著者
福本 文代 鈴木 良弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.552-566, 2006-03-01
被引用文献数
2

本論文では,人手により複数の分野名が付与された文書における分野名誤りのうち,文書分類の精度に悪影響を与えるものを自動的に検出し,修正する手法を提案する.我々は,誤り検出と修正の手掛りとして三つの点に注目する.1点目は分類に悪影響を与える事例を抽出するために機械学習Support Vector Machines(SVMs)で得られるサポートベクトルと機械学習Naive Bayes(NB)を利用する点である.2点目は誤り事例を検出するために損失関数を利用する点である.3点目は,過剰な修正を抑えるため,分野名をノードとする階層構造を利用する点である.Reuters1996のコーパスを用いて実験を行った結果,誤り検出と修正の精度はそれぞれ0.8391,0.767であった.更に,修正結果を文書分類へ適用した結果,分類精度が0.5〜1.7%向上することが分かり,誤り修正の効果が現れていることが確認できた.
著者
木戸 雅子 鈴木 杜幾子 大原 まゆみ
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

従来日本のみならず、西欧でもほとんど研究対象とされてこなかった独立戦争以後のギリシャの近代絵画を、ヨーロッパとギリシャ側からの視点で検証した。ギリシャ近代絵画の創生期には、主としてドイツ(バイエルン)の画家(P.フォン・ヘス等)の描いた独立戦争をテーマにした絵画が、ギリシャ人画家の手本となり主題や表現様式などにおいて、その後の近代ギリシャ絵画の方向づけに影響を与えたというその過程を追うことができた。
著者
鈴木 昌和 内田 誠一 岡本 正行 玉利 文和 藤本 光史 金堀 利洋 山口 雄仁 藤芳 明生
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

科学技術文書のスキャン画像を検索や音声や点字などのアクセシブルなデータに変換可能な電子データに変換するシステム構築に不可欠な数式認識と、数式を含んだ文書のレイアウト解析の高精度化に関する研究を行った。特に大量の頁の文書の電子化に有効な適合型認識システムのアルゴリズムを文字認識、数式構造解析、レイアウト解析の各レベルで開発し実装を行った。また、類似記号が多い数式の文字認識精度向上のため、サポートベクターマシンを用いた類似数学記号識別の評価テストも行った。
著者
中山 茂樹 積田 洋 鈴木 弘樹 鈴木 弘樹
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

隔離室の調査分析では、1、 変化の乏しい閉鎖された空間で、空間要素を改良することは、患者の空間に対する満足度をよくする。また、唯一外的情報としての窓からの風景は、患者にとって重要な空間要素である。2、 隔離室に長期入院するほど患者は、安全・安心感において良い評価となる。3、 入院回数が1回の患者の全員が、自宅が安全・安心・居心地がよいと回答し、複数回の入院患者は隔離室が安全・安心・居心地がよいと回答する割合が増えてくる。共用エリアの調査分析では、1.統合失調症患者および認知症患者において、1人あたりの空間量的増加や空間が新しくなるなどの環境の変化は、身体的症状、睡眠障害などを改善する。
著者
岩船 昌起 鈴木 雄清 境 洋泉 木下 昌也
出版者
志學館大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

