著者
阿部 進
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.29-37, 2014-03-07 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
2

ミミズ(Oligochaeta)やシロアリ(Isoptera)のような土壌無脊椎動物は土壌生態系改変者と呼ばれ,土壌物理環境を改変・撹乱することによって他の生物への資源の有効性に影響を及ぼしている.土壌生成過程における物理学的,化学的,生物学的な影響に対する関心が高いのに対して,生態系改変者が土壌鉱物の風化において直接的および間接的に重要な影響を及ぼしていることはあまり認識されていない.その直接的な影響は鉱物粒子の物理的破壊であり,分泌物質による化学的変質である.一方,土壌無脊椎動物の共生微生物によって生成される有機酸やキレート成分による鉱物の溶解など間接的な影響もある.本稿では,土壌生態系改変者が土壌鉱物の風化に及ぼす影響に関する既往の文献を総括し,このトピックにおける研究課題と将来の展望について議論する.
著者
松田 雅弘 楠本 泰士 酒井 弘美 伊藤 公一 田上 未来 阿部 紀之 関 亮祐 本藤 伸男 山﨑 友豊 赤池 優也 二瓶 篤史 新田 收
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.495-499, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
10

〔目的〕マイクロビーズ製クッション上での臥位が,関節可動域と筋緊張に及ぼす影響を通常のベッド上臥位と比較して明らかにすることとした.〔対象と方法〕回復期脳卒中後片麻痺患者9名(52~84歳)とした.同一対象者に20分の臥床をクッション(クッション条件),およびベッド上背臥位で(臥位条件)行わせ,前後でのROMt,筋緊張(MAS),僧帽筋上部線維の筋硬度の変化と変化量を対応のあるt検定により統計学的に解析し,その違いを条件間で比較した.〔結果〕クッション条件では介入前後で,麻痺側肘屈曲,頸部左回旋角度に有意差がみられた.筋緊張,筋硬度も軽減している症例が多かった.〔結語〕マイクロビーズ製クッションが,脳卒中患者に対して筋緊張の軽減と関節可動域の増大に効果をもたらすことが示唆される.
著者
吉次 なぎ 阿部 真也 山本 佳世子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2325-2329, 2019-12-15

一般に避難先や避難経路の候補は複数存在し,最適な避難先と避難経路を直感的に導くことは難しい.「安全で迅速な避難」のためには,複数の避難先への複数の避難経路を求め,それらの優先度を比較することが必要である.経路探索アルゴリズムは単一の始点と終点を結ぶ単一の経路を求めるため,複数の避難場所へ向かう複数の避難経路の優先度を定量的に求めることはできない.粘菌アルゴリズムでは始点と終点を複数設定すること,複数の避難経路の優先度を同時に計算することができる.そこで本稿では,粘菌アルゴリズムによる避難経路導出手法を提案する.提案手法により複数の避難先への複数の避難経路の優先度を定量的に比較できることが確かめられた.
著者
金 明博 納田 真也 山田 将雄 小坂 理也 阿部 宗昭
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1289-1293, 2000-10-25

