標的薬として,抗体医薬品の研究開発が国内外で活発に行われている.抗体医薬品の特徴は標的分子に高い親和性をもって極めて特異的に結合することであるが,他のバイオ医薬品と比較して血中半減期が長いことも特筆すべき点である.ペプチドあるいはタンパク質を医薬品として応用する場合には血中半減期が実用化のためのハードルとなることが少なくない.しかし,多くの抗体医薬品は,生体内IgGの分解抑制に関わるneonatal Fc receptor(FcRn)を介したリサイクリング機構を利用することができるため,数日~数週間という長い血中半減期を有している.FcRnは齧歯類の新生児小腸に高発現し,乳汁に含まれる母親由来IgGの吸収に関与する受容体として同定された.その後の研究により,FcRnが成体においても種々の組織に発現し,IgGのリサイクリングやトランスサイトーシス等に関与していることが報告され,母子免疫以外にも様々な側面でIgGの体内動態制御に関わっていることが明らかにされている.我々は,既承認抗体医薬品のFcRn結合親和性を解析し,ヒトでの血中半減期とFcRn結合親和性の相関,および抗体医薬品のFcRn結合親和性を規定する構造特性の一端を明らかにした.近年の創薬研究では,FcRn結合親和性を改変した抗体医薬品等の開発が進んでいる他,FcRnのもう1つのリガンドであるアルブミンを利用することにより体内動態特性を改変したタンパク質医薬品の開発も進んでいる.FcRnは,抗体医薬品をはじめとするバイオ医薬品の体内動態制御に関わる鍵分子の1つと言えるであろう.
著者
鈴木 琢也 小口 和代
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.24, pp.P032, 2008

【目的】近年,脳卒中患者の歩行の獲得に部分免荷トレッドミル歩行訓練(以下,BWSTT)が注目されている.しかし,BWSTT後の即時効果の報告は少ない.療養病床入院リハ中の発症後5ヶ月の重度脳卒中患者にBWSTTを施行し,訓練前後の歩行速度・歩行率・股関節伸展角度を検討した.<BR>【症例】64歳男性.脳底動脈閉塞による脳梗塞.Brunnstrom recovery stage test右上肢2・下肢2・手指2,左上肢5・下肢6・手指6.深部覚右上下肢重度鈍麻.FIM運動32点・認知30点・合計62点.<BR>【方法】BWSTTは懸荷モード12m/分で25m歩行を,5分間の休憩を挟んで2回実施した.実施前・直後・2日後に,5m平地歩行(左サイドケイン・右長下肢装具を使用し軽介助)を家庭用ハイビジョンデジタルビデオカメラ(Canon社製)で撮影した.計測の妥当性を検討するため,直後のみ三次元動作解析システムKinemaTracer(キッセイコムテック社製)で同時撮影した.歩行路の中央5歩分の右下肢イニシャルコンタクト時の左股関節伸展角度を検討した.マーカーをつけた腸骨稜と大転子の軸と大転子と膝関節外側上顆の軸で角度を計測した.統計学的処理にはANOVA(有意水準5%)を用いた.<BR>【結果】歩行速度は実施直前5.2m/分,直後5.3m/分,2日後6.5m/分.歩行率は実施前18.6歩/分,直後26.3歩/分,2日後27.4歩/分.股関節伸展角度は,実施前平均-3.6°,直後平均10.8°,2日後平均-3.8°で,直後に有意に増加していた(p<0.05).動作解析システムでの計測値でもほぼ同値であった.<BR>【考察】BWSTTについて寺西らは,膝折れや膝過伸展,股関節伸展不十分などによる歩行異常・不能症例に対して課題指向的歩行訓練実現を可能にすると述べている.多くの先行研究では,効果として歩行速度・歩行率増加が報告されている.本症例でも歩行速度・歩行率増加の効果は,2日後でも持続していた.一方で股関節伸展効果は即時的でキャリーオーバーしなかった.股関節伸展が増大した要因は,懸垂により体幹伸展を促せたことと,トレッドミルにより左下肢の踵からつま先へ重心移動がスムーズに行えたことが考えられた.以上よりBWSTTはアライメントへの効果より歩行周期への効果の方が持続的であることが推測された.<BR>【まとめ】重度脳卒中患者にBWSTTを施行し訓練効果を検討した.アライメントと歩行周期への効果を認め,後者はより持続的であった.動作解析装置のない環境でも,今回のように簡易な歩行評価項目なら,家庭用ビデオ撮影で十分検討が可能である.今後さらに慢性期・重度脳卒中症例にBWSTTを適用し,効果発現機序について検討したい.<BR>
著者
鈴木 琢幹 井上 隆 前 真之 高瀬 幸造 崔 榮晋 盧 炫佑
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.157-160, 2018 (Released:2019-10-30)