体育学・医学等での身体活動に関する成果をスポーツ環境の評価に展開するため,"拍速"という運動効率の新指標を提唱した。拍速は,1拍当たりの移動距離(meter/beat)を示し,酸素脈や一回拍出量と関連する。本研究では,拍速を用いて自転車ロードレースでの"坂"の評価を試みた。実験道路(比高約200m平均勾配0.056)を上る場合,被験者の持久力に応じて約12〜30分かかる。拍速は,スタート直後に急激に減少し,約1〜2分で安定化する。拍速の平均値は,運動強度ごとに若干異なるが,被験者の持久力をほぼ反映する。また道路を急勾配と認める度合やペダルを踏み込む意識との相関が高く,坂の知覚の一面を指標する。一方,約5〜8分かかる下りでは,拍速は,カーブや急勾配でのブレーキによる速度制御のため,持久力よりも技術力と関連し,急勾配の認識や爽快・恐怖感との相関も高い。このように坂の知覚の過程は上りと下りで異なり,道路のアフォーダンスに起因すると思われる。また,上り下りだけでなく,コースの勾配・曲率や被験者の能力に応じた違いも拍速は定量化できる。「ツールドおきなわ市民200km」のコースで,移動地点ごとの拍速は,その地点と約30秒前の地点との相対比高と相関が高い。30秒での移動距離は,勾配や速度との関係から一般に上りで約50m,下りで約400mとなる。200kmコースでは,約70km以降の区間で上記の規模を超える上り下りが連続するため,上りで約50m,下りで約400m先までの勾配・曲率の変化を見越して走行を効率化することが持久力温存の鍵となる。また,約80〜90km区間と約145〜165km区間では,数100m規模の上り下りが周期的に繰り返すため,精神・技術的な素早い切り替えも要求される。ArcGISで上記の成果を基に,霧島市のサイクリングマップなどを作成した。近く大学のWebで公開する。
著者
車 敬愛 鈴木 栄 石川 駿二 小池 洋男 荻原 勲
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.257-265, 2009-07 (Released:2011-03-05)

3種のブルーベリーの栽培が可能な東京において、64品種・系統について生育と果実の成熟・品質の特性を3年間調査した。主成分分析の結果から、5倍体のサザンハイブッシュブルーベリー(SHB)‘Pearl River’を除いて、ラビットアイブルーベリー(RB)だけのグループとノーザンハイブッシュブルーベリー(NHB)とSHBの混合のグループに分類された。主成分分析のNHBとSHBの混合グループの下方に分布したSHBの品種は、果実が小さく、クエン酸含量が少なく、糖酸比は高く、リンゴ酸の割合が高い特徴を示した。また、収穫日と開花日および収穫日と着色開始日との間に正の相関関係が認められ、NHBについては、収穫日と1果重、収穫日と全有機酸含量、収穫日とクエン酸含量との間に正の相関関係が、収穫日と糖酸比との間に負の相関関係が認められた。さらに、考察ではブルーベリー育種において交配親として有用と予想される各品種の特徴を評価した。
著者
鈴木 寛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.3-8, 2001
参考文献数
10

IT革命に対応して図書館のE化を進めていくためには, 現行の著作権制度が障害になる。この問題を解決するためには, 法律改正や, 知的財産権流通市場を創設することなどもその方法の一つとして考えられるが, そうした方法は, 時間と手間を要するという問題がある。これに対して, 大学図書館などが利用者及び学者によるコミュニティを組織化し, 著作者と利用者の双方にプラスとなる知識創造の新たな自発公共圏を生み出す可能性がある。
著者
鈴木 雅人 松本 章代 北越 大輔 松本 章代
出版者
東京工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

一般の手書き文章では,字形に筆者の癖が強く現れ,また文章自体が日本語構文に合致しない場合が多いため,高い認識精度を実現するのが困難であった.本研究では,日本語構文の変遷・誤用に対する対策として,自然言語処理やデータマイニングを用いた,日本語構文解析の自己組織化モデルと,筆者の癖などに対応可能な標準パタン作成のための学習パタンの自己生成に関する研究を行った.その結果,従来の方法に比べて,手書き文章の認識精度を改善することができた.
著者
鈴木荘六 述
出版者
陸軍大学校
巻号頁・発行日
vol.[戦史(明治39年11月)], 1906
著者
鈴木 秀三 藤野 栄一 野口 弘行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.69, no.585, pp.123-129, 2004
参考文献数
12
被引用文献数
3 7