抄録:Klippel-Feil症候群に伴う頭蓋底陥入に対し、後方除圧とinstrumentによる整復固定術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は14歳,男子.外傷などの誘因なく頚部から両肩にかけての疼痛と上肢の筋力低下にて発症した.来院時には上肢の挙上困難とふらつき歩行を呈していた.単純X線では頚椎の癒合椎と高度の頭蓋底陥入を,MRIでは大後頭孔内に陥入した歯突起と環軸椎亜脱臼に伴う環椎後弓による脊髄圧迫像を認めた.Halo-vestを装着し整復を試みたが困難であった.手術は後頭下減圧・環椎後弓切除および後頭骨頚椎間整復固定術(CO-C3)を施行した.術中,instrument (CCD―Cervical)のrodを利用した整復操作を加え,wake-up testにて新たな麻痺が生じていないことを確認した後,骨移植し手術を終了した.術後13カ月の現在,疼痛は消失し上肢の挙上,ランニングとも可能となっている,本法は術前に整復不可能な頭蓋頚椎移行部病変に対し有効な一手術方法と考える.
著者
阿部 小涼
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度は、昨年度の継続として、ニューヨークにおけるコミュニティ活動に従事したプエルトリカンと、アフリカ系アメリカ人との交流・交渉から生まれるアイデンティティ構築と政治活動について分析を行った。なかでも、社会活動家であり、ジャーナリスト、詩人という多面性を持つヘスス・コロンという人物に焦点を当て、その作品を通して、1930年代以降のニューヨークというコンテクストに置かれたプエルトリカンの、人種意識と政治への関与を考察した。その際には、同時代を生き、ハーレム・ルネサンスの高揚を支えた人物としてアフリカ系アメリカ人研究では著名なA・ショーンバーグが、黒人としての人種意識に基づいて活動したことが、対照的な存在として言及されるが、それによって、ヘスス・コロンが人種問題よりも社会主義を重要視して活動したという一般的な理解では充分ではない、プエルトリカン固有の人種意識の困難さを明かにした。差別に曝されたアメリカ社会において、自らの白人性に執着したとみなされがちなプエルトリカン移民は、その政治的実践においてはむしろ黒人性への覚醒、アイデンティティ構築というコンテクストに照らすことで、その思想的状況をより豊かに析出可能となるのである。さらに、1960年代の公民権運動のなかで登場するコミュニティ自助組織「ヤング・ローズ」の、社会運動への影響力も重要であった。ブラックパンサー党への敬意から誕生したこの組織は、コミュニティにおける生活の問題を、アイデンティティの政治という表現を用いて主張してきた人々であった。その主張内容は、人種意識の特徴、人種の多様性についての認識を踏まえた、新しい社会運動への萌芽として重要であり、今後の研究の方向に指針を得ることが出来た。最終年度となる今年度は、これまでの3年間の研究をまとめる作業を行い、国際学会その他でのプレゼンテーションを実施したほか、雑誌論文として発表した。また、成果の一部は、出版準備中の本のなかの1章として、現在編集中の段階である。

1 0 0 0 吉林の終戦

著者
阿部襄著
出版者
牧書店
巻号頁・発行日
1970

1 0 0 0 貝の科学

著者
阿部襄著
出版者
アリス館牧新社
巻号頁・発行日
1975
著者
阿部襄著
出版者
フタバ書院成光館
巻号頁・発行日
1943
著者
阿部 正佳 山崎 淳 山根 雅司
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.49, no.SIG1(PRO35), pp.127, 2008-01-15

本発表ではコンパイラキットSCKを紹介する.SCKはEmacs Lispで実装された,マルチソース,マルチターゲットのコンパイラ作成支援環境である.コンパイラキットは,単一のコンパイラと異なり,ユーザはそれを構成する各モジュールを選択的に利用するものであるから,それらのモジュラリィー,インタフェースの簡潔さと柔軟性がきわめて重要であるにもかかわらず,既存のコンパイラ作成支援環境はその実装言語に依存した複雑なインタフェースのみを提供し続けてきた.SCKでは,データ構造というものを実装言語とはまったく無関係な,独立した簡潔なプログラミング言語として定義し,さらに徹底的なモジュール分割を行うことで,実装言語から独立したコンパイラ部品を提供している.実際の実装言語はEmacs Lispであるが,Emacs Lispの知識がなくてもSCKを利用することができる.これが実装言語独立の意味である.一方で,Emacs Lispはコンパイラのような記号処理向きのプログラミング言語であり,現在最も使われている完成度の高いLisp処理系の1つである.SCKをEmacs上で利用するユーザには,簡潔で強力なコンパイラ作成環境が提供される.
著者
内舘 光 猪田 良介 辻 俊明 阿部 茂
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.578-584, 2009-06-01 (Released:2009-06-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 5

This paper proposes a real-time image processing system for wheelchair recognition at elevator lobby. This system extracts objects with frame difference method. From the image of extracted objects, heads of people are detected by the Hough transform. Vertical shooting from ceiling improves the performance of people counting since the detected head has high roundness and occlusion of people is prevented. Two feature quantities are introduced to recognize wheelchairs. They are the area value and the ratio of traveling length to vertical length. Since these quantities require a method for drawing the contour line. This paper proposes a new simple method to draw a contour line. The effectiveness of this system is confirmed through experiments.
著者
阿部 宏
出版者
東北大学言語文化部
雑誌
言語と文化 (ISSN:09198385)
巻号頁・発行日
no.15, pp.191-204, 2000
著者
吉川 泰弘 阿部 孝章 平井 康幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_416-I_420, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