本研究では、我が国の住宅のエネルギー消費量の過半数を占める暖房・給湯用途の負荷削減を目的とし屋根面の太陽エネルギーを発電だけでなく集熱にも利用するPhotovoltaic and thermal(以下,PVT)パネルを用いたPVT活用型屋根空気集熱式ソーラーシステム(以下、本システム)を対象とした。戸建住宅に本システムを導入する場合の快適性および暖房・給湯負荷削減効果について把握するため、省エネルギー基準における地域区分6地域を対象に街区密度・太陽エネルギー利用形態に着目した検討をおこなった。
著者
天野 雄一郎 宮田 順之 鈴木 琢光 吉村 幸浩 立川 夏夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.690-695, 2018-09-20 (Released:2019-12-01)
参考文献数
20

We report herein on a 61-year-old Japanese man with severe falciparum malaria after visiting African countries. He presented with shock, impaired consciousness, acidosis, renal impairment, jaundice, pulmonary edema and hyperparasitemia (42.7%). We admitted him to our intensive-care unit. He was initially treated with intravenous quinine (4,500mg for 3 days), rectal artesunate (1,200mg for 5days) and aggressive supportive therapy. The sequential treatment was mefloquine on day 7 (1,925mg). The 99% parasite clearance time and ICU stay were 92 hours and 8days, respectively. He was discharged without complications on the 28th day. Severe malaria, especially cerebral malaria, is a highly mortal disease requiring urgent treatment. Intravenous artesunate is now recommended as the treatment of choice for severe malaria by the World Health Organization, but it is unavilable in Japan. We found that our combination treatment had excellent antimalarial activity with rapid efficacy, and was safe and well-tolerated.
著者
福田 英嗣 鈴木 琢 佐藤 八千代 猿谷 佳奈子 向井 秀樹
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.11, pp.2195-2201, 2010-10-20 (Released:2014-11-28)

重症なアトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis:AD)患者の入院治療は,短期間に皮膚症状を改善する有用な治療法である.しかし,入院中に使用される比較的多くの量のステロイド外用薬が生体に及ぼす影響については明らかではない.今回われわれはADの入院患者において,入院時(検査は入院翌日)および退院時の血中コルチゾール値を測定し,その推移について検討を行った.対象は,当院皮膚科に2007年5月から2008年8月までに入院加療した重症度の高いAD患者である.11歳から43歳(平均値±SD:27.4±7.5歳)の20名(男性12名,女性8名)に,入院時および退院時の朝7時から8時の間に血中コルチゾール値を測定した.結果は入院時の血中コルチゾール値は3.7±5.7 μg/dl(平均値±SD)と低下を示していたが,退院時は11.6±4.4 μg/dlと上昇した.この推移には統計上有意差を認めた(p<0.05).また,入院期間は13.3±4.7日(平均値±SD)であり,血中コルチゾール値が基準値である4.0 μg/dlに復するのに必要な入院期間は平均4.8日(推定)であった.入院中に使用したステロイド外用量はII群が8.6±6.3 g/日(平均値±SD),III群が4.8±5.8 g/日であり,ステロイド外用薬の使用量と血中コルチゾール値の変化量には差がなかった.今回の検討で, 入院を要する重症AD患者では,入院時には副腎皮質機能が抑制されているケースが多く,入院治療を行うことにより皮膚症状の改善が認められ,さらに入院時に基準値より低かった16症例のうち1例を除き退院時には基準値以上になり副腎皮質機能が正常に回復することが示された.重症AD患者においての入院療法は,短期間で効率的に皮膚状態を改善させるのみでなく,抑制状態にある内分泌系機能も同時に回復させることが示された.
著者
松島 友二 鈴木 琢磨 八島 章博 白川 哲 鈴木 丈一郎 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.306-313, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
28