Impact hammer tests were conducted to demonstrate the effect of human load on vertical vibrational characteristics (first natural frequency and damping factor) of wooden floors. The specimen was a 6.5m-long-span and 1.0m-wide wooden floor consisted of two 120mm wide and 300mm deep laminated wood timbers and 21mm-thick plywood sub-floor. The support and live load conditions of the specimen were changed. The live load combined with human load and furniture load ranged from 0 to 60 kg/m^2 respectively were applied to the wooden floor. The test results indicate, I) Human load hardly affects the first natural frequency of the wooden floor, ii) The value of damping factor at first natural frequency increases in proportion to the rate of human load over the weight of a wooden floor, iii) The measured first natural frequencies of the wooden floors coincide with those calculated according to the vibration theory for bending continuous model with the bending stiffness and the weight (the sum of dead load and furniture load except the human load) of the wooden floor.
著者
鈴木 啓子 大屋 浩美 石村 佳代子 金城 祥教 吉浜 文洋
出版者
静岡県立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的はわが国の精神科における危険防止のための看護技術を明らかにし、より安全な技術を開発することである。平成15年度の研究成果は下記のとおりである。1.わが国の護身術(柔道および空手)および取り押さえ術(刑務官による)の研修を受け、その内容について精神科看護のエキスパートと検討した。これらは日本の伝統的な武術の技が使用されているが、基本的には関節技を中心に対象者に痛みを与えることにより、行動を封じ込めるものが中心になっていた。その基本には対象者を「正常な判断能力を有しているが故意に問題を起こした者」とする見方があり、一般精神科病棟において精神的健康問題をもち危機状況にある患者に対する看護技術としては適切性が低いといえ、刑法上合法となる緊急避難の場合以外は使用すべきでないと考えられた。また、これらの技術は訓練しなければ誰でも身につけられるものではないことからも、これら攻撃型の技術を習得するよりは、緊急時に身を守る技、逃げる技などの防御型の技術を看護師は習得するほうが合理的であると考えられた。2.平成14年度に引き続き、先進的な精神科医療を提供している8施設において急性期看護経験のある看護師85人を対象としグループインタビューおよび危機状況にある患者モデルを設定した実演によるデータ収集を計12回実施した。継続的比較分析を行った結果、言語的な介入が可能な段階では看護師は患者のもてる力に働きかける言語的介入を積極的に行い、また危機がエスカレートする段階では暗黙の了解により互いの役割を引き受け隔離・拘束にあたる点が、海外の危機介入では見られない特徴だった。また強制的な治療後にも患者の側にいて寄り添い患者をねぎらうなど海外の技術に近い実践があることも明らかになった。抽出された看護技術について、より安全な危険防止のための方法を明らかにすることが、今後の課題である。
著者
北越 大輔 岡野 卓矢 鈴木 雅人
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J97-A, no.6, pp.406-410, 2014-06-01

本論文では,高齢者がロボットとの対戦型ゲームを通して楽しみながら継続的に介護予防運動を実施可能なシステムを提案する.提案システムにおいて,利用者とロボット・エージェントが適切な相互作用を実現できているか,主観評価実験を通して検証する.
著者
鈴木 文明 前旺 和司
出版者
市立名寄短期大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

以下のことを、在日朝鮮人一世のハルモニたち(80歳代)に対する集団面接、個人面接によって明らかにした。インフォーマントの記憶牽たどるために、孫基禎と力道山の二名を提示した。孫基禎がベルリン・オリンピックのマラソン競技で優勝し、それを報道する東亜日報に掲載された彼の写真から日の丸が抹消されると言う事件が起こったのは1936年であった。このことについて、「(ずっと後になって=解放後)聞いたことがあるような気がする」ハルモニが何人かいた他は、当時、既に思春期以上の年齢に達していたはずであるが、ハルモニ達の記憶の中に孫基禎はいない。非識字者(1930年当時、郡部における女子の推定就学率は5.5%)であったということが最も大きな要因であるが、植民地下の朝鮮人女性の生活がメディア・スポーツなどとそもそも全く無縁であったことを示している。次に、1950年代に「アメリカで最も有名な日本人」と言われた在日朝鮮人の力道山については、すべてのハルモニが記憶していた。「(力道山が)朝鮮人とわかってから、それはもう応援の力の入り方が違いました」と言うように、同じ朝鮮民族であったことが記憶を強烈なものにしている。しかし、その記憶は力道山そのものというよりも、お父さん(夫)が「ものすごく好きやった」とか、「力道山のプロレスのある日は機嫌が良かった」というように、「力道山のプロレスを観る夫」を眺めていた記憶であった。さらに、力道山の記憶は、テレビの所有/非所有にまつわる困窮生活の記憶であった。
著者
鈴木 順一
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要 看護学・リハビリテーション学編 (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.5, pp.13-24, 2010