The tsunami of 2011 Tohoku Pacific-Coast Earthquake broke river-ice, and generated ice jam in Hokkaido, Japan. This study aimed to clarify the phenomenon of ice jam generated by tsunami in ice covered river. We built the river-ice calculation model. In order to check the accuracy of this calculation model, we conducted ice jam experiment and a calculation value reproduced an experiment value. We understood that it was important to set up "the conditions to generate of ice jam" and "the allowable stress of river-ice" appropriately in this calculation model. This following phenomenon was found by Simulation of Ice Jam. At the time of tsunami intrusion to ice-covered river, River-ice was destroyed and moved to the upstream. River-ice was deposited in narrow river-width. Ice jam was generated at this point.
著者
石黒 初紀 阿部 加奈子 辰口 直子 蒋 麗華 久保田 紀久枝 渋川 祥子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.95-103, 2005

一般には炭火で調理されたものがおいしいと評価されることは多いがその根拠は明らかにされていない.そこで, 伝熱量および放射の割合を同等にした数種の熱源で鶏肉を焙焼し, 官能検査, においの成分分析を行った.さらに, 試料を焙焼する熱源から発生する燃焼ガスの成分分析を行った.官能検査の結果, においと総合的評価は[炭火焼き]と[ガス網焼き]を比較すると, 有意差は認められなかったが[炭火焼き]が好まれる傾向がみられ, さらにその匂いの差は識別できるものであった.そこで, においについて機器測定を行った.<BR>その結果, エレクトロニック・ノーズによる分析結果からセンサーが測定できるにおい成分の量は[ガス直火焼き], [ガス網焼き], [ヒーター焼き]は同等であるが, [炭火焼き]は他の熱源のものより低いことがわかった.このため, 炭火加熱により生じたにおいに何らかの違いがあることが考えられた.また, GCMSによる分析結果から, 官能検査により炭火加熱をした鶏肉の方が好まれた要因は, 香気成分組成において好ましくないにおいを持つ脂肪族アルデヒド類の割合が焼き網に比べ少なく, 香ばしい香りを有するピラジン類やピロール類の割合が多いためと考えられた.<BR>鶏肉の焙焼香の違いの原因は, 燃焼ガスにあるのではないかと考え, 燃焼ガスの測定を行った.その結果, 炭の燃焼ガスには, 焼き網よりも還元性の強い一酸化炭素や水素が多く含まれ, 酸素の含有量が少なかった.<BR>なお, この燃焼ガスの組成の違いと香気成分の生成との詳細な関連についてはさらなる検討が必要である.
著者
近藤 皓介 原 賢二 阿部 周司 梶原 一人
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.71-74, 2019 (Released:2020-01-06)

Hexagonal and cubic phases have been observed under atmospheric pressure as an ice crystalline phase. No study has reported the preparation of a cubic phase by directly freezing bulk water or by directly cooling the hexagonal phase. We hypothesize that the cubic phase is initially formed upon the crystallization of water and that it subsequently transitions to a hexagonal phase at a momentary rate. When pure water was used, it was not possible to capture the process of transferring to the hexagonal phase through the cubic phase at an integration interval of one second. However, when a 40 wt% aqueous glucose solution was used, it was possible to capture the process of transitioning from the supercooled liquid to the hexagonal phase through the cubic phase with an integration time of one second. This result is considered to indicate that the pure water may be instantaneously transferred from the supercooled liquid through the cubic phase to the hexagonal phase.
著者
村上 文哉 阿部 周司 梶原 一人
出版者
低温生物工学会
雑誌
低温生物工学会誌 (ISSN:13407902)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.67-70, 2019 (Released:2020-01-06)

Raffinose pentahydrate (R5W) was dehydrated at 30oC under a KOH saturated solution environment to prepare raffinose tetrahydrate (R4W). During the dehydration, the sample was measured by differential scanning calorimeter (DSC) and peak distortion was observed. Thus, an intermediate between R5W and R4W was detected. Even during the water absorption of R4W to R5W, DSC peak distortion was observed, indicating that an intermediate between R5W and R4W was generated. However, the intermediates of the dehydration and water absorption processes were considered to be different hydrates, named R4'W and R5'W, respectively. Moreover, the melting points of the hydrates from R5W to raffinose low hydrate were measured. These results suggest the existence of raffinose hydrate lower than R3W.