目的 : 極細毛を用いた手用歯ブラシは, 極細毛が歯周ポケット内に到達し, 歯周ポケット内のプラークコントロールに効果があるとされているが, 手用歯ブラシでは細かな振動を与えることが困難で, 極細毛の効果を十分に発揮することができないと考えられる. 本研究では, 微細な振動を与える音波歯ブラシに極細毛を応用した場合のプラーク除去効果, 歯周ポケット内の細菌叢の変化および歯肉に対する傷害を調べることを目的とした.  材料と方法 : 実験には段差の異なる極細毛3種類と手用極細毛歯ブラシを用いた. 被験者は, 歯肉炎または軽度歯周炎を有する歯周病患者52名を対象とした. この52名を無作為に4群に分け, 0週, 2週および4週後に歯肉擦過傷, 歯肉溝滲出液量, ポケット深さ, BOP, GI, PCR値を測定した. また, 歯周病患者18名について段差3mmの極細毛歯ブラシを音波歯ブラシおよび手用歯ブラシで用い, 使用前後のポケット内細菌をPCR-Invader法で測定した.  結果 : すべての歯ブラシにおいて歯肉への傷害は軽微であった. また, プラーク除去および歯肉の炎症改善は, 各歯ブラシ間に有意差を認めなかった. 段差3mmの極細毛を音波歯ブラシで用いた場合, 有意に細菌の減少が認められた.  考察 : 極細毛を応用した音波歯ブラシは, ポケット内のプラークコントロールに有効であると考えられた. さらに歯肉傷害は少なく, 安全に使用できることが確認された.
著者
名野 隆夫 菊地 修一 岩津 勝彦 西部 栄次 鈴木 琢也 佐々木 義智 伊藤 和男 小林 春夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.352, pp.79-86, 1998-10-23
参考文献数
11

本論文はBSIM3v3SPICEモデルによる、高耐圧MOSデバイスのモデル技術について報告する。標準のSPICEモデルは高耐圧MOSデバイスの電圧依存を持つR_d、R_sに対して高精度なモデルを提供しておらず、電圧-電流特性のシミュレーションと実測値との間に大きな差異を生じる。我々はオリジナルBSIM3v3のパラメータの一部に対して本来とは異なる物理的な意味合いを設定しR_d、R_sの電圧依存を表現する技法を考案した。本技法により得たパラメータによる、高耐圧MOSデバイスの電圧-電流特性のシミュレーションと実測値とは非常に良く一致する。提案モデル技法と高耐圧MOSデバイスの動作原理との関係についても検討を行った。
著者
柏木 貴雄 稲垣 忠洋 来住 稔 日下 聡 鈴木 琢真 平田 珠希 岩井 正秀 吉岡 直樹 三橋 隆夫 山村 博平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.7, pp.2045-2047, 2012 (Released:2013-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は73歳,男性.昼食で自家栽培していた椎茸,人参,ゴボウ等の煮物を食べ,興奮,幻視,瞳孔散大等の抗コリン症状を認めた.同じ食事をした妻と長女も軽度興奮,口周囲の痺れ等の症状を認めたことより食中毒による抗コリン症状と考えた.経過観察にて翌日には症状は軽快した.患者と妻の血清,調理残品,原材料からアトロピン,スコポラミンを検出し,ゴボウとチョウセンアサガオの根との誤食によるチョウセンアサガオ食中毒と診断した.
著者
鈴木 琢也 井口 圭一 木下 琢也 石川 明洋
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.3Pin101, 2018

<p>建築物の安全性を支える構造に関する技術の理解には,高度な専門的技術・知識を必要とする。そのため,一般の人々から理解されにくいものとなっている。しかし,技術者が構造解析の結果や意味をよりわかりやすく伝えることができれば,一般の人々はより正しく「安全」を理解し,今以上に「安心」を得ることができると考えられる。「いかにわかりやすく伝えるか」は,建築技術者にとって重要な課題といえる。 本報では,新たにタッチで出来る構造最適化アプリケーションの対戦版を提案し,そこで利用する対戦コンピューターの戦略ロジックを決定するために実施した,各種最適化手法の適用性検討結果を報告する。</p>
著者
八島 章博 鈴木 琢磨 松島 友二 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.314-320, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
23