現在、我が国における糖尿病患者は増加の一途をたどっている。糖尿病に合併する糖尿病性足病変は、下肢切断の原因となり、対象者の日常生活活動や生活の質において深刻な問題を残す病変である。近年、糖尿病性足病変に対する医学的な取り組みとしてはフットケアが積極的に導入されている。フットケアは病変を認める患肢の評価・処置および足と靴に関する患者教育で構成されるが、制度やマンパワーの問題で患肢への関わりほど靴は着目されていないのが実情といえる。本稿では糖尿病性足病変と靴との関連性を概説し、靴を選ぶに際しての指導上のポイントと、適合性を評価するための具体的な手法を紹介した。
著者
門脇 宏 鈴木 啓一 日野 正浩
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.20-24, 2001-03-10
被引用文献数
2

融解後生存率の異なるブタ凍結精液を用いて人工授精を行い,受胎率及び一腹あたりの胎子数または産子数を調査した。供試精液は宮城県畜試で実施中の雄型選抜試験の第4世代12頭のデュロック種雄豚から採取した。凍結ストローの作成は豚凍結精液利用技術マニュアルに準拠した。ただし,前処理液および融解液にはモデナ液を利用した。凍結操作はプログラムフリーザーを用いた方法で行った。凍結融解後の生存率が異なる精液を用いて人工授精を行い,28-44日(平均33.7±5.5日)後にと殺して胎子数を調べた。受胎率および一腹胎子数は,精子生存率45-55%の精液を用いた場合は58.3%および6.4頭であったのに対し,生存率70-80%の精液では91.7%および9.4頭と高い傾向を示し,融解後の精子生存率の高い精液を用いることによって受胎率および胎子数が改善される可能性が示唆された。また,融解後生存率の高い(60%以上)の凍結・融解精液を用いて野外受胎試験を行った結果は,受胎率46.2%および産子数7.8頭であった。
著者
押谷 仁 齊藤 麻理子 岡本 道子 玉記 雷太 神垣 太郎 鈴木 陽
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.45-50, 2013-06-25 (Released:2014-04-26)
参考文献数
9

東北大学医学系研究科は,感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)による感染症研究の拠点を,フィリピン・熱帯医学研究所(Research Institute for Tropical Medicine: RITM)に2008年より設置している.フィリピンの拠点では公衆衛生学的見地からフィリピンにおいて重要な感染症を対象とし,感染症対策に貢献できるような研究を目指すことを基本方針としている.このため研究プロジェクトの多くはフィリピン各地でのフィールドでの研究となっている.これまでに主に取り組んできた研究プロジェクトとしては,小児重症急性呼吸器感染症に関する研究,インフルエンザの疾病負荷に関する研究,狂犬病の分子疫学,小児下痢症患者でのウイルス検索などがある.このうちレイテ島での小児重症呼吸器感染症に関する研究では,重症肺炎で入院した小児のウイルスを中心とした病因の検討を行ってきている.この間,Enerovirus 68が小児重症急性呼吸器感染症の重要な原因であることを見いだした他,Respiratory Syncytial Virus(RSV)の分子疫学的解析,Human Rhinovirus(HRV)の病態の検討などを行ってきた.これらの研究の結果を基盤として,地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)での小児肺炎に関する包括的研究をフィリピンにおいて2010年より行っている.