目的 : 音波歯ブラシは高振動によるキャビテーション効果により, 毛先から離れた部位のプラーク除去にも効果があるとされるが, 深い歯周ポケットに対してはその効果を十分発揮するのは難しい. しかし, 歯周ポケット内の歯周病原細菌をコントロールすることはきわめて重要であると考えられる. そこでわれわれは, 音波歯ブラシと水流洗浄器を併用した場合の歯周ポケット内細菌に与える影響について検討した.  材料と方法 : 4~5mmの歯周ポケットを有する患者18名を無作為に2群に分け, 実験群は被験歯に音波歯ブラシで頰側・口蓋側から10秒ずつブラッシング後含嗽し, 水流洗浄器で頰側・口蓋側から10秒ずつ洗浄を行った. 細菌は術前後に採取した. 対照群は音波歯ブラシでブラッシング, 含嗽後に細菌を採取した. 採取した細菌はPCR-Invader法にて, 定量・定性分析を行った.  結果 : 個々の歯周病原細菌の術前後の菌数変化に有意な差を認めなかったが, 全歯周病原細菌の平均で評価すると, 実験群では術前と比較して術後に有意な減少を認めたのに対し, 対照群では有意差を認めなかった. また, 歯周病原細菌数の減少率を比較すると, 実験群は対照群に比べて約4倍の歯周病原細菌の除去効果が認められた.  考察 : 以上の結果より, 音波歯ブラシによる液体流動力と水流洗浄器が発生させるバブル水流の併用は, 歯周ポケット内の歯周病原細菌の除去に有効であることが示唆された.
著者
鈴木 琢雄
出版者
国立医薬品食品衛生研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

新生児型Fc受容体(FcRn)との親和性の違いが、Fcドメイン含有医薬品の体内分布や分解に与える影響を明らかにすることを目的とし、FcRn親和性が異なる抗体やFcドメイン融合タンパク質のFRET型蛍光標識体をマウスに投与し、臓器の蛍光を測定した。その結果、FcRn親和性を大幅に低下させた場合、肝臓や肺への蓄積率に差が認められた。通常の抗体と比較してFcRn親和性が大幅に異なるFcドメイン含有医薬品(例えば薬物結合抗体等)を開発する場合には、体内分布が通常の抗体とは異なる可能性があることを考慮する必要があると考えられる。
著者
大内一成 鈴木 琢治 森屋 彰久 亀山 研一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ユビキタスコンピューティングシステム研究会 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.14, pp.29-36, 2007
被引用文献数
2

生活習慣病,メタボリック症候群などは,生活習慣が主な発症原因とされ,それらの予防のためには,食事,運動などの日頃の生活習慣管理が重要である.一方,不眠症で悩む人が多い現代社会においては,睡眠状態の管理も健康管理の上で非常に重要となってきている.そこで我々は,昼も夜もユーザの状況をリアルタイムに認識し,ユーザの生活習慣管理,快適な生活環境維持をサポートするウェアラブル機器を用いたヘルスケアサービスについて検討している.ユーザの脈波,加速度などの生体情報を日常生活において連続的に計測する腕時計型ウェアラブル生体センサと,携帯電話などの携帯情報端末で構成される手軽なシステムを想定している.実サービスを目指すに当たり,食事や運動などの生活習慣管理をタイムリーなアドバイスによりサポートするウェアラブル健康管理システム,脈波間隔の周波数解析から自宅でも手軽に睡眠状態をチェックできるウェアラブル睡眠管理システムを開発し,それぞれのシーンにおいてユーザの状況認識が可能であることを確認した.
著者
森屋 彰久 鈴木 琢治 大内 一成 亀山 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.747, pp.71-75, 2005-03-18

現代人の日常生活において、起床時の不快感や定時刻の起床が困難な場合があり、快適な目覚めの提供という不眠改善のアプローチも必要である。また、REM睡眠時の起床が不快感を伴いにくいという経験的知見がある。本研究では、光電脈波センサから得られる心拍変動の周波数解析により得られる自律神経指標等と加速度センサから得られた情報を利用し、リアルタイムに睡眠中の被験者のREM睡眠を検出し加速度情報を考慮してアラームを鳴らす方法を紹介する。また、被験者の主観評価と共に、今回のアルゴリズムの適正を評価した。